独占欲強めの星ちゃん
「御影。さっき話してた女誰。」
俺が部屋に帰って星に言われたセリフがこれだった。
「…いやいやいやいや…道案内されたから助けただけだよ。しかもなんでその事知ってんだよ。その時別行動だったろ。」
「御影のスマホにケロベロス*1インストールしておいたからね。」
「いつの間に!?てかパスワード知ってんのかよ!?」
「そんなことより、早く白状してよ。」
「だから知らねえって!」
俺は後ずさるが星に腕を掴まれる。
「じゃあ質問を変えるね。御影は私以外の女は必要?」
「huh?」
星はいつもの雰囲気と変わって真剣な目つきになっていた。
「はぁ?なんだいきなり!?」
「答えて御影。」
俺は星のいつもと違う感じに戸惑いながら答える。
こ、怖い…
「いや、必要か必要じゃないかと言われたら……いるだろ。」
「……私はいらないってこと?」
星はさらに俺に近づきながら聞いてくる。
「いや、そう言うことじゃなくてだな……」
「御影は私の事嫌いになったの?」
星は俺の正面に立ち両肩を掴んでくる。
俺はそんな星の勢いに押される。
「いや、だからなんでそうなる!?」
「だってそうでしょ!私以外の女はいらないって!」
「そんなこと言ってねえよ!」
なんでこいつはこんなに必死なんだ?
「御影は私以外の女はいらないんだよね。」
星は俺に抱きつきながら耳元で囁いてくる。
「だぁぁ!!一回落ち着け!餅つけ!……ったく、どうしたんだよいきなり。」
「……別になんでもないよ。ただ御影は私のことが好きって再確認しただけ。」
「そ、そうか……」
俺は星のいつもと違う様子に戸惑うばかりだった。
結局星は何がしたかったんだ? 俺はその事について考えるのをやめた。
……記憶を取り戻す前は…ゴミ箱を平気で漁ったり、蛮行や奇行をするのが日常茶飯事だった。
しかし、取り戻して暫くしてる間にこんなになってしまった。
過去の自分が見たら確実に精神科を勧めるのが見える見える。
「……ちょっと、御影。聞いてる?」
「は?……あぁ、悪い。」
「もう!聞いてなかったでしょ!」
星は少し頬を膨らませながら怒っていた。
……最近この表情をよく見るようになった気がするんだが……気のせいか?
「で、私以外に浮気してないよね。」
星は唐突に聞いてくる。
「はぁ?なわけないだろ。」
「私以外の女に手を出したら許さないから。」
星は俺の目を見てそう言う。
その目には確かな意思が宿っていた。
「……言われなくてもわかってるよ。」
俺がそう答えると星は満足そうな顔になる。
なんでこいつはこんなにも俺に執着するのだろうか……全くわからん。
「なんで御影にこんなに執着してるか…って考えてるよね?」
「!?」
星は俺の顔を見て図星をついてくる。
「だって御影の顔がそう語ってたからね。」
……星には嘘はつけないな……
俺は観念して白状する。
「あぁ、そうだよ。なんで俺なんかに執着するのか不思議で仕方ないんだ。」
俺がそういうと星は少し考える素振りを見せる。
そして口を開いて言った言葉がこれだった。
「……御影の事が好きだからだよ?」
「お前なぁ……」
俺は呆れながら言うが星は笑う。
「嘘じゃないよ。私は本当に御影の事が好きだよ。」
「……そうかよ……そういや、お前は親は心配しねえのか?」
俺は少し間を開けてそう聞いた。
「心配してくれる親はいないから大丈夫。」
星は表情を変えずに言う。
そんな星の姿を見て俺は胸が痛くなった。
「……なんか悪いな……」
俺がそういうと星は少し笑う。
「気にしないでいいよ。もう慣れたから……」
星はそう言いながら俺の胸に頭を預ける。
「あ、御影。ちょっと首見せて。」「?首?」
「うん。早く。」
星の言う通りに首を見せると。ほんのりとした痛みがはしった。
「いっ!!?」
「えへへ、これで浮気はできないよねっ。」
星はそう言って俺の首に噛み付いてできた傷を舐めている。
……あぁ、なるほどな。
「はいはい、悪かったよ。」
俺は苦笑しながら星の頭を優しく撫でてやる。
すると、星の機嫌がさらに良くなった気がした。
……星は俺が浮気しないために自分の印をつけたかったのか……
俺はそう考えながら星を撫で続けた。
「…今日は一緒に寝るか?」
「……!うん!」
俺がそう言うと星は嬉しそうに頷く。その様子はまるで小動物だった。
……俺は思った。星は怒ると怖いという事を…
星ちゃんが独占欲剥き出して束縛してきたら断れない。