【本編完結】開拓者のとある物語   作:サツキタロオ

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「遂にサムを倒して、残るはデクターとディペクトだけだ!」

「この戦いが終われば漸くこの戦いが終わりを迎えるんだろうな。」

「ようやく過去との因縁にケリをつけられる。」

「…その前に、準備しないとな。今日が決戦前夜だな。」

「そうだね。第75話、始まるよ。」



episode.75:決戦の蒼い星へ

 

〜三人称視点.

 

「…」

星穹列車に戻ってきた翡翠達は、それぞれ自身の治療と武器の調整を行っていた。

「姫子。デクターが居る場所は分からない?」

なのかがそれを言うと、姫子はモニターをみんなに見せた。

「デクターが向かった場所は、この宇宙の中心部分…星の核(ラスタリア)に向かったのが確認できたわ。」

「じゃあ、さっさと乗り込んで叩き潰してやろうぜ!」

アクセルがそう言うが、姫子は首を横に振った。

「それが、列車のエネルギーが尽きかけてて、今は星の虚数エネルギーを充填しているわ。それまでは一晩かかるかも。」

「ええ!そんな…」

アクセルは落ち込んだが、ゼーレが肩を叩いて宥める。

「仕方ないわよ。今日は色々あったし、休息も大事よ?」

「それもそうか…」

「じゃ、各自解散しよう。今日はゆっくり休め。」

ヴェルトはそう言い、何処かに歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

〜翡翠視点.

 

「……どうすっかなぁ。」

俺は外を眺めながらそう呟く。上を見上げると、星の核からとてつもない悪意を感じた。

あそこに…デクターが…

「とりあえず、みんなに話をするか……」

俺はそう呟くながら、ラウンジを歩き始めた。

俺は心の中で整理をつけようとしていた。

 

(デクターは確実に俺たちを待っている…でも、それだけじゃない。この悪意の気配…まるで星そのものが敵意を持っているみたいだ)

 

考えれば考えるほど、不安が募る。しかし、立ち止まっている暇はない。俺は気を引き締め、ラウンジを歩き始める。。

 

そこでは既に仲間たちが集まり、それぞれのやり方で時間を過ごしていた。姫子はコーヒーを淹れながら端末を確認し、ヴェルトのおっさんは静かに読書をしている。丹恒はサンデーと話し合っていた。

 

「よ、何話してるんだ?」

「翡翠か。」

「現在、丹恒さんからチェスを教わっていたんです。」

そう言うサンデーの手にはチェスの指導書があった。

「翡翠、明日の決戦だが、翡翠を中心とした陣形で行くのが最適だろう。」

「跳躍で星の核に接近し、後は7人に任せる。悪いな、俺たちじゃ力不足だろうからな。」

そう言う丹恒は少し曇った顔をした。

「任せとけって。俺たちが無事じゃなかった時があったか?」

「………羅浮の時もピノコニーの時もあっただろう。」

「………そうだったな。気をつけるよ。」

「なのかさんは言っていました。「翡翠は無茶しやすい。」ってね…」

 

なのかの奴…

 

「ああ、分かった。その忠告を覚えとくよ。」

サムズアップをしてその場から離れた。

 

 

………………

 

「翡翠。体の調子はどう?」

「今は大丈夫だ。」

「ところで、聞きたいんだけどさ。星の核ってどんな場所なんだ?」

姫子が端末を操作し、モニターに星の核のデータを映し出した。

「星の核からは異常なエネルギーを確認されてるわ。その影響で、時間や空間が歪んでいる可能性があるわね。」

「つまり、普通の戦場とは違うってことか。」俺は眉をひそめた。

「ただでさえデクターは強敵だってのに、そんな厄介な場所で戦うことになるのか…」

「翡翠達なら大丈夫とは思うけれど…………無茶はしないで。」

「…うん。」

俺は素直に返事をして、次はヴェルトさんに話しかけた。

 

ヴェルトさんは静かにソファに座って本を読んでいた。

俺はその隣に座った。

「…ヴェルトさん。アンタも律者なんだよな。」

「……いつ頃気づいた?」

「律者になった頃かな。同じ力を感じたから。」

「そうか…」

ヴェルトさんは静かに頷いた。

 

「……この戦いが終わったら、どうすんの?」

「…暫くはナナシビト生活だな。開拓者を引退したら、アニメーターになろうと思う。」

「ヴェルトさんのアニメか、きっと面白いんだろうな。」

「ふっ、こう見えても前は面白いアニメをたくさん作ってたがな。」

「そっか。」

俺はソファを立ち上がって、伸びをする。

「じゃ、俺は別んとこ行くよ。」

「ああ、明日に備えて、ゆっくり休めよ。」

「……うん。おやすみ。」

 

