「でも、まだ戦いは終わってないし…まだまだ用心しないとね!」
「じゃ、第74話。始まるよ!」
〜翡翠視点.
「お帰りなさい…」
星穹列車に帰ってくるなり、姫子さん達に抱きつかれた。
「ただいま…」
なのかが静かにそう呟いた。
「三月ちゃん…体の方はどう?」
「うん。すごく馴染む感じ。なんだか落ち着く。」
「星核を完全に克服したからだろうな。その力がこちらからも感じられる。」
ヴェルトのおっさんがそう言ってメガネを拭く。
「ああ、三月。以前と比べて成長したな。」
「そこまで褒めないでよ丹恒。ウチはみんなが居たからここまで来られたんだから。」
少し低くなった声のトーンでそう話しているなのか。
アクセルと御影はソファに座って何か話していた。
「ねえアクセル。三月の奴律者になったんだよな。今だに実感わかねぇよ。」
「俺も同感だ。あの光景が鮮明に浮かぶぜ。」
二人はそう言いながらも天井を眺めていた。
「…翡翠ー。」
「ん?どうしたなのか。」
「ウチの姿見てどう?かっこいい?」
上目遣いで聞いてくるなのか。
「ああ、かっこいいぞ。」
「えへへ〜♪」
なのかはご機嫌そうだ。成長しても性格とかは変わってないな。
「にしても、背伸びた?少し高くなってるんじゃないか?」
「そうかなぁ?ウチはそんな感じしないけど?」
「伸びたって。1ミリぐらい。」
「ちょっとぉ!それじゃあ全然わかんないよ!」
なのかはそう抗議してくる。
「でも、本当に大きくなったな。」
私はそう言いながらなのかの頭を撫でる。すると、なのかは目を細めて嬉しそうにする。
「えへへ〜♪」
そんなやり取りをしていると、姫子さんがこちらにやってきた。
「……翡翠。ちょっといいかしら?三月ちゃんも。」
「ん?なんがあったのか?」
「ええ。ちょっとね。」
俺らは連れられてラウンジに出た。
すると、大型のテレビに砂嵐が舞っていた。
「??どうなってんだ?」
「分からないわ。突然この画面になったのよ。」
そうして暫くすると、テレビからノイズ混じりの声が聴こえてきた。
『…待っています。』
『ステーションスクエアで、貴方達を…』
テレビから流れる声はそう伝えたのちに消えた。
「なあ、これって……」
「ええ。何かが来るわ……」
姫子さんはそう言って難しい顔をしていた。
「みんな、戻ってきていきなりで悪いけど、すぐにステーションスクエアに向かうわ。」
「ああ、何が来たってよ。俺たち7人なら負けはしないさ。」
アクセルが握り拳で自身げにそう語る。
それに釣られて俺たちも頷いた。
「よーし!急いでステーションスクエアに出発だ!」
そうして星穹列車はすぐに跳躍を開始し、ステーションスクエアへと向かう。
……………………
ステーションスクエアに着くと、空は黒く、稲光が走っていた。
そしてその高く聳え立つ摩天楼の最上、何かがいた。
「あれは!」
ホタルがそう言い、目を凝らしてよく見る。
そこに居たのはサムだった。しかしその姿は半身が獣、もう半身は触手を纏った不気味な姿で。頭部とボディにも生物的なパーツが付いたキメラのような姿になっていた。
「あの姿は一体!?」
『どうです?これが私が修復箇所を全改良し、改造した。まさに究極の姿!』
『この力で、貴様共に復讐してやります。』
少しノイズ混じりで違う声。おそらく、改造中に思考ルーチンがイカれてしまったのだと感じた。そうして、そのおぞましい姿のサムが俺らを捉えていた。
サムは摩天楼から飛び降り、こちらに威嚇するかのように咆哮する。
「うおっ、やばそうだな!」
アクセルはサムの様子を伺いながらそう話す。
「……どうする?」
俺がそう言うと、ホタルが前に出る。
「アタシに任せて。今度こそケリをつける!」
「ホタル、無茶はするな。」
「大丈夫!あんなのに負けないよ。」
そうしてホタルはサムに向かって走り出す。
『ホタルゥ!キサマから死になさい!』
サムがそう言ってホタルに飛びかかる。しかし、その攻撃を紙一重で躱す。
『ッ!?何故だ!なぜ避けれる!?』
「元鉄騎を舐めないで!」
回し蹴りを入れ、サムを吹き飛ばした。
『グオォッ!?』
「これなら!」
両手からトルネードを発射してサムに攻撃をする。
「いっけぇ!」
『グッ、グウウッ!』
サムは触手でトルネードを弾いた。しかし、その隙にホタルが一気に距離を詰める。
「これで!」
『ッ!させません!』
サムの背中から触手が生えてきてホタルに向かって攻撃してきた。
『!?』
「ホタル!?」
だが、俺は寸前で防いだ。
『かかったナァ!!』
すると触手は俺達の腕や翼に巻きついて拘束してきた。
「何!?」
俺たちはサムの触手に拘束されてしまった。
なんとか触手から抜け出そうとするが、離れそうになかった。
「仕方ない…」
〜三人称視点.
