ご了承。
「…」
サムは、ある洞穴で自身のパーツの修復を行っていた。
ピノコニーでの騒動から約半年。スチームバード新聞によれば『夢境崩落事件』として語られていた開拓者とデクター達の戦いは、デクター達の敗北に終わり、サムは命からがら脱出し、現在は多数の機械が置いてあるこの洞穴に隠れていた。
「…デクター様…」
サムはそう呟く。
すると、何処からか次元が開かれ、そこから誰かが出てきた。
「何者ですか?」
サムは撃滅バルカンを起動して、構える。
「まあ待て、私は敵では無い。」
「本当ですか?」
「…ふっ、デクターの仲間…言えば満足か?」
「ッ!」
それを聞いたサムは腕を下ろす。
そうしてその男はデクターのパーツの修復を始めた。
「…やってくれるのですか?」
「気にするな。」
そうして、暫く修復を続け、二人は見合った。
「私は"ディペクト"。裏の世界では名が通っている『闇の行商人』とも呼ばれている。」
「そんなディペクトは、私に何のようですか?」
サムは疑惑の目をディペクトに向ける。
「まあ待て。少し、話そうじゃないか。」
………………………
「はあ〜…」
その頃、翡翠はラウンジのソファに座ってくつろいでいた。
「翡翠〜。隣いい?」
「なのか、いいぞ。」
翡翠の隣になのかが座る。二人とも少し顔が赤くなっていた。
「…あれからもう半年が経つんだ。」
「ああ…信じらんねぇなぁ…」
二人は思い出に耽っていた。
「そう言えば、こうして二人っきりになるの…久々じゃない?」
「ん?そうだな。トパーズはピノコニーの一件で滞在する事になったし…」
「あの時のトパーズの顔、凄かったよねぇ…」
「ああ…凄い顔してた。」
二人は少し笑い合う。
その後に少しの静寂が流れ、次に口を開いたのはなのかだった。
「ねえ翡翠。久しぶりに昔の写真見ない?」
「唐突だな。」
「ウチらが出会って…半年以上経ってるし…だから…」
「ああ。久々に見ようぜ。」
それを聞いたなのかは写真機を取り出して、翡翠と共に過去の記録を振り返る事にした。
「最初出会った頃は、宇宙ステーションでぶつかったのが最初の出会いだったな。」
「うん。最初の頃、反物質レギオンから逃げてるとこを出逢ったよね。」
………
『うえっ!?』
『え!?』
『いったぁ…もう!何するの!?』
………
「その後、なんやかんやで終末獣を倒して…その後、ヤリーロⅥに向かったんだよな。」
「今思うと寒かったなぁ〜」
………
『さ、寒い…ここがヤリーロⅥか…』
『ぜーんぶ雪だね…』
『全部雪景色だ…』
「星は大丈夫か?』
『うん。私は平気。』
………
「その後、ブローニャにゼーレ…それとアクセルにも出会ったんだよね。」
「金的されたりしたりしたのが懐かしいな。」
「え」
………
『〜〜〜ッ!!』
『あっ…ごめん…』
『だ、大丈夫か…?』
『あああああああ!!!』
『お返しだこの野郎!』
『なんだとッ!?」』
………
その頃、ディペクトによってデクターの記録を見せられるサム。
「デクターは元々、別世界からやってきた科学者だ。」
「デクターは天賦の才能を発揮し…世界で初となる全知全能の量子コンピュータ『ディーヴァ』を開発した。」
「しかし、そんな彼を妬んだ者達により、闇に葬られたと聞きますが…。」
サムはそう言うが、ディペクトは否定する。
「…本来は違う。人々は恐れたのだ。デクターの頭脳により、自身が支配される恐怖をな。」
「!」
「…そして、数千年の時を経てデクターは体を得て、星核ハンターになった。」
しかし、サムは考える。
「しかし、彼は私たちの間でもあまり好まれてはいませんでした。」
「貴様はレギオロイドのサムとしての"記憶"と星核ハンターのサムとしての"記憶"を持っていたな。デクターはどんな感じだった?」
