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"……っ、ここは……"
私は、アリウススクワッドの子に撃たれて……
「お目覚めですか、先生」
"君は…………セナ、ちゃん?
「はい、氷室セナです。意識レベルは問題ないみたいですね」
"……そっか、君が助けてくれたんだね"
「……いいえ、先生を救出したのはヒナ委員長です」
"ヒナちゃんが……"
「……先生。傷が痛むかと思いますが、もう暫く我慢して下さい。直ぐにセリナさんが来られますので」
"セリナちゃんが……? ……もしかして、セリナちゃんも"
「はい。先生の予想通り、彼女も我々の同志です」
そっか、セリナちゃんもエリュシオンのメンバーなんだ……。
……凄いなぁ。
共通の目標が居るとはいえ、ゲヘナとトリニティが協力し合えるなんて……ナギサちゃんが知ったらどう思っちゃうかな。
エリュシオンっていう成功例があるんだから、エデン条約もきっと……
(ヒュン)
「先生! お待たせしました」
"セリナちゃ……ごほっ……"
「無理に喋らないでください。すぐに治療しますので……!」
「セリナさん、目標物は回収出来ましたか?」
「はい。少々時間は掛かりましたが、使用許可も降りましたので」
そう言うとセリナは、黄緑色の液体の入った注射器のようなものを取り出した。
「先生、今からこの再生アンプルを投与します。特異点と親和性の高い先生であれば、後遺症等も起きない筈です……ので……。…………あっ」
"特異点との親和性……?"
「セリナさん。……先生、今の発言は聞かなかったことにしてください。その情報に関して、私達は先生にお伝えすることを許可されておりませんので」
「ご、ごめんなさい。忘れて下さい、先生」
"う、うん……分かった……"
特異点……。……辞めておこう。これ以上考えると、あまり良くない気がする。
「それでは、投与します。直ぐに痛みも引くことでしょう」
★★★★★
「アズサちゃん……私です、どこにいるんですか? アズサちゃん……!」
ヒフミ宛に届いた一通のメッセージ。座標と時間、そして動物の名を用いた隠語。白洲アズサに呼び出された彼女は、指定されたポイントに赴いていた。
「……ヒフミ。……来てくれてありがとう」
「アズサちゃん、今までどこに……学園は今、大騒ぎで……」
「……うん、知ってる。トリニティでネズミが暴れてるのを見た」
「アズサちゃん……?」
「……誰かが、この騒動を止めなくちゃいけない」
「それは、どういう……どうしてそんな顔で……と言いますか、その装備は一体……?」
普段から持ち歩いているアサルトライフルに加え、大型のナイフに複数の自動拳銃を携え、黒を基調とした防弾ベストを身に着けたアズサ。
恐らく、これが彼女にとっての最強装備……アリウス自治区で運用してきた、彼女本来の装備なのだろう。
「それ以上、こっちに来ないで!」
「……!!」
「……ヒフミ」
――お別れを、言いに来た
「…………えっ?」
「ありがとう、ヒフミ。……こんな」
人間ですらない私と仲良くしてくれて
「アズサ……ちゃん……?」
「違う」
「え……?」
「私は、白洲アズサではない。私は、あくまで白洲アズサという記憶を継承した……ただのクローンだ。……翼の実験体として生み出され、戦わされ続けてきただけの人形」
「なにを言って……」
R社とアリウス分校生徒会長の手によって仕組まれた計画。その被験体として選ばれた生徒たち。実験により生み出された無数の失敗作。
……その中で、唯一実験に成功した4人の少女。
その最後の一体。
「――それが私。……ヒフミとは、そもそも住む世界が違うんだ」
「そんなことは……」
「自分自身を殺し、己の糧として喰らい……無数の白洲アズサを殺した結果、生み出されることとなった最強の白洲アズサ」
「アズサちゃ……」
「薄汚れた私が、……平凡で優しいヒフミと、同じ世界を歩いて良い筈がない」
光と影。表の世界で友人と楽しく学園生活を送る君と、裏の世界で自分を殺し、人殺しの術だけを身に着け続けた私。
本来であれば絶対に交わるはずがなく、
――交わっては、いけなかったんだ
「……私はこれから、アリウスを潰す。……同族を殺し、翼を折って……この命を捨てる」
「アズサちゃんっ……!」
「だからヒフミ。……最後に、お礼を言っておきたかったんだ」
私を友達だと思ってくれてありがとう。
アズサちゃんって呼んでくれてありがとう。
可愛いぬいぐるみをくれてありがとう。
――楽しい思い出を、ありがとう
「まっ…………待って! 最後だなんて、言わないでください!
