黒い沈黙の行先   作:シロネム

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~本番~ 第3次特別学力試験

 

 

 

――第3次特別学力試験・試験会場

 

 

 

「はぁっ、はぁっ、はぁ、はぁ……はぁ……もう、無理……」

 

「や、やっと到着しましたね……」

 

 

息を切らしながら、何とか試験会場へと辿り着いた補習授業部一同。

 

 

 

「遅かったな、お前ら」

 

"あ、あはは……。みんな、お疲れ……"

 

「……代理人? ……瞬間移動を使いましたね?」

 

「瞬間移動?」

 

「あぁ、使ったぞ? お前らも連れて行こうとしたんだが、俺が言い出す前に走り出すから……」

 

「は、はぁ……!? ちょ、も、もっと早く言いなさいよ……!」

 

「あうぅ……代理人……。それはズルいですよ……」

 

 

 

汗だくになりながら、息を整える補習授業部。試験会場の警備にあたっていた正義実現委員会の部員は、そんな彼女たちに気が付いたのか……

 

 

 

「お待ちしておりました、補習授業部の皆さん。ハスミ副委員長からの伝言です。……頑張ってください、と」

 

「あらあら」

 

「は、ハスミ先輩……!」

 

「それから……力になれなくてごめんなさい。この分はいつか必ず……とも」

 

「……そうか」

 

"……よし! それじゃあ、試験会場に入ろっか!"

 

 

 

 

 

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

"これが最後の試験だね"

 

「……うん。どんな結果であれ、この試験で全てが決まる」

 

「そうですね」

 

「あうぅ……」

 

「……っ」

 

「ここまで色々ありましたね」

 

「……気持ちは分かる、けど感傷に浸るのは試験が終わってからにしよう」

 

「はい、そうですね……とにかく、私たちの努力の成果を発揮しましょう」

 

「うん、最後まで諦めない」

 

「はい、私もです。せっかくアズサちゃんに、教えてもらいましたから」

 

「わ、私今度こそ満点取るから! 取っちゃうからね!」

 

「……よし。それじゃあ……」

 

 

 

"「第3次特別学力試験……開始!」"

 

 

 

今まで積み重ねてきた研鑽の証明。

 

数多の妨害を乗り越え、仲間と共に努力した証は、

 

 

 

無駄ではなかったようだ

 

 

 

 

 

 

第3次特別学力試験、結果――

 

ハナコ――100点

アズサ―― 97点

コハル―― 91点

ヒフミ―― 94点

 

 

 

 

 

 

――補習授業部、全員合格――

 

 

 

 

 

 

★★★★★★

 

 

 

「さてと、此度の物語を纏めようじゃないか」

 

"よろしくね、セイアちゃん"

 

「夢の中で会うっていうのは、こういう事だったのか……」

 

 

 

試験終了後、シャーレへと帰還したローランと先生。

 

帰還後、トリニティで起きた事象を文章にて書き記し、溜まっていたシャーレの業務を進め……、気が付けば日が沈んでいた。

 

 

 

「眠ったのも久しぶりだな」

 

「……やれやれ、君には警告をしたはずなのだがね」

 

"う~ん、トリニティの夜から助けて貰った側だから、先生は何も言えないなぁ……"

 

「まぁ、暫くはあの銃を使わなくても済みそうだな」

 

 

……

 

 

「……ごほん。……さて、二人がシャーレに帰還した後について伝えようじゃないか」

 

"もうみんな、補習授業部から脱退できたんだよね?"

 

「勿論。コハルは正義実現委員会に戻り、ハナコは自主退学の意を翻し、アズサはこれからもトリニティで学び続け、ヒフミは今までの日常に戻ったとも」

 

「そうか」

 

"みんな……良かった……"

 

「……まぁ、ミカは学園の監獄に幽閉されてしまったがね」

 

「……」

 

"ミカちゃん……"

 

「そして……ナギサは予定通り、エデン条約に調印しに行くだろう」

 

"先生として、もっと上手くやるべきだったかな……"

 

「今更後悔しても仕方ないだろ。……先生」

 

"……"

 

それはそれで、これはこれだ。全てを選び取るなんて誰にもできないんだ。……先生が取った選択は完璧ではなかったかもしれないが……最善だったと思うぞ」

 

"……そっか"

 

「……全く干渉出来なかった私が言うのも、烏滸がましいと思うが。……先生、トリニティは二人のおかげで、良い方向へと向かったと思うよ」

 

"……そう、だね。……うん、そう考えようかな! いつまでも悩んで、前に進めないままじゃダメだもんね"

 

「それが良い。一人で抱え込んでも、碌なことにならないぞ」

 

"……それは、ひょっとして経験談?"

