「…なの…大丈夫?」
「…星…今は…そっとしておきましょう…」
「ゼーレ…そうだね…第二十四話…は、始まるよ…」
☆☆☆☆☆
「……!翡翠ッ!!」
「……!?三月ッ!?」
ウチは弓を放り投げて、翡翠を助ける為に海に潜った。
泳ぐのは別に得意でもない。でも、翡翠を助ける為なら、耐えられる。
何処なの…翡翠…
海中には先程の戦闘で落ちた敵の残骸が多数あった。
その奥に、見慣れた服の男が気絶しているのを見つけた。
……間違えない…翡翠だ…
ウチは無我夢中で泳いで、翡翠の手を握る。
「絶対助けるから…!」
今にも死にそうな冷たい体の翡翠の手を握りながら、ウチは水上から出る為に上を目指す。
光が見えて、ウチらは顔を上げた。
「…!ゲホッ!ゲホッ!」
水が口に入って、ウチは咳払いする。
まるで中年の男性のように酷い咳をしながら、ウチは翡翠を抱えて海岸まで泳いでいく。
「翡翠!なの!」
御影と星が武器を捨てて、ウチらの手を掴んでくれた。
「…符玄!急いで救護班を呼べ!」
「…え、ええ!分かったわ!」
符玄は急いで救護班を呼びに行った。
翡翠の腹に大きな傷が残っている。血が止まらない。
翡翠も咳をして、いかにも苦しそうだった。
「救護班です!搬送するので離れてください!」
そう言って翡翠は担架に乗せられ、そのまま治療室に連れられて行った。
「…私達も行きましょう。」
「…うん。」
符玄に言われて、ウチらは翡翠の元に向かって行った。
………………
「翡翠は…」
医者に翡翠の病状を聞く。伝えられなくても、危篤状態だと分かってはいた。
「……覚悟はしていてください…今彼は非常に危険な状態です…」
「そんな…」
「…最善は尽くします。」
そう言って医者は治療室に入って行った。
「あいつ…大丈夫かな…?」
普段冷静な御影達も、翡翠の事が心配なのか…少し動揺していた。
ウチだって無事だと思いたい。
あの翡翠だもん。きっと「いやぁ…面目ない」とか言って帰ってくるよ…絶対に…
死んでるなんて…思いたくない…
…………………
…数日後
医者が治療室から出てきた。
「!お医者さん!ひ、翡翠は…?」
ウチは医者に翡翠の事を聞いた。
すると、医者は安堵した顔をした。
「はい。無事。意識を取り戻しました。」
それを聞いたウチは医者の忠告を聞かずに翡翠の元に向かった。
「翡翠!」
ウチは個室に入って、翡翠の様子を確認しに行った。
「……いやぁ…面目ない…」
そう言いながら翡翠は頭を掻いた。
それを見たウチは涙を流しながら翡翠に抱きついた。
「…翡翠ィ…翡翠ィ!無事で良がったヨォぉぉ!!」
「な、なのか!落ち着け!いてて…痛いって!」
「あ…ごめん…」
ウチは翡翠から離れて、近くの椅子に座った。
後ろから御影達も個室に入ってきた。
「無事だったか!」
「……一応…な…」
………そうして、ウチらは翡翠から話を聞き始めた。
「…そっか…その…翡翠と戦ってた子…『ラビッドシンドローム』っていうかウイルスにかかってるんだ…」
「そのせいで…闘争心を暴走させて、強制的に戦わせたってわけか…」
翡翠は差し出されたリンゴを齧ってベッドに寝転がった。
「…あの時のあいつ…強かった…デクターのウイルスの力があんなものだったなんて…」
「しかし、暫く奴らが襲ってくるかだな。」
「翡翠が居ない隙に…じゃんじゃん攻めてきたり…」
「アクセル!不穏な事言わないでよ!」
仲間達も、少しギスギスとした雰囲気だった。
しかし、その空気を変えたのは翡翠だった。
「まあまあ、あれは俺が敵の強さを見誤った事と、慢心してしまった事が原因だ。お前らが気にする事でもない。」
「…翡翠…」
やっぱり、翡翠って凄いなぁ…って実感した。
○○○○○
その頃、デクター達はあるところで何かを掘り出して行った。
「見つかりました!」
同士に言われ、その場に向かう。
「おやおや!これメガゾード!しかも、ヘリ状の形態ですか。」
「はい、バルカン砲らしき銃身も確認しました。これで、我々の計画も順調に行くでしょう!」
「ですねぇ。ネッシーロイド。居ますか?」
デクターがそう言うと、背後からネッシーロイドが現れた。
「開拓者を見つけ次第襲撃しなさい。いいですね?」
「ハッ!了解です!」
そう言って、ネッシーロイドは水中に潜んだ。
……………
そして、なのか達は符玄から連絡を貰った。
『お前達!向こうから敵が来るわ。すぐ来てくれないかしら?』
「よし!行こう!」
御影達はそう言って、ネッシーロイドの元に向かう。
なのかも向かおうとすると、アクセルが止めに入った。
「三月。お前は留守番だ。ここで翡翠を見張っててくれ。」
「え!?でも…」