その場を離れて、別のソファに居たゼーレに話しかけた。

「よっ」「翡翠。まだ寝てなかったのね。」

「なんか眠れなくってな。その言い方だと、ゼーレもその口か?」

「ええ、アクセルと御影はトレーニングに行ったし、私も暇なのよね。」

「そっか、ゼーレ。この戦いが終わったらどうするんだ?」

ゼーレにそう聞くと、ゼーレは窓を見上げて、静かに話し始めた。

「ベロブルグに戻るわ。ナタやブローニャ達が心配してるだろうし、それにヤリーロⅥをもっと活気に溢れた所にしたいかな。」

「きっと出来るさ。いざとなったら、俺らも手伝うさ。」

「…ありがと。」

ゼーレはソファから立ち上がって静かに欠伸した。

「じゃ、私は寝るわ。アンタも早く寝なさいよ。」

「ああ、おやすみ。」

ゼーレは自身の寝室に戻って行った。

 

(御影達はトレーニングルームか…)

俺はトレーニングルームに行く為に歩みを進めた。

 

 

 

………………

 

「ん?」

パーティ車両に向かうと、凄く疲れた顔をした星とホタルが居るのが見えた。

疲れてそうな星の為にジュースを持って側に近づく。

「よ、お疲れ。疲れてそうだな。」

「うん……」

星にジュースを差し出すと星は食い付くようにジュースを奪って飲み干した。

 

「………………ぷはっ…ありがと…疲れてたから…」

「列車のエネルギー。どうなった?」

「うん…無事に全回復できたよ…はー…大変だった。」

「悪いな、明日は決戦だってのに。」

「ううん。この戦いが終わるのなら、安いものだよ。」

俺も椅子に座ってジュースを飲む。

「…この戦いが終わったら、どうすんの?」

星にそう聞くと、少し思い悩んだ。

「お兄ちゃん達の墓参りがしたいな。」星はそう静かに答えた。

「私達さ、幼い頃に捨てられたから、親の顔も覚えてないんだ。そこから長い間、お兄ちゃんと御影と3人でずっと一緒だった…」

「でもお兄ちゃんは死んじゃった…そこから列車に来るまでに長い時間が掛かったから、お墓参りが出来なかったからさ。」

「御影と一緒に考えてんだ。穹達の供養の為に、お墓を作ってやろうって。」

御影の奴はそこまで考えてたのか…普段はあんなのなのに…

「…じゃあ、尚更負けるわけにはいかないな。」

「うん!」

「じゃ、俺は他の奴らにも顔を合わせてくるよ。星はどうする?」

「そろそろ寝るよ。おやすみ〜。」

 

………………

 

「ホタル。」

「あ、翡翠。どうしたの?眠れない?」

ホタルに声をかけると、紙にメモをしている様子だった。

「何してんだ?」

「これからの事をメモしてるの。」

「これからの…?」

「アタシ…グラモスの時から戦ってばっかりで、星核ハンターの時も…脚本に従って戦ってた。」

 

ホタルは少し目を閉じて今までの事を考えながら話す。確かに、ホタルの過去には色々あった。

 

「でも、この列車に来てからは、戦い以外の事をやれるようになって…今がすっごく楽しいんだ。」

「だから、この戦いが終わったら、開拓者の一人として、いろんな星を見てみたいんだ。」

「……いいと思うぜ。ホタルの夢。」

「…夢…か…うん。」

ホタルは立ち上がって星の核を見上げる。

「それじゃ、お互いの夢を叶える為に、"アレ"なんとかしないとね。」

「ああ。」

 

その後、少しだけ談笑しながらホタルが寝室に行くのを見届け、俺はトレーニングルームに向かった。

 

………………

 

「ふっ…!せやっ!」

アクセルが大剣を振ってターゲットを粉砕していた。

「…ふぅ…ん…翡翠か。どうしたんだ?」

「どうしたじゃないさ。明日は決戦だってのに修行か?」

「当たり前さ。敵の力は強大だ。どんな敵にも対処する為に鍛えとかないとな。」

「慎重だな。」「慎重にならざる負えないさ。相手は…デクターだからな。」

そうしてアクセルはその場に座り込んだ。

 

「この戦い終わったら、ゼーレと一緒にベロブルグに里帰りするよ。」

「この旅で学んだ事は…全部俺の思い出だよ。」

「ヤリーロⅥも、羅浮も、ピノコニーも、他の星も全部救ってやろうぜ。」

「ああ…俺もうすぐ寝ようと思うけど、どうする?」

「もうちょっと特訓してから寝るわ。明日は直接対決だ。頑張ろうぜ。」

 

