黒い沈黙の行先   作:シロネム

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~衝突~ 残響楽団 & R社第4群 & K社?級???

 

目の前に現れた二人の怪物。黒い骸骨と白い鮫。それだけでも不気味な様相なのだが、アビドス砂漠で見たゼホンと同じ衣装に身を包んで居ることに気が付いた先生。

 

 

"だ、代理人……あの人たちは……"

 

「…………うそ……だろ……。…………なんで、お前たちが……」

 

「そんなに驚くことでしょうか? ゼホンとフィリップを殺しておきながら、私たちが居ないとでも思いましたか?」

 

「カッカッカッ! フィリップに関しては、ローランに殺られた訳じゃないみたいだけどねぇ!」

 

 

 

不正な手段によって招かれた、残響楽団。そんな彼らに続くように、突然現れた聖徒会の複製。とても人間とは思えない肌色をした、まるで亡霊のような彼女たちは、

 

 

 

――皆それぞれが、幻想体のE.G.Oに身を包んでいた

 

 

 

「……先生、俺の傍から離れるなよ」

 

"う、うん"

 

 

 

L社との取引で入手した幻想体のE.G.O。過去、アリウスを殲滅するため振るわれた圧倒的な力。そんな彼女たちが次々と現れる戦場。一体何処からやってきたのか、そもそも目の前にいるのは本当に生徒なのか……。

 

そんな思考の渦に飲み込まれかけたローランの意識を取り戻したのは、

 

 

 

「先生! 代理人! 大丈夫っすか!?」

 

 

 

走り寄ってきたシスターフッドAチームの隊長の声だった。

 

 

 

「隊長か! コイツ等に見覚えはあるか!?」

 

「…………あるっす。この人たちは、ユスティナ聖徒会の生徒っす。……でも、数年前に全員殺されたはずなのに、なんで……」

 

"ゆ、ユスティナ聖徒会……。それって、第1回公会議の……"

 

 

 

先生を庇う様に立ち、獲物を構えるローランと隊長。

 

 

 

「それにしても、あなたが先生ですか。……ふむ、見れば見るほどあの人に似ていますね」

 

「キャハハッ! ローラン! お前はまだあの女に執着しているのかい!」

 

「……ッ黙れ!」

 

 

(ダンッ)(ダンッ)

 

 

咄嗟に放った2発の銃弾。ほぼノーモーションで放たれたロジックアトリエの銃弾だったが、その銃弾はグレタに直撃するよりも速く、

 

 

 

――E.G.Oを構えたユスティナ聖徒会によって、斬り払われた

 

 

 

「おっと、惜しかったですね」

 

「悪くない動きだけど、味の方が気になるねぇ」

 

 

 

「あれは、シスターフッドで管理してるE.G.Oと同じ……」

 

「何……?」

 

"E.G.O……? そんな、あんなにいっぱいあるなんて……"

 

 

 

目の前に広がる地獄。さっきから止むことのない生徒たちの悲鳴と絶叫。逃げ遅れた生徒たちを叩き潰すかのように暴れまわるユスティナ聖徒会。

 

 

 

"なんで、なんでこんな……"

 

「理由ですか? それは勿論……」

 

 

 

「――貴様を始末する為だ。シャーレの先生」

 

 

 

アリウス分校の校章を身に着け、ユスティナ聖徒会と入れ違うかのように現れた一人の少女。

 

アリウススクワッドリーダー、錠前サオリ。

 

 

 

「貴様が計画の一番の支障になりそうだと、彼女は言っていたからな」

 

"……彼女?"

 

「おっと、勘違いしないで頂きたいが、私たちの目的はあなたですよ、ローラン」

 

「キャハハッ! ローラン! お前はそろそろ死んでおくべきだね!」

 

「……ッ」

 

 

 

圧倒的な戦力差。ローラン一人では覆すことの出来ない戦場。今取るべき最善手は……

 

 

(パンッ)

 

 

「おっと、使わせませんよ。あなたが図書館の力を自在に扱えることは、承知してますから」

 

 

 

手袋から本を取り出そうとした瞬間、間髪入れず放たれる魔法。咄嗟に撃ち落としたローランだったが、本の存在が露呈している事実に焦燥しきっていた。

 

 

 

★★★★★

 

 

 

「これで全員、かしら……」

 

 

 

雷を地面に奔らせ、周囲一帯を感電させていった陸八魔アル。一呼吸し、パイプを加えたアルだったが、

 

 

 

――後方から飛んできた銃弾に気づき、身を捻りながら躱すのであった。

 

 

 

「特色というのは、朱色の雷だったか」

 

「久しぶり、リクハチマ! あんたを殺しに来たよ」

 

 

 

ウサギの仮面を身に着け、R社の武装に身を包んだ少女と、そんな少女の隣を歩く一人の女性。

 

 

 

「ラビット……チーム……」

 

「覚えてたんだ! L社以来だね、リクハチマ。……取り合えず、死んでくれる?」

 

「落ち着け、ミョ。というかお前、朱色の雷と面識があったのか?」

 

「勿論! コイツ程殺したいと思った相手もそう居ないからね!」

 

 

 

殺意を抑えることなく、今にも飛び掛かりそうなミョ。敵として現れた以上、殺すことに躊躇する気はないアルだったが、これ程の殺意を向けられる理由が分からなかった。

 

 

 

「一つ聞きたいのだけれど……、どうしてそこまで私を殺したいのかしら? 私、貴女と話したことすらないのだけど」

 