「こいつの事だ。きっとすぐにでも走って行くだろうよ。」
翡翠は図星を突かれてそっぽ向いた。
「そう言うわけだ。頼むぜ。」
そう言ってアクセルも駆け出して行った。
「翡翠、動かないでよ。今は怪我人なんだから。」
「トホホ…面目ない…」
…………………
御影達は急いで、海岸まで走って行った。
すると、そこに巨大なヘリのようなメガゾードと海からはレギオロイドが現れていた。
「私はネッシーロイド。あなた達は排除させてもらいます!」
そう言ってネッシーロイドは舌を飛ばして攻撃してきた。
「あっぶねぇ…早いな…」
「それよりも…あのメガゾード…奪えるかも…」
アクセルはそう言い、ゼーレも賛同するように頷いた。
「アクセル!あたしを剣で吹き飛ばしなさい!」
「はあ!?正気かよ。」
ゼーレの返答に戸惑うアクセル。しかし、目を見て本気だと確信したアクセルは、汗を流しながら頷いた。
「怪我すんなよ!」
アクセルは剣にゼーレを乗せて、投げ飛ばした。
ゼーレは高速移動でメガゾードのコックピットに近づいた。
『!?』
「邪魔よ!」
ゼーレはコックピットを動かしている兵士を蹴り飛ばし、コックピットの席に乗った。
「…テンクウ…ジン…そう言うのね!」
テンクウジンのコックピットから兵士を追い出し、その兵士がネッシーロイドに落ちてきた。
「な、なんですかこれは!?」
「今だ!」
「うん!」
星はガンランチャーをネッシーズオズの腹部に向けて連射した。
「ググゴォ!」
「いけぇ!」
御影はネッシーズオズの頭部を殴り飛ばした。
「今だ!」
星は銃を連結させて、ビーム砲で貫いた。
「グワアアアアアアア!」
ネッシーロイドはそのまま爆発してしまったが何処から飛んできた虫がネッシーロイドに張り付いて巨大化した。
「…くっ…!ゼーレ行けるか!?」
『ええ!ゴウリュウジンと動きが似てるから、楽勝よ!』
そう言ってゼーレはコックピットを動かして、ネッシーロイドのところまで突撃した。
「よし…!ゴウリュウカイタクオーで行くぞ!」
御影はそう言ってゴウリュウジンとカイタクオーを合体させて、ゴウリュウカイタクオーで立ち向かった。
「行くわよー…天空変形!」
ゼーレはそう言うと、テンクウジンはヘリモードからバトルモードに変形して、ネッシーロイドに殴りかかった。
「チッ!小蝿どもめ!」
「そこだ!」
テンクウジンとゴウリュウカイタクオーの同時攻撃が炸裂して、ネッシーロイドは転倒した。
「そろそろトドメにしてやるぜ!」
ゴウリュウカイタクオーは分離し、カイタクオーはテンクウジンと合体を開始した。
テンクウジンはカイタクオーの背部に接続され、キャノン砲のようにドッキングした。
「完成!テンクウカイタクオー!」
「何!?」
「一気に行く!食らえ!テンクウバスター!」
キャノン砲のエネルギーを解き放ち、ネッシーロイドにぶつけた。
「ば、馬鹿なッ!」
その攻撃を受けたネッシーロイドは爆散していった。
☆☆☆☆☆
「…わざわざ…作ってくれたのか?」
「うん。翡翠はこれで元気出るかなと思って…」
「なのかってこんなに飯上手だったんだな…」
翡翠はウチが作ったチャーハンを美味しそうに食べていた。
大怪我したのに、チャーハン食べる元気はあるんだね。
ウチがそう思ってる間にもう完食しちゃった。
「よし…」
そう言って翡翠は立ち上がって体を動かし始めた。
「…もう怪我は大丈夫なの?」
「ああ。これぐらいならもう平気さ。」
そう言って翡翠は服を急に脱ぎ始めた。
「…!?きゃあ!」
ウチは慌てて目線を逸らして叫んでしまった。翡翠は一瞬ビクッとして、ウチの元に近づいてきた。
「だ、大丈夫か?」
「う、ううん!!それより…早く服着て!」
「あ、ああ…」
翡翠は『何焦ってんだ?』って顔をしながら服を着替え終えた。いくら旅をしてて女性と同じ場所で服を脱げるなと思いつつ、翡翠の体も気になってしょうがなかった。
「…なのか。行くぞ。」
「う、うん…」
ウチは翡翠について行き、御影達の元に向かい始めた。
「…手…繋いでくれない?」
「うん。」
翡翠はウチを手を繋いでくれた。
死にかけだったとは思えないぐらい翡翠の手はあったかかった。ウチは思わず顔を赤くしてしまう。
…これが…恋…?なのかな?
ウチはそんな感情に苛まれつつ、御影達のところに向かった。
テンクウジン
新たなメガゾード。ヘリモードと人型のバトルモードを切り替えて戦い、バトルモード時は両腕のクロスソードとミサイルによる攻撃、ヘリモードはバルカン砲による斉射を得意としている。
ネッシーロイド
古代の生物ネッシーを思わせる見た目のレギオロイド。強靱な尻尾やムチのように伸ばせる長い舌による攻撃を得意とする。