黒い沈黙の行先   作:シロネム

155 / 181

評価、感想ありがとうございます!


今話より、パヴァーヌ2章スタートです! ブルアカ本編よりも、図書館度が濃いめですが……お楽しみ頂ければ幸いです!




2.2章テーマソング:低血ボルト


~鳴動~ 本の世界

 

 

 

エデン条約を締結し、アリウススクワッドをベアトリーチェの魔の手から解放した先生とローラン。

 

1度報告の為に図書館へと帰還したローランを余所に、シャーレに溜まった書類を整理し、モモトークに送られてくる生徒達の悩みを解決する日々を過ごしていた先生は、

 

 

 

――ゲーム開発部からの要望により、ミレニアムサイエンススクールへと足を運んでいた。

 

 

 

"やっほー、みんな。新作ゲームのネタに悩んでるんだって?"

 

「あ、やっときた! もう、遅いよ先生!!」

 

「ちょっとお姉ちゃん。……えっと、来てくれてありがとうございます、先生」

 

 

(カチャカチャ)

 

 

 

「……」

 

「……」

 

 

 

"……えーっと、アリスちゃんとユズちゃんは……格ゲーに夢中みたいだね"

 

 

 

無言で画面を見つめ、激しくコントローラーを操作するユズ。

 

つい先日発表されたばかりの新作格闘ゲーム。理不尽な判定に崩壊したバランスなど、ゲームとしては滅茶苦茶な仕様だが……逆にそれがそそられるのか熱中する人が後を絶たないとの噂だ。

 

 

 

「ランクマに篭もり中のユズとアリスは置いといて! 来てくれてありがとうね先生!」

 

「先生、代理人さんは一緒じゃないんですか?」

 

"うん。代理人は今……出張中なんだ。もうしばらくしたら帰ってくると思うよ"

 

 

 

――日数にして五日

 

 

 

その間、ローランがキヴォトスへと帰ってくることは無く……先生がモモトークに送った近況報告への返信も無かった。

 

 

 

"……まぁ、電波が届くとは思っていなかったけど"

 

「先生……?」

 

"んんっ、なんでもないよ。さてと、それじゃあ新作ゲームについて教えて貰えるかな? ジャンルとかは決まってるの?"

 

「もちろん! 今回のジャンルはズバリ! 格闘RPGだよ!」

 

"……格闘、RPG?"

 

「格ゲーとRPG要素を混ぜたジャンルです。そんな意味不明なジャンルにする必要なんてないと思ったんですけど、お姉ちゃんが聞かなくて……」

 

「意味不明って何さ! 世の中にはアクションRPGだってあるんだから、格ゲーRPGがあってもおかしくないでしょ!」

 

"う、うーん……"

 

 

 

TSC2で成功したのだからRPGのままの方が……とは口に出さず、モモイが作ろうとしている格闘RPGに協力する事になった先生。

 

ジャンルと大凡のストーリーは考えてあるらしく、その他キャラクターやアイテム等のアイデアを出し……その間にユズがランクマッチで10連勝したり、チーターを人力チートで成敗したり等……ゲーム開発部の面々と遊び尽くし――

 

 

 

――気がつけば、日が暮れていた

 

 

 

★★★★★

 

 

 

――図書館

 

 

 

「……分かった。そういう事なら、異論はない」

 

「理解したみたいで何よりだ」

 

「私の予備があるから、代替品については心配しなくていいわ」

 

「……あぁ」

 

「……異論は無いが、納得は出来てないみたいだな」

 

「突然こんな事言われて、そんなすぐに納得出来る訳ないだろ」

 

 

 

苦虫を噛み潰したような顔を浮かべながらも、ホクマーから聞かされた話を飲み込むローラン。

 

L社の設立者にして、カルメンの意思を継いだ研究者。アンジェラを生み出し……苦しめ、白夜・黒昼が起きた原因、その発端とも言える元凶。

 

 

 

――アイン

 

 

 

 

 

 

「……確認するが、必要なのはアリスとあのゲーム機でいいんだな?」

 

「あぁ、その通りだ」

 

「……」

 

「……アンジェラ?」

 