「うん? あー、そうっだったそうだった! L社に居た頃のアンタは、甘っちょろいお子ちゃまだったものね!」

 

「……」

 

「なんでアンタを殺したいかって? そんなの決まってるじゃない」

 

 

 

(キンッ)

 

 

 

R社のナイフと赤の便利屋の短剣。

 

奇襲に対し最適解で応対したアルは、斬りかかってきたミョのナイフを受け流し、勢いのまま胴体を蹴り飛ばす。

 

 

 

「アンタを見てると、赤い霧を思い出すからだよ。ふざけた煙なんか使いやがって」

 

「……」

 

「どこで手に入れたのか知らないんだけどさぁ、あの人を彷彿とさせる噂がウザいのよね。やれ赤い霧の再来だのなんだの言われちゃってさ……。本当の赤い霧の姿も知らない癖に、アンタの噂が独り歩きするせいで、赤い霧の認識が歪められていくのよ」

 

「……そんなの、私に関係ないじゃない」

 

「はぁ? 関係ない?」

 

 

――殺すよ? リクハチマ

 

 

 

「……っ」

 

「ミョ、そこまでだ。……どのみち、作戦の障害になる以上排除することに変わりはない。特色が相手というのは少々面倒だが、朱色の雷の情報についてはN社から聞き及んでいる」

 

「それもそっか! ……それじゃあ、ババァ。さっさと殺ろうよ」

 

 

 

 

 

 

「アル様……!」

 

「うわ、すっごい反応速度」

 

「……」

 

「アル様に向かって攻撃を……? 許さない……。許さない許さない許さない許さない許さない」

 

「わわ、ちょ、ちょっと落ち着いてハルカちゃん。今行っても、アルちゃんの邪魔になっちゃうだけだから」

 

「アル様……」

 

「ふぅ……。……ねぇ、カヨコちゃん。……狙撃銃なんて扱えるの?」

 

「……無理。社長みたいには扱えない」

 

 

 

戦場から2km離れた場所。事前に狙撃銃を預かっていた便利屋68の面々は、遠方から社長の様子を監視していた。望遠鏡を持ち、アルの姿を見守るハルカ。同じく様子を伺うムツキと、

 

 

 

――預けられた狙撃銃を構えるカヨコ

 

 

 

「……だけど、隙だらけの相手なら、私でも当てられる」

 

「うっそ、大分距離あるけど?」

 

「……」

 

 

 

銃弾に自身の神秘を込め、チャンバーに装填する。アル社長のように狙撃銃を自在に操る事は出来ない。……そんな事、言われるまでもなく理解していたカヨコは、最高の一瞬を……

 

 

 

――自身の神秘を込めた一撃を撃ち込める、絶好の機会を伺っていた

 

 

 

★★★★★

 

 

 

「全員無事か!?」

 

 

 

咄嗟に空間を跳躍し、巡航ミサイルの一撃を躱していたイオリ。再び跳び、この空間に戻ってきた彼女の視界に映ったのは、血を流しながら感電し、痛みに呻く風紀委員達の姿だった。

 

 

 

「……なんだよ、これ……」

 

「イ、イオリ……無事、ですか……」

 

「アコちゃん!」

 

 

 

額から血を流し、他の風紀委員同様、痙攣しながら倒れているアコ。

 

 

 

「イオリ、ヒナ……委員長を……」

 

「アコちゃん、喋らないで! いま、傷の手当てを……」

 

「私は大丈夫……です。それよりも、委員長を……! 一刻も早く、委員長の……援護に……っ!」

 

「アコちゃん……」

 

「イオリ……私は後方部隊と共に、他の負傷者の……捜索と救助を行います。だから、委員長を……! あなたの能力で、委員長を助けに……行ってください!」

 

「行政官……それ以上喋ると傷口が……」

 

「あなた自身も手当てしてください……」

 

 

 

本当なら、誰よりも先に委員長を探しに行きたかったアコ。……だが、行政官として、ここに残った風紀委員を見捨てるわけにもいかず、何より……

 

 

 

――自分より優れた移動能力を持つ後輩の方が、委員長を早く見つけられると信頼していた

 

 

 

「……分かった。待ってて、すぐに委員長を……」

 

(待ちな、お嬢ちゃん)

 

「イオリ……?」

 

(……どうやら、そう簡単に行かせては貰えないみたいだねぇ)

 

 

 

イオリ達の前方。戦場の中心からこちらへと歩いてくる人影があった。地響きのような音を鳴らしながら歩いてくるその人影は、

 

 

 

――全長3メートルを優に超える、怪物だった

 

 

 

「……#3*()? ……@#3*()@%&!)%&!)」

 

 

 

背中から2本の腕を生やし、4本の腕それぞれに両剣を1本ずつ携えた巨人。緑色の防護服に身を包み、全身から緑色の液体を垂れ流す化け物。

 

 

 

「な、なんだアイツ……!?」

 

(あれは、恐らくK社の……、……いや、違う)

 

「イオリ……?」

 

(K社の社員だとしたら……)

 

 

 

――どうして、ヘイローを持っているんだろうねぇ

 

 

 

「……#3%&*%#*()? ……@#%&*%#3%#%&!)」

 

 

 

化け物の頭上に輝く、緑色のヘイロー。この世界の子供しか持っているはずのない、特異能力。……そんなものを目の当たりにしたイオリは、

 

 

 

「……お嬢ちゃん、体を借りるよ」

 

(ちょ、イオリ……!)

 

 

 

好奇心と探求心を、抑えきれなかった。

 

 

 





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