 

「……はぁ。……察しが良いな、全く」

 

「先生が抱え込まなくて何よりだとも。それに……、もう気付いていると思うが」

 

 

 

――エンドロールには、まだ早い

 

 

 

"……"

 

「まだ残っているものがある、これで終幕じゃない……そのことは、二人が一番よく分かっているだろう?」

 

「……翼か」

 

"アリウス分校……"

 

 

 

★★★★★

 

 

 

――アリウス自治区

 

 

 

「……準備しろ、みんな」

 

「あ、あぁっ……つ、ついに始まるんですか……!? よ、ようやくこの時が……でも苦しいんですよね、辛いんですよね……?」

 

「……うん。でも、今更でしょそんなの。……それに、苦しいのは生きてる証拠」

 

「……」

 

「ひ、姫ちゃんが手話で何か言ってますけど。えっと……」

 

「……あの子はどうなった、って? 気になるの、姫?」

 

「……」

 

「……どうでも良くない? 結局は早いか遅いかだけの問題で」

 

「……」

 

「……むしろ、姫の方が心配だよ。……お腹、大丈夫?」

 

「……」

 

「……そっか」

 

「あ、あまり無理をしたら駄目ですよ。……姫ちゃんに何かあったら、子供たちが悲しんじゃいますから……」

 

「…………」

 

「……姫、あの子供たちは……」

 

 

 

「その辺にしておけ」

 

 

 

「……」

 

「黒い雲……明日は雨になるな」

 

「あ、雨ですか? 嫌ですね、雨はジメジメして……苦しいですし、気持ち悪いですし……」

 

「……そう? むしろ、動きやすくて私は好きだよ」

 

「……」

 

「……? リーダー、姫が協力者はどうなったって?」

 

「……翼の方は作戦を伝えてきた。……怪物の方は知らない」

 

「……そう」

 

「怪物……。……うぅ、グレタさんのお話をすると、お腹が空いちゃいますね」

 

「……」

 

「……味は、悪くないと思うけど」

 

「……姫。これを」

 

「……」

 

「お前たちの分もある。受け取れ」

 

「……アンプル?」

 

「わ、わぁ。リーダー、何処で手に入れたんですか?」

 

「R社の第4孵化場から盗ってきた」

 

「……それ、バレたら殺されるよ?」

 

「心配ない。……K社とR社が、互いに責任を押しつけ合うだけだろう」

 

「……良いね。……両社とも滅びればいいのに」

 

「あ、あのぅリーダー……、一本だけ……でしょうか……?」

 

「……すまない。……取ってこれたのは1本ずつだけだ」

 

「一本ずつ、ですか……」

 

「……」

 

「……ヒヨリ。1回分の保険が出来ただけ喜ぶべき。……姫も、ヒヨリに渡さなくていいから」

 

「ひ、姫ちゃんのが欲しいわけじゃないですよ!? それは、姫ちゃんが使ってください」

 

「……」

 

「……姫。私たちと違って次がないんだから、あまり無理しないで」

 

「……その事なんだが。……恐らく、私たちにも次はないだろう」

 

「……は? ……どういうこと」

 

「R社のエネルギーが枯渇したらしい。……次の私たちは、オリジナルに戻ることになる」

 

「……最悪。……この体に仕上げるのだって、苦労したっていうのに……」

 

「……? そういえば、私たちのオリジナルは今どこにあるんでしたっけ……?」

 

「……K社で保管されている。……最も、本当に生きているのかは分からないがな」

 

「……」「……」

 

「……」

 

「……だが裏を返せば、あの裏切り者にも次がない」

 

「……」

 

「アズサ……。……忘れたというのなら、無理矢理にでも思い出させてやる」

 

 

 

Vanitas vanitatum et omnia vanitas

 

 

 

「……全ては虚しい。どこまで行こうとも、全てはただ虚しいものだ。……なぁ、そうだろう?」

 

 

 

 

――白洲アズサ527号

 

 

 

 





次回・エデン条約編第3章



や、やっと半分……。……エデン条約長いなぁ!

書いてて楽しいけど、前二つとボリュームが違いすぎるのよさ!




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