「もうアクセル!ウチと翡翠のだよ!」
「ハハッ、悪い悪い。」
「間男はさておき、遂に下層部から出られるかな。」
「間男言うな!第十一話!オールグリーン!」
「ああ、言われた!」
「よい…しょっと…」
「ん?」
翡翠達が陣痛剤を探していると、何処からか声がした。
「聞こえたか?」
「ああ。行ってみよう。」
二人は走って声の後を追う。
「あった、ここだよ!ありがとう、パーキンス。」
「どういたしまして、クラーラ。」
「やっぱり聞こえたよな。」
「ああ。クラーラって言ってたな。」
そして二人は更に走り続けて広い空間に出た。
『警告、警告、脅威となり得る存在の接近…クラーラを守る。防衛モード、オン。』
ロボットが戦闘モードに入ろうとするところを謎の少女がそれを止めた。
「パーキンス、やめて!……あの人、会った事がある。悪い人じゃない…ですよね?」
「了解。脅威対象から除外します。防衛モード、オフ。」
それを聞いた二人は内心ホッとした。
「ここは危険だから、早く帰った方がいいですよ。お兄さん。」
「…それはこっちの台詞だ。女の子一人じゃ危ない。……いや、ロボットも一体居たか…」
「俺達は、怪我人の為に陣痛剤を探してたんだ。」
「あっ、クラーラも陣痛剤を探しに来たんです。流浪者のキャンプで怪我人が沢山出ています。採掘者の方々もですよね?皆さん、仲良く過ごせたらいいのに…」
「…はい。この薬をどうぞ。役に立てばいいのですが…」
翡翠はクラーラから薬を受け取る。
「そういえば、クラーラとスヴァローグってどう言う関係なんだ?」
「スヴァローグはクラーラの家族です。小さい頃にクラーラを引き取り、育ててくれて、家族になりました。」
「大鉱区でのことは、すみません。スヴァローグはクラーラ以外の人を信用していないんです。特に『地炎』の皆さんを。」
「言われてるぞ。」
「うっせぇ。…ならどうしてスヴァローグは攻撃してくるんだ?」
アクセルがそう言うとクラーラは首を横に振る。
「決して、人を傷つけたいからじゃありません。ただ、スヴァローグは自分の計算結果を信じただけなんです。人間との交渉を、彼は非効率だと思っているので…」
「地炎の皆さんは、人々を連れて下層部から離れようとしています…ですが、スヴァローグの計算によると、地上は安全ではありません。」
クラーラがそう言うが、翡翠達は疑惑を拭いきれずにいた。
「だったら下層部は安全だってのか?」
「少なくとも…スヴァローグの計算結果ではそうです…自分の責務は『存護』にあると、その為に人類を守る選択をしなければならないと、彼は言っていました。」
「しかし、いつかは下層部も裂界に飲まれるぞ。」
アクセルはいつか下層部も裂界に飲まれると答えた。
「地炎の皆さんがスヴァローグと話をしたいのは知っています…でも何回訪ねようとも、彼の態度を変える事はできません…ですので、クラーラを信じてください!クラーラが説得してみせます。いつかきっと、クラーラの言葉に耳を傾けて…」
二人がクラーラの話を聞いていると、後ろからゼーレの声がしてきた。
「…クラーラ?どうしてここに?」
「あなたは…地炎のゼーレお姉さんをここにきた理由は…」
「俺も地炎なんだけどなぁ…」
翡翠達はさっきクラーラと交わした話すをゼーレやブローニャに伝えた。
「…流浪者の為に薬を探してる?アイツら、こんな子に探させるなんてね。」
ゼーレ達の話を聞いている二人。しかし、陣痛剤や目当ての品を探した疲労からか、その時の話はよく覚えていなかった。
翡翠が後からブローニャに聞くと、クラーラに陣痛剤を分けたそうな。
それからオレグの元に向かうと、星や御影が待っていた。
「やっほー翡翠。やっと来たね!」
「二人で抜け駆けとは、いただけないな!」
「私もついて行きたかったよ…」
三人はいつも通りで安心する翡翠。
それに割って入るかのようにオレグが話し始めた。
後が無い下層部は翡翠達、星穹列車に賭けた事、下層部の閉鎖をなんとかする為に、スヴァローグの対策の事を話し合った。
(やべぇ…話が追いつかない…)
(とりあえず、全部の話を聞いてる御影に着いていけばいい。)
アクセルから話を聞いた翡翠は静かに頷く。
そして翡翠達はスヴァローグの拠点を目指して出発した。
ガイドとしてサンポが来ていたが、翡翠、御影、アクセルの三人はそれぞれボコボコにしてやった。
……………………
そしてしばらく歩き続けて、巨大な門を発見した。
「こ、これは?」
「下がってろ。」
翡翠達三人はブローニャ達を下がらせた。
「「「でりゃあ!」」」
三人は一気に剣を振り下ろして門を叩き壊した。
「ああ!なんて事をしてくれたんですか!これじゃあバレてしまいますよ!?」
