黒い沈黙の行先   作:シロネム

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評価、感想ありがとうございます!


アンケートの結果、俗に言うモブ生徒に固有名称は用いらない事にしました!

呼称の際は、Aチームや隊長の様なあだ名を用いることにします!


投票、ありがとうございました!




~合宿~ 下準備

 

――トリニティ別館・合宿所

 

 

一度シャーレに帰還したローランは、必要な荷物を手袋に詰め、先生と共にトリニティの離れに存在する別館へと訪れていた。

 

 

 

「ここが合宿所であってるのか?」

 

"座標を見るに、そうみたいだよ?"

 

「……桐藤の話では、今は使われてない別館の建物とか言っていたが……」

 

"す、凄い奇麗だね……"

 

 

 

……てっきり、廃墟にでも案内されるのかと思っていたが……予想以上に整備されてるな……。

 

というか、これだけの建物を使ってないって、勿体無さ過ぎるだろ……。……下手したら巣にある建造物より豪華だぞ……。

 

 

 

"とりあえず、荷物でも置きに行こっか"

 

「そうだな。……と言っても、俺は別に置くような物がある訳でもないし、少し建物の様子を見てくるよ」

 

"あ、そっか。……いいなぁ、その手袋。……それって、入れて置ける容量とかないの?"

 

「多分、無いんじゃないか? ……試したことないから分らんが、大体の物は収納できるぞ」

 

"便利だなぁ~"

 

 

 

工房製なのか特異点なのか……それすらも分からないが、

 

 

――生きてるうちに、どこで手に入れたのか聞いておくべきだったな

 

 

 

"それじゃあ、また後でね"

 

「あぁ、また後でな」

 

 

 

★★★★★

 

 

 

――合宿所・廊下

 

 

先生から合宿所の間取り図を預かったローランは、設備の老朽化や問題があった際の非常口などの確認を行っていた。

 

 

 

「本当に広いな……。体育館にプールまであるのか……」

 

 

 

本校舎と比べても、遜色ない程立派な建造物。ローランが見て回った限りでは、多少の劣化は見られるものの、建物に致命的な問題は見つからなかった。

 

 

 

 

――そう。……建物には、問題がなかった。

 

 

 

 

「……こんなものか。……ん?」

 

 

 

問題があるのは、どちらかと言うと……

 

 

 

「…………代理人? こんな所で立ち止まって、何かあったのか?」

 

「いや、それは俺のセリフなんだが……。……お前も、合宿所を見て回っていたのか?」

 

 

 

合宿所を訪れている、生徒の方だった。

 

 

 

「あぁ。地形の把握は最優先で行うべきだからな」

 

「……うん?」

 

「入り口は二つ。トリニティ本校舎からの距離を見るに、恐らく狙撃の危険性もないだろう。緊急時は片方の入り口を塞ぎ、襲撃者たちを1階の体育館に誘導した上での殲滅戦が有効。セキュリティ上の脆弱性は確認できたが、改修すれば問題はない範囲……」

 

 

「待て待て待て。お前は一体何を想定しているんだ?」

 

 

「何って、集中訓練期間時に接敵した場合の想定だが……」

 

 

……

 

 

「…………その時は何とかしてやるから……アズサ、お前は勉強のことだけ考えていてくれ……」

 

「……? 代理人がそう言うなら従うが、代理人は戦えるのか……?」

 

「……少なくとも、トリニティにいる生徒にやられる程……軟じゃないよ」

 

「……そうか。代理人も鍛えているんだな」

 

「鍛えて……、……まぁ、そんな所だ。……ほら、取り合えずみんなの所に行くぞ」

 

「了解」

 

 

 

アズサと合流したローランは、過剰に警戒するアズサに頭を抱えつつ、みんなの待つ宿舎へと案内しようと思ったが……

 

 

――それよりも先に、視界から消えることのない巨大なバックパックに、目が留まってしまっていた……。

 

