【本編完結】開拓者のとある物語   作:サツキタロオ

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episode.FINAL:朝への旅立ち

 

〜翡翠視点.

 

「………」

「翡翠。どうしたの、そんなボーッとして。」

「…ん、なんでもねぇよ。」

星に話しかけられ、そっけなく返す俺。

最近、空を見上げる事が多くなった。

「そういえば翡翠。これ。」

「なんだこれ?」

「今日ね、私達が列車に来て1年経過した記念パーティ!ブローニャや符玄達も呼んでパーティしようって計画!」

「へえ、みんな呼ぶのか。凄いな。」

「翡翠にはみんなを呼んできて欲しいんだよね。頼めない?」

「……………」

「翡翠?」

「…ああ、分かった。任せとけ。」

俺はそう言って、ベロブルグへと飛び立った。

 

………

 

ベロブルグに着くと、真っ先に下層部に向かう。

アクセルとゼーレを呼ぶためだ。アイツらはデクターとの戦いの後にヤリーロⅥに戻っていた。

 

下層部に向かうと、ブローニャとトパーズも話し合っているのが見えた。

「よう、みんな!」

「翡翠!久しぶりだな!」

アクセルと腕を組んで挨拶する。

「久しぶり翡翠。今日はどうしてベロブルグに?」

「ああ、実は…」

俺が記念パーティの事を話すと真っ先に賛同してくれたのはトパーズだった。

「おお、いいじゃん記念パーティ!私そう言うの大好きなんだ。みんなはどう?」

「いいんじゃねぇか。最近仕事も落ち着いてきたし。ゼーレとブローニャは?」

「私は全然いいと思うわ。すぐ行くわよアクセル。」

「わ、分かったよ…」

ゼーレはそう言ってアクセルの背中をバンバン叩いた。

ここいらでだいぶ尻に敷かれるようになってるな。

「ブローニャさん。早速行きましょ!最近休めてないし休暇もついでで!」

「と、トパーズさん…翡翠、先行ってるわね。」

そう言って四人はその場から立ち去っていった。

 

「よし、次は羅浮だな。」

そう言って羅浮に向かう。

 

………

 

羅浮に着くと、最初に大卜司に向かった。

向かうと、荷物をまとめている符玄が居た。

「よ、符玄。何してるんだ?」

「あら翡翠、久しぶりね。実は景元将軍から「働き過ぎだから休め」と言われて一週間の休みを貰ったの。」

「ええ!?あの将軍が?あの人もそう言う事言うんだな…」

「……全く…翡翠は将軍をどう思ってるわけよ……そういえば、なんの様だったの?」

「ん?ああ、実は星穹列車で記念パーティを開く予定なんだ。符玄もどうかなって。」

俺がそう言うと符玄はすぐに頷いた。

「ええ、いいわよ。折角の休暇だもの。あ、朱雀と青雀も誘っておくわ。」

「ありがと。」

「……そういえば翡翠。何か考え事してる?」

「………」

符玄は俺の考えている事を見抜いてきた。

「翡翠の顔がいつもと違って少し暗かったの。何か悩んでる?」

「………折角だし、話しておくよ。」

俺は近くのチリドッグ屋でチリドッグを買い、話し始めた。

 

「戦いが終わって、漸く列車も開拓の旅が長く出来そうになったんだ。」

「良かったじゃない。何か問題でも?」

「……いや、そうじゃないんだ。最近になって、少し考えてるんだ。」

「俺が列車に来る以前、俺は色んな所を旅してきた。そして、列車に来てからも長い旅をした。」

「そうしてるうちに律者の力に目覚めて、思いついた事があるんだ。」

チリドッグを食べ終え、符玄の隣に座る俺。

「デクターを倒したとはいえ、まだ世界は混沌としている。そこで困っている人もいると思う。だから、この力を誰かの為に使いたいと思ってるんだ。」

「……翡翠らしいわね。でも、いいと思う。」

「そうかな。」

「ええ、そういえば、記念パーティね。朱雀と青雀も行くって。」

「本当か!?そりゃいいな。きっと更に盛り上がる。」

俺がそう言うと符玄はクスリと笑った。

 

 

………

 

 

「翡翠。」

「ん?」

俺がオンパロスを歩いていると、なのかと会った。

そういえば1日だけ泊まるとか言ってたな。

「そういえば星から聞いたか記念パーティの事。」

「何それ?」

「俺や御影達が来て丁度1年経ったから、星穹列車にみんなを呼んで記念パーティだよ。」

「え?!何それ!面白そう!すぐ列車に戻って準備しよ!」

「ま、待て待て。まだルアンを誘いに行かないと。」

俺がそう言うとなのかは少しムスッとした顔で「はーい…」と言った。

 

そうして二人で宇宙ステーションに向かい、ルアンに話しかける。

「…記念パーティ…ですか?」

「ああ。ルアンも来ないか?」

「………はい。丁度予定が空いているので、いいですよ。」

「よっしゃ、準備は列車に来てからな。」

「はい。了解しました。」

 

 

………

〜三人称視点.