「カチコミ同然なんだから、別にいいだろ。」
「そうそう、別にいいじゃん!」
翡翠達はそう言って、奥に進んで行く。
進むと、先程より厳重な門を見つけた。
「これは…壊せそうか?」
「キツいかもな…」
「チッ!別の道を探すか?」
「…それとも、クラーラに道を聞いてみるか?」
翡翠はアクセルに言い、アクセルは頷く。
「クラーラは多分リベットタウンに居ると思う。行こう。」
八人は急いでリベットタウンに向かう。
「いた!大物も居るみたいね!」
「迎撃するぞ!」
そこに居た反物質レギオンを駆逐した翡翠達はクラーラの元に向かった。
「怪我は無いか?」
「ありがとうございます。大丈夫です、軽く擦りむいただけなので。」
「一人でうろちゃろするな。ここは危険だからな。で、ここで何してたんだよ。」
アクセルはそう言う。クラーラは基地の電源装置の修理の為に部品を探しているのだと教えてくれた。早く直さなければ街の住民が困るらしい。
「………俺達、スヴァローグに会いに行こうとしてたんだよ。」
「え?スヴァローグに会わなけれなばならないような事があるんですか?なら、クラーラが伝えます。」
「ダメよ、今回は直接顔を合わせて話したいの。連れてってくれるかしら?」
「でも、スヴァローグは他人との交流が苦手で…」
翡翠は頭を抱えた。
「…うーん…」
「翡翠?どうしたの?」
なのかが心配そうに翡翠に近寄った。
「悪い。なんか疲れて…」
翡翠はそのまま目眩と共に倒れ込んだ。
「翡翠!?」
「どうした?翡翠。」
アクセルが倒れた翡翠を抱える。
「……軽い過労だろうな。今までの疲れが溜まったんだろ。」
……………
「う、うーん…」
「起きたか。」
翡翠が目を覚ますと、アクセルに担がれていた。
「あれ…俺…」
「疲れて寝てたんだよ。三月に感謝しとけよ。お前の過労に気づいたの三月だからな。」
「ああ。もういいよ、ありがと。」
翡翠はアクセルから降りた。
そしてぐーんと伸びをする。
「あー…よっし。」
「あ、あいつは…」
翡翠が前を見ると、そこにはスヴァローグがいた。
「ただいま、スヴァローグ。」
『集落のエネルギー供給システムは復旧したようだ。感謝する、クラーラ。』
『だが……何故この者達を連れてきた?』
「スヴァローグ…この人達は上層部の事について相談したいんだって。」
『分析開始。分析対象:地炎に属さない。背景:不明。分類:情報無し。』
『クラーラの紹介に免じて。発言の機会を一度与える。』
スヴァローグはまるで精密な機械のように言葉を述べていく。
翡翠は一息つく。
「翡翠、あんたの巧みな話術の出番だよ。」
「俺にやらせるなよ…まあ、いいけど…」
そして翡翠はスヴァローグと話し始めた。
「俺達は争うを起こすつもりは無い。」
『必要な論理が欠けている。回答不可。』
『本題に入ろう。この世界の貴重な時間を無駄にするな。』
「翡翠の話術でも駄目なの…?」
「翡翠、俺達が計算上の「変数」だと証明させてやれ。」
「応よ。任せとけ。」
御影にそう言われて頷く翡翠。
再びスヴァローグとの会話を始めた。
「…星核が何か知ってるか?」
スヴァローグにそう言うと考え込んだ。
『星核…データベース検索…アクセスブロック。無許可で星核について話す事:禁止。』
『お前達は世界の封印された秘密に触れた。この秘密を知っている人はいない………目標状況の再評価……脅威指数上昇。真の目的を告げよ。』
「どうやら、奴は星核の事を知っているようだな…翡翠!このままハッキリ言ってやれ!」
「そーだそーだ!」
のったアクセルと御影に押されて翡翠は話を続ける。
「俺達はこの星の災いを終わらせてやる。」
『………記憶の中で、人類は星核との接触を何度も試みている。彼らは必ず、人間の私利私欲のためにその物質を使おうとした。』
『建創者命令:星核に接触しようとすれば、深刻な結果を招く事になる。再評価……目標脅威指数最高に到達。』
「…なんかまずくない?」
翡翠は鼻で笑った。
「お前の計算能力も!大した事ねぇな!」
『目標の敵意、基準値を大幅に超過。元来の計算結果を維持。』
『平和維持プロトコルの一時解除。殲滅プロトコルの開始を申請。』
「せ、殲滅って!?文字通りの意味!?」
「悩んでる時間は無いよ、なの。」
「へっ、こっちの方が性に合ってる。」
「スヴァローグやめて!」
『クラーラ!ここを離れろ!』
「クラーラ離れてろ。ここは危険だからな。」
「はあ…結局はこうなるのね。」
『プロト機3号。監視ロボット・スヴァローグ。殲滅プロトコル申請状態:通過済み。』
『…殲滅を許可!』
翡翠達も武器を持って、スヴァローグと戦い始めた。
次回、第一章のクライマックスは近い…