誤字報告、及び評価、感想ありがとうございます。
今回はネタバレ満載の予告会となりますので、苦手な方はご注意ください!
本編は次回からとなります!
時計じかけの花のパヴァーヌ編・予告PV
――Yostar
勇者に告げられた残酷な真実
巡る運命
約束された破滅
これは、大義の為に魔王を切り捨てた少女と、最後まで魔王を信じた大人の物語
「アリス。あなたは勇者ではなく、魔王よ」
突如として告げられた真実。ゲーム開発部の部室を訪れたミレニアムサイエンススクールの生徒会長、調月リオは、目の前の少女へと敵意を向けた。
「ア、アリスは……」
"……やめて、リオちゃん"
「やめる? なにを?」
"もう少し、言い方を考えて欲しいな"
「先生。……貴方がそうやって問題を先延ばしにしたからこそ、今回の悲劇が起きたのではなくて?」
"それは……"
崩壊したヴェリタスの部室。襲い来る無数の侵略者。普段であればこの状況、こんな現状を笑い飛ばしたであろう友人は……魔王の手によって倒された。
「こんな時、お姉ちゃんなら……」
「そのモモイがアリスの手によって倒されて、妹である貴方は何も思わなかったのかしら?」
「……っ」
「そんな訳ない……のは、全員分かっているみたいね。……不穏分子は排除する。それがミレニアムの――」
――キヴォトスの為になるのよ
「……無駄話しは終わりにしましょう。さぁ、貴方の出番よ。――美甘ネル」
――C&C コールサイン00
ミレニアムを取り纏めるセミナー……その中でも、会長であるリオを護衛する為に設備された直属のエージェント。
――私情を挟まず、与えられた任務を着実に遂行する
それがC&Cの存在理由であり、それをリーダーであるネルが知らない訳はないのだが……
「……だぁぁぁぁぁ! くっそ、やってられっかよ!!!」
(ダダダッ!)
二丁のサブマシンガンからばら撒かれる、無数の銃弾。会長であるリオの命令を裏切り、撃ち放った銃弾は――
「――事情は全部、観させて貰った」
(キンッ)
部室内に風が吹き荒れる。飛んできた銃弾は風に巻き上げられ……ローランが取り出したデュランダルによって、切り払われた。
「……貴方は――」
「だ、代理人さん……?」
"代理人……?"
「……この世界に戻って早々、こんな目に会うとはな。……ただいま、先生」
"あ、うん。おかえり……? ……って、そうじゃなくて!"
「事情は大体分かってるよ。……アリスがモモイを撃ったんだろ?」
「あ、アリスは……」
「――っ、くそっ、あたしの邪魔をするんじゃ――」
「――悪いな、美甘。……暫く寝てろ」
ネルがサブマシンガンを構えるよりも早く、ゼロ距離まで接近したローランは――
――動揺するネルの胴体を、殴り抜いた
部室の壁をぶち抜き、廊下へと殴り飛ばされたネル。
"代理人! 何をやって――"
「先生。今回、俺はこっちに付かせて貰う」
"え……?"
