「そうだな。ああいうのは怒らせたら駄目なタイプだ。」
「そうだね…でも…私は御影が一番強いと思うよ!」
「星…それは比喩表現か?」
「ううん?」
「……はあ…星らしいや。……今回は料理対決だ。」
「料理対決?急だよね。」
「そういうのが普通だから…47話、始まるぞ。」
☆☆☆☆☆
「ひ、翡翠〜!」
「な、なんだ!?」
俺はなのかたちの叫び声を聞いて、急いでラウンジに向かう。
「何が…えぇっ!?」
俺がラウンジに向かうと、ソファにはレギオロイドが座っていた。
すぐに剣に手を当てるが、殺気や敵意を感じられなかったので一旦様子を見ることにした。
「なんだよ…お前…」
「お主…料理人でござるな?」
「いや…ナナシビトなんですけど…」
俺はレギオロイドにそう言われて、警戒する。
「…拙者はコックロイド。全ての料理人に勝つために作られた存在。翡翠、貴様はこの列車でも一流料理人と聞いた。拙者と勝負しろ!」
「…ええ…」
俺は少し引いた。確かに俺は料理をするのは好きだ。しかし、そこまで一流というわけでも無いから俺は少し困惑したのだ。
「…ほう…勝負を拒むか…なら、お主をオカズにしている三月なのかとホタルの写真を世界中にばら撒く事になるぞ?」
「ッ!!」
「え、ええ!?」「な、なんでそれを…!?」
そう言われたら俺は勝負を拒めなくなった。
「いいだろう…勝負だコックロイド!」
「見せてやろう…この力を…」
するとコックロイドは懐から包丁を取りだした。
「そ、それは…」
「伝説の…黒包丁…」
「ああ…見える…聞こえる…神の声が…」
コックロイドは震えながら包丁を抜く。
「そんなのはデタラメだ!それを教えてやるぜコック野郎!」
「」
そして、俺たちは作った料理を机に置いた。
「今回は麻婆豆腐か。」
御影が水を飲みながら呟くのが見えた。
「…なのか、食ってみてくれ。」
「うん…」
審査員のなのかに食べてもらうことになった。
「じゃあ…まずは翡翠のから…」
そう言ってなのかはレンゲを持って俺の麻婆を食べた。
「いつ食べても美味しい、流石は翡翠。」
それを聞いて顔には出さなかったが、俺は嬉しくなる。
そして次になのかはコックロイドが作った麻婆豆腐を少し気まずそうに食べ始めた。
…その後に、シーンと黙り込んだ。
「どうした?死ぬ程不味かったか?」
「お、美味しい〜!」
「!?」
「こんなに美味しいのを食べのは初めて〜!」
そう言いながらなのかはコックロイドの作った麻婆豆腐を一気に食べ始めた。
「馬鹿な…」「拙者は料理で感情をコントロール出来る。」
コックロイドはそう言って椅子に座った。
「しかし、それはいくつもの超絶技巧を駆使してのことだ。」
「例えば、お前は豆腐を切る時に包丁を使ったな?豆腐は手で千切ると良い。その方が大豆の旨みが残るからな。」
「お主は豆腐を切ることで、その旨みすら切ってしまったのだ。」
迂闊だった。俺は悔しい顔になる。
すると…
「そこまでだ!」
赤い髪の青年が二人に中国風の服を着た少女が入ってきた。
「そいつは数々の料理人を倒し、店の看板を奪っていった。」
「ふっ、しかしお前たちは拙者に敗れた者達ではないか。何も出来ないお前たちに用はない。」
するとコックロイドはキョロキョロし始めた。
「…ここになにか使わないものはないか。」
「…え?ああ、ヴェルトさんの眼鏡なら…」
そしてホタルはヴェルトが持つスペアの眼鏡を見せると、コックロイドはそれを奪い取った。
「この眼鏡…貰っていくぞ。」
そしてコックロイドはその場を去ってしまった。
「…ナナシビトの翡翠!あいつに対抗できる料理を作れるのはあんたしかいない!」
「頼む!このままでは料理人達は全員自信をなくして料理出来なくなる!」
「そうなる前に、どうか…!」
三人の熱い視線を向けられて、俺はキョトンとしてすぐに正気に戻った。
「あ、ああ…頑張ってみる…」
俺はそう言うと3人は嬉しそうにその場を後にした。
結局誰だったんだアレ?
