〜三人称視点.
アクセルは荒い息をつきながらも、超高温のヒートブレードを振り上げた。その刃は赤熱し、周囲の空気を歪ませている。
「くそっ…!あの動きを見切らないと勝ち目がない!」
ホタルは素早く周囲を観察し、戦況を分析する。
「デクターの攻撃は驚異的な速度ですが、動きには一定のパターンがあるみたい…!」
翡翠もすかさず反応する。
「つまり、動きを予測できれば対処できるってことか?」
デクターは嘲笑を浮かべながら腕を組んだ。
「ほう?面白い考察ですね。しかし、それが分かったところで対応できるのでしょうか?」
その言葉が終わるか否かのうちに、デクターは地面を蹴り、一瞬でアクセルの懐に飛び込んだ。その鋭い拳が彼の顔面を捉えかける。しかし、その瞬間、なのかが素早く介入し、刃の一閃でデクターの拳をわずかに逸らした。
「翡翠、今だよ!」
「了解!」
翡翠は即座にデクターの背後へと回り込み、エネルギーを込めた蹴りを放つ。デクターはその攻撃を腕で受け止めるが、その瞬間生じた隙を突いてアクセルがヒートブレードを全力で振り下ろした。
「これで決める!!」
ヒートブレードが唸りを上げ、閃光と共に振り下ろされる。しかし、次の瞬間——
衝撃音とともに、デクターの腕がそれを受け止めていた。
「なっ…!?」
アクセルの瞳が驚愕に見開かれる。
「悪くはありませんが…まだまだですね。」
そう言うや否や、デクターは光弾を乱射。アクセルは避けきれず、衝撃に飲み込まれ、その場に倒れ伏した。
「アクセル…よくも…!」
ゼーレは怒りに燃えながら、刀を装備したユニットを展開し、一気にデクターへと突撃した。
彼の抜刀と帯刀を駆使した連撃が、疾風のごとくデクターへと襲いかかる。
デクターはその攻撃を冷静に捌こうとするが、ゼーレの猛攻は尋常ではなかった。鋭い斬撃が次々と繰り出され、防御に専念せざるを得なくなる。
「ほう…なかなかの腕前ですね。しかし!」
デクターは一瞬の隙を突き、ゼーレの刃を受け流すと、カウンターの一撃を放つ。しかし、それを読んでいたゼーレは即座に身を翻し、攻撃を回避。そのまま刃にエネルギーを込め、さらに鋭い一撃を叩き込んだ。
「このまま押し切ってやる!」
ゼーレの意気込みとは裏腹に、デクターは余裕の笑みを浮かべる。そして、彼の身体が突如としてぼやけ、次の瞬間にはゼーレの背後に回り込んでいた。
「残念ですが、甘いですね。」
デクターの拳が炸裂し、ゼーレは吹き飛ばされた。
「くっ…」
ゼーレは立ち上がろうとするが、全身に走る激痛に耐えきれず、膝をついてしまった。
「ゼーレ!アクセル!」
翡翠は必死に声をかけるが、目前のデクターの攻撃をかわすことで精一杯だった。デクターの圧倒的な速さと力に、少しでも気を逸らせば即座にやられてしまう。
「くっ…御影さえいれば…!」
だが、その願いも虚しく、現状を打開する術は見当たらない。
デクターは余裕の笑みを浮かべ、静かに言った。
「ふっ…ディペクトは足止めとしてよく機能していますね。さて、持ちこたえられますか?」
…………………………………
「どうした、その程度か!」
戦場に鋭い金属音が響き渡る。御影は歯を食いしばりながら、防戦一方の状況に追い込まれていた。ディペクトが操るヒートソードとシザークロー、さらに両脚に装備されたビームサーベルが、寸分の隙もなく襲いかかる。
「チッ…厄介な…!」
ディペクトの攻撃は、単なる猛攻ではなかった。緻密に計算された軌道を描きながら、御影の防御を確実に削ぎ落としていく。守勢に徹するほど体力は消耗し、状況は悪化するばかりだった。
「ええいっ!」
御影は決死の覚悟で防御を捨て、一気に間合いを詰める。刹那、両者の剣撃と蹴撃が激しく交錯し、圧倒的な衝撃波が周囲に炸裂した。しかし、その動きの端々に、御影の疲弊が色濃く表れていた。
