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無事全員、合格点を取ることが出来た補習授業部。
「や、やりました……!?」
「ほ、本当っ!? 嘘ついてない!?」
「……!」
「あらあら」
「すごいです! アズサちゃん、60点どころか70点を超えてしまいました! 本当にすごいです! 頑張りましたね……!」
「……うん!」
「あはっ……こ、これが私の実力よ! 見たか!!」
"みんな頑張ったね!"
「あぁ、この調子なら次の本番で終わりそうだな」
……
「……ということで、約束通りモモフレンズグッズの授与式を始めますっ!」
"ほんとにやるんだ……"
「……!!!」
「あはは……」
「……」
「さぁ、どうぞ! みなさん好きな子を、欲しい子を自由に選んで良いんですよ!」
「なるほど、となると……! むむ……」
「えっと、私は謹んで遠慮しますね」
「わ、私も……」
「……まぁ、選び終わったら教えてくれ」
――10分後
「私には、無理だ……頼むヒフミ。ヒフミが私の代わりに選んで……」
「わ、私ですか? ……えっと、スカルマン様とペロロ博士ですよね。強いて選ぶとすると……」
「……」
「こちらの、インテリなペロロ博士でどうでしょうか!」
「……! よし、じゃあこの子だ!」
"良かったね、アズサちゃん"
「うん、気に入った。本当に可愛い、好き。えへへ……。ありがとう、ヒフミ。これは一生大切にする」
「あ、ありがたいのですが、そこまで言っていただけるとちょっとビックリしてしまいますね……!? ですが、私も嬉しいです。それは、アズサちゃんがやり遂げたからこそですよ」
「うん。それでも同時に、友達からもらった初めてのプレゼントだから……。……これからはこのカバのことを、ヒフミだと思って大事にする!」
「そ、それはちょっと恥ずかしいですね……!? そ、それとカバではなく鳥でして……」
「うーん……趣味の世界は広いですねぇ」
「……」
★★★★★
そうして時間が過ぎていく。来る日も来る日も勉学に励み、試験対策の模試を行い……、
「……いよいよ明日です」
「う、うん……」
「第2次特別学力試験」
「ふふっ……何だかあっという間でしたね」
「はい……1週間という短い時間でしたが、私たちはきちんと努力を積み上げました。これは必ずや無駄にはならないと信じています」
「……」
「模試の結果も良かったですし……今の私たちであれば十分に、第2次特別学力試験に合格できるはずです!」
「そうですね。……あら? そう言えば、先生と代理人は……」
「二人なら、少し出かけてくるって」
――ティーパーティー
(コポコポコポ)
(カチャ)
紅茶の香りが漂うテラス。1週間勉学に励んだ補習授業部の活動報告ため、ローランと先生はナギサの元を訪ねていた。
「……お待ちしておりました。ご無沙汰しております、先生、代理人。あれからお変わりはありませんか? 合宿の方はいかがでしょう、何か困ったことはありませんでしたか?」
"うん、おかげさまで何とかね"
「白の便利屋は居ないんだな」
「彼女には席を外して貰っています。シロさんから聞いてはいましたが、やはりお知り合いでしたか」
「……そうだな。昔からの友人だよ」
"ところで、今日はどんな用事?"
「ふふっ……この合宿は言うなれば元々、生徒たちをよく観察できるようにという配慮でした。……そういうことなのですが、いかがでしたでしょうか? 何か判明したことなどありましたか?」
「……直接言ったらどうだ? 裏切者が誰か分かったのか聞きたいんだろ?」
「……本当に、察しの良い方ですね」
"……前と同じになるけど、私たちは私たちのやり方で対処するよ"
「……そうでしたね。ただ第2次特別学力試験を目の前にして、あらためてそこを確認したかったのです。それに……」
――おそらく、ミカさんも接触してきましたよね?
"……"
「ミカさんと何をお話になったのか……よろしければ、教えていただけませんか?」
"……ナギサちゃん"
「はい?」
"私たちは、誰かを疑うことに時間を費やすつもりは無いよ"
「……?」
"あの子たちの頑張りが報われるように、最善を尽くすだけ"
「……」
「まぁ、先生ならそう言うよな」
「……。……一度あらためて、説明してみましょうか? どうして彼女たちなのか。お二人にも色々と情報網があると思いますが……順番にお話ししましょう」
ナギサの口から語られる、補習授業部について。どうしてこのメンバーが、補習授業部の所属となっているのか。
正義実現委員会を統制する為
才能を無碍にする理由を確認する為
存在自体が怪しい為
恐ろしい犯罪集団のリーダーという噂を確かめる為
"誤解だよ……ちゃんと事情があって、私もちゃんと説明を……"
「どうやって?」
"……"
「証明ができるのですか? ヒフミさんの心を、本心を、本音を、どうやって証明するというのですか?」
"それは……"
「私たちは他人です。どこまで行っても、どう足掻いても、所詮は他人です。相手を真に理解することなんて、出来ないんですよ」
"……"
「ですから、退学させるしかないのです。エデン条約……その成功のために」
"……分かったかもしれない"
「……?」
"ナギサちゃん。今の君はきっと、疑心暗鬼の闇の中だ"
「……はい? 疑心暗鬼の、闇……?」
「要するに、警戒しすぎってことだ。……そもそも、たった一人の生徒によって崩壊するほど、エデン条約の締結は厳しいものなのか? お前の傍には、少なくとも白の便利屋がいるのに?」
「それは……」
"ナギサちゃん。……今のナギサちゃんは、見たいものだけを見て、信じたいことだけを信じてるんだと思う"
「……」
