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Κιβωτός Championship <上>
ミレニアムサイエンススクール
――ゲーム開発部
部活の存続が決まってから数日後、先生とローランはゲーム開発部のメンバーに呼び出されていた。
(ガチャ)
「あ、やっと来た! 2人とも遅いよー!」
「こんにちは、先生、代理人さん」
「……こ、こんにちは」
「先生! 代理人! サポートキャラとは2人の事だったのですね!」
"ごめんね、仕事が溜まっちゃってて"
「大至急とか言うから、それなりに急いで来たんだが……何があったんだ?」
「おっとそうだった! これ見てこれ!」
モモイから手渡された1枚のポスター。
そう、書かれていた。
「なんだこれ。イベントか何かか?」
「そう! 年に一度開催されるゲームの祭典、キヴォトスチャンピオンシップ!」
"キヴォトスチャンピオンシップ?"
「
「参加資格? ――各チーム6人以上のメンバーが必要……?」
「去年までは一人でも参加できたのですが……、……お、応募人数が増えた関係で……チームを……」
"……なるほど。このイベントに参加したいけど、人数が足りないと……"
「……」
手元のポスターに目を通した先生とローラン。
対象ゲーム:鋼拳7
参加資格 :6人以上のチーム
優勝賞品 :1,000万クレジット、
参加条件や会場の場所など、細部にまで目を通した先生とローラン。
「……なぁ、もしかして……」
"……まさか……"
「「「「私たちの仲間になって(ください)! 先生! 代理人!」」」」
★★★★★
毎年開催される格闘ゲームのトップを決める大会。本来であれば予選大会からの参加が必要なものの……
"なるほど。ユズちゃんが去年優勝しているから、シードとして参加できる……と"
「それは、凄いな。これだけの優勝賞品が出るってことは、相当規模の大きい大会なんだろ? それで結果を残せるなら、ゲームを作らなくても部活は存続できたんじゃないか?」
「そ、それは……」
「実は、……去年まではオンラインでの大会だったので、……ユズちゃんが参加したことは知られていないんです」
「うん? このポスターには会場の場所が書かれているが、……もしかして、これも今年からなのか」
「そうなんだよー! 今まではオンラインだったし、優勝賞金も活動費に充てられたんだけど」
「ちょっと待て。……もしかして、早瀬は把握してないのか?」
「うぅ……お、おそらくは。……私の優勝賞金を、部費として充てていたので……」
「……いやまぁ、花岡が良いならいいんだが……」
"す、凄いねユズちゃん! 大会で優勝できるなんて!"
「ユズはとっても強いです! アリスも、まだ一度も勝てたことがありません」
「あ、アリスちゃんも十分強いと……思うよ? ……大会でも、結果を残せると思う」
「へぇ……」
……まぁ、アリスの学習能力なら、花岡の動きを再現することもできるだろうしな。
「……それで? 人数が足りないから、俺たちにも参加して欲しいってことか?」
「その通り! お願いだよ代理人~! このままじゃ私たち餓死しちゃう~!!」
「餓死って、……早瀬から部費が支給されたんじゃないのか?」
一応結果も残せたことだし、ある程度の部費は出ていると思うが……。というか、食費と部費は関係ないだろ……。
「それは……」
「……ご、ごめんね、みんな……。私がアケコンなんて買っちゃったから……」
「ユ、ユズちゃんだけのせいじゃないよ! ……私も液タブ買っちゃったし」
「そうそう! 私も
「???」
「……お前らまさか」
"もしかして、部費を使い切っちゃった……?"
「「「……はい」」」
「えっと……? アリスは、新しいゲームがプレイできて楽しいです!」
部費が1クレジットすら残っていないゲーム開発部。アリス以外の三人共が私欲の為に部費を使い切った結果、
――支給されてからたった数日で、半年分の部費が無くなっていた。
「……はぁ。……まぁ、急ぎの仕事があるわけでもないし、参加するのは構わないが……」
"そうだね。息抜きも兼ねて参加しよっか。……私も、ゲームの大会に出てみたいしね!"
「やった! これでメンバーが揃ったから、早速参加申請出してくるね!」
「……一応言っておくが、ゲームなんて触ったこともないからな? ……結果なんて期待するなよ?」
「分かってるって! 大会まであと三日もあるし、その間私たちが鍛えてあげるよ!」
"ちょ、ちょっと待って。……三日? ……え、三日後なの?"
「そうだよ? 大丈夫! こっちには最強のUZQueen様が付いてるからね! もう優勝したようなものだよ!」
「UZQueen?」
"もしかして、ユズちゃんのハンドルネーム?"
