評価、感想ありがとうございます。
今回から書き始めた裏シリーズは、本編で語られなかった内容となっております。
裏・Time Track社 1
――便利屋68・事務所
夢に囚われた陸八魔アルが社員のことを思い出してから、数日後。
「アルちゃ~ん、代理人から依頼が来たよ~」
「ほんとに!? やったじゃないムツキ!」
「これ……、集合時間と集合場所だけで、内容は直接会ってからって書かれてるけど、……どうする、社長」
「もちろん受けるわよ! あの人が依頼に関して虚偽の情報を提示するとも思えないし……、
……私のせいで、ここ数日まともな依頼にありつけなかったんだから、稼がないと」
「あ、アル様のせいって訳では……」
「アルちゃんのせいだなんて思ってないよ~。……まぁ、夢の内容については、教えて欲しいな~って思うけど」
「うっ……。そ、そうね。……丁度良いかもしれないわね」
「社長?」
「ムツキ、その依頼、便利屋68として受諾すると伝えて頂戴。……ついでに、私が見た夢についても……
――代理人を交えて……話すわ」
「おっけー! ……って、代理人も?」
「えぇ。……私が見た夢については、……恐らく代理人の方が詳しいでしょうから」
「「「???」」」
★★★★★
――ミレニアム自治区・公園
生徒達が行き交う大通りの端にある、あまり人気のない公園。便利屋68の一行は、ローランに指定されたこの公園へと訪れていた。
「来たか。……こんなところまで呼び出して悪いな」
「いやいや。お兄さんこそ、依頼ありがとうね~」
「まぁ、アビドスからそこまで離れてないし……」
「……」
「代理人……」
……やっぱり、
……
「依頼内容の前に、……聞いて欲しい話があるの」
「話? ……まぁ、時間にも余裕があるし構わないが」
「アルちゃん……」
「私がここ数日、見させられてた夢についてなんだけど……」
陸八魔アルによって語られる、ここ数日見続けた夢の内容。
翼の実験体にされた夢
L社で化け物の管理をしていた夢
W社で724,284日もの間、列車に囚われた夢
遺跡を探索した夢
裏路地のフィクサーとして活動していた夢
妄言としか思えない夢の数々を聞かされたローランだったが、……話したこともない都市の内容を把握されているという事実が、これがただの妄言ではないことを証明していた。
「アルちゃん……」
「社長……」
「アル様……」
「……間違いなく、都市の内容だ。……まさか、そんなことが起きるなんてな」
幻想体にワープ列車……。……夢とはいえ、そんな経験をさせられてたなんて……。
「やっぱり、代理人は信じてくれるのね」
「……いや、信じるというか……。……それだけのことを知ってるのは、都市でも限られた奴しか居ないはずなんだ。
……具体性もあるし、信じるしかないだろ……」
キヴォトスに来てる都市の奴らから聞いたのかとも思ったが、……旧L社の内部情報なんて、アンジェラから直接聞くまで俺も知らなかったからな。
……
「……陸八魔。……どうして、俺に話そうと思ったんだ? 信じてやることはできるが、その夢? を見ないようにとかは、……俺には無理だぞ」
「……いえ、私は夢を見ないようにしたい訳じゃないのよ。……それに関しては、ムツキ達のおかげで解決したから、問題じゃないの」
「……だったら、尚更どうして俺に話したんだ?」
「都市の話を理解できる人が居た方が、ムツキ達も信じてくれると思ったのが理由の一つよ。
……もう一つの理由は、
……あなたが、
……私が所属する事務所の、元隊長だからよ」
「…………は? …………今、なんて……」
(バチッ)
途端、この場に居た全員の視界が、朱色に包まれた。
……突然湧いた、凄まじい光に思わず目を閉じた4人。
――次に目を開けた4人の視界に映ったのは、
「チャールズ事務所所属、――朱色の雷
――陸八魔アルよ……。……ローランさん」
服装自体に変化は無いものの、まるで雷を纏っているかのように帯電したコートを羽織り、
――朱色の煙を吹き出す煙管を咥えた、
陸八魔アルの姿だった。
「嘘……だろ……? チャールズ事務所って……、……それに、その姿は……」
「
「アストルフォ……。…………アイツは、まだチャールズ事務所に……」
「……メンバーは減っちゃったらしいけどね。
……彼、心配してたわよ。ローランは恨みを買いすぎていないかって……
……違う世界で元気にしているとは、伝えておいたけど」
「……そうか」