「…ええ。」
「その当時のデクターは世界の破滅を望み星核ハンターに加入した。結局は星核ハンターも利用されていたに過ぎないと言うわけだ。」
「そしてエリオを殺害し、奴は計画を進める為に暗躍していたな。」
サムは再び考え込む。
「…しかし、そこまでデクター様の動きを把握している…あなたは何者なのですか?」
「…言っただろう?私は闇の行商人だと。彼のレギオロイド製作のために必要な端末は我々が製作したのだ。」
「そうだったのですか…」
……………
「…翡翠。」
「ん?」
「ウチ今ね、幸せなんだ。こうやって好きな人と一緒に思い出を振り返るの。」
それを聞いた翡翠は少し顔を赤くする。
「…にしても符玄達、元気かな。」
「多分元気なんじゃないかな?ああ見えてもしっかりしてるし。」
「ホタルって今何してんだっけ…?」
「確か月でメディカルチェックしてる筈だぞ。」
ホタルは現在月でメディカルチェックを受けていた。
ロストエントロピー症候群が治ったとはいえ、まだまだ体調には不備があると考えられるからだ。
「…心配だなぁ。」
「大丈夫だよ。多分。」
なのかが翡翠の隣に引っ付く。
「…眠くなってきたね。」
「うん。今日は遅いし…もう寝るか…」
そうして、二人はお互い見合ったまま眠りについた。
………………
「ホタル。無事でよかったわね。」
ゼーレとアクセルが列車に戻るところ、話し合っていた。
「ああ、元気そうでよかった。」
そして、アクセルはしばらく考え込む。
「そういえば下層部から離れてもう半年か。時間の流れは早いな。」
「ええ。ナタやクラーラ達は元気かしら?」
「あの二人なら大丈夫だろ。二人とも心はとても成長してるからな。」とアクセルは笑いながら言う。
「元々はデクターを倒す為に着いてったけどさ。なんやかんやで列車での生活に馴染んでるよな。」
「…そうね。そろそろ恋しくなってきたわね。」
「…そういえば今日から暫くは開拓の旅も無いそうだ。久々に里帰りとかどうだ?」
「いいわね。オレグ達が多分心配してるだろうから。」
アクセルは伸びをする。
「ま、またベロブルグによる時に話すか。」
「そうね。」
二人は星空を見上げた。
……………
「……」
星はゴーグルとヘッドホン、そしてライフルを持って獲物を狙う。
バンッという衝撃音と共に獲物はグテっと倒れ込んだ。
星は急いでその獲物に近寄る。
「やった…御影ー!やったよー!」
「おお、凄いな。」
木陰に隠れた御影を呼び、大喜びする星。
「…デカいな。これだけあれば暫くは困らなさそうだ。」
御影と星は森で狩りを行っていた。
この星では『大猪』と呼ばれる猪を袋に入れて、列車に戻る二人。
「…にしても軍でもこういう事したっけな。」
「そうだっけ?」
「ほら、穹達と一緒に鹿を見つけて狩ったろ。覚えてないか?」
昔の記憶を思い出す星。
「そういえばそうだったね。あの時、お兄ちゃん『久々の食料だ!』って言っても大はしゃぎしてたね。」
穹の声真似をする星に少しツボる御影。それを見て少しむかっとする星。
「ちょっと、私渾身の声真似笑わないでよ。」
「悪い悪い。」
そうしてしんみりとした空気ができた。
「お兄ちゃん…私たちのこと見てるかなぁ。」
「見てるんじゃないか?」
二人揃って空を見上げる。
「穹ー。俺たちは元気でやってるからなー!」
「私達。大丈夫だからねー!」
大声を出して空に向かって叫ぶ二人。
声は風に流されるように聞こえなくなっていったが。二人は先程よりも嬉しい気持ちになった。
「さ、戻ろうぜ!」
「うん!」
そうして二人は列車に戻っていくのだった。
……………
やっぱ三月なのかって可愛いのでは?
いや可愛いな。
…………………そう言えばプロローグ以外で反物質レギオンが出てない…