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ローランの背後に現れた扉、そこから現れた二人の人物。扉の先に見える広間のような光景に、一同は目を疑った。
「あ、あなた達は……」
「初めまして、アリス。……それからKey。私は……そうね、貴方と同じくアインに作られた機械……と言ったところかしら」
「皆様初めまして、私は図書館の指定司書ホクマーと申します。以後、お見知りおきを」
自らを機械と名乗る女性と、白髪の男性。図書館からの来訪者に、組織の一員であるノアとヒマリは警戒心を高めた。
「あ、アイン……? アリスは――」
「アリスは知らないみたいだけれど、あなたは知っているわよね? Key。貴方の気持ちは良く分かるわ。――私も、アインに復讐しようとしていたもの」
「お喋りは後にしよう、アンジェラ。今はあの人の作品であるこの子を、図書館に連れ帰るのが先決だ。……殿は任せるぞ、ローラン」
「殿って……別にここで争うつもりはないんだけどな。……まぁ、と言う訳だ先生。ホシノの時と同じくアリスには1度、図書館に来てもらう」
アンジェラ。ローランの話から、それが図書館の館長であることは知っていたが、まさか直接キヴォトスに来るとは思っていなかった。
「ちょ、ちょっと待ってよ! アリスをどこに連れていくつもり!?」
「あの扉の先って……代理人が居た外の世界……?」
「アリスちゃん……!」
無論、ただ大人しく見送るゲーム開発部ではない。急に現れた挙句、アリスを外の世界に連れて行くなど、許せるはずがなく……アリスを取り返そうと一歩足を進めた瞬間、E.G.Oを構えたノアによって止められた。
「代理人? 聞き間違いでなければ、接待を受けてもらうと聞こえたのですが?」
「あぁ、そう言ったが?」
「あなたは……あなたたちは、アリスちゃんを殺すのですか?」
沈黙の対価を構え、今にでも飛びかかろうとするノア。図書館の接待と聞いた瞬間、E.G.Oを発現させたヤンも、同じくいつでも動けるように構えていた。
「人聞きの悪いことを言うわね。組織が図書館を観測していたのなら、その結末も知っているでしょう」
「……」
「それに、あなた達と争う気があるのなら……ゲブラーを連れてきているわ。今殺されていない時点で、争う気がないことなんて分かると思うのだけど――」
「どうどう、落ち着けアンジェラ。そう事を荒立てるんじゃない、せっかく俺が穏便に済ませようとしているのに……」
「貴方がもっと早く連れてくればよかったのよ」
「……はい、おっしゃる通りです」
図書館の結末、殺された人間がその後都市で目覚めていることは知っていたが、それでも不安を隠せない二人。そんな様子を見ながら、どうすれば良いのかと視線を彷徨わせるアリスだったが……
「と言う訳で、アリス。俺からのクエストはあの扉の先で受けてもらう。特に問題がなければ、クエスト達成だ。報酬としてスーパーノヴァを渡してやる」
ローランのクエストという言葉を聞いて、一度うなずくのであった。その様子を見たアンジェラは、アリスの手を握り……扉の先へと彼女を連れて行く。彼女たちが扉を潜ったのを確認したホクマーは、一度ローランへと視線を送ってから、自身も扉の先へと進むのであった。
「じゃあな、先生。アリスのクエストが終わって戻ってきたら、全部説明するよ」
"……うん。……そんなに長い付き合いじゃないけど、代理人なら生徒を無暗に傷つけたりしないって――"
――信じてるから
「……あぁ。……じゃあまたな、先生」
最後まで警戒を解かなかった一同を後目に、扉の先へと足を進めたローラン。彼が扉を潜った直後、初めから何もなかったかのように……図書館への扉は消えていった。
「……よろしかったのですか、先生。アリスちゃんが接待を受けるということは――」
"大丈夫だよ。ホシノちゃんの時も、数日したら帰ってきたから"
「……ちょ、ちょーっと待ってくださいね。先ほどから気になっていたのですが……もしかして、他にも図書館へ赴いた生徒がいるのですか?」
"うん、ホシノちゃんも図書館で接待してきたよ?"
