黒い沈黙の行先   作:シロネム

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評価・感想ありがとうございます!
今回も同じく最終編のネタバレを含みますので、お気を付けください





Vol.Final あまねく奇跡の始発点編
あまねく奇跡の始発点編・予告PV


 

 

――Yostar

 

 

 

並行世界、遥か彼方の時空より飛来した未確認飛行物体。キヴォトス外からの侵入者によって、世界は破滅へと歩みだす。

 

 

 

「……座標確認。強制転移シーケンスを稼働します。……二人共、準備を」

 

「私は大丈夫。アビドスちゃんについていくよ」

 

「……ん。……まずは、ゲマトリアを片付ける」

 

 

 

ねじれた因果を断ち切るために、元凶になり得る存在を……一つずつ、消していく。

 

 

 

「これは――」

 

「……死の神」

 

「狼の神がねじれ……いえ、反転した存在ですか。……!? その手袋は、まさか――!」

 

 

 

ねじれた研究者――その一切を残すことなく消し飛ばす。混沌とした会議室に舞う、剣戟と銃弾の嵐。

 

 

 

「掃討……完了」

 

「……それじゃあ、帰ろうか。アビドスちゃん」

 

 

 

動き出した物語は、誰にも止められない。水面下で崩壊を始めるキヴォトスを救う鍵となる救世主は、その行方を眩ませている。

 

 

 

全てを救うには、あまりにも時間が足りない

 

 

 

「大事なのは経験ではなく、選択」

 

 

 

何を選び、何を切り捨てるのか

 

 

 

"違う。失っていいものなんて、1つもない"

 

 

 

例え最善手が取れなくても……まだ間に合う。救世主が不在であるならば、誰かがその席を埋めればいい。

 

 

 

"その為の、代理人だよ"

 

 

 

世界の為に動ける大人は、1人ではない

 

 

 

「あの、先生はどちらに? シャーレもこの非常対策委員会に参加すると伺ったのですが」

 

「先生、及び代理人の行方は……現在我々も捜索中です」

 

 

キヴォトス各地に現れたという超高エネルギー反応。その対策の為に集められた各学校の代表達。本来であればシャーレが先導し対策を練っていた筈だが、

 

 

 

シャーレが居ないなら話にならない

 

 

 

連邦生徒会だけでは、彼女達の相手など到底……

 

 

 

「――それなら、ここから先は俺が引き継がせてもらう」

 

 

 

会議室に吹く一陣の風。会議室に居る全員が驚き、再び目を開けた先には、1人の大人と2人の子供が立っていた。

 

 

 

「代理人……?」

 

「あぁ。遅くなって悪いな、七神。状況は読ませて貰った。先生が行方不明な以上、シャーレの代表として席に着かせてもらうが構わないな?」

 

「……はい。元より、代理人の立場はその為のものですので」

 

「なら話は早い。七神、歌住、セイアは残ってくれ。後のメンバーは自分達の自治区で待機。何が起こるか分からないから、各自警戒だけしててくれ」

 

 

 

突如として現れた代理人の発言に、戸惑う一同だったが……シャーレから意見ということもあってか、呼ばれなかったメンバーは順に席を後に――

 

 

 

「代理人。この面子を残すのであれば、イロハも残らせてくれたまえ。ゲヘナの彼女も関係者だ」

 

「――分かった。悪いが、イロハって奴も残ってくれ」

 

「……分かりました」

 

 

 

セイアに呼び止められ、渋々頷くイロハ。呼び止めたメンバー以外が退室した事を確認したローランは、先生の現状について話すのであった。

 

 

 

「先生の行方については図書館から観測させてもらった。先生は今、シャオ達ラビット小隊と共にいる。カイザーコーポレーションに拉致された先生は今、シャーレの奪還を目指して行動している所だ」

 

 

 

代理人の口から聞かされた現状。カイザーコーポレーションによる、シャーレの占領。観測者の視点だからこそ得られた情報。

 

 

 

「内乱だ。ここだけの話、連邦生徒会防衛室長――」

 

 

 

――不知火カヤがカイザーと繋がっている

 

 

 

「「「「!?」」」」

 

「早急に手を打ちたいが、まずは先生の身の安全が優先だ。ケイ、アリス。悪い奴からシャーレを奪還するクエストを発注する」

 

「クエストですか! であるならば、勇者アリスがそのクエストを受注します!」

 

「……代理人。私は事情を把握しているので、クエストと言い換えなくて構いません。私も同行します」

 

 

 

言いたいことや聞きたいことは山ほどあるが……それはこの事態が収まってからとしよう。

 

 

 

ラビット小隊による支援。E.G.Oと言う規格外の力を持つ大人に加え、元シスターフッドAチーム隊長も居る以上、カイザーが先生に叶う道理など無かった。

 

 

 

「制圧確認! 只今より、シャーレへと突入します」

 

「私が先行しよう。お前達は先生を守ってやれ」

 

 

 

E.G.Oを構え、シャーレへと突入しようとした先生達の目の前に現れた魔法陣。黄金色に輝くソレには見覚えがあった。

 

 

 

"代理人! おかえり!"

 

「待たせたな、先生。事情は全て把握している。アリス、周囲の警戒を。ケイ、近接戦闘用のE.G.Oを装備してくれ」

 

 

 

1週間ぶりの再会を喜ぶ暇もなく、先生達はシャーレへと突入した。

 

 

 

「物語は覆された。脈略、構成、ジャンル、意図、解釈……すべてが破壊され、攪拌された」

 

”……だとしても、それが諦める理由にはならないよ"

 

「……であれば、見守るとしよう。連邦生徒会長が創り上げた、至高の特異点(先生)よ!」

 

 

 

奪還したシャーレの部室で、赤く染まった空を見上げた。エンディングはまだ遠く、修正は今からでも間に合う。

 

 

 

"ここからは、シャーレの番だよ"

 

 

 

モモトークを通じて、各自治区の生徒へと送られた緊急メッセージ。シャーレからの要請を受け、生徒達は各地の脅威へと立ち向かう。

 

 

 

「アロナ。脅威の発生している座標を俺の端末に送ってくれ。図書館も鎮圧に手を貸そう」

 

 

 

来訪者には来訪者を。外なるモノは外なるモノにて対抗する。物語の調和を取るには、それが一番ふさわしい。

 

 

 

★★★★★

 

 

 

「……! ……代理人、捜索対象を検出しました。座標位置特定。対象をモニターに表示します」

 

 

……

 

 

「やっと、見つけた」

 

「……あの人が目的?」

 

「えぇ。ここまで長かったわね。……あなたがピアニストに殺されてから、どれだけの時間が経過したかしら」

 

「……」

 

「うん? ……あぁ、なるほど。あなたの言葉通りよ、先生。あなたはあの人の複製品。ねじれた因果によって生み出された紛い物。……でも、ここまで来れたのはあなたのおかげよ」

 

「あの人で間違いないの?」

 

「えぇ、間違いないわ。……私の遺品を使ってくれているなんて……やっぱり、どの世界でも考えることは同じみたいね」

 

 

 

因果は収束する。どの世界でも、結果は変わらない。過程が異なるのなら、同じ結果へと導くために修正される。

 

 

 

――彼女よりも親友を選び最愛の人を亡くした

 

――親友よりも自分が選ばれ最愛の人を亡くした

 

 

 

対象も過程も異なれど、辿り着く終着点は変わらない。

 

 

 

 

 

 

――あまねく奇跡の始発点(終着点)

 

 

 

 

 

 

その過程は、如何様にも変化する

 

 

 




次回、あまねく奇跡の始発点編スタート
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