【本編完結】開拓者のとある物語   作:サツキタロオ

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「料理対決が終わってから翡翠の奴疲れた顔してたよな。」

「しょうがないでしょ。秋織、翡翠の奴全宇宙を廻って荷物返したらしいけど?」

「おいおい、大変な事で。」

「今回は翡翠がとある科学者と会うらしいわよ?」

「はあ…第48話、始まるぞ。」


episode.48:天才クラブ

 

☆☆☆☆☆

 

「ここに来るの久しぶりだな。」

俺は久しぶりに宇宙ステーション『ヘルタ』にやってきた。

今回の旅では惑星『ハルファ』に女性陣が行ってみたいとの事で、俺、御影、アクセルの三人は別行動で一時的に列車を降りていた。

そして、俺は最初に行った宇宙ステーションに行きたいと思い、ここに来た。

 

(ここに来たのは終末獣を倒した時以来かもな。)

 

一般人を避けながら、歩く。

すると、奥に少し雰囲気のある女性がいた。

「…」

すると女性が俺に近づいてきて、いきなり頸動脈を触り始めてきた。

「うわっ」

俺は驚いて離れる。

「驚かせてごめんなさい。仕事の癖なんです。」

「はあ、それよりも食べカスが…」

俺は女性の唇の近くにあった食べカスを落とす。

「すみません。あまりにも風景を楽しみにしてたもので…」

「私は宇宙ステーションにはそんなに出入りしないので、今日初めてここを知ったんです。ここはいい景色ですね。」

女性は宇宙を見てそう呟く。

 

「見てください。ほら、あの惑星が見えますか?あれは太陽系 第3惑星『地球』です。」

女性が指差した惑星を見つめる。

「ああ、このデザート美味しいですよ。半分どうぞ。」

差し出されたデザートを半分受け取り、一気に飲み込んだ。

「あ、そういえば名前聞いてなかったな。俺は翡翠。あんたは?」

「私はルアン・メェイ、よろしくお願いします。翡翠。」

「話は変わりますが、あなたは私の研究を知っていますか?」

「えっと…知らないな。俺は胸にしか興味が無いんだ。」

俺は一瞬ハッとなる。

 

(なんだ…?今、何を言ったんだ…?)

 

「そ、そうなんですか…ず、随分変わった趣味ですね…」

ルアン・メェイは少し赤面しながら頷く。

「も、もう一度やってみましょう。何か聞きたいことはありますか?」

 

聞きたい事…そうだ。急にこんな感じになった理由を聞かなければ…

「スタイルがいいな。スリーサイズを教えてくれないか?」

 

!?…どうして思った事が言えないんだ…?呪い…?

ルアン・メェイの顔を見ると、更に赤くなっているのが目に見えていた。

「す、少し散歩しましょう!暇つぶしにもなりますし…」

そう言って彼女は俺の手を引っ張って、無理矢理散歩に連れてった。

 

散歩中に、俺の体に起こった事が少し分かった。

おそらく、さっき食べたデザートに何か盛られたのだろう。

 

少し歩いていると、ルアンが止まった。

「申し訳ありません…先程のデザートに薬を加えました…」

「はあ…」

「なんなら…解毒剤をお渡ししましょうか?」

「頼むよ…いつまでも背中を見るのは興奮してしまいそうだからな。」

「ッ……!い、今すぐ行きましょう。向こうにあります。」

そしてルアンが走り出したと同時に俺も走り出して行った。

 

…………

 

○○○○○

 

「ここに翡翠がいるのですか?」

「ああ、マーレラロイド!」

「ハッ、ディペクト様!」

マーレラロイドが地面から姿を現した。

 

「この男を探し出し、鹵獲するか、殺せ。いいな?」

「仰せのままに。」

翡翠の写真を見せられたマーレラロイドは頷き、地面に潜り込んだ。

「奴の能力は?」

サムが聞くと、ディペクトは黙々と話し始めた。

「奴は地面に潜る事が可能だ。それで鹵獲してもらう。」

「ほう…素晴らしい能力です。しかし、それだけでは彼には…」

「問題無い。レギラーを大量に出現させ、混乱を呼ばせるのだからな。」

 

