【本編完結】開拓者のとある物語   作:サツキタロオ

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「遂にピノコニーに行くんだな。」

「うん。御影、どんな場所かなぁ。」

「知らん。」

「えー?もうちょっと楽しそうにしてよ。」

「そう言われても…俺疲れてるのに…」

「まあいいや、29話が始まるよ。」


第三章:夢の守り人
episode.29:夢のピノコニーの国


 

☆☆☆☆☆

 

……目を開けると、見知らぬ空間だった。

「…ここは?」

「あ、翡翠。起きたの?」

「なのか。」

目を開けると、なのかが覗いていた。

「…何処ここ。」

「ほら、言ってなかったっけ。ピノコニー行くって。」

「…俺知らんけど…」

俺は頭を掻いて辺りを見回す。

「他のみんなは?」

「ウチらを置いてもう行っちゃったよ。ウチは翡翠起きるまで居たから。」

「そっか…ありがとなのか。」

俺は立ち上がって辺りを見回す。

「とりあえず、ヨウおじちゃん達がウチらの分の部屋も手配してくれたみたいだから、早く行こ!」

そう言って俺たちは個室に向かって行った。

 

俺は個室に向かう。左を見ると、なのかが手を振って個室に入ってった。

 

個室の中は随分と質素で、奥には貝殻に水を浸したものが置いてあった。

多分、ここから行けという事だろうか。

 

俺は服についたチリを払い、貝殻の中に入る。……水に入ってはいるが、濡れている様子は無い不思議な感覚だった。

そして、まだ眠気が取れていなかったのか。そのまま爆睡してしまった……

 

 

 

……………………………

 

 

「…ん?んッ!?」

俺は目を開けると、空から落下していた。

 

「どうなってんだこれぇぇぇ!?」

 

俺は勢いよく地面に激突してしまった。

「くそっ…いってぇ…」

俺は頭を掻きながら言うと、二人の男女が心配そうに近寄ってきた。

「君、大丈夫かい?」

「随分、高いところから落ちたが…」

見た目は随分ラフな格好で本人の顔に似合ってなかった。

恐らく旅行出来たのかもしれない。

「わ、悪い…えっと…」

 

「僕はフリーナ!こっちはマルク!」

「よろしく。」

「フリーナとマルクか…俺は翡翠。よろしくな。」

少年はマルク、少女はフリーナと名乗った。

「…お前らなんでここに?」

「僕たちはただ観光に来ただけさ。」

「ああ。僕は、フリーナの付き添いだ。」

マルクはため息を吐いて項垂れる。

「…俺もさっき来たばっかだから…観光地とか案内できないんだ。すまんな。」

「いや、別に気にするな。でも…」

すると、マルクが俺の目を見てきた。

 

「………いい眼をしている…俺の仲間にも…同じ瞳を持つ男がいた。」

「…確かに。僕もなんだか雰囲気が似てると思ったんだ。」

そう言って、二人はしばらく考え込んだ。

「…まあいい、また会えるのを楽しみにしてるぞ。」

そう言って二人はその場を去って行った。

 

「…あいつら…」

フリーナに手を振られ、俺も手を振りかえした。

「ふーん…翡翠、二人と知り合いなの?」

「!?」

俺は思わずビクッとして後ろを振り返るとなのかがジト目でこっちを見つめていた。

俺は知っている奴で思わずホッとした。

「…はぁ〜…なんだよなのか…脅かすなって…」

「別に脅かしたかった訳じゃないよ。ただ…あの二人とは知り合いなの?」

「いや、別に。さっき会ったばっかだし。」

「…ふーん…そっか…」

すると、なのかは深呼吸した。

「…ねえねえ、とりあえず歩かない。手繋いでさ。」

「うん。いいけど。」

俺はなのかに差し伸べられた手を握って観光を開始した。

 

○○○○○

 

(あわわわわわわ……翡翠と手を握っちゃってるよぉ…!)

なのかは顔を赤らめて翡翠と歩いていた。

いざ言ってみたはいいものの、本当に握られると思っていなかったなのか。それを思うと更に顔が赤くなる。

「…なのかの手ってさ…」

「ふぇ!?…ウ、ウチの手が…どうしたの?」

「なんか、凄い安心する。」

「そ、そう?」

なのかは顔を赤くしたまま、翡翠の手を握り返した。

(……ずっとこうしていたいな……)

なのかはそう思いながら翡翠と手を繋いで歩き始めた。

(翡翠の手はあったかくて大きいなぁ…)

なのかはそう思いながら翡翠の手を握りしめた。

 

……しかし、そのムードを壊すかのように、何者かの声が響いた。

 

「逃がすか!この密航者め!」

翡翠はそれを聞いて急いで駆けて行った。

「あっ!待ってー!」

なのかも翡翠を追う。

声の元に辿り着く翡翠。そこには少女と大人の男女が立っていた。

少女が翡翠達を認識すると、すぐに近づいてきた。

「お願い…手を貸して!」

翡翠はすぐに頷く。すると、後ろからなのかも息を切らして走ってきた。

「はあ…はあ…早いよもー…」

「共犯も居るぞ!捕まえろ!」

そう言って二人が翡翠達の前に立つ。

「あわわ…なんかピンチって奴…?」

「しょうがない…」

 