「その程度か。『宵闇の律者』とは、名ばかりの存在だな。」
「へっ…言ってろよ。いつもは後方に引きこもってたくせに…!」
御影はカオススピアを発射し、距離を取る。だが、ディペクトは冷静にシールドを展開し、そのエネルギー攻撃を完全に無効化した。
「厄介な盾なんか使いやがって…!」
次の瞬間、ディペクトのシザークローが閃く。御影は即座にカオススピアを地面に突き立て、その反動を利用して跳躍。間一髪で直撃を回避すると、戦局を覆すための策が脳裏に閃いた。
「…やるしかねぇな!」
依然として不利な状況。しかし、御影の瞳には未だに闘志の炎が燃えていた。
彼はディアーナユニットを分離し、その上に飛び乗る。
「これならどうだ!」
ユニットの推進機構を最大出力に設定し、御影はディペクトへと高速で突撃する。
「単純な戦術だな。」
ディペクトは焦ることなく、静かに居合の構えを取る。その刃が閃き、御影の脚部を正確に狙い両断しようとする。
しかし——
瞬間、御影は急激に跳躍し、刀を振り抜いた。その鋭い刃は、ディペクトの胸部を深々と切り裂いていた。
「なに!?」
ディペクトの目が驚愕に見開かれる。
「へっ…読み通りぜ。」
御影は不敵な笑みを浮かべながら、次なる攻撃の準備に入る。
「貴様は確かに強い。しかし、所詮は私の敵ではない。」
「勝利こそが、この戦場の絶対的な摂理。その摂理に従えば、貴様は敗者に過ぎない。」
ディペクトの言葉に、御影は鼻で笑った。
「ふっ…勝つだけじゃ学べないこともあるんだよ。」
「ほざくがいい!」
ディペクトは再びヒートソードとシザークローを構え、御影に襲いかかる。
その瞬間——
「御影ーッ!」
星がレールガンを発射。超高速の弾丸がディペクトの装甲に直撃する。
「何…!?」
「ッ…!」
その僅かな隙を突き、御影はエネルギー剣を抜刀。寸分の狂いもなく、ディペクトの右腕を斬り落とした。
「馬鹿なっ!?」
さらに追撃として、グランド・ライフルが放たれ、その砲撃がディペクトの背部に命中する。ディペクトは地面に倒れ込んだ。
「ナイス、星!」
御影はサムズアップを送り、星は笑顔でピースサインを返した。
しかし、ディペクトは怒りを露わにし、ビームサーベルを手に御影へと猛然と突進する。
「卑怯者めがぁぁぁぁぁぁ!!」
御影も二刀流の構えを取り、激しい斬撃の乱舞が戦場に響く。
両者の攻撃は互角のように見えたが——
ディペクトの一閃が、御影の右腕を斬り落とす。
「やはり、私のほうが上だッ!」
しかし、御影は動じることなく、静かに深呼吸した。
「…強さは力じゃない。」
次の瞬間、御影の装甲が展開し、紫色のエネルギーが奔流となって彼の体を包み込む。
「生きる意志だッ!!」
ディアーナユニットの先端部が展開され、巨大なビーム刃が形成される。
その一閃が、ディペクトを右肩から両断する。
「私が…負ける…!?」
ディペクトの声が震え、身体が爆散する。
「何…ディペクトの反応が消えた…?」
デクターは驚き、思わず声を上げた。目の前には、先ほどまで激しく戦っていたディペクトが、完全に沈黙していた。
「どうやら…御影が決着をつけたようだな。」
翡翠が静かに言った。その直後、御影と星が戦いを終えて戻ってきた。
「なるほど…これは驚きましたね。どうやら私は、あなたたちの力を甘く見ていたようです。」
相手は冷静な口調だったが、警戒しているのがわかった。
「ですが、それでも私に勝てるとお思いですか?」
デクターは一瞬で姿を消し、気づいたときには御影と星の背後に立っていた。
「なっ…!」「速い…!」
次の瞬間、デクターの攻撃が炸裂し、御影と星が吹き飛ばされた。
「ぐっ…!」
