みなさん願い事はありますか?
「今日は七夕か。」
「七夕?」
ヴェルトがそう呟くと、御影達はキョトンとする。
「ヨウおじちゃん、『たなばた』って何?」
「あ、聞いたことあるよ。一年に一度、織姫と彦星が天の川を渡って会えることだよね。」
「愛し合った二人が一年に一度しか会えない…なんかロマンチックだよね〜。」
なのかは目をキラキラさせてそう呟いた。
「そうかなぁ、元々七夕の物語の発端は織姫と彦星が愛し合い過ぎたせいで仕事辞めちゃったから神が怒って天の川を作ったんだぜ。」
「へー…」
「でも、神がそんな二人に「しっかりしたら年に一度会わせてやる」って言ったから、七夕ができたって訳。」
翡翠は本を読みながらそう話した。
「翡翠は博識だな。」
「…本読んだだけで、詳しい事は分かんないよ。」
アクセルは興味津々だった。
「なあヴェルトさん。それで、その七夕ってのはどうするんだ?美味い飯でも食べるのか?」
「…いや、この笹の葉に短冊と呼ばれる紙を飾るんだ。」
ヴェルトは向こうにある笹の葉に指を向けた。
「でも、短冊多くない?」
「ちょっと余ってな。」
「折角だ。他の奴に渡して、飾らせるか。」
そうして翡翠、なのか、ホタルの三人は最初にベロブルグに向かった。
「ここがベロブルグなんだ…」
「星核ハンターの時に来た事なかったの?」
「その時、アタシ留守番だったから。」
そして三人はブローニャの元に向かおうとする。
「止まれ!何者だ!?」
若いシルバーメインが翡翠達を止める。
「俺らはブローニャに会いに来たんだが…」
「何!?大守護者様の友人だと!?」
青年はそう言って警戒するが、ジェパードが近づいてきた。
「待つんだ。彼らは大守護者様のご友人だ。通してやってくれ。」
「ジェパードさん…しかし…」
「それに、彼らはこのベロブルグの危機を救ってくれた開拓者でもある。」
「………!…さ、先程はすみませんでした。」
そう言って青年はその場を後にした。
「ありがとなジェパード。」
「気にしないでくれ。それにしても、なんの用だい?」
……かくかくしかじか…
「なるほど…他の星ではそんな文化があるのか。」
「面白そうだな。是非大守護者の元を訪ねてくれ。君が来たら、あの方も嬉しいだろうからね。」
ジェパードの許可も貰い、翡翠達はブローニャの元に向かった。
「ブローニャー。」
「翡翠…!久しぶり!三月も…?そっちの人は?」
「アタシはホタル。新しく翡翠と同じ仲間だよ。」
「そっか…ところで翡翠。今日は何の用?」
翡翠は経緯を話した。
「七夕で短冊に願いを書いてほしい…なるほど…分かった。仕事でここを離れられないから、今書くからそのまま翡翠の手で飾ってくれないかな?」
「ああ、いいよ。」
ブローニャに短冊を渡して数秒後、書かれた短冊を受け取ってベロブルグを後にした。
…………
「短冊ね…」
「うん。今、短冊の余りの消化中なんだ。」
「ふーん…それを私にさせるって事ね。」
符玄にジト目で言われてー少し苦笑いする翡翠。
「ま、翡翠の頼みならいいわ。短冊を頂戴。」
短冊を渡された符玄はすぐに書いて翡翠に手渡した。
「悪いな。」
「別に?」
その場を後にして青雀達の元に会いに行く翡翠達。
「七夕っスか。」
「そういえばそういう季節だっけ。」
「折角だから、書いて欲しいなって。」
それを聞いた朱雀と青雀はお互い見合って笑う。
「じゃあ直接書きに行くっす。」
「うん!」
「そっか、分かった。」
そして、翡翠達は次にピノコニーに向かった。
「七夕…」
「花火、知らないのか?」
「うん。花火は愚者だからそういうのは詳しくないかなぁ…」
「ま、列車に行って教えるさ。ちょっと待ってろ。」
叢雨はカードセルラーを開いてロビン達に連絡し始めた。
「ロビン、今日の昼ぐらいにヒビキを連れて列車に来て欲しい。」
『了解しました。ヒビキにも伝えておきます。』
そしてすぐにセルラーを閉じて、ため息を吐く。
「よし、どうせなら一緒に行くか。」
「だな。」
そうして翡翠達は列車のラウンジにやってきた。
「何書くんだ?」
「…人に願いを教える時は、お前も教えて貰うからな。」
「じゃあいいや。」
そして他のメンバーも短冊に願いを書き終えて、数時間後には解散となった。
………………
「…みんなの願いってなんだろ。」
なのかはこっそりと笹の葉の元に向かう。
「ん、なのだけ抜け駆けはさせない。」
「星…アンタも見にきたの?」
「うん。」
「じゃ、一緒に見ちゃおうよ。」
『字がしっかりかけますように 星』
『もっと字を覚える 御影』
(あはは…そういえば二人は元軍人なんだっけ…)
「私ね、もっと字が書けるようになりたいんだ。今まで戦いのことぐらいしか学ばなかったから…」
「そっか。いっぱい書けるといいね。」
そして二人は次にゼーレとアクセルの短冊を確認する。
『ゼーレと仲良くなる アクセル』
『アクセルと素直に話せる様になる ゼーレ』
(二人も相変わらずだな…)
『世界の人々に自分の歌が届く様に ロビン』
『暴飲暴食やめる ヒビキ』
『悪しき魂全員駆逐 叢雨』
『叢雨ちゃんの前では素直になれます様に 花火』
『みんなが笑顔になれますように 朱雀』
『これ以上朱雀が戦わなくてもいい世界になりますように 青雀』
「ピノコニー組の話は詳しくは知らないけど、だいぶ大変なんだって。」
「へー…あ、符玄達のもあるよ。」
『翡翠と付き合いたい ブローニャ』
『翡翠と毎日確定申告したい 符玄』
『翡翠をカンパニーに引き込みたい トパーズ』
「………」
「なの、抑えて。」
『翡翠と付き合う! 三月なのか』
『翡翠といい関係になる ホタル』
『また仲間達と会いたい ヴェルト・ヨウ』
『美味しいコーヒーを作る 姫子』
「これは…」
「翡翠が姫子のコーヒーを不味いってみんなに言いふらしたんだっけ…」
そして二人は一通り短冊を見終わった。
「あーあ、翡翠の見つけらんなかったなぁ。」
なのかはため息を吐いて、その場を後にしようとした。
すると、星はある短冊を見て、少し微笑んだ。
「星?どしたの?」
「ううん。なんでも。」
星はなのかの背を押しながら、そこを後にした。
ひっそりと、葉に隠れて翡翠の短冊にはこう書かれてあった。
『いつもみんなと一緒に過ごせますように 翡翠』
ブン○○ジャー見て七夕だと思い出したので