〜三人称視点.
戦闘を終えた六人は、緊急治療室の前に立っていた。
「なの…大丈夫かな。」
「まだわかんねぇな。少なくとも、今は待つしかないだろうよ。」
不安になる星を慰める御影。
すると、ルアン・メェイが治療室から出てきた。
「…ルアン、どうだった?」
「命に別状はありません…ただ…星核が急激に侵蝕しているんです…」
「…説明してくれ。」
翡翠は暫く貯めた後、そう答えた。
「…なのかさんの星核は翡翠と同じく人工律者に適応された星核です。でも、長い時間を掛けて、なのかさんの体は律者に近づきつつあります。デクターの攻撃で、そのエネルギーが暴走し、なのかさんの星核を蝕んでいるんです。」
「なんとかならないの!?」
「これは私の予想ですが……星核が侵蝕され尽くした時、なのかさんは……」
「……死ぬのか。」
翡翠はそう呟いた。
「……はい。」
ルアンはただ、そう答えた。
「……」
全員はその場で黙ってしまった。
翡翠は静かに「そうか…」と呟いた。
「なのかは…?」
「この先の治療室に居ます…」
「…会わせてくれないか。」
「今はそっとしておいた方が……」
「頼む。」
「……分かりました。」
翡翠はルアンに頼み込み、治療室へと入った。
そこには、ベットで静かに眠っているなのかが居た。
「なのか……」
翡翠は静かになのかの手を握った。
「…なの…」
そんな最中、御影が治療室に入ってきた。
「翡翠!デクターが見つかったぜ!」
「…!?何処だ。」
「行き先は…ロストプラネットだ。」
翡翠はそれを聞いて立ち上がる。
「なのか…後は任せとけ…必ず帰る。」
翡翠はなのかの手にキスをした。
「…愛してる。」
そう言い、翡翠たちはロストプラネットに向かった。
…………………
〜なのか視点.
「………んん…」
ウチは重い体をなんとか立ち上がらせる。
「ここは…」
ウチが目覚めると、そこは真っ白な空間だった。
「ウチは…死んだの…?」
手をにぎにぎしたり、頬を全力でつねってみる。
「痛い……じゃあ、ここはあの世?」
「ううん、違うわ。」
「誰!?」
ウチは突然の声に驚いた。
後ろを振り向くと、そこにはピンクの髪に美しい装飾が施された…女神のような少女が居た。
「私はエリシア…ずっとあなたの事を見てきたわ。」
「エリシア……?」
「ええ。ちょっとお茶にしない?紅茶はお好きかしら?」
そう言ってエリシアは机と椅子、それからティーセットを用意した。
「は、はい……」
ウチはエリシアに言われるがままに椅子に座った。
「私……ここからあなたをずっと見ていたの。」
エリシアは紅茶を注ぎながらそう呟いた。
「色々な冒険をしてきたわよね……特に、翡翠さんとの出逢いは大きかったんじゃないかしら。」
「なんでその事を……」
「ふふっ、秘密よ♪」
エリシアはニコッと笑いながら紅茶をウチの前に置いた。
「……美味しい。」
「良かったわ♪」
ウチは紅茶を一口飲み、そう呟いた。
「…今のウチってどうなってるの?」
「今、星核が人工律者である貴方の体を蝕んでるわ。このままじゃ…消えるかも…」
「どうしたらいいんだろう…」
「それは……あなたが決める事よ。」
エリシアはウチの手を取り、そう言った。
……
〜翡翠視点.
「デクター!」
「来ましたね、開拓者。」
デクターはロストプラネットの上空で待っていた。
「……随分手間をかけたな。今日こそここで終わりにしてやるぜ!」
「ふっふっふっ…果たしてそうでしょうか?」
デクターが不適な笑みを浮かべる。すると、何処からか量産型律者たちが現れた。
「くっ…」
「まだ…あるのですよ?」
デクターは横に避け、誰かが歩いてきた。
そいつは複数のレギオロイドを融合させたかのような、謎の風格がある存在だった。
「アイツは!?」
俺がそう叫ぶと、デクターは高笑いした。
「そう!彼は我らが崇める究極の存在!ディーヴァ!!我らが崇めるレギオロイドの王なのです!」
『滅亡!支配!全テヲ殲滅スル!』
ディーヴァの咆哮と共に、ディーヴァの腕がヒーターと銃とに変化した。
「あの腕は!」
ベロブルグの時に戦ったレギオロイドの腕を奴は装備した。
「……なるほどな。」
「おや、驚かないのですか?」
「驚くものかよ。」
俺はデクターにそう答えた。
俺はゼーレと共にディーヴァに襲いかかる。
「無駄です。」
デクターがそう言うとディーヴァは一瞬で回避した。
「何!?」
「ディーヴァは0.01秒で3兆通りのパターンを予測して回避行動を行います。貴方達の攻撃は無力!」
デクターはそう言ってレガシー形態に変化して殴りかかってきた。
「くっ…」
「ここで貴方達を潰し、世界を我が手に!」
デクターがそう言った時、ディーヴァは翡翠達に攻撃した。
「チッ!厄介なのが増えたな!」
「流石、全知全能と呼ばれたマザーコンピュータ。」
デクターはそう自慢げに言った。
奴らに対抗するにはどうすれば……
……
〜なのか視点.
エリシアはウチに紅茶を注ぎながら話を続けた。
「律者って…どう言う存在か知ってる?」
「…?」
「律者……それは運命を操る存在。律者コアから強い破壊衝動に支配され、崩壊の意思と呼ばれ存在の使徒でもあるわ。」
「…それって星神みたいなもの…?」
エリシアはウチを真っ直ぐ見つめながら頷いた。
「そう……この宇宙に生きる者としては、律者の存在は脅威そのもの。」
「でもなんで?」
ウチがエリシアにそう聞き返すと、エリシアはティーカップを机の上に置いて話し続ける。
「それでも、世界を救う為に戦った少女達を私は知ってる。」
「……?」
ウチはエリシアの話に疑問を浮かべる。
「いずれ会えたらいいわね♪」
エリシアはそう笑った。
「…そろそろ時間みたい。」
「時間が……?」
エリシアはおでこをウチの頭に当てる。
「…私の力、アナタにあげる。」
「え……?」
ウチがそう呟くと、エリシアの体が光り出した。
「……!?」
「アナタならきっと大丈夫。私はいつでも見守っているわ。」
「うん……ありがとう……」
ウチの体に暖かい何かを感じた。
「…世界を変えるのは…強き思い…」
「さあ…進みなさい…」
エリシアの声が聞こえると共に、ウチは目が覚めた。
体にあった違和感はすっかり消え、ウチは医療室を出た。
「行かなきゃ。」
ウチがそう呟き、外に走った。
………………
「三月ちゃん!」
ウチが外に出る。すると、姫子たちが止めてきた。
「…三月ちゃん…大丈夫なの…?」
「うん。ウチは……行かなきゃいけないから。」
「……三月。これだけは約束して欲しい。」
ヨウおじちゃんが肩に手を置いて、ウチの目を見て言った。
「……絶対にみんなで帰ってこい、そして、死ぬな。」
そう言って姫子達はウチを抱き締めて、送り出した。
「…………行ってらっしゃい…」
「行ってきます…!」
ウチの体は光に包まれて、そのまま翡翠達の元に飛び去った。
今度こそ、大切なものを守る為に。
なの復活