「確か、調月って言ったか?」
「……リオで構わないわ」
「んじゃリオ。今回の件については、俺は全面的にリオが正しいと思ってる。……だから先生、悪いが俺はリオの味方をさせて貰う」
手袋から取り出したシャーレの制服を投げ渡したローランは、デュランダルを構える。
「な、なんで……代理人さん。アリスちゃんは悪くなんか……魔王なんかじゃ……」
「そ、そう……です。アリスちゃんは……みんなと仲良く……」
「……ミドリ、ユズ。……もう、大丈夫です」
「アリスちゃん……?」
「だ、大丈夫じゃ……」
「大丈夫、です。アリスは……大……丈夫です」
"待って! アリスちゃ……"
「先生。アリスと遊んでくれて、一緒に冒険してくれて……ありがとう、ございました。アリスは……今まで本当に、幸せ……でした」
そう言うとアリスは、スパーノヴァを手放し……ローランが差し出した手を握った。
「……そう。シャーレの代理人。あなたは私の味方をしてくれるのね」
「あぁ。……そう言う訳だから、アリスは連れて行くぞ」
アリスを肩に担ぎ上げたローランは、スーパーノヴァを手袋に収納し……リオと共にミレニアムを後にした。
★★★★★
トキと名乗る生徒と合流し、足を進める三人。てっきりセーフハウスにでも向かっていると思っていたローランは……目の前に広がる光景に言葉を失った。
「着いたわ。ここが要塞都市エリドゥ。……災厄に備えた箱舟よ」
「……マジかよ。俺としてはセーフハウスにでも向かってるのかと思ったが、まさか都市そのものを作ってるとはな」
「もう少しだけ歩いてもらうわ。あのビルの最上階で、私の協力者が待っているから」
「協力者……?」
「えぇ。私に協力してくれるのは、トキを含めて二人しかいなかったのだけれど……貴方が協力してくれて良かった」
「そりゃ何よりで。……って、たった三人でこの都市を作り上げたのか」
関心しつつ、辺りを見渡しながらエリドゥを進むローランだったが…………ビルに刻まれたT社のロゴだけは見逃さなかった。
「……今戻ったわ」
「お帰りなさい、リオさん、トキさん。頼まれていたポテトチップスでしたら、買っておきましたよ」
「トキ……?」
「ありがとうございます」
「……はぁ。まぁ、いいのだけれど……」
「いただきます」
「はい、どうぞ」
「……ごほん。トキのせいで話がそれたけれど、代理人。もう一人の協力者というのが――」
「貴方は、図書館の……」
「お前は……」
★★★★★
"ここが、要塞都市エリドゥ……"
エンジニア部の力を借りて、リオ達が向かった場所を特定した先生は……C&C、ゲーム開発部と共に要塞都市へと乗り込んだ。
「――先輩方なら、ここまで来ると思っていました」
リオが制作した機械と共に、先生達を相手取るトキ。戦力差は圧倒的で、トキ一人で抑えられるとは思えなかったが……
「パワードスーツシステム、アビ・エシュフへと移行します」
その考えは、トキが身に着けた装備によって覆された。
「あれは、私たちに依頼してきた会社の……」
"T社の……社章?"
「トキ。特異点の使用も許可するわ」
「……畏まりました。――TT2プロトコル、起動。体感時間、及びアビ・エシュフの干渉時間を変更」
★★★★★
時間の加速。人の手に余る技術の結晶。神の御業に等しい能力だが……対応できない訳ではない
「そんな……アビ・エシュフが……」
「確かに速いが、それだけだな! ……そういや、お前には言った事がなかったな」
「何を……」
「近距離であたしに勝てる奴なんざ、キヴォトス全体でもそう多くは居ねぇってな!」
火花を上げ、跪くトキへとサブマシンガンの銃口を向けたネルだったが――
「そこまでです」
――その引き金が引かれる事はなかった
「あぁん? 誰だ、てめぇ」
「だ、誰!?」
「大人……?」
「もしかして……代理人と同じ……」
"みんな気を付けて……!"