「ヒフミ。学ぶことは本当に楽しいことだった……これまでの時間は、死んでも忘れない。仮に死んだとしても、この記憶は私だけのものだ」
「アズサちゃ……」
「……一緒に、海に行こうって約束も……アミューズメントパークに行こうって約束も」
――守れなくてごめん
「待って! ……い、行かないでください……、……アズサちゃん、ダメです、行かないで……」
「――アズサちゃんっ!!!」
★★★★★
――トリニティ郊外・廃墟
「か、確認しました……あれが、例の……」
「戦術兵器か……ただの化け物だな」
「(スッ……ススッ)
「太古の教義をもとに作られた、失敗作……? え、なに? あの人形、失敗したってこと?」
「(ふるふる)」
「(スッ、ススッ、スーッ、ススッ……)」
「難しいことはよく分からないけど……失敗作ではありつつも、戦術兵器であることに違いは無い?」
「(コクッ)」
「そう。……まぁ、姫が納得してるなら良いんだけど」
「(コテッ?)」
「いや、不思議そうにしてるけど……あれは姫の子供と引き換えに……」
「(……)」
「……ごめん、何でもない。でも……リーダー、そろそろバレると思うよ。ユスティナ聖徒会にせよ、この戦術兵器にせよ」
「……どのみち、もう手遅れだ。待機中の部隊に連絡を入れろ。これより、全軍を持ってトリニティへの進撃を開始する。最優先は怪物と戦ってるあの大人たちだ」
「……正気? あれ、まともな人間に見えないんだけど。たった二人でユスティナもネズミも制圧してるみたいだし……」
「問題ない。いくら強いとはいえ、体力が無尽蔵って訳じゃない。確実に消耗している筈だ」
「あの、リーダー……。そうはみえないです、けど……」
「……」
「……リーダー?」
「……ッ」
――気配が、一つ多い
「……アイツがいる」
「あいつ?」
「(スッ、ススッ……)」
「あ、アズサちゃん、ですか?」
直後、廊下全体に激しい爆発音が鳴り響く。連鎖的に響き渡す爆音は、彼女達が居る廊下を壁ごと吹き飛ばすかのように爆発していき……
「散会して避けろ!」
「……ちっ」
「わ、わあぁぁぁっぁ」
「(スッ……)」
――ドカァァァァァァァァァァァン!
建物の半分を消し飛ばした
★★★★★
"……"
「眠られたみたいですね」
「ご、ごめんなさいセナさん。私……」
「気にしないで下さい。どのみち、先生に伝えた所で理解できないでしょうから」
……
「先生は今……セイアさんとお話してるところでしょうか」
「恐らくは。あの人が干渉している事でしょう」
……
「セナさん、この後はトリニティの病室で構いませんか?」
「えぇ、構いません。……ですが、恐らく正面からは入れないでしょうね」
「……そう、ですね。私が言うのも烏滸がましいですが、トリニティの方がゲヘナの救急車を素直に入れてくれるとは思えないので……」
「……。……セリナさん、負担をお掛けするのは承知の上でお願いしますが、」
――救急車ごと、トリニティの病室に跳ばしてくれませんか?
「あなたの空間跳躍は質量に囚われないと伺っております。負担はかなりのものと存じますが」
「大丈夫です。元よりそのつもりで来ましたので。私の負担よりも、今は……」
――
「……そうですね。それでは、お願いします」
「分かりました! しっかり掴まっておいてくださいね」
セリナがそう言った直後、
(ヒュン)
戦場を走り抜けていた一台の救急車が、消失した
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