【本編完結】開拓者のとある物語   作:サツキタロオ

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「…今回は前回の復習無しだ。」

「いつも無かったくない?」




episode.51:涙

………

 

「あれ…」

ウチは目を開けると、そこは真っ暗な空間だった。

「……!あ、翡翠!」

ウチは翡翠を見つけて近寄ろうとする。

…しかし、翡翠は黙ったまま振り返ってそのまま歩き始めた。

「…あ、待ってよ!」

 

ウチは翡翠の後を追う。

「ねえ、翡翠。ウチ、何か悪い事した?謝るから、こっち向いてよ」

「…………」

翡翠は無言で歩き続ける。

「ねえ、どうして何も言ってくれないの?」

「……」

翡翠はウチの言葉に何も答えてくれない。

「どうして、どうしてなの?ねえ、答えてよ!」

ウチは必死に訴えるが、翡翠はただ黙って歩き続ける。

「待ってよ!お願いだから、止まって!」

「……。」

しかし、翡翠は何も答えない。

そしてそのまま歩いて行ってしまう。

「……待ってよ……置いて行かないでよぉ……」

ウチは泣きながら追いかける。

でも、どんなに走っても追いつかない。それどころかどんどん距離が離れていく。

そしてとうとう見えなくなってしまった。

「あ……あぁ……」

ウチはその場で崩れ落ちる。

「やだよ……一人は嫌だよ……」

ウチは泣きながらうずくまる。

「……だれか、助けてよ」

だが誰も来ない。何も起きない。ただ時間だけが過ぎていくだけだった。

「助けてよぉ!お願いだからぁ!」

ウチは必死に叫ぶが、その声は誰にも届かない。

「ひぐっ……ぐすっ……」

ウチはそのままずっと泣き続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ………」

目が覚めると、そこは自分の部屋だった。

…さっきのは夢?無駄にリアルだったし怖かった。

ウチはベッドから起き上がる。

「……あれ?」

なんか体が重い。それに頭がボーっとする。

「風邪かな……」

とりあえず体温計を探そうとベッドから降りようとした時だった。

「あ、れ……?」

急に視界が歪んでいく。そして次の瞬間、ウチの体は床に倒れていた。

(あれ……?おかしいな……)

立ち上がろうとしても力が入らない。それどころかどんどん意識が遠くなっていく感じがする。

(どうしてだろう……)

そんな事を考えているうちにウチの意識は完全に途切れたのだった。

 

………

 

 

「…なの?」

「……?」

次にウチが目を開けると、翡翠が頭を優しく撫でてくれていた。

「……大丈夫そうだな。」

翡翠が安心して胸を撫で下ろす。

「えっと……ウチ、どうしたの?」

ウチは何が起きてこうなっているのか全然分からなかった。

「……覚えていないのか?」

翡翠が驚いた表情でウチの事を見る。

「うん……風邪かと思って体温計探そうとしたら急に意識が遠くなって……」

ウチはとりあえず自分の状況を確認する為に、ゆっくりと体を起こした。

「まだ寝ていた方がいいぞ」

翡翠がウチを支えて寝かせようとするが、ウチはそれを振りほどいて立ち上がった。

「大丈夫!ちょっとフラフラしちゃっただけだもん…!」

ウチは心配かけまいと笑顔を作る。

「……そうか」

翡翠は少し不安そうな顔をしていたけど、それ以上は何も言ってこなかった。

「あ、そうだ!今何時?」

ウチはふと時計を見る。針は既に午後の3時を指していた。

「もうこんな時間なんだ……」

「ああ、そうだな」

翡翠がウチの隣に座りながら答える。

「ねえ、翡翠」

「ん?」

「今日…怖い夢見ちゃって…」

「どんな?」

ウチは夢で見た事を全て話した。

「そうだったのか……」

翡翠がウチをそっと抱きしめてくれた。

「安心しろ、お前が落ち着くまでずっと傍にいるから」

「……ありがと」

ウチは翡翠の優しさに思わず涙が出そうになるが、ぐっと堪える。

でも…いつかこの関係も壊れてしまうかもしれないと思ってしまう。

その事を考えてしまうと…凄く怖い。

「ねえ、翡翠」

ウチは翡翠に問いかける。

「どうした?」

「……ううん。なんでも無い。」

「そうか」

翡翠はウチを抱きしめながら頭を優しく撫でてくれる。

「じゃあ、ウチはラウンジに行くね。」

ベッドから立ち上がってドアに向かおうとする。

「あ、待ってくれ」

「何?」

「……なんかあったら、相談しろよ。」

翡翠が心配そうな顔でウチを見る。

「うん、ありがと」

ウチは笑顔で答える。そしてそのまま部屋を出た。

「……はぁ」

一人になった途端、ため息が出る。

(やっぱり……言えないよ……)

ウチの心の中には不安と恐怖が入り混じっている。でもそれを口に出したらきっと翡翠を困らせるだけだ。

 

 

 

「ウチはどうすればいいんだろう。」

 

