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インフルエンザ……数年振りに罹患しましたが、しんどいですね。
熱はそこまででもなかったのですが、とにかく咳が止まらず……
投稿が遅くなり申し訳ございません!
本を通じて先生の物語を観測していたローランは、図書館でアンジェラとホクマーの2人と共に、アリスが行った暴挙を眺めていた。
「……あの機械に触れる事が、中身が入れ替わることの条件みたいね」
「アリスという少女の人格データは、あの中身を隠す為のものだったと」
「……あの時、G.bibleと一緒にモモイのゲーム機に移ったkeyって名前のデータが、人格データだったのか」
観測者の視点というのは、なんて便利なのだろう。招待状を通じてゲストの様子を観測していた頃から思っていたが、誰にも気づかれることなく対象を覗き見る事が出来る……なんて言うのは、ズルいにも程がある。
ゲーム機が起動したと言うミドリの発言、アリスが触れた事が合図であったかのように起動し暴れ回る機械、突然の出来事に対処せざるを得なくなったヴェリタスとゲーム開発部。
……その中の誰もが、自分達が覗き見られているなど思いもしないだろう。
「やっぱり、アイツは他の生徒と比べて頭一つ飛び出てるな」
「……あの刀を使う子供のことかしら?」
「あぁ。肉体を改造した訳でもないのに、あれだけの戦闘能力を持ってるとは……ほんと、神秘ってのは便利だな」
「既に人間では無い、というのも理由の一つではあるだろうが……あの天使の輪のような技術が都市に持ち込まれれば、裏路地との均衡は崩れるであろうな」
まず間違いなく、身体改造屋は廃業することになる。それどころか、工房で作られる装備や道具もヘイローに対処できるよう姿を変えるだろう。
「ローラン。……前言を撤回するわ」
「うん?」
「ゲーム機は必要ないわ。天童アリスだけを図書館に連れてきて頂戴」
「……了解」
「私たちも出来る限りの手を尽くそう。……ある程度落ち着いたら、そちらの世界に赴くつもりだ」
「赴くって…………お前らも来るつもりか?」
「無論だ」
「都市とは違うようだけれど……私も、外の世界に興味があるのよ」
「…………さようで。まぁ、お前たちが来てくれるなら俺としても心強いよ」
「とは言え、ある程度の準備を済ませてからにはなる」
「私たちが本の世界に赴く間、図書館は他の司書たちに守ってもらうことになるのよね」
「あの人に関する事だと伝えれば、引き留める司書もいないであろうがな」
仮にも館長であるアンジェラが席を空けるとなれば、只事では済まないと思うが……
「……大丈夫なのか? 頭のアイツが言うには、この図書館ってお前のE.G.Oなんだろ?」
「問題ないわ。……E.G.Oとは言っていたけれど、もうこの図書館は私の手を離れているから」
「アンジェラの意思が優先されるのは間違いないが……図書館という一つの存在だと認識した方が良いだろう」
――E.G.Oの自立化
元より人ではないアンジェラが発現したE.G.O故か、本にしてきた者たちの集合意識によるものかは不明だが、E.G.Oと考えるよりも、一種の意思を持つ建造物と考えた方が適切だろう。
「タイミングは任せるわ。私たちはあなたの行動を観ているから、手筈が整ったら何かしらの合図を出して頂戴」
「分かった。……とは言え、代理人の立場を利用して接触するつもりだから、それなりに時間はかかると思うぞ」
「あなたの判断で構わないわ」
「吉報を期待する」
「はいはい。……それじゃあ、俺のやりやすいタイミングで行かせてもらうよ」
★★★★★
「プロトコルATRAHASISを実行します」
"……!"
「先生、下がってください!」
アリスの掛け声と共に、突如として虚空から現れた蜘蛛のような造形の機械が、先生たちへと襲い掛かる。紫色の光を放つ奇抜な機械の群れは、暴走したアリスを守るかのように立ちはだかっていた。
「眠っていたロボットの起動……そして、この惨状……」
「攻撃命令を出していたのは、間違いなく……」
縦横無尽に暴れまわる機械。辺り一面へとばら撒かれるレールガンの砲撃。いくら頑丈に作られているとはいえ、そんな攻撃を何発も受けて耐えきれるような性能を持つはずもなく、気が付けば部室は瓦礫の山へと変貌していた。
「あ、アリスちゃん……!」
「……有機体の生存反応を確認。プロトコルを再実行します。武装のリロード開始」
レールガンへと再び収束を始める光の粒子。
「また……レールガンの充電を始めました!」
「せ、先生! 早く止めないと……っ!」
"――っ、……お願い、アマノちゃん!"
(ピッ!)
先生がシッテムの箱を操作した途端、ホログラムのような立体映像が空中へと描写される。
――二振りの黒い刀
見たことのない現象に言葉を失った一同とは裏腹に、シッテムの箱から飛び出した少女は、目の前に現れた刀を両手で握り締め――
「任せるっすよ! 先生!」
前方に立ち塞がる機械の群れを斬り飛ばした。
「――! ……不明。新たな脅威を検出。非実態存在を最優先排除対象と認定。対処を開始します」
「やれるものなら、やってみな!」
(ザンッ!)
レールガンから放たれた光線を斬り払い、まるで反射するかのように角度を付け、光の奔流を周囲に存在する機械へと捻じ曲げる。
常人とは掛け離れた戦闘センスと、シッテムの箱による援護があってこそ実現できる無茶苦茶な動きによって、アリスの予想を悉く外し、彼女との距離を詰めるアマノ。
周囲の機械から放たれる攻撃は、何故かアマノを避けるように飛んでいく。
――偶然と片付けることが不可能な確率
当たるはずの攻撃が、当たらない。
「……っ、武装の、リロードを……」
「……終わりっすね」
「何を――」
「私にばかり気を取られすぎっすよ」
アリスの背後。音もなく現れた存在に、対面していたアマノは気が付いたものの……目の前の脅威にばかり気を向けていたアリスは、
「おい、チビ。そこまでだ」
――背後から撃ち込まれた銃弾に、気が付かなかった
「大人しく寝てろ」
咄嗟の衝撃に意識を保とうとしたアリスだったが……意識外から行われた連続射撃には耐えきれず、まるで電源が切れたかのように意識を失うのであった。
「おー、さっすがC&C。噂がトリニティにまで届くだけのことはありますね」
「あぁ? ……誰だテメェ」
「おっと、私はこの辺りで。後はC&Cに任せるっすよ、先生」
"うん。ありがとうね、アマノちゃん"
「おい、ちょっと待――」
(ピッ)
まるで自分の役目は終えたとばかりに、先生が持つシッテムの箱へと飛び込んだアマノ。サイズ的にどう考えても入る訳が無いのだが、光の粒子となりタブレット端末へと溶け込んでいくアマノの姿に、流石のネルも言葉を失った。
「消えた、だと……」
"……助けに来てくれてありがとうね、ネルちゃん"
「ちゃん付けはやめろ、先生。……いや、ていうか、他にも色々と言いたいことがあるんだが――」
"……取り合えず、周りの機械を倒そっか"
「……ッ、後で聞かせてもらうからな!」
(ダダダッ!)
言いたいこと、聞きたいことは山ほどあるが……一先ずは、周囲にいる機械達を殲滅するべきだと判断したネルは、気を失ったアリスを担ぎ上げ、周囲一帯へと銃弾をばら撒いた。
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