【本編完結】開拓者のとある物語   作:サツキタロオ

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本編とはあまり関係無いショートストーリーです。


story.2:翡翠と御影

星空に満月を臨む、ビジネスとショッピングの街『トウキョウ』。メインストリート沿いのビルの屋上に、夜空を見上げる翡翠の姿があった。

 

今夜はここへ、仲間達と天体ショーを見に来たのだった。

早く来過ぎた翡翠が、暇潰しに街の喧噪を見下ろすと......裏の路地で何かと争う、紫の雷を纏う一人の少年の姿が目に入った。御影だ。

 

御影は翡翠と同じく開拓者であり、常に競い合うライバル的関係だった。今日の天体ショーには参加する予定は無かったが、何故ここにいるのか?と不審に思った翡翠は御影の元に降り立つ。

 

そこには黒い服を着て銃を持っていた男達が倒れている姿があった。

お前がやったのか、というニュアンスを込めて翡翠が尋ねる事にした。

 

「よ、天体ショーに行かずに、楽しそうな事してるな。」

「ん?うわっ!翡翠!」

 

驚くように答えると御影は一瞬で闇に消えた…が、それに立ち遅れる翡翠では無く。巨大な街の中を縫って、高速同士の追跡劇が始まった。

 

二人はお互い見合って、走り合っていく。

トンネル内に入り、お互い格闘技を繰り出して拳や足が交差していく。恐ろしい速度で繰り広げられ、御影のかかと落としが衝撃波を起こす程の威力を放つが、翡翠は軽々と回避して連続蹴りを繰り出した。

 

(やるな…)

(腕を上げてるな…)

 

一瞬の硬直の後、飛びのいて距離を取ると、御影がイライラしながら口を開きます。

 

「あんまり付き纏うな!」

「仲間が何かしてたら気になるもんだろ?」

「そういうの、嫌われるぜ?」

「お互い様だ!」

 

二人はトンネルを出て、巨大な銀行の近くまでやってきた。

そこに辿り着くと、御影は裏口に向かって走って行った。

翡翠も追いかけるように裏口に入る。

 

「ここだな。間違いない。」

 

奥に進む御影は警備兵を倒していきながら、中央の金庫室の前に来た。

しかし、そこにはカードをヒラヒラさせてニヤニヤしている翡翠がいた。

 

正義感が強い御影がこんな事をしないと翡翠は知っていたので、何か尋常でないことが起こっていると翡翠は考えた。

 

「…なんだ、そんなに気になるのか?」

「ああ、仲間が銀行強盗みたいな事してるんだ。こんな面白い事は星に報告しずらいだろ。」

「ウッ…分かったよ。」

 

不機嫌そうな短い溜息をついて顔を上げると、御影は事の次第を語りだした。

 

「ここは銀行…に見えるけど。実態はテロの兵器研究所だ。アベンチュリンから頼まれてな。偽装とはいえ街中で兵器開発とか、あり得ないしな。」

 

御影が来たのは…アベンチュリン…スターピースカンパニーの高級幹部からの依頼だそうだ。

 

「この金庫室の中に時限爆弾がある。急いで止めたいんだが…」

 

翡翠は半信半疑ながらも御影の表情を見て、信じる事にした。

 

「おっけ。信じるぜ。さっさと天体ショー見たいからな。」

 

翡翠はそう言ってカードキーで金庫室の扉を開ける。

そこには00:59とタイマーに書かれた爆弾が置いてあった。

それと同時に施設全体に響き渡る緊急サイレン。周囲は騒然となった。翡翠はすぐさま爆弾を手に持ち、急いで海に向かって走り始めた。

御影も追いかけるように走り出す。

二人はなんとか海岸に辿り着いた。既に爆発まで残り5秒を切っていた。

 

「おらっ!」

 

翡翠はそのまま爆弾を投擲した。爆弾は海の中にドボンと入って行った。

そして急いで近くの塀に登り、その上に立つ。

二人は普通に海岸に辿り着いて爆弾の行方を見ていた。

 

そして、海の中で大きな爆発が起きた。

二人は見合って、ハイタッチして笑い合った。

 

「終わったな。」

「ああ、アベンチュリンももうすぐ来るそうだし、急いでズラかるか。」

 

翡翠も頷き、スマホを見て時間を確認する。

時間は20:19。天体ショーまで残り11分だった。

 

「御影。天体ショーを見に行かないか?あと11分なんだ。」

 

御影もスマホを確認して時間を確認した。

御影は表情を変えずにそのまま何か考えていた。

参加する気無いのか?…と翡翠は頭で考えていた。

 

次に御影は口を開いた。

 

「何処でやるんだ?」

「へ?」

 

間抜けな声が翡翠から漏れてくる。御影は続けて言った。

 

「だから、何処でやるのかって聞いているんだよ。」

 

予想外の答えに、翡翠はやれやれと頭をかいて答えた。

翡翠は懐からチケットを2枚取り出して、一枚を御影に手渡した。

 

「待ち合わせ場所がある。行くか?チケットは丁度7枚だ。」

「?参加しないって言ってたけど…?」

 

何故参加予定の無い自分用のチケットがあるのかと疑問に思った御影。

その疑問にニヤニヤした顔で翡翠は答えた。

 

「星の奴が、「翡翠、御影の予定を早く終わらせて連れてきて」って言ってたから。」

「…ふっ…そういう事ね…」

 

御影は何か察したようにニヤリとして、翡翠と仲良く海を見ながら歩き出した。

 

「早くみんなを見つけに行こう。急がないと折角のチケットが台無しだ。」

 

二人は最初からフルスロットルで走り始めるのだった……

 

星空に満月を臨む、ビジネスとショッピングの街『トウキョウ』。

この暖かい灯りがともる平和な街から、はじき出されるようにぽつりと離れていく2つの影があった。

 

それはあまりにも小さく、誰も気に留めなかったは無かったが、この街の喧噪を見下ろす「月」だけは、その影をいつまでもいつまでも、見守り続けているように見えた。

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