「星!…一撃で…?」
ホタルは驚きながらもすぐに双剣を構え、デクターに向かって駆け出した。
「ホタル、単独で突っ込むのは貴女の癖です。」
ホタルの剣が光る。しかし、デクターは瞬時に移動し、猛然と連続攻撃を仕掛けてきた。
ホタルは防御しようとするが、圧倒的なスピードと力に押され、徐々に追い詰められていく。
「まだ終わりじゃないッ!」
彼女は全力で剣を振るい、デクターの胸に突き刺した。
「くっ…やるな…!」
デクターは怒りを込め、ホタルの腹部に強烈な攻撃を叩き込んだ。
ホタルは血を吐きながら地面に転がった。
「「ホタルッ!!」」
翡翠となのかが駆け寄ろうとするが、デクターが行く手を阻んだ。
その間にゼーレがホタルに駆け寄り、必死に呼びかけた。
「ホタル!大丈夫!?しっかりして!」
「うっ…まだ、戦える…」
だが、ホタルの体は限界に近づいていた。
翡翠は決意したように言った。
「ホタル…ゼーレ…みんなを連れて、ここから脱出してくれ。」
「えっ……?」
ホタルは戸惑いながら周りを見た。
アクセルや御影たちはまだ立っていたが、満身創痍で動くのもやっとの様子だった。
「……わかった。でも…絶対に死なないで。」
ホタルはそう言い、御影たちを連れてその場を後にした。
「…自分を犠牲にするつもりですか?それは感心しませんね。」
「犠牲になる気はない。お前を倒すまではなッ!」
翡翠は戦闘態勢に入り、拳を握りしめた。
なのかも武器を構え、弓を引き絞る。
翡翠の拳が、ヒビの入ったデクターの装甲に叩き込まれた。
亀裂は徐々に広がり、ついに装甲が砕け散った。
「なに…この装甲を破るだと…!」
「よし…これで攻撃が通る!」
翡翠は素早く背部のディスラプターを展開し、デクターに狙いを定めた。同時に、なのかもチャージを終え、弓を構える。放たれた矢は瞬時に分裂し、四方八方からデクターを狙った。
「食らえッ!!」
極細の高エネルギービームがディスラプターから放たれる。
デクターは即座にバリアを展開し、ビームの直撃を防いだ。だが、バリアは次第に熱量に耐えきれなくなり、ついに焼き切れ、片方の角が蒸発した。
「くっ…仕留めきれなかったか!」
「甘いですね。隙の大きい攻撃は命取りですよ。」
デクターの触手が一斉にうねり、二人へと襲いかかる。
翡翠は即座に回避を試みるが、触手が背部の翼に絡みつき、そのまま強引に引き裂いた。なのかの翼も同様に絡め取られ、無残にも引きちぎられる。
「あっ…!」
「ディスラプターが…!」
「これで、もう空は飛べませんね。」
「だが、まだ終わりじゃない!」
翡翠は即座に地を蹴り、レールガンを撃ちながらデクターへと肉薄する。双剣を構え、一撃必殺の斬撃を振り下ろした。
なのかもすかさず弓を引き絞り、目にも留まらぬ速さで矢を連射する。
デクターは触手と腕を駆使し、嵐のような攻撃を巧みに捌きながら防御態勢を崩さなかった。
「オラッ!」
「やぁっ!」
「無駄だ!」
デクターの触手が鋭くうねり、翡翠の双剣を寸断した。その衝撃で彼女の体勢が崩れる。その隙を突くように、なのかの弓と蛇腹剣も絡め取られ、彼女は無力化されてしまった。
「ふっ…これで終わりです。この世界は滅び、新たな秩序が生まれるのです…!」
デクターの冷たい声が響く。
しかし、翡翠の目は決して諦めてはいなかった。
「まだだ…まだ終わってない!」
なのかも、拳を固く握りしめながら叫ぶ。
「ウチらは絶対に負けない!必ず帰るんだから!」
その言葉とともに、なのかは氷を生成し、勢いよく蹴り飛ばす。氷塊は鋭い槍のように回転しながらデクターに向かっていった。
翡翠も瞬時に雷撃を全身に纏い、拳を固めて疾走する。
「決める…!」
電撃を帯びた拳が大気を裂き、デクターに迫る。
