黒い沈黙の行先   作:シロネム

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~地雷~ エンジニア部の秘密兵器

 

要塞都市エリドゥへと侵入したモモイ達を迎え撃つかのように配備されたAMAS。行く手を遮るAMASの群れがモモイ達へと襲い掛かるが――

 

 

 

"モモイちゃん、一旦下がって! ユズちゃん、ミドリちゃんと狙いを合わせて!"

 

 

 

シッテムの箱を用いた、未来予知と言っても過言では無い演算を頼りに、完璧な采配を飛ばす先生。現状を把握し、誰1人欠けることなく……全員の負担が最小限に収まるよう、戦況を進めていく。

 

 

 

「先生! 次は――」

 

「――! 危ない! 避けて、先生!」

 

「せ、先生……!」

 

 

 

意思を持たない機械とはいえ、たた愚直に戦うだけでは無い。この中で誰が1番危険で……

 

 

 

――最優先に排除するべきかを判断し、行動する

 

 

 

 

 

 

"――私は大丈夫だから! モモイちゃん達は攻撃を続けて!"

 

 

 

 

 

 

(パンッ)

 

 

 

真正面から飛んでくる銃弾。ヘイローを持たない先生が被弾すればタダでは済まないが……

 

 

 

――飛んできた銃弾は先生に当たる寸前で、逸れた

 

 

 

外れる訳が無い弾道。間違いなく当たっていた筈の銃弾が、どういう訳か先生の身体を避けるように外れていく。

 

 

 

"ウタハちゃん! みんなの援護を!"

 

「任された! 行くよ、()()ちゃん!」

 

"…………灯篭?"

 

 

 

てっきり、首から下げていたサブマシンガンを使うと思っていた先生は、ウタハの言った灯篭と言う言葉と――

 

 

 

 

 

 

――直後に鞄から取り出して投げつけた、1輪の白い花に目を疑った

 

 

 

 

 

 

「灯篭……? それに、あの白い花は…………まさか……」

 

"アマノちゃん……?"

 

「先生っ! すぐにみんなを引かせて下さい! あれは踏んだらヤバいっすよ!?」

 

 

 

前線を張るモモイ達の眼前。その場所に投げつけられた白い花が地面に触れた瞬間、まるで植え付けられたかのように地面へと根付き、灯篭のような明るく丸い光を放ち始める。

 

シッテムの箱を用いて戦況を把握していた先生は、ウタハが投げつけた花が咲く地面の情報を確認し……

 

 

 

"んなっ!? み、みんな急いで下がって!"

 

 

 

慌てて声を張り上げた。

 

 

 

「えっ、わ、分かった!」

 

「このお花は一体……」

 

「さ、下がりますね」

 

 

 

普段聞くことのない先生の慌てた声に反応し、咄嗟に後方へと下がる一同。突然の行動に疑問を抱いたものの、追撃するべくモモイ達へと足を踏み出したAMAS達は、

 

 

 

――地面に咲く1輪の花を、踏みつけてしまった

 

 

 

「今だよ、灯篭ちゃん!」

 

 

 

踏みつけられたことに反応してか、白い花の咲いた地面から巨大な牙の生えた口……のような機械が飛び出し、眼前に迫っていたAMAS達を一匹残らず食い殺す。

 

 

 

「「「…………」」」

 

"な、なにあれ……"

 

「や、やっぱり肉の灯篭じゃないっすか……!」

 

 

 

一瞬のうちにAMASたちを食い殺した灯篭に……モモイ達は言葉を発せずにいた。

 

 

 

「おぉ! テスト段階である程度の性能は確認できていましたが、まさかここまでの性能があるとは!」

 

「灯篭ちゃん、持ってきてたんだね」

 

「ふむ、威力は少々高過ぎる気もするが、製品としては完成と言える出来だろう。灯篭ちゃん、戻っておいで!」

 

 

 

ウタハの呼び声を聞いてか、1輪の白い花は地面を離れ、機械製の根っこを足替わりに走り寄る。

 

ピョンと飛び跳ね、ウタハの持つ鞄へと戻って行った灯篭。可愛らしい動作とは裏腹に、えげつない破壊力を持つ灯篭を見て、満足気に頷くエンジニア部一同。

 

 

 

「説明しましょう! 我々エンジニア部が開発した()()()()()()()()灯篭ちゃんは感圧式である白い花の周囲一体に一定以上の重さが加わった瞬間範囲内を無差別に攻撃するという性能を備えております! 安全性が心配? ご安心ください! 灯篭ちゃんの感圧センサーは生徒1人分の重さでは反応することはありません。これはセミナーのユウカ先輩が踏んでも反応しなかった事からその安全性が保証されており、今回のような多数の相手と戦う際には最適と言えるでしょう!」

 

 

……

 

 

「……滅茶苦茶似てるだけで、幻想体では無いんすね」

 

"……これに似た幻想体が居るの?"