翡翠は龍狼形態になり、なのかと少女を担ぎ上げた。

「ちょっ!?」

「!?」

「しっかり捕まってろよ!」

そう言って翡翠は高く飛び上がって逃げ出した。

 

………………

 

「…ふう…大丈夫か?」

翡翠は二人を下ろして確認する。

「あ、ありがとう…」

「いいって事よ。それより、名前は?」

「…アタシはホタル。アイリス家の役者で…密航者と間違われたけど。地元の住人なんだ。」

「あなた達は…ナナシビトだよね?」

それを聞いた翡翠はなのかに聞いて来た。

「なの。ナナシビトってなんだ?」

「えー?そんなのも知らなかったの?ナナシビトはウチら星穹列車の通称みたいなもんだよ。」

「へー…」

「…助けてもらったお礼に、ピノコニーを案内してもいいかな?アタシこう見えてもガイドなんだ。」

それを聞いた二人は嬉しそうな顔をして頷いた。

「助かる!何処行こうか困ってたんだよ。」

「うん!ありがとうホタル!」

 

そして翡翠達はホタルに案内されてピノコニーの観光を開始した。

 

……………

 

「最初に夢に来て殆どの人はオーディ・ショッピングセンターに来るんだ。ここの夢境ショップは凄く有名なんだ。」

「おもちゃ屋にブランド品…洋服とかも揃ってるんだ。」

それを聞いたなのかは関心そうに頷いた。

「へー…凄いね翡翠!」

なのかは横を見るが、翡翠はいなかった。

「あれ?翡翠?」

 

「うおー!すげー!HGマイフリのガンプラだ!かっけぇ〜!」

「ちょっ!翡翠!ホタルの案内聞いてなかったの!?」

「え?いや…だってガンプラかっこいいじゃん…」

翡翠はキョトンとした顔で二人を見つめていた。

「ふふっ、なのかちゃんのお友達って面白いね。」

「別に…いつもこんな調子だし…」

それを気にも止めず、棚に置いてあるガンプラに夢中だった。

それを見たなのかはちょんちょんと触る。

「…ほら!夢中になってないで、早く行くよ!」

そう言ってなのかは翡翠の手を引っ張って行った。

 

「あー…ガンプラが〜…」

 

しばらく歩いていると、翡翠の腹から音が鳴った。

「あ〜…腹減った〜…」

「…さっき食べたばっかりでしょ?でも、夢でもお腹って空くものなんだね。」

「夢の中では『飢え』が一番のスパイスなんだ。」

「この店には、ピノコニーを代表する料理が全部揃ってるの。」

「おお!じゃあ早速食いに行こうぜ!」

翡翠がそこに向かおうとする。

なのか達も後を追って、店に辿り着いた。

「…えっと…確かここに…」

ホタルが財布を出そうとするが、翡翠に止められた。

「俺が払うよ。」

「え、翡翠お金持ってたの?」

「…あ…これとこれください。」

「ちょっ、話を聞いてー!」

 

…………………………

 

「はあ…ピノコニーって楽しいけど…意外に疲れるんだな…」

「あはは…そうだねー。ウチもここ全部回るのはキツいと思うな。」

翡翠はスラーダを飲んで、溜息を吐いた。

「…?居る?」

なのかが翡翠の事をじっくりと見ていると、翡翠がスラーダを差し出してきた。

「え!?」

「ん?喉乾いたんじゃないのか?」

そう言って翡翠はグイグイと差し出してくる。

なのかもその根気に負けて、スラーダを受け取り飲んだ。

 

(あうぅ…これって…間接キスだよね…)

(翡翠は気にしてないみたいだけど…これじゃあ翡翠を直視てきないよぉ…)

「…大丈夫か?」

「う、うん…平気…」

翡翠は心配そうになのかを見るが、それ以上は言及せず、立ち上がって伸びをした。

「行けそう?」

「う、うん…」

翡翠に差し伸べられた手を握り、なのかも立ち上がる。

「ほら、行こうぜ。」

なのかは顔を赤くして、下を向いて翡翠と共にホタルの元に歩いて行った。

 

(どうしよう…翡翠を直視できない…)

 

(…あ…ウチ…やっぱり翡翠が好き……なんだ……)

 

(翡翠は…ウチをどう思ってるのかな………)

 

 




【登場人物】
ホタル
CV:楠木ともり
メインキャラの一人。密航者と思われているところを翡翠達に助けてもらった。

翡翠
CV:木村良平
「俺が払うよ。」と言った。因みにちゃんと払った。残高:36849円

マルク
CV:保志総一朗
ゲストキャラ。フォンテーヌという国の人間。

フリーナ
CV:水瀬いのり
ゲストキャラ。フォンテーヌという国の人間。
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