【本編完結】開拓者のとある物語   作:サツキタロオ

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「私が新たに死生の律者として覚醒したわよ。それから並行世界の私のメンバーの武器も使って、人工律者を倒してやったわ。」

「ようやく物語が佳境に入りそうな感じがして、少し悪寒がするわね…」

「ま、私や翡翠にアクセル達もいるし、きっと何とかなるわよね。」

「今回…ホタル、遂に過去と因縁をつけようと思ってるらしいわよ。」

「ホタルの過去は伝えられてたけど…あの子なら、きっと大丈夫よね。」

「長くて悪かったわね、第70話、始まるわよ。」


episode.70:ホタル、輝く

 

〜ホタル視点.

「懐かしいな…この秘密基地…」

アタシはピノコニーの秘密基地へとやってきていた。

最近全然来れてなかったけど…相変わらずここの景色は絶景だった。

「……」

アタシは単独行動を取って一人でここに来ていた。

少し考えたい事があったからだ。

 

『もう…あの時のアタシじゃない。』

 

サムとの戦いで、確かにあんな事を言った。でも、まだ何かモヤモヤが晴れない。

「何なの……アタシは一体どうしたいの……?」

アタシは、自分の中の何かと葛藤していた。

何回考えても、自分の中で答えが出ないでいる。

「はぁ……もう、分かんないや……」

アタシは溜息を吐いた。

その場に座り込んで、スマホを見つめる。その時、スマホから通知音が聞こえて、思わずビクッとした。

「は、はい…もしもし?」

 

『ホタルですね?』

 

その声に少し身の毛がよだった。

この声は……『サム』だ。

「どうして…電話なんか…」

 

『私は兵器だ。データを調べる事など容易い事。貴女には出来ない事だ。』

「………要件は何?」

『数時間後、一人で黄金の刻に来なさい。仲間を連れてくるなら…容赦無く街と住民を爆破します。』

「なっ……!?」

『では。』

 

電話が切れ、アタシはスマホを思わず握りしめる。

「くっ…卑怯な…」

アタシはいつの間にか走り出していた。

「はぁ……はぁ……!」

アタシは黄金の刻に向かう。

そこに向かうと、サムが立ち尽くしていた。

 