 

 

 

 

 

そうして数時間後、無事に準備を終え、御影がマイクを持って前に立った。

 

「……ん…んん…今日は俺、星、翡翠が列車に来て1年おめでとう記念パーティに来てくれて、ありがとう!今日は思う存分に楽しんでくれよ!」

「乾杯!」

 

「乾杯!」

そうして、パーティは開催された。

 

「…ここのカクテル美味しいわね…」

「自信作ですから。」

 

「青雀さん青雀さん!ここのお肉美味しいですよ!」

「もう…口元汚れてるよ。」

 

「にしてももう一年経つのね…」

「年は早いな…」

 

「むぐっ…水…」

「ト、トパーズさん…大丈夫?」

 

……アクセルは辺りを見回すと、星と御影の姿が見当たらなかった。

「おいゼーレ。御影達見なかったか?」

「見てないけど。」

 

「ねえ、アレ!」

ホタルの声で指を刺した方向を見ると、ドレス姿の星とタキシード姿の御影が居た。

その場がざわざわとし、御影達は少し赤面した。

 

「せ、星…やっぱり恥ずかしいって…少しムズムズするし…」

「いいのいいの!御影似合ってるし!」

「似合ってるな。御影には似合わないがな。」

「…随分と可愛いわね。どこで作ったの?」

「ホタルが千織屋で頼んで作って貰ったんだ。可愛いでしょ?」

星が一回転すると、御影は二ヘラと笑う。

「………そういえば翡翠は?」

ホタルがそう言うと一同は辺りを見回した。

「そういえば見てないな。」

「はあ、アイツ。こんな時にトイレか?」

「にしては長い気がするするけど…」

 

すると、なのかがジュースを飲んで近寄ってきた。

「…ねえみんな。ちょっとこっちで話さない?」

 

そうして、なのか達は窓側に来て話し始めた。

 

「翡翠の奴。相変わらずいい加減な奴だな。」

アクセルは頭を書いてそう話す。

「でも、嫌いじゃないぜ。俺は。」

御影はアクセルの方を向いてそう言いジュースを飲み干す。

「そうね、この旅で一番変わったのはアイツなんじゃないかしら。」

「…そうなの?」

「ええ。最初会った時は、だいぶ変な奴だなと思ってたわ。でも、今は全然そう思わない。」

「………そうだね。」

ホタルとゼーレは静かにそう頷く。

 

「…最初会った時から…そんな感じだったな。」

「神出鬼没で…いつも旋風みたいに、いつもウチらを吹き抜けていった。」

 

「……そんな彼に…ウチは………」

 

 

 

 

 

 

 

 

………………

〜翡翠視点.

 

 

みんながパーティを始めた頃だろうか、俺は旅に出る為の荷物を纏めていた。

財布、数冊の本に…メモ帳と筆箱、そのほかの生活用品と……なのかと一緒に選んで買ったお揃いのカメラを入れた。

 

 

「もう行くのか?」

後ろから声がして、振り返ると丹恒が居た。

「丹恒。なんだよ、ノックぐらいしろよな。」

「……行ってしまうのか。」

静かにそう言う丹恒に俺は頷く。

「ああ、俺の力を必要としてくれる奴がこの世界に居るかもしれない。」

「…それが終わるまで…また旅に出るよ。」

荷物を持って立ち上がる俺。

「……最後に別れを言うのが、丹恒か。」

「俺では不服か?」

「そうじゃないさ。俺達が戦ってる間も、丹恒はずっとこの列車を守ってくれたんだろ?」

丹恒の肩をポンポンと叩く。丹恒の表情は見えなかったが、少しだけ震えているのが分かった。

「…ここは、俺の思い出の場所で、初めて出来た家なんだ。」

「これからも、俺たちの家を守ってくれよ。丹恒。」

俺は静かにそう言い、部屋を後にした。

 

 

……………

 

列車から降り、外に出て列車の正面をしっかりと見つめる。

お辞儀をして、ゆっくりとその場を立ち去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう、随分歩いたな。」