「そ、そう……です……」
――UZQueen
昨年度、Κιβωτός Championshipの優勝者。……オンライン上ということもあってか、正体不明の存在であるUZQueenに大会は大盛り上がり。
今回のシード権も大会主催者からの贔屓によるものだが、
「まぁ、UZQueenならしょうがないか」
……という意見で満場一致しており、反対する者は殆どいなかった。
「まぁ、そう言うなら気楽に参加させてもらうが」
"一応特訓しないとね。いやぁ~、格ゲー久しぶりだなぁ~!"
★★★★★
(カチャカチャ)
そうして始まった2日間ぶっ通しでの特訓。……もう慣れてしまったのか、疲労や空腹感は黄金銃で巻き戻し、モニターの前から1秒たりとも離れない。
(バキッ!)
スティックが千切れる程動かし、壊れる傍から巻き戻す。
(カチャカチャ)
ボタンが減り込むほど押し込み、壊れる傍から巻き戻す
そうした猛特訓の二日間で、ローランはあることに気が付いた。
「……こいつは、反応速度を鍛えるのにも使えそうだ。……身体改造後や刺青刻印後のズレを無くすには、丁度良いのかもしれないな」
「「「「???」」」」
48時間
鋼拳7をひたすらプレイし続けた一行。休む間もなく遊び続けた事もあってか、
PCに届いたメールに、誰一人気づいていなかった。
――Κιβωτός Championship 会場
年に一度開かれるゲームの祭典。その熱気は凄まじく、会場に用意された数千もの観客席は、全て埋め尽くされていた。
「凄い人気だな。これ全部観客なのか?」
「お、恐らくは。代理人さん、あそこの裏口が出場者専用の入り口っぽいので」
「あれか。……なぁ、さっきから気になっていたんだが、……花岡は大丈夫か?」
「ユズ、大丈夫ですか? 代理人! ユズに回復薬を!」
「だ、大丈夫……大丈夫……だい、じょうぶです。
……周りにいるのは全部キュートちゃん、全部キュートちゃん、全部キュートちゃんだから怖くない……」
「あちゃー、やっぱりオンラインじゃないと厳しかったかなぁ」
"ユズちゃん、大丈夫?"
「だ、大丈夫、です……。い、行きましょう」
「オッケー! この二日間の特訓の成果、見せつけてやらないとね!」
出場者専用出入口へと足を運んだゲーム開発部一行。各チームごとに割り振られた待機室には、大型のディスプレイが設置されており、対戦中の試合の様子が観戦できるようになっていた。
「おーーー! 凄い設備だね!」
"こんな感じになってるんだ~"
待機室内に置かれた、スポンサーによるエナジードリンクや、練習用に設置された大会専用アーケードコントローラー。
全8チームによるトーナメント戦。シード枠での参戦となるゲーム開発部は、Aブロックの4チーム目として登録されていた。
「暫くは待機することになりそうだな」
「みたい、ですね」
「……あれ? ……メールが……」
"ユズちゃん? 何かあった?"
「先生、これ……」
大会出場に関して、何かしらの連絡事項が来ていないか、メールの確認をしていたユズは、……二日前に主催者から送られてきていたメールに目が留まった。
"えっと、参加資格変更のお知らせ?"
UZQueen宛に送られてきたメール
チーム参加者は原則6名以上。
各チーム事前に申請した6キャラを操作すること。
但し、チームメンバーが6名に満たなかった場合、同一人物が複数キャラの操作することも可能。
その場合、大会運営者に申し出を行ったうえで、同一キャラの選択は出来ないものとする。
「……要するに、やろうとすれば一人での参加も可能ってことか」
「嘘!? この間まで6人以上必須って書かれてたのに!?」
「ふ、二日前にメールが来てたみたい……。……参加資格について、各チームから変更の要望が多く寄せらていたみたい」
まぁ、ゲームの腕前もあるだろうし、強い奴が6回参加した方が勝率は高い……のか?
「……どうする、お姉ちゃん。ユズちゃんに6回出てもらう? 今から変更もできるみたいだけど」
「……え!? わ、私、持ちキャラ6人もいない……よ……」
「……ううん。ここまで来たんだもん! 全員で1回ずつ参加しようよ! 確かに勝率だけ見たら、ユズちゃんと代理人に3回ずつ出て貰った方が良いのかもしれないけど、
――そんなの、面白くないじゃん!」
「はい! アリスも参加したいです!」
「そもそも、俺だって3キャラも操作できないしな。……事前に申請した1キャラで十分なんだが」
"せ、先生も頑張るね? ……あんまり上手くないけど"
「そ、そんなことは。先生のハメ技は、決まりさえすれば10割持っていけるから、可能性は十分ありますよ!」
「あんなコンボがあるなんて知らなかった……」
「流石というか……。……アロナもよく解析できたな」
"あはは……。……これも全部、アロナちゃんのおかげだね"
「むふ~! スーパーアロナちゃんにかかれば、即死コンボを見つけるのなんて朝飯前ですよ!」
次回、Κιβωτός Championship
優勝賞品にある青輝石1年分とは一体……
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