「でも、まだ肝心のあの子はまだなっていないみたい…」
「まあでも、いつかはあの子も律者に覚醒する筈よね♪」
「今回はゼーレに何かが起きるみたい?楽しみね♪」
「というわけで、第69話、始まるわ♪」
〜三人称視点.
列車に戻った一同は改めて律者となった面々の姿を観察することにした。
「星…随分雰囲気変わったな。」
「そうかな?」
「なんか…少しキリッとした感じか?前より落ち着いた感じがする。」
「そうかな……?」
星は御影に目を合わせつつ、御影の姿も見る。
「御影も……前よりも大人っぽくなった?」
「そうか?」
御影は少し照れくさそうにした。
「でも星核の影響だからと言って変わりすぎよ。アクセル、違和感とかないの?」
「んー?特に無いな。むしろピッタリで良い感じだぜ?」
アクセルはゼーレにそう答えた。
「私もあんな風になるかしら…」
ゼーレは自身の手をにぎにぎしながらそう呟いた。
一方、ホタルとなのかは翡翠の姿を激写していた。
「そんないっぱい撮るな…恥ずかしい…」
「え、だって…」「かっこいいから…」
二人はそう言って、翡翠は溜息を吐いた。
そんな中、翡翠のスマホが振動する。
「……ん?」
翡翠はスマホを取り出して、通知を確認した。
「ブローニャから?」
翡翠は疑問を浮かべつつも、電話に出ることにした。
『翡翠、久しぶり。元気だった?』
「ああ、なんだよ急に。なんか事件か?」
『ううん。ただ話がしたかっただけなの。あ、体の方は大丈夫?ルアン・メェイさんから聞いたけど…』
「もう平気だよ。悪いな、心配かけさせて。」
『ううん。だって……仲間だもん。当たり前じゃない。』
「ブローニャ……」
『ああ、それから、暇だったらベロブルグに来ない?久しぶりにゼーレ達の顔を見てないから。』
「分かった。」
そうして通話を切った。
「アクセル、ゼーレ。ブローニャが寂しがってるってさ。」
「本当?」
「…確かに…長いことベロブルグに帰って無いな…」
アクセルはそう呟く。
「まあ、でも…いいんじゃないか?体を休めるのも大事だと思うぜ?」
御影はそう言いながら体に湿布を貼った。
…………………
そして列車はヤリーロⅥに跳躍し、翡翠たちは久しぶりにベロブルグにやってきた。
「じゃ、俺はブローニャに会ってくるよ。」
そう言って翡翠は飛び去った。なのかもその後を追って行った。
アクセルとゼーレは下層部に行こうとした途端、何処からか振動が響き渡った。
「なんだ!?」
「今のは……下層部の辺りからよ!」
三人は急いで上層部に戻り、自分達の現場であるメインゲートに向かう。するとそこには…鉄の体を持つ巨大な剣を持った人工律者が立っていた。
「むむっ?お主らが開拓者でござるな?拙者は鉄の律者・エストワール。デクター殿の指示により、ここベロブルグにやってきてたで候。」
エストワールは変なニュアンスの武士語で二人を困惑させた。アクセルは頭を抱えて大きな溜息を吐いた。
「はぁぁぁ…折角休めそうと思ったら…大変な人生だぜ!」
「アクセル、サッと片付けるわよ。」
ゼーレがそう言って、アクセルは「分かってるよ。」と言って剣を構えた。
〜ゼーレ視点.