「……えぇ、回収するのは天童アリスとあのゲーム機で間違いないわ」

 

「お前が反応に遅れるとは珍しいな。自分と似た存在を見て、動揺したか」

 

「別に、そういう訳ではないけれど。……ただ」

 

「ただ?」

 

「……」

 

 

 

 

 

 

「姉妹機…………人間で考えると、彼女は私の妹に当たるのかと思っただけよ」

 

 

 

 

 

 

「「――――は?」」

 

 

 

……

 

 

 

「……なんでもないわ。……忘れなさい」

 

 

 

視線を逸らし、他所を向くアンジェラ。忘れなさいと言われても、今までのアンジェラからは予想もできない反応を目にして、易々と忘れることは出来ないだろう。

 

 

 

「――これも人間に近づいたからこその反応か。……お前がもっと早く、そんな面白い事を言えていたら……あの人の反応も変わっていただろうな」

 

「いやまぁ……理屈で言えば、アリスはアンジェラの妹って事になるのか?」

 

「後継機と言う意味では、間違っていない」

 

 

 

本と招待状を通じて知り得た情報。天童アリスとモモイが持つゲーム機、その中に潜んでいるであろう存在がアインによって作られたと言う事実。

 

この情報を知った時の図書館の荒れようと言ったら、それはもう――

 

 

 

「ローラン。お前が向かった世界に光の種を撒いたのは、間違いなくあの人だ。……それを踏まえた上で、もう1つ分かったことがある」

 

「……?」

 

「……ローラン。本の世界に居る都市の人間なのだけれど――」

 

「シャオ達のことか?」

 

「えぇ。……エリュシオンって言ったかしら? ……彼女達は自分達が都市から人を誘致したと思っているみたいだけれど――実情は違うのよ」

 

「……? シャオを呼んだのはエリュシオンだって、明星は言っていたが……」

 

「切っ掛けはそうかもしれないけれど、あの本の世界に飛ばされた人間は――」

 

 

 

――全員、光の種に呼応したのよ

 

 

 

「……?」

 

「貴方が原因でもあるのよ。……私を、あの光から連れ出したから」

 

「いや、その理由を俺に追及されても困るというか……」

 

「理解が及んでないみたいだな」

 

「それは、まぁ。正直、言ってる意味の半分も理解出来てない」

 

「はぁ……。簡潔にまとめるとするならば、あの本の世界に呼ばれた都市の住民は――」

 

 

 

――全員、カルメンと接触している

 

 

 

「……は?」

 

「私達は本になった者を観測出来ない。大凡の想像は出来るが、この図書館で死んだ者達がどうなるのかを、主であるアンジェラすら知りえない」

 

「……」

 

「本を通じて、その人物の物語を読んだのは私達だ。……ローラン。お前は、本にされた者達は読者である私達を認識していたと思うか?」

 

「それは……いや、無いだろ。死んで本になってるんだぞ?」

 

「確かに、本になった者は皆死んでいる。死んだ者が死後について考えるなど、普通なら不可能だろう」

 

「普通ならって……どういう――」

 

 

 

「紫の涙」

 

 

 

「……!」

 

「あの者の本には、まるで自分が本になる事が分かっていたかのように……読者である私達に語りかけるような内容が書かれていた」

 

「……」

 

「ここからは、推測の域を出ない……妄言と取られても仕方の無い自論だが――」

 

「……」

 

 

 

 

 

 

――本になったゲストは、自分の本という世界の中で生きている可能性がある

 

 

 

 

 

 

「自分自身の本、という世界で生きているゲストに、カルメンは接触したのであろう」

 

「……」

 

「都市に還元された本とページは図書館から消失する。だが……」

 

「本の世界。……キヴォトスに招かれたゲストの本は――」

 

 

 

――まだ、図書館にあるのよ

 

 

 

「……」

 

「――現存する本を調べた結果、ある共通点が見つかったの」

 

「お前が相手をした残響楽団や便利屋のように、無理矢理連れて行かれたであろう存在は例外だが……都市を見限り、無意識とは言え自分の意思で本の世界に移り住んだ人間は――」

 

 

 

 

 

 