「待って待って! ……ぜ、全然ついていけないんだけど!? アルちゃん、その姿何!?」
「社長……。……喫煙は良くない」
「あ、あああ、アル様! ……素敵です!!」
「こ、これは違っ……! た、煙草だけど煙草じゃないのよ! えっと、
「……麻薬ってこと? ……社長、今すぐやめよう?」
「あーーーーー! ち、違うのよ、カヨコ!?」
★★★★★
「……なるほどな。……夢の中の陸八魔は、特色フィクサーまで登り詰めたのか」
「えぇ。……あの夢を見続けさせられたせいで、キヴォトスにいる私が現実なのか、朱色の雷である私が現実なのか、
…………分からなくなってたわ」
「あの時は心配したんだよ? ……急に誰? とか言い出すから」
「ご、ごめんなさい……。
……でも、本当にありがとう。
……あの時、みんなが私の事を支えてくれたから、こうして現実に帰って来れたわ」
「……社長。……いつから夢を見ているのかは分からないけど、
……そんなことになってたのなら、もっと早く相談して欲しかった」
「アル様、私もお役に立てるかは分かりませんが、……それでも、いつでもアル様のお傍に居ますので」
「カヨコ、ハルカ……。
……うん、ありがとう」
「……あー、良い雰囲気のところ悪いんだが……、……その姿はもしかして、E.G.Oか?」
「エゴ?」
「……いいえ、違うわ。……私もよく分かってはいないのだけど、
……
――本来辿る筈のない経験を重ねた結果、現実と夢の境界が歪んでねじれた終着点。
E.G.Oでもねじれでもない……もう一つの可能性。
……あえて言葉にするのなら、
夢の自分との同期化かな?
……って言ってたわ」
「同期化……。……ちょっと待て、あの人ってもしかして、
――頭に直接響く声か?」
「代理人も知ってたのね……。……そう、
――カルメンよ」
「なんで、その名前を……」
「……言ったでしょう? ……私は
……そうね、代理人に分かるように言うのなら、
――白夜と黒昼に立ち合ったことがある。
……そう言えば、伝わるかしら」
「おいおい……」
それが本当なら、一体どれだけの経験を積んできたんだ?
……どれだけの時間、都市に苦しめられたんだ……。
「ほぇ~、アルちゃんが何を言ってるのか、全然分かんない」
「大丈夫、私も理解できないから」
「む、難しいお話ですね……」
「ついでに言うと、図書館で働いたこともあるわよ。……代理人は私に気づいてなかったみたいだけど」
「……は? 働いていたって、……嘘だろ?」
「……と言っても、本当に数日だけだけどね。すぐ目が覚めちゃったし……。……あの子達に混ざって接待もさせられたわ」
「……どこの階でだ?」
「……ょ」
「……?」
「……紅茶狂いの居る階よ。…………あの人何なの!? ……なんか、キヴォトスの事とか、私のことに気づいてたみたいなんだけど!?」
「…………哲学の階か」
……元調律者のアイツなら、夢を見てた陸八魔に気づいてた可能性も……
…………いや、あるわけないだろ
……一体どうなってんだ
L社の夢の中で出会った
彼に聞かされた目的
都市が辿った結末
観測者としての目は、都市の様々な部分を写してきた
――実体験と言う、肉体へのフィードバックを添えて
評価、感想お待ちしております
第2試合 陸八魔アルの対戦相手と結果は……
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シャオ の勝利
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シャオ の敗北
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イオリ の勝利
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イオリ の敗北
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シロ の勝利
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シロ の敗北
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ケイ の勝利
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ケイ の敗北