「はぁあ……!」
私は鎌を構えてエストワールに突進し、鎌を振り下ろす。
しかし、エストワールの装甲は固く、傷一つついていなかった。
「そんな……!」
「拙者の剣を受けるでござる!」
そう言って剣を構えて私に斬りかかった。私は慌ててそれをかわす。
「ぬぬっ!今のを避けられるとは……!流石開拓者で候!」
「ならこいつだ!」
アクセルが左腕からビームサーベルを出してエストワールに斬りかかった。しかし、剣によって防がれてしまった。
「無駄無駄!拙者の力は頑丈なり!」
「チッ…なんて硬さだ…グラスニーゴよりも硬い…」
「その通り!拙者は排熱能力を無くして更に自身を頑丈化させたで候!」
エストワールは自分の力に誇りを持っているのか、堂々とした態度でそう言った。
「なら……弱点を探すしかないわね……!」
私はそう言って鎌を構えて再びアクセルと同時に斬りかかる。
「甘い!遅いでござるよ!」
しかし、またしても剣によって防がれてしまった。しかも今度は右腕ごと……だ。
私とアクセルは吹き飛ばされる。
「くっ……なんて硬さなの……!」
「この装甲を破るには……」
アクセルはユニットを変形させてキャノンにして構える。
「なら、これでどうだ!」
アクセルはキャノンから砲弾を発射する。しかし……エストワールは剣でそれを防いでしまった。
「まじか…」
「その程度か?ならば次はこちらから行くでござるよ!はぁあっ!」
そう言って剣を振り回して攻撃してきた。私は咄嗟に鎌で防御するが、力の差で吹き飛ばされてしまった。
私は壁に叩きつけられた後地面に倒れ込み、動けなくなった。
「………」
そして、そのまま意識を手放してしまった……
………………
「ん…んん…」
私は意識を取り戻した。しかし、そこは知らない場所だった。
「ここは……」
私は周りを見渡す。そこは全く知らない場所だった。
『目を覚ましたようだな…』
「…!?誰。」
私が上を見上げると、玉座に何か黒いノイズのようなものが存在していた。
『我は…お前達の言う星核というやつだ。』
「星核……!」
『お前がここで意識を失っていた所をこの我が招き入れた。』
「私を……どうするつもり?」
『…貴様が律者として目覚め、新たな力を得るのを感じ取り、ここに呼んだのだ。』
「律者として……目覚める……?」
『そうだ。お前は今、星核の力が体に流れている。その力を使いこなせば……新たな力を手に入れることが出来るだろう。』
「……なら、どうすればいいの?」
『自ら課せられた使命を自身に与え、律者となるのだ。』
「……使命?」
『そうだ……お前の望みを叶えるのだ……』
「私の望み……」
私はそう言って考える。すると地面が抜けて、私は落下してしまった。
「な、なに!?」
そうしている間に、頭に謎の記憶が流れ込んできた。
「これは……!」
……
私は地面に叩きつけられる。しかし、幸いにも途中で浮遊した為ダメージはあまりなかった。
『これは並行世界の記憶だ。並行世界のお前…』
「…これが…並行世界の私…色々あったのね…」
ノイズのような、馴染むような感覚が私の頭に流れてくる。
様々な出会いと別れを遂げ、彼女も律者になったのだと…
『さあ…どうする。ゼーレよ。このまま何も出来ずに朽ちるか、この世界を生きるか……選ぶのはお前だ。』
「私は……」
私はそう呟いた後、決意を固めた。
「…私は生きる。例え、この先に何があろうとも!」
私はそう叫び、手を伸ばした。
その瞬間、私の手に光が集まり、一つの鎌が降り立った。
『覚悟は決まったようだな。ならば我の力もくれてやる!』
そうして星核が私の中に入り込むと、空から武器が降ってきた。
「っ……」
煙を払い、落ちてきたところに行くと、そこには四つの武器が落ちていた。
これは…初めて見るけど…懐かしい気がした。
「はぁ…」
深呼吸して武器を持って、光の元に走って行った。
〜三人称視点.