「「――全員、E.G.Oを発現し(ねじれ)ている」」

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()6()()()()()()()()()()()()()()()3()()()――アンジェラがどの階層に誰の本を置いたのか、誰のページが残っているのか……全てを把握していない以上、今後も見つかる可能性はあるだろう」

 

「……無くなった本のリストを作るだけでも大変なのよ。外郭まで足を運ぶ愚かなゲストの本は増えるばかりだし、ネズミの1匹から協会のフィクサーまで……全部数えるとキリが無いわ」

 

「解析が終わり次第、都市に還元はしているが……お前が本の世界に向かってからも、図書館を襲撃するゲストは後を絶たないのだ」

 

 

放逐されたとはいえ、元は都市の星。秘匿された情報を求め、外郭に足を運ぶ愚か者も後を絶たないのだろう。

 

接待の後、一度は本にするものの……必要な情報を抜き終えた後には、都市へと還元している。

 

 

 

――以前のように、殺して本にするだけでは無い

 

 

 

……その結果として、一部の裏路地では、外郭から都市に帰還できるワープ装置のような扱いを受けて居るのだが――

 

 

 

「つまり、なんだ。自分自身の本を持ってる奴は、E.G.Oを発現したかねじれたかして、キヴォトスに住み着いてるってことか」

 

「その認識で間違いない。本ではなく、付属するページになっているゲストについては、本の主に感応して移住したのであろう」

 

「今はまだ脅威ではないけれど、光の種が撒かれたキヴォトスにいる以上……カルメンと接触する可能性は十分にあるわ」

 

「……警戒するに越したことはないな。

 

――6冊。

 

……俺が出会ったのはシャオとイオリ……残響楽団と杖事務所ぐらいだが……」

 

「前者の二人に関しては、本になっているわね。……リウ協会の姉御? に関してはページまで付いているわ」

 

「お前までその呼び方なのかよ。……ちょっと待て、ページがついてるだと?」

 

「……協会1課の部長が執着していた片割れよ」

 

「……居るとは思っていたが、本当に住み着いているとはな。……後でシャオに伝えてやるか」

 

 

 

だが、何処にいる? シャーレの代理人として色々な自治区に赴いたが、ロウェルどころか都市の住人を見かけてすらいない。

 

 

 

「そして恐らく、後者の残響楽団と杖事務所は拉致された側だ。彼らに関する本は見つかっていない。……今後見つかるかもしれないが、E.G.Oを発現した様子も無い以上、その線も薄いだろう」

 

「……となると、俺が把握してないだけで後7人はキヴォトスに居るのか」

 

 

 

シャオとイオリを除いた都市の住民が、少なくとも7人。E.G.Oを発現したか、ねじれた人間があと4人。

 

 

 

――キヴォトスに居る

 

 

 

……その情報は、シャーレの代理人という立場のローランにとって、聞き捨てならない情報であった。

 

 

 

「ローラン。……本当は図書館で管理したいけれど、この本だけは貴方に渡しておくわ」

 

「本……?」

 

「……その本は、キヴォトスに居る6人の本の内の1冊だ」

 

 

 

アンジェラから手渡された1冊の本。無骨で白い装丁の本には、ハナ協会の紋様が刻まれていた。

 

 

 

 

 

 

『オリヴィエの本』

 

 

 

 

 

 

「……! ……あいつもキヴォトスに居るのか」

 

「少なくとも、都市には還元されていない」

 

「E.G.Oを発現したのか、ねじれたのか……ページではなく本になっている以上、そのどちらかに歪んでいるけれど――」

 

 

 

 

 

 

――貴方の親友は、本の世界(キヴォトス)で生きているわ

 

 

 

 







現時点で図書館からキヴォトスに移住した住民は全部で9人。そのうち……



・ローランが把握している本

シャオの本
イオリの本
オリヴィエの本
???の本
??の本
???????の本


・ローランが把握しているページ

ロウェルのページ
??のページ
???のページ



本編でローランが接触するたびに、開示していこうと思います。

また、これはあくまで現時点で見つかっている本とページです。

図書館の整理を続けるうちに、新しい本とページが見つかる可能性は大いにあります。



評価、感想お待ちしております


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。