評価、感想ありがとうございます!
……投稿が遅くなり申し訳ございません。
今後の予定についてですが、週1から週3での投稿になると思われます。
……それでも、お楽しみ頂ければ幸いです!
――ゲヘナ学園・スラム街
ブラックマーケットと遜色ない程、荒れ狂った街。道を行けば不良が跋扈しており、真面な生徒であれば近づこうとはしないだろう。
……ゲヘナの生徒にその理屈が当てはまるかどうかはさておき。
「ん-? 何だか見慣れない奴らだなぁ?」
「無視とは冷たいねぇ、そんなに急いでどこに行くのさ?」
「わぁ、無法地帯と言えばこれ、みたいな古典的な感じですねぇ」
「え、えっと、私たちは試験を受けに行く途中でして……」
「……はぁ? 試験? 頭大丈夫?」
「ま、まぁそうなりますよね……」
当然といえば当然なのだが……、トリニティの制服を身に着けた者がこの様な場所を歩けば、ご覧のように絡まれることだろう。
――故に、対処法は一つ。
(ダンッ)(ダンッ)
「ぐっ……ぅ」
「ぁ……っ……」
鳴り響く2発の銃声。
絡まれているハナコとヒフミに視線が移った隙を見逃さず、2丁拳銃を取り出したローランは、即座に不良生徒たちの頭蓋を撃ち抜いた。
「先手必勝。この手の奴は話すだけ無駄だぞ」
「だ、代理人!?」
「あらあら、手が早いですねぇ」
「先を急ごう」
「ま、待ってアズサ! 置いていかないでっ!?」
"み、みんな……ぁ……ま、待って……"
「……仕方ない。捕まってろよ、先生」
(ガシッ)
走り出した補習授業部に続くように、先生を脇に抱え上げたローランも彼女たちの後を追うのであった。
★★★★★
――ゲヘナ自治区
「えっと、何とか内部には入れましたが……」
「いくら夜中とはいえ、人気が無さすぎません?」
先ほどのスラム街とは打て変わり、補習授業部以外誰一人いない街中。
(ダダダッ)
「……銃声だ。どこかで戦闘が起きてる」
「うーん、目的地に行くにはこのまま進むしかありませんし……とりあえず行ってみましょうか」
銃声のする方へと走り出した補習授業部。彼女たちが銃声の鳴る場所へと辿り着くと……
「止まれ! ここから先は立ち入り禁止になっている!」
ゲヘナ学園自治区へと繋がる大橋。
「そもそも今日は、街全体に外出禁止令が出されているはずだ! 早く戻って――」
その大橋を塞ぐように配備された、風紀委員会。
「……その制服、トリニティ?」
「どうしてここに……! ゲヘナに何をしに来た! 目的は何だ!」
「い、いえその、本当にここを通りたいだけでして……!」
「何の目的も無しに、トリニティがゲヘナに来るわけがあるか!」
「ですが私たちは本当に、ただ試験を受けに来ただけなんです。特に問題を起こそうというわけではなく……」
「トリニティの生徒が試験を受けるために、どうしてゲヘナの自治区に来るんだ! せめてもっとまともな嘘をつけ!」
「……まぁ、確かにその通りだよな」
一歩。
ローランと先生は、自分たちに注目を集めるため、補習授業部の前へと躍り出た。
"問題を起こしに来た訳じゃないよ。本当にただ、ここを通りたいだけなんだ"
「……あなた方は、シャーレの……」
「悪いがこっちにも時間がなくてな。事情なら後でイオリから……」
「あら、お困りのようですわね。……アカリさん」
「はいっ☆ 皆さん伏せてくだーい!」
(ドカァァァァン!)
補習授業部の更に後方。
エンジンの音を鳴らしながら近づいてくる車から放たれた、一発の砲弾。その砲弾はローラン達の頭を飛び越え、前方にいる風紀委員会達を吹き飛ばしていった。
「お久しぶりです、先生☆」
「大当たりでしたね。ご機嫌よう。お二人とも、ここで何をされているのですか?」
"せ、先日ぶり、だね……"
★★★★★
「なるほど、そのような事情が」
「というか、お前らよく風紀委員から逃げられたな。……それに、」
「んーー! んんっ、んー!!」
「……また捕まったのか」
「ふふっ、偶々運が良かったのですわ。この辺りで温泉開発部が騒動を起こしてくれたおかげで、こうして居られるのです」
「そうですね! フウカさんの道具のおかげで、簡単に逃走できました☆」
「んんっ、んーーーーーー!!」
「新しく買ったばかりの車まで貸してくれるなんて……これぞ美しい友情というやつですね☆」
……
"ふ、フウカちゃん……"
「……その友情のお相手、縛られたままトランクに積まれてません?」
「工房の道具まで取られたのか……」
ハルナとアカリの手に握られた、独特な形の音叉。
「問題ありませんわ、フウカさんはこういったことに慣れていますから」
「もはや専門家と言っても過言ではありませんね☆」
「ハルナ、アカリ! 今どこ!? こっちも包囲網を破ったけど、合流できそう!?」
「ぎゃーーーーっ! 風紀委員会がまだ追いかけてきてる!!」
「ジュンコさん、脱出作戦は取り消しです」
「え、何で?」
「ふふっ。……シャーレの代理人さん」
――私と、取引しませんか?