「くっ!」
デクターは即座に剣を生み出し、雷撃を防ごうとする。しかし、翡翠は体をひねりながらかかと落としを放ち、その剣を粉砕した。
デクターはすかさず光弾を撃つが、翡翠は布都御魂を引き抜き、一閃で光弾を打ち砕くとともに、デクターの右腕のユニットを破壊した。爆発が起こると同時に、デクターは右腕を触手へと変形させ、翡翠に襲いかかる。
しかし、なのかが即座にスラッシュハーケンを発射し、触手を両断する。
「今だ!」
翡翠も腰部のスラッシュハーケンを放ち、それをデクターの胸部へと突き刺した。
デクターは苦悶の表情を浮かべながら後退する。
「ぐっ…これは…想定外だ…」
翡翠となのかは息を整えながら構えを解かない。
「臨界点が近い……っ」
「はぁ……はぁ……!」
翡翠は血を吐きながらも、なんとか立ち続けていた。なのかも酸素欠乏の極限状態にありながら、必死に意識を保ち、戦況を見極めようとしていた。
対峙するデクターも、もはや無傷ではいられなかった。
その装甲には深く亀裂が入り、かつての堅牢さは失われつつあった。右腕の関節部からは、機械油とも生体組織由来の体液ともつかない黒い液体が漏れ、地面に滴り落ちている。
翡翠はなのかの肩に触れる。
「……なのか……」
「……?」
「この一撃で決める……!」
「……うん!」
二人の視線が交錯する。なのかは次元転移を利用し、フレスベルグを召喚。その鋭利な刃先をデクターへと向ける。
「フッ……愉快ですね。そろそろ幕引きといきましょうか。翡翠、三月なのか!」
デクターは全身から高エネルギー波を放ち、戦場の空気そのものを震わせた。
翡翠は布都御魂を投擲。刃は一直線に飛び、デクターの胸部装甲を貫通する。
デクターは即座に左腕から光弾を発射。しかし、なのかはフレスベルグを構え、刃を走らせることで光弾を切り裂いた。
「いっけぇ!」
なのかはフレスベルグを翡翠の布都御魂へと叩き込む。その刃はさらなる貫通力を得て、デクターのコアへと達した。
「ぐぅっ……!」
デクターは苦しげな声を上げながらも、最後の力を振り絞り翡翠の足を殴りつける。その直後、触手が伸び、翡翠の腹部を貫いた。
「翡翠ッ!」
「構うな行けぇ!」
なのかは即座にフレスベルグを蹴り飛ばし、両腕と背部のスラッシュハーケンを発射。
「まだだ!」
翡翠はトリガーを引いてレールガンの連射音が響く。左腰のハーケンがデクターの胸部に突き刺さり、左腕のハーケンがその単眼モノクルを破壊する。
しかし、それでもデクターは止まらなかった。なのかに向かって触手を伸ばし、彼女の胸部と腹部を貫いた。
「……そん…な…届かなか………ったの……?」
なのかはそう呟き、意識を失う。
「くそっ……!」
翡翠の視界が揺らぎ、意識が遠のいていく。
「ば……馬鹿な……」
なのかのスラッシュハーケンは、デクターのコアと中枢神経部分に正確に突き刺さった。
その身体から火花が散り、制御を失ったデクターは爆発しそうなった。
足場が崩壊していき、翡翠となのかは宇宙に投げ出された。
「……ククク……まさか、この私が敗れるとは……想定外……!」
デクターは崩壊していく自らの身体を見つめながら、翡翠となのかに手を伸ばした。
「人間の底力……確かに計算を超えたものがあるようですね……」
機械的な声に混じる微かな感情。その瞳はすでに光を失いつつあった。
「なるほど……これが……彼らの未来ですか……」
「……ならば……若者たちよ……」
「この世界の……終焉と……新たな希望を……託しましょう……」
その言葉とともに、デクターの身体は眩い光に包まれ、ついに完全な崩壊を迎えた。
爆発の衝撃波が宇宙空間を駆け抜け、無数の光の粒が四方へと散っていく。
…………………………………
〜翡翠視点.