『遅かったですね。』

「…何のつもり?別にアタシだけじゃなくても街を襲うなんて、出来るはず……!」

『私が何の理由もなく、貴女を一人でここによこすと思いますか?』

サムは振り返った。アタシは驚愕した。そこには前の戦いで傷をつけたボディがあった。

サムはボディの傷に触れながら話す。

『貴女にこの傷をつけられてから…私の中で思考ルーチンが変わりました。私は……』

サムはそこで言葉を切った。

『貴女を…負かしたくなった。』

「…え…」

『そして…私はこの傷跡を残し、そして私は貴女に同じ傷を刻みつけたいと思った。』

そう言ってサムは剣を手に取り、アタシに向けてきた。

「どうやら…相当レギオロイドの側面が強くなったって事だね…」

アタシも剣を取り、サムに向ける。

『いきますよ……ホタル……』

アタシたちは同時に飛び上がった。

凄まじい力で剣を振るサム。前よりはるかに強く、踏ん張って耐え凌ぐが、アタシは吹っ飛んだ。

「くあっ……!」

『私に傷をつけたその剣技……見事なものですが、それでは私には及びませんよ。』

「舐めないでよ……こんなの想定済み……!」

アタシは炎をサムに向けて撃つ。しかし、サムもそれを難なく躱す。そしていつの間にか横にいたサムが剣を振り下ろしてきた。

「しまっ……」

『終わりです。』

「……っ!!」

剣がアタシに振り下ろされる瞬間、剣を蹴飛ばして、距離を取った。

しかし、サムは腕を射出してアタシの足を捕まえた。

「ううっ!」

アタシは投げ飛ばされ、建物の壁にぶつかりそのまま崩れて行った。

「いっ…」

顔についたガラスのかけらを抜く。そこから鮮血が流れてくるが拭って、再び立ち上がった。

「はぁ……はぁ……!」

『ふっ…この程度ですか?』

この前より遥かに強くなっているサム。アタシは息も絶え絶えで、しかしサムをキッと睨んでいた。

『まだ立つのですね…しぶとい。』

「負けられないの……!アタシは!!」

アタシはそのまま剣を振り上げ、サムに向かっていく。

「はぁぁっ!」

『っ……!』

刃が火花を散らしながらぶつかり合う。

「くぅっ……!」

『まだ……!!私は貴女を超える!!』

サムも力を入れてきて、アタシを押していく。

そして、ついに押し負けた。そのまま地面に叩きつけられる。

「……っ!」

しかし、それでもすぐに立ち上がった。

『何故です……もう限界でしょう……何故そこまで……』

「貴方には分からないよ……」

アタシは剣先を向けた。

「……やぁぁっ!!!」

『くっ!』

アタシの剣撃を、サムは躱していく。だが、何回も直撃しかけるがそれをなんとか回避する。そしてアタシの攻撃は少しずつサムに掠るようになっていった。

『ぬぅぅん!!!』

サムも剣を振り下ろす。

アタシはそれを横に構えた剣で受けると、そのまま振り払い、斬撃を放つ。

サムは後退し、回避する。

「ハァッ!」

アタシはそのまま剣の連続攻撃で、サムに攻め込む。猛攻を続けるが、サムもそれをいなしていく。そして何度目かの斬撃を斬り返した時、アタシの剣は弾かれた。

『終わりです!』

そのまま剣を振り下ろすサムにアタシは……

「……っ!!」

『なっ!?』

捨て身で特攻し、胸元に剣が突き刺さった。

アタシも剣をサムのボディに突き刺した。

『うぐっ……!』

「はぁ……はぁ……!」

アタシは激痛で距離を取る。

「…くっ…っ…いっ…!」

アタシは何とか剣を抜いて投げ捨てた。

刺さった所から鮮血が吹き出るが、それを抑えながらサムを見る。

「ぐっ……うぅっ……!」

意識が朦朧とする。呼吸も荒く、今にも倒れそうだ。

「く……うっ……」

『はぁ……はぁ……これで分かりましたか……?私には勝てないと……』

「まだ……」

アタシは剣を杖にしながら立ち上がり、サムを睨みつける。

「…まだ…やれる…」

『…ふむ…なかなかしぶとい様子。ならば…』

サムは指を鳴らすと、何処からか人工律者達がやってきた。

「こ、これは…」

それは戦闘員然とした強固な装甲を身に纏った人工律者だった。

『量産型の人工律者…あらゆる場面を想定して複数のカスタムが可能なデクター様の傑作の一つです。ダガーギン!』

「オッケー!俺は金の律者・ダガーギン!よろ!」

ダガーギンは挨拶する。

「く、こんな事まで……!」

『さぁ……彼らは量産品ですが性能は問題ありません。貴女一人でどこまで抗えますかね?』

「くっ……」

戦闘員が襲い掛かってくる。アタシは何とか応戦するが、体が悲鳴をあげているのが分かるほど、動きにキレがなかった。

『ふっ!』

「うあっ!!」

サムの蹴りでアタシは吹っ飛ぶ。そしてそのまま地面に叩きつけられた。

「うっ……あ……!」

『トドメは刺しておきましょう。』

サムが剣を構えた。アタシはそれをみて立ち上がった。

「ハァッ!!」ダガーギンともう1体の戦闘員がアタシに迫ってくる。

2対1では分が悪い……そう思っていた時だった、どこからか風を切る音が聞こえて、アタシの周りに雷撃が飛び、そしてビームが戦闘員達の周りを通り過ぎて薙ぎ倒して行った。