 

 

「……あー、アズサ? ……その鞄には何が入ってるんだ? ……そんなに必要なものは多くなかった筈だが」

 

「これか? 数日分の体操着や着替え、歯ブラシ、歯磨き粉、石鹸、非常食、毛布、水筒、懐中電灯、軍手、タオル、救急キット、予備の銃と弾丸、即席用の各種爆薬に制圧用の催涙弾、対人地雷とクレイモア、それから……」

 

「いや、もういい…………もう十分だ、アズサ」

 

「そうか? まだ半分も説明していないが……」

 

「お前は一体何と戦ってるんだ……。……もういいから、その荷物を渡せ。……勉強前に余計な体力を消耗するな」

 

「……分かった。……かなり重いが、大丈夫か?」

 

「……コレに仕舞うから問題ない」

 

「……あぁ。そう言えば、その手袋があったな……」

 

 

 

半ば強引に荷物を収納したローランは、アズサの襟首を掴み……

 

 

――宿舎へと引き摺って行くのであった。

 

 

 

「……この体勢は、楽で良いな」

 

「…………そのまま大人しくしていてくれ」

 

 

 

★★★★★

 

 

 

――合宿所・宿舎

 

 

 

自身が使用する寝室に荷物を降ろした先生は、補習授業部のみんなが使用する共同宿舎を訪れていた。

 

 

「それにしても、しばらく使われていない別館の建物と聞いていたので、冷たい床で裸になって寝ないといけないのかと思ってましたが……、広くて可愛いベッドもあって何よりです。

 

……これなら、みんなで寝られそうですね、裸で」

 

「は、裸で寝るわけないでしょ!? ダメ! エッチなのは禁止! 死刑!!」

 

"……みんな元気だなぁ~"

 

「あ、あの、これから一週間寝食と勉強を共にするので、皆さん仲良く…………って、あれ? アズサちゃんは……? それに代理人も居ないみたいですが……」

 

"あー、代理人なら建物の様子を見てくるって……"

 

 

 

(コンッコンッ)

 

 

 

"噂をすれば、かな? ……入っていいよー!"

 

 

「……あぁ、邪魔するぞ……」

 

"お帰り……って、な、なんでそんなに疲れてるの……?"

 

「……色々あったんだ、……色々な。……アズサ、着いたぞ」

 

「……ん、あぁ。……良い休息時間だった。この移動方法は悪くないな」

 

「……もう二度とやらん」

 

 

 

(精神的な)疲労を隠し切れないローランと、運ばれている間ずっと眠っていたのか、疲れが取れたような表情を浮かべるアズサ。

 

 

 

「偵察完了だ」

 

「て、偵察?」

 

「あぁ。この施設を使用する上で、危惧するような問題は見当たらなかった。万が一強襲されたとしても、代理人が何とかしてくれるそうだ」

 

「……えっと?」

 

「……」

 

「……あの、アズサちゃん? ……私たちはここへ戦いに来たのではなく、勉強をしに来たんですよ……?」

 

「……もっと言ってやれ、ヒフミ」

 

「うん、分かってる。一週間の集中訓練だろう? 外出禁止、自由時間は皆無、24時間一挙手一投足まで油断することは許されないハードなトレーニング。

 

……まぁ、散々やってきた内容だが

 

「そ、そこまでではないと思いますが……」

 

「いや、そんなに厳しくないからな? 休息も取るし、自由時間だって用意してるよ……」

 

「うふふっ、みんなで一緒に食欲を満たし、睡眠欲を満たし、そしてみんなが欲する目標へと向かって脇目も振らず手を動かす……。……良いですね、合宿」

 

「……。……うん、そうだね。

 

……あ、でも任務は確実に遂行する。きちんと勉強をして、第2次特別学力試験にはどうにか合格する。その目標のためにここに来たんだ」

 

「……良かった、目標までは見失ってなかったか」

 