……
〇〇〇〇〇
「…おーい!」
「ん?どうした?そんなに慌ててよ。」
とある海賊船、ゴムのように伸びる青年が料理中の男性に走り込んできた。
「なんか、こいつが用があるってよ。」
そしてコックロイドが入ってきた。
「海賊王のコックの実力、見せてもらおうか。」
コックロイドが黒包丁を抜くと、辺りに雷が降り注いだ。
そして数分後…
「う、うまい…こんなうめぇのは初めてだぜ…」
男性はあまりの美味さに天使の輪っかを生やして幸せそうな表情を浮かべていた。
「この帽子、貰ってゆくぞ。」
そしてコックロイドはその場を去った。
そして、コックロイドは店を転々とし、看板を貰ってゆくのだった。
しかし、その事を翡翠達は知る由もなく、仙舟「羅浮」にやって来ていた。
「にしても、最近ニュースは同じのばっかだな。」
翡翠はスマホ片手にそう呟く。なのかも気になって覗き込む。
「なになに?『料理人破りの被害者、現在231名』…うわぁ…コックロイド凄いね。」
「ああ。…でも、その前に腹ごしらえしようぜ。」
「うん。お腹空いちゃった。」
そうして二人が店に入ると、見知った背中が見えた。
「「あ」」
「…あら?翡翠に三月じゃない。久しぶりね。」
「やっほー符玄。なんで蕎麦食べてるの?」
「あら?美味しいわよ?歯応えが絶妙なの。」
「そうじゃなくて…!」
すると奥からまた見知った顔が見えた。
「よう、あんたらも来たんだな。」
「あ、秋織!」
そこにはかつての演舞典礼で出会った秋織と雲璃だった。
「何やってんだこんな事で。」「あ、言ってなかったか?俺、昔から蕎麦作るのが好きでよ。店、立ち上げたんだわ。」
「私はその従業員。ま、店番だけだけど。」
雲璃と秋織がそう淡々と話をしていると、コックロイドが入ってきた。
「最新の蕎麦屋の実力…見せてもらおう。」
「待て!」
翡翠がそう叫んで立ち上がった。
「これ以上お前の好きにはさせない!」
「ほう、面白い。しかし、貴様は一度拙者に負けた身。ハンデとして付き添い人をつけても良いぞ。」
「じゃあ符玄で。」
「え、私なの?」
そうして、符玄の許可無く、コックロイド達はキッチンへと向かった。
「うぅ…こうなったらやるしかないわ。」
符玄は古ぼけた木箱を取ってきた。
「代々受け継がれてる包丁…ここで使うことになるなんてね…」
そして木箱から包丁を取り出すが、既に錆びていた。
「ア゙ア゙!錆びてる…」
そして符玄は青ざめた表情で包丁を研ぎ始めた。
「何やってんだか。」
審査員役の御影はため息を吐いた。
すると、翡翠がやってきた。
「ふん、臆せず来たようだな。」
翡翠は無言で包丁を取りだした。コックロイドは察したかのように驚いた。
「まさか…」
「伝説の…白包丁…」
「さて、今回のお代は味噌汁だ。それではスタート!」
御影の合図とともにコックロイドはフグを切り始めた。
翡翠も大根を取り出し、切ろうと思ったところで符玄が包丁を研ぎ終えたのだった。
「使ってくれるかしら?」
符玄にそう言われて、白包丁を置き、符玄から包丁を受け取った。
「ありがたく使わせてもらおう。」
それを聞いた符玄は嬉しそうな顔になった。
(白包丁も黒包丁も関係ない。本当に料理に大事なのは…)
翡翠は黙々と大根を切り始めた。
(大根だと?そんな平凡な味噌汁で拙者に勝つつもりか?)
そして2人は黙々と具材を切る。
その間に聞こえるのは具材が切られる音のみだった。
…そして数分後、味噌汁は出来上がり、御影の前に置かれた。
「じゃあ、コックロイドのから…」
そしてコックロイドの味噌汁を飲む。
すると幸福感に包まれた顔をする御影。
「素晴らしい…具は淡白なフグの切り身…それに比べ味噌にフォアグラを練り込んである。」
「まさに芸術…」
コックロイドは不敵な笑みを浮かべた。一方で御影は翡翠の味噌汁を飲み始めた。
…すると、御影はうずくまって黙った。
「どうした?コメントのしようも無い不味さか?」
次の瞬間、御影はコックロイド
「いや違う…この味噌汁は天国の更に上に位置している…俺が言えることはただ1つ。」
「この味噌汁に比べたら!お前のはッ!」
「豚のエサァァァァ!」
そう言いながら御影は天に昇っていくのだった。
「ば、馬鹿な…」
コックロイドは認められずに味噌汁を飲むが、あまりの美味さに絶句してしまう。
「料理の途中、俺は外に出て細切りにした大根をそよ風に晒したのさ。」
それを聞いたコックロイドは悶絶した。
「そよ風でコーティングするとは…見事…」
…そうしてコックロイドは負けを認めたのだった。
「貴様の勝利だ。見事だぞ翡翠。」
「お、おう。」
「拙者もまだまだ。腕を磨かなくてはな。」
そうしてコックロイドは何処かに立ち去ろうとする。
「さらばだ翡翠。」
「あ…」
そうしてコックロイドは何処かに去っていき、翡翠たちは困惑していた。
「何がしたかったんだアイツ?」
伝説の黒包丁
コックロイドが仕入れて来た伝説の包丁。この包丁で作られた料理は人の心を確実に掴む。
伝説の白包丁
翡翠がネットショップで買った黒包丁の対となる存在。この包丁で作られた料理は人の心を確実に掴む。
符玄が持って来た包丁
長年符玄の家系で受け継がれて来た包丁。
長年使っていないせいで錆びてる。
コックロイドに負けた料理人達
CV:松岡禎丞・杉山紀彰・小澤亜季
コックロイドに料理対決で敗北した人たち。
その姿は何処かの料理人と似ている。