……………

 

その頃、翡翠はルアン・メェイから解毒薬を受け取る。

「サンキュー。」

翡翠は解毒薬を口に含む。しかし、不快な味で不機嫌な顔になった。

「…ふう…不味いな。デザートの時は美味かったのに。」

 

翡翠がそう言葉にした瞬間。突然として外から銃声が鳴り響いた。

二人は不思議そうに思い、翡翠は剣に手を置いてゲートに近づいた。

ゲートが開く、次の瞬間。アサルトライフルを構えたレギラーが撃ってきた。

 

「くそっ」

近くにあった机を蹴り飛ばし、銃弾を防ぐ二人。

「あれは…」「ちょっと面倒だな。走れルアン!」

翡翠は刀を抜き、レギラーを真っ二つにして急いでその場から離れる。

少し走って、壁の裏に隠れた。

 

「ふう…」

翡翠は落ち着いたのか、その場に座り込んだ。

ルアン・メェイは状況が理解できないのか。少し困惑していた。

「…翡翠…あれは一体なんだったんですか?」

「…レギオロイドだ…デクターって奴が…作ってた生体兵器だ。」

それを聞いたルアン・メェイは少し驚いた表情を見せた。

「デクター…デクターが関係しているのですか?」「知ってるのか?」

「はい…天才クラブ会員番号66番『デクター』。簡単に言うと彼は意味不明な方でした。」

「意味不明…?」

 

「…はい…彼は私のように生物学を研究していましたが…その際に一度学者たちのデータを全て抜き取ったんです。その事で怒りを見せた学者達は彼に詰め寄った時には、既にデータが元通りとなっていたんです。」

(何をやろうとしてたんだ…?)

「…しかし、私の研究資料だけは全て抜き取られていました。しかも、それはそれほど良い結果が出なかった資料だったんです。」

「始めは代わりにやっていたのかと思いましたが…恐らく違いますね。今何をしているのか…」

「…奴はピノコニーで俺達と戦って死んだと思う。でも、もしかしたら生きてるかも…」

翡翠は暫く考えたのち、立ち上がる。

「よし、デクターの研究室ってあるよな?」

「は、はい。ここの内部構造はあらかじめスマホにインプットしてありますから。」

「どうせなら奴の研究室に行って、何をしたか突き止めないと。」

『そうはさせんぞ。』

「何…!?」

地面からマーレラロイドが地面から這い上がってきた。

「…こいつ…」

「お前の捕獲がメインだ。そこの女に用はない。」

そう言ってマーレラロイドは剣を生やしてルアン・メェイに向ける。

しかし、翡翠はルアン・メェイの前に立つとマーレラロイドは鼻で笑った。

「ナイトのつもりか…?」「いや、困った人を助けるのが、うちの家訓なんでね!」

そう言いながら剣を振り下ろして鍔迫り合う翡翠。

「ルアン、先に行け!」

翡翠はルアンに護身用のフェニックスサモナーを手渡して先に行くように伝えた。

「はい!翡翠も無事に!」

そう言ってルアン・メェイはデクターの研究室に向かうのだった。

「…貴様…!」

「このっ!やろっ!」

腹蹴りして壁に激突させる。そして、翡翠もルアンの後を追ってその場を逃げるのだった。

 

…………

 

「ルアン!」「翡翠!…なんとか着きましたが…鍵が開かなくて…」

「まかせろ。」

翡翠はルアンに預けたフェニックスサモナーの弦を引き、エネルギー弾を放って破壊した。

「…よっし、こっからなら入れる。」

翡翠は空いた穴から研究室に入った。

 

