黒い沈黙の行先   作:シロネム

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~会敵~ 美食研究会

 

 

チーズケーキやロールケーキ、フォンダンショコラなど、様々なスイーツに舌鼓を打つ一同。

 

 

 

「……美味い。……お前が気に入るだけのことはあるな」

 

「でしょう? ここのスイーツはどれも美味しいんですよね」

 

「お、美味しいです~! しっかりとしたチーズの味と、甘いタルト生地の相性が最高です!」

 

「……美味しい」

 

「あら、本当に美味しいですね。これはハスミさんが虜になる理由も分かりますね~」

 

「お、美味しい……!」

 

"シロちゃん、本当にご馳走になっちゃって良いの?"

 

「えぇ、勿論。……貴方を見ていると、昔の友人を思い出しますね」

 

"……それって、もしかして代理人の……"

 

「あら、ご存じでしたか? ……まさか、貴方がアンジェリカのことを先生に伝えているとは」

 

「……まぁ、色々あったんだよ。……見た目所か名前まで同じだとは思わなかったがな」

 

「そうなのですか?」

 

"あ、あはは……。私もビックリしたよ……"

 

「偶然……とは言い切れなさそうですね」

 

 

 

(TELLLL……TELLLL……)

 

 

 

店内に鳴り響く着信音。聞きなれた音に気付いたローランは、手袋から携帯電話を取り出した。

 

 

 

「……イオリ? こんな時間に……と言うか、アイツが俺に電話を掛けてくるとは……」

 

 

 

(ピッ)

 

 

 

「……もしもし」

 

「やぁ、腹黒小僧。あんた今、トリニティに居るだろう?」

 

「何で知ってるんだよ……」

 

「私は情報通だからねぇ。……ちょいとあんたに頼みたいことがあってさ、傍に先生もいるならスピーカーにしてくれたまえよ」

 

「……分かった」

 

 

 

そう言われたローランは、携帯電話をスピーカーモードに変え、テーブルへと置いた。

 

 

 

「さて、それじゃあさっそく本題に入ろうか。うちの問題児が4人、トリニティ自治区に侵入したみたいでねぇ。彼女達を捕まえて欲しいのだよ」

 

「問題児? ……ていうか、ゲヘナの生徒がトリニティ自治区に来てるってことか?」

 

 

 

「! ……ゲヘナによる襲撃ですか!?」

 

「まぁまぁ、ハスミさん。落ち着いてください」

 

 

 

「その通り。普段であれば気にすることでもないのだが、腹黒小僧。あんたなら、事の重大さが分かるだろう?」

 

「……エデン条約前に問題を起こしたくないってか?」

 

「理解が早いねぇ。やっぱり、エデン条約の情報を仕入れていたかい」

 

「問題なのは分かったが、だったら猶更お前が捕まえれば良くないか? お得意の次元跳躍ですぐに捕まえられるだろ?」

 

「そう言う訳にもいかないのだよ。今の私は仮にもゲヘナ学園の生徒だからねぇ。……お嬢ちゃんがトリニティ自治区で目撃されると問題しかないのさ」

 

 

 

「今の私?」

 

「次元跳躍……? それに、その話し方…………もしかして、紫の涙ですか?」

 

 

 

「おや? 私のことを知っているとは……聞き覚えのない声だが、一体誰だい? 」

 

「白の便利屋だよ。お前と同じ……じゃないが、似たようなことになってるんだ」

 

「……へぇ。それは、良いことを聞いたねぇ。私もそっちに行きたくなってしまうじゃないか」

 

「絶対来るなよ? ……というか、お前ら知り合い同士だったのか?」

 

「えぇ、まぁ。遺跡などで偶に会うぐらいでしたが」

 

「白の便利屋までいるとは丁度良いじゃないか。そっちに侵入した問題児4人を捕まえてくれたまえよ」

 

「……まぁ、分かった。今問題を起こされたら、シャーレとしても困るしな。……良いよな、先生?」

 

"うん……。……今問題が起きたら、エデン条約どころのお話じゃなくなっちゃうからね"

 

「……それじゃあ、宜しく頼むよ。彼女たちの目的は、恐らくアクアリウムだろうねぇ」

 

 

 

(ピッ)

 

 

 

「切りやがった……」

 

「まさか紫の涙がこの世界に来ているとは……」

 

「まぁ今は色々あって、ゲヘナ学園の生徒になってるんだけどな」

 

 

 

★★★★★

 

 

 

――トリニティ自治区

 

 

 

真夜中の道路を爆走する一台の車。

 

 

 

「ねぇぇぇぇ!! なんでこんなとこまで来ちゃったの!? トリニティのど真ん中じゃん!?」

 

「仕方ありません、あのゴールドマグロと聞いては黙ってみているわけにはいきませんし☆」

 

「ふふっ。あの伝説のマグロを、ただ観賞用として扱うだなんて……そんなこと、美食に対する礼儀がなっていないというものですわ。

 

美食というのは孤高でありながら、普遍的でなくてはなりません……。……そうですよね! フウカさん!」

 

「んんっ!? んーーーーっ! んんんんんっ!?」

 

「御覧なさい。このゲヘナの給食部部長の、感涙にむせび泣くほどの同意を!」

 

「猿ぐつわのせいで、何を言ってるのかさっぱりですけどね☆」

 

「ふふっ。……それに、この時期であれば風紀委員も碌に動けないでしょうから、丁度良い機会でしたね」

 

 

 

金色に輝くマグロを取り押さえ、車に積み込まれた水槽へと押し込んで行く。

 

 

 

――そんな光景が、ローラン達の目の前で繰り広げられていた。

 

 

 

 

 

 

「あいつらが、美食研究会か?」

 

「ほ、本当にゲヘナの方がいらっしゃいますね……」

 

「皆さん、戦闘準備を。コハル……期待していますからね」

 

「は、はい!」

 

"みんな準備はいい?"

