「はあ…一体何があるんだろ。」
「何か二階が出来るらしいよ。」
「楽しみだね。58話、始まるよ〜。」
〜翡翠視点.
「二階ができたぞ!」
「はあ…」
ヴェルトさんからそう言われて、俺らは何も言えなかった。
よく見るとヴェルトさんの手にはハンマーやスパナが握られていた。
「お疲れだったなヴェルトさん。どんなとこなんだ?行ってみたい。」
御影はウキウキで聞いてみていた。
「あー!どうなってんだー!?」
するとアクセルがドタドタとラウンジに入ってきた。
「おい!ヴェルトさん!トレーニングルームが無くなってるぞ!説明しろ!」
「話を聞けアクセル。」
「分かった。」
うわぁ!急にスンってなるな!
…アクセルは少し見開いた目のままヴェルトさんの方へ向いた。
「トレーニングルームはだな、二階に置いたんだ。」
「二階!?二階なんてあったんだ!」
「さっき出来たのよ馬鹿。」
アクセルの後ろからゼーレがバインダーで頭を叩いた。
「ゼーレ。さっき出来た?どう言う事?」
「えーっとね。二階ができた。一階のトレーニングルームは、二階に移動されたのよ。分かる?」
「なるほど!」「理解が早くて助かるわ。」
ゼーレはため息をつき、ヴェルトさんを見た。
「で、二階ができたなら、何があるの?トレーニングルームしか分かんないわよ?」
「それは行ってみてからのお楽しみだ。」
「あっそ。」
ゼーレは興味のなさそうに答えた。
「御影、行ってみよ!」
「お、おい!星!引っ張るな!」
御影は星に腕を引っ張られ、二階に連れて行かれた。
「俺たちも行ってみるか。」
「うん!」
俺はなのかと共に御影の元に向かって行った。
………
「おー…」
俺たちが二階に行くと、そこはなんだかパーティー車両のような場所だった。
「すげぇな…こんなとこあったんだ。」
「うん。これは広いな。何人でも入れそうだ。」
俺はなのかと歩いて辺りを見回した。
「トレーニングルームは?」
「二階だってさ。」
「よし!行くぜ!」
アクセルは楽しそうに二階に上がっていった。
俺も続いて二階に向かった。
「おー…広いな!」
移動されたトレーニングルームは前より広くなっており、しかも中央にはスタジアム的な物が置かれてあった。
「ベッドがある…」
なのかが最初にトレーニングルームに来て呟いたセリフはそれだった。
「ホントだ。なんだろこれ。」
星も続いてなのかの横まで来て呟いた。
そこにはベッドが二つ置いてあり、左のベッドに書き置きがあった。
『これは特殊なシュミレーションマシンよ。このVRマシンを頭に着けた眠るとVR空間で戦闘訓練が可能になっているわ。これでトレーニングルーム内で出来ない大規模な戦闘訓練が可能よ。感謝しなさいよね。 マダム・ヘルタより』
置き手紙にはそう書いてあった。
「なるほど……VR空間で戦闘訓練か……」
俺はVRマシンを持って御影と睨み合う。
「どうしたの翡翠?」
「いや、ちょっとデートの予定を立てたんだ。」
「ふっ、デートか…きっと楽しいんだろうな。」
俺と御影はニヤリと笑い、ベッドに寝転がってVRマシンを頭に着けた。
「「あ!ちょっと待って!!」」
なのか達が俺らを引き止めたが、もう遅かった。
俺たちはVRマシンを着けるとすぐに意識を手放してしまった。
………
俺が目を開けると、そこは宇宙で中央に巨大なコロニー、それを囲うようにコースがあった。
……ここは…ファイナルラッシュか…
「ふーん。フィールドは、最初に着けた奴が思い浮かべたフィールドが選択されるらしいな。」
「ああ。どうせなら、お前と本気の戦いってのをしてみたかったからな。」
俺らは見合いながら、歩く。
「さて、どっちが早いかケリをつけよう。」
「へっ、上等だ。」
俺と御影は同時に初速を爆発させ、加速した。お互い凄まじいスピードを出してコースを走っていく。
「はあっ!」
前を走る御影にホーミングアタックを仕掛けて、御影の前に出る。
転げた御影は再起して、すぐさま再加速した。
「はあっ!」
さらに加速して御影を追い抜くと、置いてあったグラインドレールに乗ってお互い睨み合った。
「ふっ、早いな……」
「へっ、お前もな!」
「そりゃ…どうも!」
俺は一気に加速して、御影に向かって再度ホーミングアタックをお見舞いした。
「ぐっ!」
御影はグラインドレールにさらに加速して乗っかると、横にホーミングアタックを躱した。
「やるな……しかし……」
俺は一旦速度を落とし、急カーブをすると遠心力に任せて、御影に向かって突っ込んだ。
「うおっ!?」
「チェックメイトだ!!」
そう言って御影の前に立ち、両足キックを顔面に繰り出した。
「ぐあっ!」
御影は吹き飛ばされ、コースに倒れ込んだ。
俺は深呼吸しながらブレーキをかけて、御影の元に近寄った。「俺の勝ちだ。」
「……ああ……流石最強だな。」
俺は御影に手を差し伸べ、御影は俺の手を掴んで立ち上がった。
「まだまだ鍛えないとな……」
「ああ。そうだな!」
俺らはVRマシンを外して現実世界に戻ってきた。
するとなのかと星は怒っている様子だった。
「翡翠!なんで何も言わずにしたのさ!心配したんだよ!?」
「ごめん…なの…」
「御影…少しは人の話聞こうよ…」
「ごめん…星…」
俺と御影はなのかと星に叱られ、罰としてジュースを奢らされた。
「うう……しけてんなぁ……」
御影は自販機のジュースを見て、そう言っていた。
「ま…何も言わずに始めたのも悪いとは思うけど…」
俺は自販機で買ったコーラを御影に渡した。
「おお!サンキュー!」
御影は嬉しそうにコーラのプルタブを開けて、一気に飲み干した。
「プッハー!!やっぱこれだな!!」
「……飲み方までおっさん臭いぞ……」
「うるせぇな。やってみたら分かるよ。」
御影はそう言うと、また自販機に小銭を入れて再びコーラを買っていた。
「また買うのか?」
「ああ。運動したからな。今日は飲めるまで飲むつもりだ。」
「太るぞ。」
「うっせぇ!」
御影はそう言って、ラウンジに戻っていった。
〜御影視点.
「はあ…あいつほんとに早いな…俺ももっとトレーニングしないとな……」
俺はラウンジに出ると、星が近づいてきた。
「ん…?星…その服…」
「あっ…御影…どう…かな?」
星は前より大幅なイメチェンを遂げていた。
サイドテールに髪も変えられており、上着にボディバッグ、ヘアピンも付けて、ニーソックスを履いていた。
「おお……似合ってるな。」
「ありがと御影…昨日買い物したから、それに合わせたんだ……」
「そっか…うん…なんで急に?」「えへへ……気になっちゃって……」
星は俯いて顔を赤くしていた。
「……そっか……」俺はそういうと、星の頭を撫でてやった。
「ふぇっ!?み……御影?」
「可愛いよ。」
俺がそう言うと、星は更に赤くなって顔を両手で覆っていた。かわいい。
「えへへ……嬉しいな……」
そう言って星は微笑んだ。釣られて俺も微笑むのだった。
「こんな時間がいつまでも続けばいいのに。」
「…ああ。でも、まだ遠いだろうな。だが、いつかは平和な時を取り戻すさ。」
俺は窓を眺めながら、そう決意するのだった。
2.7来るわね。