翡翠は背部の翼を分裂させ、腕に巻き付いた触手を切り裂いた。
『何ぃ!?』
そしてハーケンブースターを展開し、仲間に巻き付いた触手を両断した。
「助かった翡翠!」
「そりゃどうも。」
再び翼と接続し、サムに向かって剣を投擲した。
『チッ!』
剣を弾くが、一瞬で至近距離に接近され、雷撃を纏った拳で腹部を殴打された。
『ガァッ!?』
サムは錐揉み回転をしながら墜落した。
「しぶとい奴だな!」
『ま、まだだ…私は…殺す!スベテヲ!ケス!』
ノイズと機械音声を混ぜたような喋り方。
もはや知性があるのすら怪しい所だった。
すると、何処からかビービの群れがサムの周りを包み、近くのビルや車を吸収し、姿を変えていった。
「なっ……!?」
そしてもはや怪物のような姿になったサムがそこにいた。
「やばそうだぜ。一旦海に出るぞ!」
アクセルがそう言うと、一行は海辺に向かって跳躍した。
「何なんだ、あれは……」
翡翠はそう呟く。その視線の先には、巨大な怪物が暴れていた。
『コノ力…素晴ラシイ…マサニ万物ノ王ニ相シイ!』
異形の龍の姿と化したサムがそう叫んでいた。
『見ヨ!コノ無尽蔵ノ力ヲ!』
すると、サムから複数のレーザー光線とミサイルを発射してきた。それらは雨のように地面に降り注ぐ。
「大丈夫か、みんな!?」
翡翠がそれぞれに目を向けると無事のようだった。しかし少し不味いかもしれない。エネルギーの消耗が激しく、次第にこちらの体力も奪われる一方だった。
「ホタル、なのか、付いて来い!」
翡翠はそう言って、飛び立つ。残った体力が多いなのかとホタルを呼び、二人も翡翠の後に続いて飛び立った。
………
雲の上まで登り、三人はサムと会敵した。
『フハハハハッ、コレコソ究極!私ハ万物ヲ統ベル王!今ノ貴様ハチリ以下ノ存在ダ!』
そう言いながらサムハ棘やクリスタルを機体の各部から生やし、牙のように変化させ、針状に形作って一斉に放った。
「そんな姿になってまで、俺たちに勝ちたかったのか。」
『今ノオマエ達ニハモウドウデモイイ事ダ。ココデ捻リ潰シテヤロウ。』
「言うじゃねぇか。」
翡翠は剣を構えてそう話す。
「ウチらだって、ただで負ける気なんてないよ!」
そう言ってなのかはドラグーンを射出する。
「アタシも。負けるわけにはいかない!」
ホタルも攻撃した。
『たかるな、ハエがッ!』
サムは体から生えたクリスタルを射出し、レーザーを撃って辺りに拡散してきた。
「いちいち鬱陶しい攻撃を…!」
翡翠は雷撃を撃ってクリスタルを相殺する。
『ドウダ!コノ力デ貴様等ヲ絶望サセテヤル!』
サムは牙と棘で攻撃してきた。
「無駄だ!その程度で止められると思うな!」
翡翠は雷撃を纏ったオーバーヘッドキックで右腕部を両断した。
『ナニ!?』
「これもあげる!」
なのかもドラグーンで複数のフィールドを作り、矢は放ち、左腕部を撃ち落とした。
『馬鹿なッ!?』
そしてホタルが剣をモジュールから放ったエネルギー弾と融合させ、大剣を形成してサムに突撃していった。
『馬鹿メッ!!真正面カラ突撃スルナド!』
胸部の砲塔が展開し、縮退砲の発射準備を始めた。
「もう遅い!」
ホタルは大剣を砲塔に突き刺し、剣を殴って更に差し込んだ。
『グオォッ!?ナゼダ!ナゼ私ガ負ケル!?』
『私ハ万物ヲ統ベル!私コソガ、本物ノ……!!』
そう言い残してサムは雲の下に堕ちていった。
三人は急いでその場から離れ、爆発から逃げ切った。
「やったな。」
「うん、多分ね。」
三人が話しているところに、巨大なホログラムが現れ、デクターが姿を現した。
『いや、お見事ですね開拓者。あのサムすら倒してしまうとは。』
「デクター…!」
『ですが、まだ終わりではありませんよ。』
『これから私は、この時空を破壊し、この星界を我が手に収めます。』
デクターは不敵な笑みを浮かべて笑う。
『さあ、決着の時です開拓者!あなた達がくるのを楽しみにしていますよ…』
そう言ってホログラムは消えた。
「デクターの奴め……」
翡翠は拳を握りしめて俯く。そして、決意したように顔を上げた。
「行こう。この戦いを終わらせる為に。」
曇り空が晴れ渡り、太陽が輝いていた。
更新遅れてすみません。
最終決戦まで、もう少し。