「……取引?」
「えぇ。先生とトリニティの皆さんを、私達が責任をもってご案内いたしますわ。その代わり……」
"その代わり……?"
「……都市について、教えていただけませんか? 正確には、23区と呼ばれている裏路地について、知っている限りのことを教えて頂きたいのです」
「23区……? ……そう言えば、お前はピエールのミートパイについて知っているんだったな」
「都市? ハルナさん、都市とは一体?」
「……私も詳細は存じ上げませんので、何とも。……如何でしょうか、代理人さん。温泉開発部の行動もあり、厳戒態勢が取られている今、このまま進んでも風紀委員と鉢合わせることが目に見えていると思いますが……?」
「……。……分かった。23区の裏路地……」
――グルメ通りについて、教えてやる
「……取引成立ですわね」
"大丈夫? 代理人"
「まぁ、問題ないだろ。23区について知りたがる奴なんて、狂人か被害者のどちらかぐらいなものだが……、……先に言っておくと、ピエールについて教えられることはそれほどないぞ」
「……構いませんわ。彼女の……と言うより、都市で語られる究極の美食について知りたいだけですので」
「……そうか」
「むぅ…………ハルナさん、後で私にも教えてくださいね! ……それでは皆さん☆ 車に乗ってください」
「え、えっと……それではよろしくお願いします……?」
「……都市の美食? それって、鮫が言っていた……」
「アズサちゃん……?」
「ん、あぁ、何でもない。それじゃあ、失礼する」
給食と書かれたバイクに車。合流した残り二人の美食研究会も交えて、一同は指定された座標へと急ぐのであった。
★★★★★
――2時間後
(ドカァァァァン!)
「うわぁぁぁぁぁぁ! 何ですか何なんですか!? 一体どうしてこんなことに!?」
巻きあがる爆炎。頭に響く轟音と、鳴りやまない銃声。
「ヒフミ、揺らさないで! 照準が合わないからっ!」
「わ、私が揺らしてるんじゃありません! じ、地面がさっきから揺れっぱなしで……」
(ドカァァァァン!)
「また爆発しましたぁっ!?」
「トリニティのあなた、バイクの運転上手だね!」
「良いじゃん良いじゃん、がんばれー!」
「いえいっぱいっぱいなんですけど!?」
「うわ、すっご。代理人ってホントに人間?」
「あら~、バイクよりも速いですね☆」
前方を高速で走る車。その後ろに続くように、ヒフミとコハルを乗せたバイクが走り、
――その横を、ローランが走り抜ける
"えぇ……? なんで車より速く走れるの?"
「だ、代理人! 助けてー!!」
「そう言われても、俺もできるだけっ……援護はしてるんだけどな!」
(ダンッ)(ダンッ)
適宜後方へと振り返り、2丁拳銃を発砲。ローランは襲い掛かる風紀委員を撃ち抜き、被害を最小限に抑えていた。
「アカリさん、8秒後にまた爆撃が来ますわ」
「はい、問題ありません。代理人さんー! 誘導をお願いしますね☆」
「ハルナぁっ! もう車は良いから降ろしてーーーっ!? あと、収束共鳴器返してーー! それすっごく高いんだからーー!」
「あら、それは良いことを聞きましたわね。フウカさんの応援もありますし、もう少し派手にやるとしますか」
「ショベルカーにブルドーザーまで来てる!? 何で!?」
「ど、どうしてゲヘナの温泉開発部にまで追われてるんですかぁ!?」
「……仕方ない」
(バンッ)
二丁拳銃を手袋に収納し、変わりに黄金銃を取り出したローランは……、
――巻き戻す時間を2時間に設定し、後方へと乱射した。
エリュシオンお抱えとはいえ、工房で作られた特異点の技術を使った道具……
破損した際の弁償金……滅茶滅茶高そう……