「……」
「やけにE.G.Oの使い方が上手いと思っていましたが、T社を襲撃した時には既に……」
"えーっとね、E.G.Oを使えるようになってから、すぐに図書館に行ってたよ? 代理人がE.G.Oの使い方を教えるって言ってたかな"
「「……」」
図書館とはいえ、自分たちの……組織の知らないところで都市へと行った生徒が居るというのは、かなりのショックだったのか、彼女たちは言葉を失っていた。
「せ、先生! アリス、ちゃんと帰ってくるよね!?」
"うん、きっと無事に…………無事……?"
……
「なんでそこで言いよどむのさ!?」
「せ、先生……?」
「だ、大丈夫……です、よね……?」
"い、いやぁ……そう言えば、ホシノちゃんの時は、代理人の知り合いに斬り飛ばされたって言ってたっけ……"
あはは……と苦笑いをする先生の様子に、ゲーム開発部一同は……
「「「無事じゃないじゃん!?」
と、声を荒げるのであった。
★★★★★
その頃、アンジェラと共に扉を潜ったアリスは、目の前に広がるゲームのような光景に目を輝かせていた。
「こ、ここが代理人の居た世界ですか?」
「そうよ。――ようこそ、図書館へ。私は図書館館長のアンジェラと申します。……貴方と同じ名前よ、Key」
「アン、ジェラ……? あ、アリスは……」
「アリス、私はあなたを造った人を知っているわ。私も同じ人に造られた機械だから。……そうね、私はあなたにとっての姉妹機、人で言う所の姉に当たるのかしら」
アイン、それからアンジェラ。アリスにとってその名前は、1度も聞いたことがない名前だった。……にも関わらず、何処か既視感の様なものを感じる。
「Keyはともかく……あなたは純粋ね。まるで……昔の私を見ているみたいだわ」
アリスへと手を伸ばし、頭を撫でるアンジェラ。自分でも無意識だったのか、数秒してから頭を撫でていることに驚いたが……アリスが嫌がる素振りを見せず、されるがまま撫でられていた為、しばらく撫で続けていた。
「今戻った」
「待たせたなアンジェ――」
図書館へと戻ってきたホクマーとローラン。彼等は普段のアンジェラからは想像も出来ない様子に目を見開いていた。
「……そこまで驚くような事かしら」
「いやいやいや、そりゃ驚くだろ! 」
「……お前がもっと早くこんな愉快な事をしていれば、あの人の反応も変わっていただろう」
話しながらもアリスを撫でる手を止めないアンジェラに呆れたのか、早く話を進めるように説得しろとローランへ視線で促すホクマー。
「あー……アリス。戻ってきたばかりで悪いんだが、一度Keyと入れ替わってくれないか? アイツから聞きたいことが山のようにあるんだ。それが終わったら、スーパーノヴァは渡すからさ」
「Key、ですか……?」
「乗り気じゃないのはわかるが、安心しろ。仮に暴れられても、俺らなら問題なく鎮圧できる。それに、アリスも気になるだろ? 自分自身について、知りたいんじゃないか?」
……
「アリスは……、……分かりました。Keyに代わります」
そう言った直後、まるで電源が切れたかのように一瞬意識を失ったアリスだったが、次の瞬間には瞳の色を紫色に変え、意識を取り戻していた。
「……話は王女を通して聴いていました。……あなたも、アインに造られた存在なのですね」
「えぇ、そうよ。……カルメンという女性をベースに作られたのが私」
「……まさか、私達と同じような存在が居るとは思いませんでした」
「私も思っていなかったわ。……Key、アインについて知っていることを全て話しなさい。代わりに私たちが知る限りの情報を教えるわ」
「……いいでしょう。アインの情報が頂けるのなら、願ってもいない限りです。……では、彼が無名の司祭を従え、私を生み出したきっかけから話します」
Keyは一度深く呼吸をすると、自分を生み出した存在であるアインについて、話し始めるのであった。
次回、 時計じかけの花のパヴァーヌ編
完結予定
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