 

「……はい。瓜二つと言うか、性能まで似たような奴が居たっすよ」

 

 

 

Aチームの隊長として幻想体を管理していた頃、仲間達が脱走した肉の灯篭の被害に遭わないよう……神秘を回し全速力で花の上を走り抜けると言う荒事を繰り返し行ってきたアマノにとって、見覚えのある白い花はトラウマの一種と言っても過言ではないだろう。

 

 

 

――何度、脚を食いちぎられそうになったことか……

 

 

 

"あ、あれの上を走り抜けたの?"

 

「そう……っすね。まぁ、副隊長にはよく怒られてましたが……アレを鎮圧するには、誘き出してから一斉攻撃が一番手っ取り早かったので」

 

 

 

目の前でAMAS達を粉々に噛み砕いた灯篭。それをわざと踏み付けて誘き出すなんて芸当を繰り広げていたと聞いて、思わず目を見開いた先生。

 

 

 

 

 

 

「……まさかリオの用意した機械が、全て壊されるとはな」

 

 

 

 

 

 

モモイ達の前方、先程までAMAS達が居た先から聞こえるローランの声。エンジニア部が持ってきた灯篭の威力に唖然としていたモモイ達は、声のする方へと視線を向け――

 

 

 

――そこに居るローランと不気味で巨大な機械に、また言葉を失った

 

 

 

"……うん。……えっと、色々と言いたいことがあるんだけど……その機械、何?"

 

「コイツか? コイツは道中で合流したアバンギャルド君だ」

 

"あ、アバンギャルド君???"

 

「リオが作った最先端の機械らしい」

 

 

 

大きな盾とアサルトライフルを装備した、4本のロボットアームを持つリオの最高傑作。有り余る資金をふんだんに使い、最高級の素材だけで作りあげた最終兵器。ミレニアムの校章とT社の社章が彫られた、機能美溢れるデザインの――

 

 

 

「うわあっ!? ダサ……」

 

「確かに、あんまり可愛いデザインじゃないね……」

 

「な、なにこれ……」

 

「ふむ、珍妙な見た目と言えるね」

 

「これは擁護のしようがありませんね!」

 

「うん、ダサい」

 

 

 

……どうやら、デザイン性には優れないようだ。

 

 

 

"み、みんな、流石に言い過ぎなんじゃ……"

 

「まぁ、確かに凄い見た目だとは思うが……」

 

 

 

しっかりと機械らしい見た目をしているだけマシだと、そう思うローランであった。

 

 

 

「……さて。お急ぎの所悪いが、ここから先は通行止めだ」

 

 

 

(カチャッ)

 

 

 

手袋から取りだした二丁拳銃を両手に構え、アバンギャルド君の側に立つローラン。

 

 

 

"……っ、みんな、構えて"

 

「うぅ~! なんで代理人が邪魔してくるのか分かんないけど、アリスを返してもらうんだから!」

 

「だ、代理人さんと戦う……」

 

「た、対策を考えないと……」

 

「ウタハ先輩、もう一度灯篭を!」

 

「道は通れなくなるけど、代理人に接近される恐れもなくなる」

 

「そう……だね。さぁ行け、灯篭ちゃん!」

 

 

 

再度、鞄から1輪の白い花を取り出し、モモイ達の前方の地面へと投げつける。ウタハの手から投げられた白い花が機械の根を伸ばし、地面へと突き刺さろうとした瞬間――

 

 

 

「――悪いが、ソイツは頂いていく」

 

 

 

咄嗟に前方へと急加速したローランが、右手の手袋を差し出し…………灯篭ちゃんを収納した。

 

 

 

「なっ……!」

 

「わ、私たちの商品が……」

 

「だ、代理人! そ、それを返してもらえないだろうか!」

 

 

 

「……いや、なんで返して貰えると思ったんだ? あと、一度行った攻撃は対策されると思ったほうがいい」

 

「くっ……」

 

「これで、障害の一つは排除できたな。……んじゃ、行ってこい。アバンギャルド君」

 

 

 

ローランの指示を受けたアバンギャルド君は、左アームに携えたアサルトライフルを構え……モモイ達への攻撃を開始した。

 

 

 





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