「……」
ゼーレが目を開けると、手にはいつもの鎌ではなく、先程持っていた鎌だった。
「アクセル!」
私はアクセルに声をかける。
「やっと起きたか……心配したぞ。」
「その口ぶり、私が起きるまで待ってたみたいね?」
「まあな……」
私は鎌を構えてエストワールを見る。
「なぬ!?もう目覚めている様子…」
「悪いわね、この力を試させてもらうわ!」
ゼーレはエストワールに斬りかかる。
「甘いでござる!」
エストワールは剣で防御する。しかし、ゼーレの鎌がそれを押し切った。
そして次にゼーレは剣と銃を呼び出し、剣と銃で斬りかかる。
「む!?な、なんだその力は……!」
エストワールは驚いた。ゼーレの攻撃の一発一発が重い為だ。
「はぁあっ!」
そのまま力任せに押し切り、次に連なった鞘から刀を二本抜き、エストワールを斬りつける。
「ぐおっ……!」
流石のエストワールもこれには耐えられず、ダメージを受けてしまう。しかし、その一撃を耐え凌ぐエストワール。
「この程度では拙者に一撃を加えるなどできないで候!」
「だったら、コイツで!」
ゼーレは蒼く輝く槍を手に持ち、モードチェンジして双銃に変形させる。そして、モジュールを召喚して銃弾を乱射した。
「むむっ!?こんなもの!」
エストワールは剣を振り回して弾丸を防ぐが、数が多すぎて処理しきれなかったのか、そのままダメージを受けてしまった。その様子を見て再び鎌を持つゼーレ。
「グゥ……やるでござるな……」
「悪いわね。こっちはふざけてやってないのよ。」「ふむ……ならば拙者も本気を出さねばならぬで候……」
そう言ってエストワールは鉄の体をパージして自身の体を身軽にした。
「ハッハッハッ!これが本当の拙者である!」
「そう……ならこれで終わらせるわ!」
ゼーレは鎌を構え、エストワールに突撃した。しかし、エストワールは巨大な光弾を生成し、ゼーレに向けて発射した。
「っ!」
ゼーレは鎌を構え、静かに精神統一する。すると、ゼーレの鎌が白く輝きだした。
「なんだ……この光は……!」
エストワールはその白い光に困惑し、そのまま光弾を投げ込んだ。しかし、光弾は光り、ゼーレの周りを包んでいった。
「ゼーレ!」
アクセルはゼーレに叫ぶ、しかし…
「なぁに、心配しなくても大丈夫よ。」
そう言ってゼーレは光の柱から出てきた。
そして、姿も大きく変わっていた。その姿は神々しくも、闇を彷彿とさせた。
「…確かによく馴染むわね…律者の力って…」ゼーレはそう言いながらエストワールを見る。
「ば、馬鹿な……こんなことが……!」
「さあ、行くわよ!」
ゼーレはエストワールに向かって行き、剣と銃で連撃を繰り返す。そして刀を振り下ろし、最後で鎌を回転させてエストワールに大ダメージを負わせる。
「ぐっ…なんというパワー!」
ゼーレは武器を槍に切り替えてレールガンに変形させ、モジュールを連結させて狙いを定めた。
「星が砕け散る様を、見た事があるかしら?」
しかし、エストワールは待ったをかけた。
「待て!その力!デクター殿の為に使わなければならない!どうだ!拙者の元にクルンダ!」
エストワールは声を荒げながら命乞いをするが、ゼーレは鼻で笑った。
「馬鹿ね。私は故郷に脅威を及ぼそうとする奴に、忠誠なんて誓いたくないわ。」
「なぬ!?そんな……」
「それに……私は今を生きると決めたのよ!」
ゼーレはそう言ってレールガンを発射した。エストワールは直撃を受けてそのまま蒸発した。
〜ゼーレ視点.
「ふう…」
私は武器を手放してゆっくり伸びをした。
「やったな。」
「ええ…ふう…」
私は疲れてその場に座り込んだ。
「ゼーレ、大丈夫か?」
「うん、大丈夫。」
私はそう言って立ち上がる。
「でも凄いな…あの力は……」
「そうね……でも、これは私の力よ。」
「……そうか……」
アクセルはそう言って私を見る。そして、少し笑った後こう言った。
「……なら、その力は大事にしとけよ?お前の力なんだからさ。」
「……そうね!」
私も笑ってそう言った。
………………
「……?」
なのかは胸を少し抑えた。
外の喧騒は翡翠達には聞こえておらず、ブローニャとの密談に勤しんでいた。
「大丈夫か?なのか?」
翡翠は少し苦虫を噛み潰した顔をしたなのかを心配そうに見つめた。
「ううん…大丈夫…」
「そっか…なんかあったら言えよ!」
翡翠はそう言って笑った。
(なんだろう…これ…?)
なのかは自分の中で何かが渦巻いているのを感じ取っているが、何なのかは分からなかった。
いずれ、その"何か"に気づくのはまだ先だろう…
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