"疑心暗鬼の闇。……いつか、君をそこから出してみせるよ"
「……ふふっ、そうですか。……頑張ってくださいね、先生」
――私は私なりに、頑張りますので
★★★★★
(キーンコーンカーンコーン)
「本日もお疲れさまでした! 明日はついに、第2次特別学力試験ですね!」
「そうだな。……と言っても、この様子を見る限り、今のお前らなら十分合格点を取れると思うぞ」
「本当ですか!」
"うん! みんな頑張ったからね~"
「先生と代理人からお墨付きを頂けましたし……あとはしっかり試験に合格して、堂々と補習授業部を卒業するだけですね!」
合宿が始まる前と比べ、明らかに成長した補習授業部の面々。……だが、全員が合格するということは、
――それは同時に、補習授業部が無くなることを表していた。
「……そうか。合格したら、もうお別れか……」
「ちょっ、ちょっとアズサ!? どうしてそんな急にしんみりするわけ!?」
「なるほど。合宿も含めて、何だかんだですごく楽しかったですもんね?」
「……あぁ。いや、それでもやっぱり、出会いがあれば別れもある。……全ては、虚しいものだ」
「そう悲観することでもないだろ。別に生き別れる訳でもないんだから」
"そうそう。それに、もしみんなで集まりたかったら、シャーレを使ってくれてもいいしね"
「無駄に広いもんな……。……居住スペースも沢山あるし」
「あらあら。それじゃあ、今度みんなでお邪魔しますね」
「そ、それに、私はいつも正義実現委員会の教室にいるから! ひ、暇な時があったら来てもいいんだからね!」
「……うん」
「……えっと、気持ちとしては同じなのですが、取りあえず試験に合格することが先決と言いますか、何だか急に青春ドラマのエンディングになっているような……」
「まぁとにかく、今日は早く休んで明日に備えておけ。寝不足でコンディションを発揮できない、とか言われても困るからな」
「……そう言えば、明日の試験会場って前と同じところ?」
「あ、そう言えば告知をまだ見ていませんでしたね! えっと、トリニティの掲示板っと……」
「……? ……ヒフミ?」
「……え、ええっ!?」
「ヒフミちゃん? どうかしましたか?」
「え、嘘っ!? 嘘ですよね!?」
「ヒフミ? ……っ、なるほどな」
ヒフミの端末に記されていた文章。
――補習授業部の第2次特別学力試験に関する変更事項のお知らせ
試験範囲を既存の範囲から約3倍に拡大し、合格ラインを60点から90点に引き上げとする。
「わ、私でもまだ、90点なんて超えたことないのに……」
「ど、どういうことよこれ……」
「昨日、急にアップされたみたいです……試験直前になって、こんな……」
"……代理人。これって……"
「……あぁ。……間違いなく、ナギサの仕業だろうな」
「……」
「……なるほど。……露骨なやり方ですねぇ……どうしても私たちを退学にしたいと」
「ハナコ、それは……」
「……退学?」
「えっ、た、退学!? ちょっとどういうこと!?」
「そのお話もそろそろお伝えしようと思っていましたが……その前に、他にも変更された部分がありますね」
「あ、試験会場と時間も変更されてます……試験会場はゲヘナ自治区第15エリア77番街、廃墟の1階……」
"……ゲヘナ? ヒフミちゃん今、ゲヘナって言った……?"
「……。……ゲ、ゲヘナで試験を受けるんですか!?」
「な、何でよ!? どうしてトリニティの試験をゲヘナで受けるわけ!?」
「もし行かなければ未受験扱いで不合格、ですよね……」
「そ、それもそうだけど、さっきの退学ってどういうこと!? 初耳なんだけど!」
「……」
"……説明するよ。……良いよね、代理人"
「あぁ。これ以上隠し続ける必要もないだろう」
桐藤ナギサによって仕組まれた、補習授業部という部活動。
仕組まれた陰謀。
連帯責任による一斉退学。
シャーレの権限を用いた、強制的な退学処置。
先生の口から語られる、補習授業部の裏側に隠された陰謀に、全員言葉を失うのであった。
「……なるほど」
「か、隠しててごめんなさい。……まさか、こんなことになるなんて……」
「ど、どうすれば良いの……!? 退学になんてなったら、正義実現委員会に復帰できない……!」
「それは……」
「……状況は理解した。とにかく出発しよう」
「えっ、えぇっ!?」
「試験時間が深夜の3時って書いてある。今から出発しないと間に合わない」
「あ、確かに……」
「驚くにせよ、怒るにせよ、絶望するにせよ……それは、試験を受けてからでも遅くない」
「あうぅ……」
「……そうですね。アズサちゃんの言う通りです。今はとにかく動くしかありません」
……
"ねぇ、代理人。……あのE.G.Oで……"
「駄目だ。……アズサの……と言うより、アリウスの裏が把握できない今、あまり手の内を晒したくない」
"……そっか。……そうだよね"
「……悪いな」
ただでさえ手の内は割れてるんだ。……図書館の力までアイツ等に知られる訳にはいかない。
「ゲヘナへの道中は護衛してやる。……だから、それで勘弁してくれ」
"……分かった。……ありがとうね、代理人"
「……あぁ」
「すぐに出発しよう、各自装備を忘れずに」
「装備!? 銃火器ですか!?」
「そうですね。ゲヘナ自治区はただでさえ無法地帯ですし、今は風紀委員会が条約締結前ということもあって対処しきれていないでしょうし……」
「あ、あうぅ……ど、どうしてこんなことに……」
"……みんな。……準備が出来次第、出発しよう"
「そうだな。俺の方でも、出来る限り護衛してやる」
だから先生。……あまり無茶なことはするなよ。
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