暫く歩いた先には果てしなく続く荒野だった。

近くに丁度ベンチを発見し、ぐったりと座った。

「…こうして歩いたのも久しぶりだな。今どのぐらい時間経ったんだ?」

そう呟いていると。

 

「うおっ。」

突然視界が真っ暗になる。それと同時に声がした。

 

 

「だーれだ?」

 

聞き馴染みのある声だった。

後ろを振り返ると、そこにはなのかが少し怒った顔で立っていた。俺は思わずベンチから転げ落ちる。

 

「な、なんでここに居るだよ!?」

「翡翠がウチを放置してどっか行くからじゃない?」

「うっ…連れ戻しに来たのか?」

「そうじゃないよ!ウチも翡翠についてく!」

「ええ!?お前には列車があるだろ。」

「もー!そうじゃない!翡翠、これから世界を旅して困ってる人を救いに行くんでしょ?」

「……ああ。」

「翡翠に…翡翠一人だけにそんな重荷任せられない…だからウチも着いてく!二人なら、どんな事でも耐えられるよ!大丈夫!ウチだって律者だもん!」

「…なの…」

「それに…翡翠は…ウチの彼氏なんだもん。誰が何言ったって着いていくよ…」

なのかは照れくさそうにそう言った。

「だから、行こ!一緒に!」

「ああ!」

差し伸べられた手を握り、俺は立ち上がる。

すると、なのかが何かを思い出したらしく、懐から一枚の紙を手渡した。

 

「これ、みんなから!」

「……!…これは…」

 

 

 

 

 

『次会う時は覚悟しとけ!元気にしとけよ! 御影』

 

『私のこと忘れないでね! 星』

 

『GOOD LUCK! アクセル』

 

『頑張りなさいよ ゼーレ』

 

『またいつか会おうね。 ホタル』

 

『無事に帰って来るのよ。 姫子』

 

『君の好きなものを用意して待っているよ。 ヴェルト』

 

『武運を祈る 丹恒』

 

『翡翠、元気でな! パム』

 

そこには、列車のメンバーからのメッセージが紙に書かれていた。

「みんな、翡翠の事を考えてる事が分かったみたい。」

「…みんな……」

俺は思わず涙を浮かべる。

「みんな翡翠の事が大好きなんだよ。」

「……ああ、俺も大好きだ!」

涙を拭って、俺は紙を大事に袋の中にしまう。

 

「じゃあ、行くか!」

俺はなのかにそう言って、歩き始めた。

「これからどこに行くの?」

 

 

「そうだなぁ……」

風が吹いた。一陣の風が吹いて去ってゆく。

「風の吹くまま、気の向くままに!」

そう言って走り出す。

「俺はただ、走り続けるだけさ!」

そう言って走り出す。

「あ、待ってー!」

 

ただひたすらに。

 

真っ直ぐ、真っ直ぐに。

 

俺は走る。

 

 

 

 

 

 

 

真っ直ぐ、前を見つめて!

 

 

 

 











これまで、「開拓者のとある物語」を応援してくれた皆さん。ありがとうございました。
2023年12月31日から連載が始まり、1年と数ヶ月で完結しました。

これからも応援よろしくお願いします。












「…なのか。」
「ん?どうしたの翡翠?」
暫く道を歩いていると翡翠はなのかに話しかけ、翡翠の元に近づくなのか。
「これ。」
翡翠は台本らしき本とボイスレコーダーを手渡した。
「何これ?」
なのかは不思議そうな顔をしながらそれを受け取る。
「俺達の今までの冒険の記録を…83のエピソードに分けて纏めるんだ。」
「いつまで経っても忘れないように…な。」
それを聞いたなのかは笑顔でボイスレコーダーを受け取った。
「それなら、やる事は簡単だよね!」

なのかはボイスレコーダーの録音ボタンを押す。

「宇宙ステーション・ヘルタにて超絶美少女の三月なのかが滞在中に反物質レギオンと呼ばれる謎の敵が市民を脅かしていた!そこに現れたのが、ウチらがヒーロー、開拓者!」

「自分で超絶美少女とかヒーローとか痛いって、ただの記憶喪失だろ。」

「そんな彼はチリドッグ大好きで変態でスケベな翡翠さん!」

「俺は変態でもスケベでもねぇ!」

「そう言ってカンカンに怒る翡翠を心優しいウチが一緒に開拓の旅に連れて行く事に………」
























































「今までありがとうな。」
「それじゃあ……またね!」

To be continued…
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