「この攻撃…」

空を見ると、翡翠達が飛んでやってきた。

「ホタル!」

「大丈夫!?」

倒れそうになるが、なのかが支えてくれた。

「どうして…」

「どうしてって…仲間だからな。」

「それに、単独行動はいただけないぜホタル。」

御影さんやアクセルさんはそう言いながら戦闘員を薙ぎ倒して行った。

「全く、一人で突っ走るなんて、誰に似たのかしらね?」

「さあ、翡翠じゃない?」

ゼーレさんと星も銃を乱射して応戦する。

「ホタル。一人で敵に立ち向かうのはいいけど、相談も無しは良くないよ。」

「俺達もいるんだからな!」

アクセルさんとゼーレさんが剣で戦闘員を斬り倒していく。そしてみんながアタシの周りに集まってきていた。

「……みんな……」

「ホタル、一人で抱え込むな。俺達は仲間だ。家族同然だろ?」

御影さんが言う。アタシはその一言にハッとした。そうだ……そうだったんだ……アタシは一人じゃない……仲間がいるから……アタシは翡翠の差し伸べされた手を取る。

『まだ立ち上がるのですか?貴女は……』

「へっ、悪いな。ホタルは諦めが悪いんだ。」

サムは剣を構える。しかしアタシたちはもう怖くなかった。

『ならば……貴女達全員をここで葬るのみです!!』

「サムちゃ〜ん!俺が銀髪以外を相手するからさ、決着つけたいんじゃないの〜?」

ダガーギンがアタシに向かってくる。

『ダガーギン、頼みます。』

「オッケー!」

「ホタル。行けるか?」「うん。」

アタシはサムに向かっていく。しかし、戦闘員が立ち塞がった。

 

〜三人称視点.

「サム…ここで因縁を終わらせる!」

『ふっ、できるとお思いで?』「出来るか出来ないじゃない。やるかやらないかよ!」

『ならば、その覚悟……試させてもらいましょう!』

ホタルは剣を二刀流にしてサムに斬りかかった。しかし、サムもそれを剣で受け止める。

『ふっ!』

「うあっ!!」

サムの強烈な一撃がホタルを襲い、吹っ飛ぶ。しかしホタルはすぐに体制を立て直すと、再び攻撃を始めた。

『はぁぁぁ!!』「はああ!!」

サムとホタルの剣撃がぶつかり合い、激しい火花が散る。

そして、2人は鍔迫り合いになる。

「くっ……うっ……!」

『まだです!』

サムはそのまま剣を押し込み、ホタルを後退させる。しかし、ホタルも負けじと押し返す。

『ぬぅん!』「てやぁぁ!!」

2人の力は拮抗していた。しかし、ホタルの剣にヒビが入っていく。

「ぐっ……うぅ……!」

『ふっ……』

サムはそのまま剣を振り上げる。ホタルは為す術もなく、そのまま地面に叩きつけられた。

「うあぅ!」『終わりです!』

サムはホタルの首根っこを掴んだ。

 