地面に突き刺さった大剣を抜き、両手で構える大人。この世界の住民ではない存在。
「どうしてここに……リオ様の警護は」
「それなら黒い沈黙が…………シャーレの代理人が務めてますよ」
「そう、ですか」
「はい。……そして、トキさん。あなたもリオさんの警護に向かってください」
「いえ、私は……!」
「その体では、満足に戦えないでしょう? ――ここから先は、僕が引き継ぎます」
「で、ですが――」
「トキさん」
「……」
「これは、リオさんからの指令です。――後は僕に任せてください」
「……承知しました。……この場をお願いします」
――ヤンさん
「はい、任されました」
大剣を振りかざし、トキを守るように立ちはだかったヤンは――
――手始めに、付近のビルを切り払った
★★★★★
「アイツ……E.G.Oを発現したのか」
「エゴ?」
「あー、いや……気にしないでくれ」
監視カメラを通して戦闘の様子を伺っていたローランは、人差し指のヤンがねじれではなくE.G.Oを用いている事に疑問を抱いていた。
「まぁでも、流石に分が悪いな。アマノに組織まで出てくるとは……明星の差し金か」
「あの生徒は一体……」
特異点に幻想体のE.G.Oまで持ってこられては、元人差し指のヤンであっても圧倒することはできず、逆に制圧されていた。
「リオ。あの白髪の生徒なんだが……」
「……ノアがどうかしたの?」
「あの生徒は、他の生徒と比べて記憶力が優れていたりするか?」
「……? ……えぇ、優れていると思うわ。本人も瞬間記憶が得意と言っていたから――」
「――って事は、アイツが二人目か」
「や、やっと辿り着いた……」
「あ、アリスちゃん!」
"……アリスちゃんを返してもらうよ"
ボロボロになりつつもビルの最上階へと辿り着いたゲーム開発部一行は、沢山の機械に接続されたアリスを見て、ローラン達へと銃口を向けた。
「う、裏ボスとの連戦は流石に遠慮したいんだけど……!」
「へ、下手なチートプレイヤーよりも強敵……」
「代理人さん……」
「初めまして、代理人。私は――」
「ノア」
「あら、ご存じでしたか」
「さっきリオに聞いたよ。……まぁ、お前が使っていた特異点を見て気づいたが――」
――お前が二人目なんだろ?
「二人目……? 代理人、さっきから何の話を……」
「えぇ、そうです。……もしかして、ヒマリさんから聞いていましたか?」
「あぁ。T社を折った時に少しな」
「なるほど。その節はお世話になりました」
「……まぁ、俺としても翼を放っておけなかったからな」
「アリスちゃん起きて!」
「アリス!」
「アリスちゃん……目を覚まして……!」
"アリスちゃん……?"
ノアと会話するローランを余所に、アリスの元へと駆け寄ったゲーム開発部だったが……アリスの様子がおかしい
「アリス……それは、あなた方が王女につけた呼称でしょうか」
「あ、アリス?」
「私は王女ではありません。――私は光を導く者。星々の座標を測定し、星辰の位置を観測する者。王女を助け、何れ王女が戴冠する玉座をつなぐ鍵です」
「か、鍵?」
「識別名称を定めるのであれば、Key……もしくは――」
――アンゲロスと、お呼びください
ハッキングされたエリドゥ。……プロトコルATRAHASISが稼働され、世界は破滅へと向かっていく。
破滅を回避する手段はただ一つ
「では、ありませんよ。この天才清楚系病弱美少女ハッカーが、この程度の事態を予想していないとでも思いましたか?」
「ヒマリ先輩!?」
「どうしてここに……?」
ヒマリが提示する手段。ハッキングにはハッキングを。アリスの精神世界へとダイブし、深層世界に眠るアリスを連れ戻す。
「これが最善で、最も平和的な方法だと思いますよ」
ダイブ装置を用いて、アリスの心の中へと潜り込んだゲーム開発部。彼女たちの説得によって表裏は入れ替わり、アリスの人格が現実世界へと連れ戻された。
「……本当に、こんなことが可能だなんて」
"……うん、出来るよ"
「しかし、私の計算では……こんな……、どうやって……」
"あの子たちに、不可能はないんだよ。……だって、あの子たちは"
――勇者とそのパーティーメンバーだからね
「「「アリス(ちゃん)!!!」」」
勇者は仲間の力を借りて、現実へと帰還した。共に喜びを分かち合い、周りの皆がその光景を微笑ましそうに見つめる。とても暖かく、いつまでも見ていたい光景。
――だからこそ、誰一人としてローランの行動に気が付かなかった
「――ご苦労だったな」
次回、時計じかけの花のパヴァーヌ編2章スタートです!
お楽しみいただければ幸いです!
評価、感想お待ちしております