「勿論だ。……みんなに、迷惑は掛けたくない」

 

「……」

 

「アズサちゃん……」

 

"……"

 

「……えっと、とりあえず、状況を纏めますね。……ナギサ様から言われた通り、第1次特別学力試験には残念ながら落ちてしまったので……この別館で合宿をすることになりました。

 

私たちは2次試験までの一週間、ここに滞在することになります」

 

"一週間、みんな頑張ろうね"

 

「はい! ……幸い、施設に関しても問題はなく、少しお掃除すれば全然使えそうですし、体育館やシャワー室なども充実しているみたいです」

 

「そういえば、体育館やプールもあるみたいだな」

 

「あ、そうだったんですね。……あと、ここはトリニティの本校舎からも頑張れば歩ける距離ですし、地下に食堂設備のようなものもありましたから、特にお腹を空かせる心配もなさそうです」

 

"食堂設備……。……そう言えば、代理人って料理とか出来るの?"

 

「俺か? ……まぁ、出来なくはないぞ。向こうに居た頃は基本的に外食ばかりだったが、自炊することも無かった訳じゃ無いからな」

 

"そうなんだ。……それじゃあ、後で何か作ってよ!"

 

「まぁ、別に構わないが……。……そしたら、後で食材の買い出しにでも行ってくるよ」

 

"あ、ちゃんと食べられる食材でお願いね?"

 

「分かってるよ。……というか、食べられない食材はキヴォトスじゃ手に入らないだろ……」

 

「あ、あはは……。……というわけで、私たちがここにいる間、先生と代理人がずっと一緒にいてくれる予定ですので、何かあっても大丈夫だと思います!」

 

"みんなよろしくね~"

 

「そうだな。何か問題があったらすぐに教えてくれ」

 

「はい! ありがとうございます。……えっと、通路を挟んで向かい側にもお部屋があるのですが、先生と代理人は……」

 

「折角ですし~、お二人もこのお部屋で……」

 

「ダメっ、絶対ダメ!! 同衾とかエッチじゃん!!!!死刑!!!」

 

「えっと、コハルちゃん? 私まだ何も言っていませんが……」

 

「何を言い出すのかだいたい分かるわよ!!ダメったらダメ!」

 

「コハルちゃんは厳しいですねぇ……」

 

「私は二人が一緒で一向に構わないけど? ベッドも余ってるし、無駄に部屋をいくつも使うこともない」

 

「いや、部屋も余ってるし、態々一緒の部屋に居る必要もないだろ……」

 

"みんなはみんなで交流を深めておいてね。何かあったら、呼んでくれればいいからね"

 

「で、では一旦そういうことで。そうしたら、荷物を片付けてさっそくお勉強を……」

 

「あら、でもその前にやることがあると思いませんか? ヒフミちゃん?」

 

「えっ……?」

 

 

 

やること? ……何か事前準備が必要なことでもあったか?

 

 

 

「なるほど、敵襲を想定してトラップの配置を?」

 

「いえ、そうではなく……」

 

 

 

――お掃除、ですよ

 

 

「……お、お掃除、ですか?」

 

「はい。管理されていた建物とはいえ、長い間使われていなかったこともあって、埃なども多いように見えませんか?」

 

「言われてみれば確かに埃なども溜まっているみたいだが……、……そんなに気にするほどか?」

 

「勿論です。このままでは健康に良くなさそうですし、今日はまずお掃除から始めて、気持ち良い環境で勉強を始めるというのはいかがでしょう?」

 

「なるほど、確かにそうですね。まずは身の回りの整理整頓から始めるのは定石ですし、そうでないと途中で気になってしまいますし……」

 

「……まぁ、好きにやってくれ。幸い時間だけはあるからな」

 

"そうだね。それじゃあ、今日はお掃除からやろっか!"

 

 

「「「「はい!」」」」

 

 

 






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