そこは酷くがらんとして、少し気味悪い場所だった。

「何があるか分からない。用心しろよ。」

「はい。」

二人が辺りを見回すと、ルアンが何かに足を引っ掛けて転んだ。

「…大丈夫か?」

「…はい…大丈夫です…一体何に…」

何に転んだのか、後ろを振り返ると。それは人骨だった。

「ヒッ…」「こ、これは…」

それは既に白骨化してある遺体だった。

「…デクター…なのか?」

ルアンは立ち上がって、近くのパソコンで調べ始めた。

「翡翠、これを!」

翡翠を呼んで、共にデクターが書いたと思われる研究日誌を確認し始めた。

 

・A.E. 2023年 12月31日 記録

先程、このステーションのデータを全て私の新たな体のデータとして写した。恐らくそれを問いただそうとするのがいるやもしれないが、問題は無いだろう。バックドアは仕掛けてある。

 

「これは…さっき言ってた話か。」

「はい、デクターがデータを抜き取った時の事ですね。」

続けて日誌を読み漁る。

 

・A.E. 2024年 1月15日 記録

会員番号81番『ルアン・メェイ』のデータから面白い物が見つかった。かつて、グラモスに私が呼び寄せたスウォームの研究資料が見つかった。

これは非常に興味深いデータだ。これを解析すれば、我が計画を進める事ができそうだ。

 

「これ…」

「ええ…確かにこの日でした。」

そして、どんどん読み漁り、最後の日誌になった。

 

・A.E. 2024年 8月19日 記録

ようやくオリジナルのデータを完成させた。素体と私の接続も完璧だ。これで私の計画はうまく進められそうだ…

 

ここで日誌は終わっていた。

「……」

「何か、有益な情報はありましたか?」「ああ…奴の計画の詳細は分からんが…機械の体に切り替えたって事は分かったよ。」

すると、後ろからマーレラロイドが飛び上がってきた。

「くっ!」

蹴飛ばして転げ回るマーレラロイド。

「ルアン!ここの資料ダウンロード出来ないか?」

「分かりました。やってみます。」

外付けSSDでデーターをダウンロードするルアン・メェイ。

 

「…すぐに終わらせてもらう!」

翡翠は蒼激狼になり、剣を蹴飛ばして腹に突き刺す。

「そこだぁ!」

そして回し蹴りで貫通した。

「ば…かな…」

マーレラロイドは倒れ込み、そのまま灰になって消えた。

「…もうここに用は無いな。ルアン、ここを早く出よう。」

「ええ。」

 

……………

 

☆☆☆☆☆

 

なんとかステーションに戻ると、既にレギラーは居なかった。

「…あー助かった。ルアン、怪我はないか?」

「はい。なんとか。」

しかし、ルアンは俺の手元を見て、触ってきた。

「…?どした?」

「…怪我してます。ほら。」

ルアンは怪我していた俺の腕に包帯を巻いてくれた。

「ありがとな。」

感謝を述べると同時にスマホから連絡が入った。

 

『そろそろ迎えに行く。』

 

「ルアン。俺、そろそろ迎えが来るんだ。」

「そうですか…」

「短い間だったけど…ありがとな。」

握手しようと手を差し伸べる。

「こちらこそ、ありがとうございます。」

ルアンと握手を交わした。ルアンの顔が少し嬉しそうになった。

 

「…あ、そうだ。翡翠、こちらを受け取ってください。」

ルアンから箱と連絡先を貰った。

「これは?」

「列車に帰ってからのお楽しみです。」

ルアンは笑いながらそう呟いた。

 

…………

 

そして列車に戻ると、俺は早速箱を開けた。

「クッキーと手紙…」

それはハート型のクッキーと、一通の手紙が入っていた。

俺は早速その手紙を読んでみた。

 

『翡翠へ。今日はありがとうございました。また遊びに来れたら来てください。その時はお菓子をご馳走します。ルアン・メェイより。』

 

「アイツ…」

そしてクッキーを一つ口に含む。

 

クッキーはカカオの風味と少しだけ梅の香りがした。

 




・ルアン・メェイ
CV:大西沙織
天才クラブの会員番号81。

・翡翠
変態だとバレた。
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