 

「それじゃあ、行くぞ」

 

 

 

 

 

 

(ダダダッ!)

 

(ダンッ、ダンッ)

 

 

 

戦場を飛び交う銃弾。先生の指揮の元、美食研究会のメンバーを一人ずつ倒していく補習授業部達。

 

 

 

「……よっと、大丈夫か?」

 

 

 

全員が目の前の相手に夢中になる隙を突き、捕らえられていた少女の縄を解くローラン。

 

 

 

「あ、ありがとうございます。……えっと……」

 

「ん、あー……俺はシャーレの……」

 

「代理人……ですよね。あの……、ありがとうございま……」

 

 

 

 

 

 

「こ、このままじゃ全員やられちゃ…………っ」

 

 

(ダンッ)

 

 

「あら、ジュンコさん……。やられちゃいましたかぁ。……仕方ありません、ここはバラバラに逃げさせて頂き…………っ」

 

 

(バンッ)

 

 

「えぇっ!? ちょ、ふ、二人とも!? ……うわーん! みんなやられちゃったぁーーー!」

 

「仕方ありません。イズミさん、ここは二手に別れましょう。この先は運任せとなりそうですが、それもまたスパイスのようなもの! それでは!」

 

「え、ちょっ、お、置いていかないでーーーー! うわーん!」

 

 

 

仲間を捨て置き、二手に別れ、全速力で走りだす美食研究会。

 

 

 

――だが、その足取りも長くは続かなかった

 

 

 

「……逃がさないわよ、ハルナ」

 

 

 

(キンッ)

 

 

 

捕らえられていた給食部部長、愛清フウカが地面に投げつけた音叉

 

四つ叉に別れた水色の音叉は、地面に当たると同時に、

 

 

 

 

 

 

――走り出したハルナの身体を引き寄せた

 

 

 

 

 

 

「あ、あら……? 身体が、動かな……」

 

「……その模様はU社の……」

 

「……はい。J社が滅ぼしたU社の残り物……を工房で改造したものです

 

 

 

――収束共鳴器と、私達は呼んでいます

 

 

 

 

 

 

「……なるほどな。あの船(ゴールデンフリース号)でU社が折れていることは知っていたが、特異点はエリュシオンが回収していたか」

 

「……色々と苦労はしましたが、J社に取られるわけにも行かなかったので」

 

「……決まりだな。……様子を見るに、ゲヘナ地区担当はお前か」

 

「はい。給食部部長の愛清フウカです。…………捕まえたわよ、ハルナ!」

 

 

 

独特な音を発しながら震える、水色の音叉。

 

決められた方向に指向をもって放たれる振動は、最初に触れた対象を共鳴器の元に収束させる。

 

 

 

エリュシオンの所属でありながら、優れた戦闘能力を持たない彼女に与えられた切札。

 

 

 

連続で投擲することによって、疑似的な空中浮遊や高速での移動を可能とする。

 

 

U社の特異点、支社が持ち込んでいた一部を回収し、エリュシオンの工房で作られた収束共鳴器を、

 

 

 

――彼女は複数所持していた。

 

 

 

「本来はジュリ用に借りたものだけど……持って来て良かったわ」

 

「あ、あの、フウカさん? な、縄を解いて欲しいのですが……」

 

「解く訳ないでしょ!! このまま風紀委員に突き出してやるんだから!」

 

 

 

 

 

 

「こっちも捕まえました!」

 

「きゅ~……」

 

「ゲヘナからの要請は4人でしたね」

 

「うん。これで終わり」

 

 

 

 

 

 

「……だそうだ」

 

「無念、ですわね。全員、捕まってしまうとは……」

 

「全く! 私を巻き込まないでよ!」

 

「ふ、フウカさん。先ほどの道具は一体……。それにU社?とは……」

 

「……秘密。……ハルナは、知らない方がいいわ」

 

「……まぁ、都市について知ったところで、碌なことにならないだろうしな」

 

 

 

 

 

 

「都市……。……それってもしかして、ピエールさんが言っていた外の世界の……」

 

 

 

 

 

 

「ピエール?」

 

「……恐らく、と言うか間違いなく都市からの流れ者です。……代理人は、ピエールのミートパイってご存じでしょうか……?」

 

「ピエールのミートパイ……。…………あー、知ってる。……23区のイカれた料理人だろ?」

 

「はい……」

 

「図書館にも来たから知ってはいるが……、……まさか、この世界に来ているのか?」

 

「……正確には、来ていました。私もハルナから聞いた話ですが、イオリさんが対処したみたいで」

 

「イオリが? ……まぁ、あの程度なら、イオリの相手にもならないだろうな」

 

 

 

「ピエールさん…………ぅ……っ……ぉぇ……」

 

 

 

(びちゃっ……びちゃびちゃ……)

 

 

 

突如、口を押え吐瀉物を溢すハルナ。……嫌な事でも思い出したのか、胃の中が空になるまで吐き続けるのであった。

 

 

 

「お、おい。……大丈夫か?」

 

「……ぁ……っ……」

 

「ハルナ……」

 

「……もしかして、あいつ等のミートパイを食べたのか?」

 

「……はい。……私も教えなければ良かったのですが、食材の事を教えてしまって……」

 

「……あー……、それは……嫌なことを思い出させたな……」

 

 

 

……食材が人肉だなんて知らされたら、気もおかしくなるよな……。

 

 

 





オリジナル要素については、用語集として今度纏めておきます。

い、色々と勝手なモノや設定を生やしているので……。




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