アクセルとの話を終えた後、御影に話しかけに行った。

「よ、御影。特訓励んでる?」

「………翡翠か。ああ、丁度終いな所だったんだ。」

剣を地面に刺して、息を整える御影。

「まさかこの俺が、世界の危機を救う為にここまで来るとは思わなかったぜ。」

「俺も思わなかったよ。星の危機は救ってったけど、銀河を救うのは初めてだぜ。」

「…戦いが終われば…また開拓の旅が始まる。でもその前にやりたい事があるんだ。」

「…墓参りか…?」

「ん、星が聞いてたか。ああ、穹や他の奴らの墓を作ってやりたいんだ。」

「いい夢だな。それが終わったら?」

「………考えてなかった。」

ハッとした顔をする御影。いや、それを考えてなかったって顔をするな。

「…ま、ぼちぼち考えるよ。それより、今は目の前の事を終わらせないとな。」

「そうだな。ま、俺たちなら大丈夫じゃないか?」

「じゃ、俺もそろそろ寝るかな…お前も寝るだろ?」

「もうちょいしたらな。」

御影は剣を回収してその場から去った。

 

 

…………………

 

俺も眠くなってきたので、寝室に向かう途中、窓から空を眺めて何か考え事をしていたなのかを見つけた。

「…なの。何してんだ?」

「あ、翡翠。ちょっと星を見ながら考え事してたんだ。」

俺はすぐ側に立ってなのかの話を聞いていた。

「ウチら…ようやくここまで来れたんだね。」

「ああ、アイツとの戦いが終われば、ようやく過去と訣別できる。」

そう言い合いながら、再び空を見上げた。

「……ウチ、嬉しいんだ。」「…嬉しい?」

「こうやって…貴方の隣で、一緒に肩を並べて戦える事が…」

なのかの声は、どこか遠くを見つめるようなものだった。外の宇宙は静かで、星の核が鈍く光を放っている。

 

「私たちは何度も戦って、乗り越えてきた。だからこそ、これが最後の戦いだって思うと…なんだか、不思議な気持ちになるんだ。」

なのかの言葉に、俺はしばし黙った。確かに、ここまでの戦いは決して簡単なものじゃなかった。でも、それでも俺たちはこうして生きて、戦い続けている。

「…なのか。」

俺はゆっくりと口を開いた。

「もしこの戦いが終わったら、俺たちの旅はどうなるんだろうな。」

「それは……きっと、新しい旅が始まるんじゃない?」

なのかは微笑んで、俺の顔を見た。

「開拓の旅は終わらない。でも、今までとは違う旅になると思うよ。ウチらが今まで守ってきたものを、これからは育てる旅になるかもしれないし。」

「育てる、か。」

 

俺は少し考えてから、なのかに向かって笑みをこぼした。

「そっか。それも悪くないな。」

「うん。だから、まずはこの戦いを終わらせよう。」

なのかは拳を軽く俺の肩に当てて、前を向いた。

「デクターを倒して、未来へ進も。一緒に。」

 

俺は頷いた。

「……ああ。やるしかねぇな。」

二人でしばらくの間、静かな宇宙を見つめていた。まるで、明日への決意を固めるように。

 

「…それじゃ、明日に備えて寝るか。おやすみ、なの。」

 

「おやすみ…翡翠。」

 

……そして、夜が明けた。

 

…………………………………

 

翌朝、星穹列車は跳躍を開始した。

 

「エネルギー充填、完了!いつでも出発できるぞ!」パムが元気よく報告する。

 

「よし、みんな準備はいいな?」ヴェルトがみんなを見回す。

「頑張れよ。」「ご武運を。」丹恒とサンデーが7人を激励した。

「待ちくたびれたぜ。」アクセルが剣を担ぎながら笑う。

「ゼーレ、準備は?」姫子はゼーレ達を見ながら言う。

「ええ、万全よ。」ゼーレは武器を構えて頷く。

「星、頼むな。」御影は星の肩に手を置いて言う。

「…ふう、行くよ。」ホタルは深呼吸しながら答える。

 

そして、なのかが俺の横に立つ。

 

「行こう、翡翠。」

 

「ああ。」

 

星穹列車は加速し、俺たちを最後の戦いへと運んでいく。

 

目指すは星の核……決戦の地。

 

俺たちは運命を背負い、最後の戦いに挑むのだった。





更新、遅らせててすみません。

もうすぐ最終回です。
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