 

○○○○○

 

「最近、三月ちゃんの元気が無いわ。」

姫子がなのか以外を集めてそう言った。

「確かに、さっきも挨拶だけだったし。」

「ご飯もあんまり食べてなかったし…」

その場にいた全員悩むが、アクセルが何か閃いて呟いた。

「こういう時ってさ、大体翡翠が原因なんじゃないか?」

「え!?俺!?」

「確かに、最近の三月が元気無い理由の9割は翡翠だな。」

御影も続けてそう言う。

「…何か心当たりはある翡翠?」

ゼーレがそう翡翠を見て言うが、翡翠は覚えが無く悩む。

「もしかして翡翠がなのと全然付き合わないから拗れたんじゃない?」

「!?!?」

その場にいた全員星のとんでもないセリフに驚いてしまった。

ホタルと翡翠が一番驚いており、ホタルは慌てていた。

「翡翠を誰かに取られちゃう夢でも見ちゃったんじゃない?」

「!?!?」

その場にいた全員星のとんでもないセリフに驚いてしまった。

ホタルと翡翠が一番驚いており、ホタルは慌てていた。

「翡翠を誰かに取られちゃう夢でも見ちゃったんじゃない?」

「なるほど、それなら納得かもしれない。」

「焦ったいと思ってた。」

アクセルと御影も星の言葉に同情する。

「なるほどねー。」

「翡翠も罪作りね。」

ゼーレと姫子が面白そうに笑う。

「でも、どうすればいいんだ?」

御影がそう言うと、全員黙ってしまう。

「まあ、とりあえず今は様子見でいいんじゃないか?」

アクセルがそう提案すると全員が賛成した。

 

 

 

………

そして翌日。

 

 

「た、大変だぁ〜!」

星の声が響き渡り、翡翠達は急いで向かう。

「どうした?」

なのかの部屋にやってきていた星は置き手紙らしき物を持って震えていた。

「こ、これ!」

翡翠に手紙を渡す星。翡翠は黙ってその手紙を確認した。

 

『少し出掛けてきます探さないで。 三月なのか』

 

その場にいた六人は黙ってしまう。

しかし、翡翠はすぐに口を開いた。

「俺、探してくる!」

そして翡翠はそのまま走り去っていった。

 

 

 

………………

☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

俺は列車の廊下を走ってなのを探しに行こうとした。

「…翡翠。」

「?」

俺はホタルの声がして、後ろを振り返った。

「…どうした。」

「……そろそろ言ったほうがいいかなと思って…」

 

そしてホタルは一呼吸置き、そして口を開いた。

「…アタシ、翡翠のことが…好き…」

「だから…

「…………」

俺は口を開いたまま固まってしまった。

……

 

「…ごめん…俺は…「言わないで。」

俺が口を開こうとすると、ホタルは遮っていた。

「言わないで。言っちゃったら…アタシ…泣いちゃうかもしれないから…」

「…………」

「お願い行ってあげて。三月ちゃんの所に。」

「…わかった。」

 

そして再び駆け出そうとする。

「翡翠。」

「…?」

「三月ちゃんを…幸せにしてあげてね。」

「…わかった!」

 

そして俺はなのかの元に駆け出して行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………

☆☆☆☆

 

 

 

「……………」

アタシは翡翠がそのまま遠くに行くのを確認し、少し外の空気を吸いに出掛けた。

 

既に夜になっており、虫のさざめきが耳に響き渡っていた。

暫く歩いて、コンビニを見つけた。

 

ぐううぅ〜…

 

腹の音が鳴り、中に入って何か無いか確かめた。

そこにはオークロールが一つだけ残っていた。

「これください。」

支払いを済ませて、公園のベンチに座り込んだ。

 

……………

 

ふと、自分の頬から何かがこぼれ落ちてきた。

それは……涙だった。拭っても拭ってもとめどなく溢れてくる涙。

 

「なんで……泣くのかな……」

 

アタシはそう呟き、空を見上げる。

空は既に暗くなり、星が綺麗に輝いていた。

 

「ホタル。」

 

横から声がして、見てみるとそこにはゼーレさんが居た。

 

「隣、いいかしら?」

「……はい。」

 

ゼーレさんがアタシの横に座る。

「…アタシの事…ずっと見てて欲しかった。」

「……ええ。」

「アタシのわがままなのはわかってるんです。」

「……うん。」

ゼーレさんは静かに聞いてくれる。

「でも、それでも……ずっとそばにいて欲しかった……」

アタシは流れ出る涙を必死に止めようとしたけど、無理だった。

そしてとうとう嗚咽が漏れてしまった。

「うっ……ひくっ……」

「ホタル……」

ゼーレさんが優しく抱きしめてくれた。

「ホタルは十分頑張ったわ。辛かったのによく頑張ったわね。」

「うぅ……」

「だから……今は泣いていいのよ。」

そしてアタシは思いっきり泣いた。

 

アタシの泣き声だけが、夜の公園に響いていたのだった。



















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