『教えてください。貴女は…元々、何者だったのか…』

「グラモスの…鉄騎…」

『今は…?』

「星穹列車の…開拓者…」

サムは力を強めて、ホタルの首を絞める。

「う……あ……」

抵抗しようとするが、サムは何処からか鎖を呼び出し、ホタルを拘束させた。

『たとえ私から離れようとしても、過去は消えない。鉄騎は、貴女の過去そのもの。』

「う……ぐ……」

サムはそのままホタルを持ち上げる。そして、その拳でホタルの腹部を殴打する。

「かふっ……!」『さぁ……答えなさい……!貴女は何者なのか!』

サムは更に拳を深く突き立てると、そのまま持ち上げた。

「あ"っ!がっ!」『さあ!』「や……め……」

サムはこのまま首を折る勢いで更に力を強めた。

ホタルは意識を手放してしまいそうになるが、横から雷撃が飛んできてサムは手を離した。

「ホタル!」

翡翠が一瞬でホタルの前に立った。

「確かに…ホタルは鉄騎だったかもしれない…それが変わらない事実…だが!」

そう言って翡翠は剣を構えた。

「ホタルは…この世界に生きている!俺達と共に!そしてこれからも!」

「過去なんか知るかよ、俺達は今を生きてる。俺も…同じだったように…」

翡翠の翼から光が漏れ出し、ソニックブームを起こしながらサムに剣を振りかぶって斬りかかる。

『っ!』「はぁぁ!!」

サムもそれに対抗して剣で防御する。しかし、その一撃が重すぎて、サムは吹っ飛び、壁に激突した。

『ぐあっ!!』「うおおぉぉ!」

翡翠はそのまま追撃をかけるように剣撃を繰り出す。

サムの剣を弾いてそのまま突きを放つ。そしてそのまま横薙ぎに一閃し、更に吹き飛ばした。

 

それを見たホタルは静かに思っていた。

(翡翠も元は生み出された存在…でも……そんな運命に屈せず、今を生きている。ならアタシは……?)

ホタルは意識を取り戻して立ち上がった。空は曇りから晴れていき、ホタルに一筋の光が照らされた。

 

「…そうか、アタシがここに生きている理由…ようやく分かった。」

ホタルに自分を縛る鎖に手を掴む。

「アタシは……今を生きる!だから……!」

「生きる為に戦う!」

ホタルはそう叫び、鎖を掴んだ。

「ぬぅぅぅう!」そして強く引っ張って引きちぎった。

「アタシは生きる……そして、今を!」

ホタルはオーラを纏い、浮かび上がって姿が変化して行った。

 

『何!?』

「わぁ…!」

ホタルは空に立ち、目を開いた。

「黎明は迎える。そして日の出も訪れる。」

ホタルが剣を構え、瞬間移動してサムに斬りかかった。

「はぁぁ!!」

サムはそれを剣で防ぎ、そのまま押し返した。

『くっ……!』「まだだ……!」ホタルは腕から竜巻を出現させると、サムは吹き飛ばされた。

『うおおおおおおっ!』

サムの体にはヒビと火花が飛び散っていた。

『馬鹿な…私が…このような結果になるなどと…!』

「これが…アタシの新しい力…黎明の律者の力なんだ。」

サムは何とか起き上がると、ホタルを睨みつけた。

『このままやられる訳にはいかない…ここで貴女ごと自爆するッッ!!』

サムは自爆機能をセットし、ホタルに突撃してきた。

ホタルは焦る事なく4機のモジュールを連結させ、モジュールに腕を突っ込んで狙いを定めた。

 

「これで終わらせる!」

『この力は……!』

「終わりよ!これで!!」

ホタルはモジュールを振り上げ、ビームを発振し続け巨大なビーム刃を形成した。

『まだだぁぁ……私は貴女ををををををを!!』

「うぉぉぁぁ!!!」

そしてそのまま剣を振り下ろした。

 

サムは真っ二つに切り裂かれた。

『ぐあああっ!!!』サムはそのまま爆発を起こし、その体が完全に消滅した。ホタルは変身を解くと、その場にヘタっと座り込んだ。

「はあ…はあ…」

 

「えぇ!?サムちゃんやられちゃってるじゃん!ええい!」

ダガーギンは不利だと悟ったのか、煙幕を出してその場を撤退した。

「逃げられたか…」

御影達は悔しがった。

「ホタル、大丈夫か。」

翡翠はホタルに駆け寄った。

「うん……少し、気分が晴れた気分。」

そして、空は晴れ渡り、虹が掛かった。

「アタシ、ようやく生きる意味を見つけられたよ。」

「そうか。」

翡翠はホタルの手を取って立ち上がらせた。そして、他のメンバーも集まった。

「アタシ、これからも一緒に居てもいいかな?」

「当たり前だろ?」

「うん。これからもよろしくね。」

「ま、よろしく頼むよ。」

「おう。」

 

「うん!みんなありがとう!」

 

ホタルは満面の笑顔で言った。

こうしてホタルは、鉄騎との因縁に決着がつけ、新たな力と、新たな一歩を踏み出すことができたのだった。

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