「………」
目を開けると、そこは見慣れない空間だった。隣にはなのかが横たわっている。
「ここは…?」
『目が覚めた?』
突然、声が響いた。
声の方向を向くと、律者のコアが人の形を形成していく。その姿は、かつて出会い、以来ずっと姿を見せなかった少女のものだった。
「キアナ…?」
『久しぶり、翡翠。驚かせちゃったね。こんな風に直接語りかけることになってしまって。』
「構わないさ。でも、どうして俺の中に?」
キアナは穏やかに微笑み、説明を始めた。
『最初に君を見たとき、私たちと同じ律者の気配を感じたの。だから、私の力の一部をあなたに託したんだ。』
「そうだったのか…律者になったとき、何か違和感があったのは、お前の存在だったんだな。」
俺たちが話していると、隣でなのかがゆっくりと目を覚ます。
「…なの…」
『彼女は?』
「三月なのか…俺の大切な人だ。」
『そっかぁ!私はキアナ、よろしくね、三月ちゃん。』
「え、ええ…よろしく…?」
なのかは少し戸惑った様子で頷いた。
『……翡翠。星の核が異常な脈動を始めている。このままでは、核が暴走して世界を崩壊させる可能性があるかも。』
「デクターの奴…最後の策を仕込んでいたのか。」
「…それを止める方法はあるの…?」
なのかの不安そうな声に、俺は彼女の手をぎゅっと握りしめながら、キアナの言葉を待った。
『三月ちゃん、人の律者コアの力を使って、この世界のすべての人々に呼びかけて。そして、彼らの祈りの力を結集させるの。』
「ウチがエリシアから受け継いだ力
なのかはそっと胸に手を当て、自身の鼓動を確かめた。
『その力を星の核に向けて放って。そうすれば、崩壊を止めることができるはず。』
「……分かった。やってみる!」
「…キアナ…助言してくれてありがとう。」
『ううん。翡翠のその姿を見ていたら、ある人を思い出してしまったの。』
次第に、キアナの体が光の粒子となり、消え始める。
「あっ…」
『……そろそろ時間みたい。短い間だったけど、話せてよかった。ありがとう。』
「ああ…元気でな。」
『うん…バイバイ…』
そう言い残し、キアナは静かに消えていった。
‥………………………………
「……なのか、行こう。」
「…うん!」
俺たちは深く息を吸い込み、声を張り上げた。
「この世界に生きるすべての人々へ!俺は、この世界を守りたい!」
「何かを得るために、別の何かを犠牲にする…そんな理不尽な選択を終わらせたい!」
「だから…」
「力を貸してくれ!!」「力を貸して!!」
………………………………
「…?」
翡翠と三月の声が聞こえ、温かな気配を感じた。
空を見上げると、そこには巨大な光が輝いていた。
「…がんばれ…」
私は静かにそう呟いた。
………………………………
「……太卜様…今のは…」
「ええ…翡翠と…なのかの声…」
空を見上げると、一筋の光が流れていた。
「…あの二人、また大きなことを成し遂げようとしているのかしら…?」
………………………………
「…ん?」
仕事の最中、不意にどこからか声が響いた。
周囲を見回すと、部下や取引相手たちも同じ声を聞いていたようだ。
「…もしかして、翡翠となのかちゃんの声…?」
………………………………
「………あっ…」
実験中に、声が聞こえた。
どこからだろうと思い、周囲を見渡すが、誰もいない。
窓の外に目を向けると、一筋の光が走っていた。
「…翡翠…ですね。」
無意識に微笑んでいた。こんな気持ちになったのは、これが初めてだった。
………………………………
光が少しずつ集まり、やがて一本の虹色の剣を形作った。
俺たちは手を取り合い、核の中心部へと向かう。
二人で剣を握り、核へと差し込んでいく。
まばゆい光が一層強くなり、核の鼓動が静まっていく。そして、新たな光が周囲を照らし始めた……
光に包まれる刹那、私はそっとなのかの手を握った。
彼女の瞳には涙が滲んでいたが、その表情には確かな笑みが浮かんでいた。
指先から伝わる温もりは、長き旅路の果てに辿り着いた証のようであり、俺たちは互いの存在を確かめ合うかのように、その感触を受け止めた。
静寂が広がる中、やさしい両手で触れ合う。
やがて彼女は微かに頷き、穏やかな微笑みを浮かべると、静かにその唇を重ねた………
「……ここは…」
御影たちは核の光に包まれ、気がつくと未知の惑星に立っていた。
そこは荘厳な自然に満ち、無数の青、ピンク、白の薔薇が一面に咲き誇る、美しい場所だった。
「…美しい場所だな…」
「うん。すっごく…綺麗…」
アクセルと星は微笑みながらそう語った。
「…翡翠と三月は?」
ゼーレがそう呟くと、御影たちは周囲を見回した。しかし、二人の姿はどこにも見当たらない。
「心配いらないよ。あの二人なら、きっと大丈夫。」
ホタルは穏やかに微笑みながら言い、御影もそれに頷いた。
「………あ!見て!」
星が空を指さすと、天空から光の球体が降下してくる。
五人がその光に近づくと、球体は静かに消え去り、その中から翡翠となのかが姿を現した。
ゆっくりと目を開く二人。翡翠はなのかを優しく降ろし、五人の仲間と再会を果たした。
星とホタルは、なのかに抱きつく。
「おかえり…」
「うん…ただいま。」
翡翠が空を見上げると、無数の光の粒子が夜空を覆い尽くし、まるでこの瞬間を祝福するかのように輝いていた。
「行こう!」
翡翠は力強くそう言い、歩を進めた。