【本編完結】開拓者のとある物語   作:サツキタロオ

109 / 120
episode.72:覚悟と選択

 

〜三人称視点.

戦闘を終えた六人は、緊急治療室の前に立っていた。

「なの…大丈夫かな。」

「まだわかんねぇな。少なくとも、今は待つしかないだろうよ。」

不安になる星を慰める御影。

すると、ルアン・メェイが治療室から出てきた。

「…ルアン、どうだった?」

「命に別状はありません…ただ…星核が急激に侵蝕しているんです…」

「…説明してくれ。」

翡翠は暫く貯めた後、そう答えた。

 

「…なのかさんの星核は翡翠と同じく人工律者に適応された星核です。でも、長い時間を掛けて、なのかさんの体は律者に近づきつつあります。デクターの攻撃で、そのエネルギーが暴走し、なのかさんの星核を蝕んでいるんです。」

「なんとかならないの!?」

「これは私の予想ですが……星核が侵蝕され尽くした時、なのかさんは……」

「……死ぬのか。」

翡翠はそう呟いた。

「……はい。」

ルアンはただ、そう答えた。

「……」

全員はその場で黙ってしまった。

翡翠は静かに「そうか…」と呟いた。

「なのかは…?」

「この先の治療室に居ます…」

「…会わせてくれないか。」

「今はそっとしておいた方が……」

「頼む。」

「……分かりました。」

翡翠はルアンに頼み込み、治療室へと入った。

そこには、ベットで静かに眠っているなのかが居た。

「なのか……」

翡翠は静かになのかの手を握った。

「…なの…」

そんな最中、御影が治療室に入ってきた。

「翡翠!デクターが見つかったぜ!」

「…!?何処だ。」

「行き先は…ロストプラネットだ。」

翡翠はそれを聞いて立ち上がる。

「なのか…後は任せとけ…必ず帰る。」

翡翠はなのかの手にキスをした。

 

「…愛してる。」

そう言い、翡翠たちはロストプラネットに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

…………………

 

〜なのか視点.

「………んん…」

ウチは重い体をなんとか立ち上がらせる。

「ここは…」

ウチが目覚めると、そこは真っ白な空間だった。

 

「ウチは…死んだの…?」

手をにぎにぎしたり、頬を全力でつねってみる。

「痛い……じゃあ、ここはあの世?」

「ううん、違うわ。」

「誰!?」

ウチは突然の声に驚いた。

後ろを振り向くと、そこにはピンクの髪に美しい装飾が施された…女神のような少女が居た。

「私はエリシア…ずっとあなたの事を見てきたわ。」

「エリシア……?」

「ええ。ちょっとお茶にしない?紅茶はお好きかしら?」

そう言ってエリシアは机と椅子、それからティーセットを用意した。

「は、はい……」

ウチはエリシアに言われるがままに椅子に座った。

「私……ここからあなたをずっと見ていたの。」

エリシアは紅茶を注ぎながらそう呟いた。

「色々な冒険をしてきたわよね……特に、翡翠さんとの出逢いは大きかったんじゃないかしら。」

「なんでその事を……」

「ふふっ、秘密よ♪」

エリシアはニコッと笑いながら紅茶をウチの前に置いた。

「……美味しい。」

「良かったわ♪」

ウチは紅茶を一口飲み、そう呟いた。

「…今のウチってどうなってるの?」

「今、星核が人工律者である貴方の体を蝕んでるわ。このままじゃ…消えるかも…」

「どうしたらいいんだろう…」

「それは……あなたが決める事よ。」

エリシアはウチの手を取り、そう言った。

……

 

〜翡翠視点.

「デクター!」

「来ましたね、開拓者。」

デクターはロストプラネットの上空で待っていた。

「……随分手間をかけたな。今日こそここで終わりにしてやるぜ!」

「ふっふっふっ…果たしてそうでしょうか?」

デクターが不適な笑みを浮かべる。すると、何処からか量産型律者たちが現れた。

「くっ…」

「まだ…あるのですよ?」

デクターは横に避け、誰かが歩いてきた。

そいつは複数のレギオロイドを融合させたかのような、謎の風格がある存在だった。

「アイツは!?」

俺がそう叫ぶと、デクターは高笑いした。

「そう!彼は我らが崇める究極の存在!ディーヴァ!!我らが崇めるレギオロイドの王なのです!」

 

『滅亡!支配!全テヲ殲滅スル!』

ディーヴァの咆哮と共に、ディーヴァの腕がヒーターと銃とに変化した。

「あの腕は!」

ベロブルグの時に戦ったレギオロイドの腕を奴は装備した。

「……なるほどな。」

「おや、驚かないのですか?」

「驚くものかよ。」

俺はデクターにそう答えた。

俺はゼーレと共にディーヴァに襲いかかる。

「無駄です。」

デクターがそう言うとディーヴァは一瞬で回避した。

「何!?」

「ディーヴァは0.01秒で3兆通りのパターンを予測して回避行動を行います。貴方達の攻撃は無力!」

デクターはそう言ってレガシー形態に変化して殴りかかってきた。

「くっ…」

「ここで貴方達を潰し、世界を我が手に!」

デクターがそう言った時、ディーヴァは翡翠達に攻撃した。

「チッ!厄介なのが増えたな!」

「流石、全知全能と呼ばれたマザーコンピュータ。」

デクターはそう自慢げに言った。

奴らに対抗するにはどうすれば……

 

……

 

 

 

 

 

 

〜なのか視点.

エリシアはウチに紅茶を注ぎながら話を続けた。

「律者って…どう言う存在か知ってる?」

「…?」

「律者……それは運命を操る存在。律者コアから強い破壊衝動に支配され、崩壊の意思と呼ばれ存在の使徒でもあるわ。」

「…それって星神みたいなもの…?」

エリシアはウチを真っ直ぐ見つめながら頷いた。

「そう……この宇宙に生きる者としては、律者の存在は脅威そのもの。」

「でもなんで?」

ウチがエリシアにそう聞き返すと、エリシアはティーカップを机の上に置いて話し続ける。

「それでも、世界を救う為に戦った少女達を私は知ってる。」

「……?」

ウチはエリシアの話に疑問を浮かべる。

「いずれ会えたらいいわね♪」

エリシアはそう笑った。

「…そろそろ時間みたい。」

「時間が……?」

エリシアはおでこをウチの頭に当てる。

「…私の力、アナタにあげる。」

「え……?」

ウチがそう呟くと、エリシアの体が光り出した。

「……!?」

「アナタならきっと大丈夫。私はいつでも見守っているわ。」

「うん……ありがとう……」

ウチの体に暖かい何かを感じた。

 

「…世界を変えるのは…強き思い…」

「さあ…進みなさい…」

 

 

 

エリシアの声が聞こえると共に、ウチは目が覚めた。

体にあった違和感はすっかり消え、ウチは医療室を出た。

「行かなきゃ。」

ウチがそう呟き、外に走った。

 

………………

 

「三月ちゃん!」

ウチが外に出る。すると、姫子たちが止めてきた。

「…三月ちゃん…大丈夫なの…?」

「うん。ウチは……行かなきゃいけないから。」

「……三月。これだけは約束して欲しい。」

ヨウおじちゃんが肩に手を置いて、ウチの目を見て言った。

「……絶対にみんなで帰ってこい、そして、死ぬな。」

そう言って姫子達はウチを抱き締めて、送り出した。

 

「…………行ってらっしゃい…」

 

「行ってきます…!」

ウチの体は光に包まれて、そのまま翡翠達の元に飛び去った。

 

今度こそ、大切なものを守る為に。

 




なの復活
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。