黒い沈黙の行先   作:シロネム

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評価、感想ありがとうございます!

2話で終わらなかったので、3話構成と致します。



※このお話の時系列は、エデン条約編前となります。




Κιβωτός Championship <中>

 

――Κιβωτός Championship

 

 

二日間に及ぶ特訓で上達した腕前と、先生による10割ハメ技コンボ、UZQueenの圧倒的な力に、1級フィクサーとして培ったローランの反射神経。

 

ゲーム開発部一行は持てる力を全力で発揮し、決勝戦へと駒を進めていた。

 

 

「つ、遂に決勝戦だね!」

 

「二日間休まずに練習したおかげですね」

 

「はい! アリスも色んな人と遊べて楽しいです!」

 

「えっと……次の相手は……」

 

 

決勝戦

 

自分たちが勝ち進んできたブロックとは違うBブロック。数多の精鋭をなぎ倒し、決勝に駒を進めてきた相手のチーム名は……、

 

 

――誰一人、読み方が分からなかった。

 

 

 

 

גימטריה

 

 

 

 

 

「な、なんて読むんでしょう……?」

 

「これって一体何語なんでしょうか……」

 

「ちょっと待ってね! えっと確か、ヴェリタスの翻訳アプリが入ってたはずだから……」

 

「……こういう、独特な名前の奴が多いのか?」

 

「す、少なくはない……ですね。……チーム名は、オリジナルが多いですから……」

 

「あったあった! えっとね~、これは……

 

 

 

 

――げまとりあ? ぷふっ、変な名前~!」

 

 

「ちょっとお姉ちゃん、チーム名を馬鹿にするのは失礼でしょ」

 

「ゲマトリア? それって有名な相手なのか?」

 

「アリスは聞いたことない名前です! オンラインマッチでも、当たったことないですね」

 

「私も、聞いたことない……です。……恐らく、初参加の方々かと」

 

 

となると、無名で決勝まで上がってきたのか。……これはかなり、苦戦しそうだな。

 

 

"ゲマトリアって、まさか……"

 

 

……いやでも、…………えぇ?

 

こんな大会に参加するかなぁ……?

 

 

「知り合いか? 先生」

 

"え!? ……えっと、い、一応? ……多分、知り合い?"

 

「多分?」

 

き、きっと偶然名前が一緒だっただけだよね! ……うん、そうだよね。

 

 

――黒服がゲームをしてる姿なんて想像できないし……。

 

 

 

★★★★★

 

 

 

――Κιβωτός Championship、決(・)勝(・)戦(・)

 

 

ゲーミングモニターにアーケードコントローラーが設置された2台の大きなセット。会場の中心にセットされたテーブルを囲んでいる観客たちも、今か今かと待ち遠しく思いながら、出場者の入場に備えていた

 

 

「大変お待たせしましたー!! 長きに渡る大会も、この戦いが最後となります!

 

――キヴォトスチャンピオンシップ決勝戦! 出場者たちの入場です!

 

まずはAブロック勝者! 数ある精鋭の中から勝ち抜いた、前大会優勝者! 匿名の女王の異名を持つ! チーム、UZQueen!」

 

 

「UZQueen!」「UZQueen!」「UZQueen!」

 

 

 

「いえーい! 頑張っていくよー!」

 

「お、お姉ちゃん! ……もう」

 

「そんな異名を持っていたのか?」

 

「……全員キュートちゃん、……全員キュートちゃん……全員キュートちゃん」

 

「優勝するのはアリスたちです!」

 

"……よし。みんな、あと1戦頑張ろう!"

 

 

 

「続いてBブロック勝者! 怪物の衣装に身を包んだ、正体不明の怪人達! 初出場でありながら、決勝へと勝ち進んだ! チーム、גימטריה(ゲマトリア)!」

 

 

「גימטריה(ゲマトリア)!」「גימטריה(ゲマトリア)!」「גימטריה(ゲマトリア)!」

 

 

 

「クックック、マエストロ、ゴルコンダ、デカルコマニー、行きますよ」

 

「私の力を御見せしましょう」

 

「わたくしたちの出番、という訳ですね」

 

「そういうこった!」

 

 

 

様々な衣装に身を包み、異形の頭を装備した不気味な大人たち。

 

チームゲマトリアの3人が、ゲーム開発部一行の目の前に立ち塞がった。

 

 

「うわぁ! めちゃめちゃ悪役みたいじゃん!」

 

「悪役みたい? なるほど、あなたはこの姿をそう表現するのですね」

 

「こ、コスプレ? どのキャラがモチーフなんだろう……」

 

「いえ、わたしくしたちはコスプレではありませんよ」

 

「これは、魔王軍の幹部ですね!」

 

「そういうこった!」

 

「ひっ……よ、よろしくお願いします」

 

「クックック、えぇ、よろしくお願いします」

 

「凄い気合の入れようだな……。……まぁ、よろしく頼む」

 

"……噓でしょ!? 黒服!? 何でこんなところにいるの!?"

 

「クックック! まさか、先生が参加されているとは」

 

「やっぱり知り合いだったのか?」

 

"知り合いっていうか……えぇ……?"

 

「クックック、お久しぶりですね先生。……そして初めまして、シャーレの代理人。

 

――いえ、黒い沈黙様」

 

「……お前……」

 

「アビドスでは、ゼホンがご迷惑お掛けしたみたいで。……彼に代わって謝罪しておきましょう」

 

「ゼホン……! ってことは、お前らカイザーの……」

 

「おっと、誤解しないで頂きたい。今回、私たちは戦いに来た訳ではありません。

 

……それに、カイザーとは手を切りました。もう彼らに、協力する必要もないですから」

 

「……そう、なのか?」

 

"だったら……なんでこんな所に……、……いや、ほんとに何でいるの? 黒服?"

 

「それは……」

 

 

 

「さぁ! 出場者達が出揃いました! それではこれより、キヴォトスチャンピオンシップ決勝戦を開始致します!!」

 

 

 

「「「「「「ワァァァァァァァ!!!!」」」」」」

 

 

 

「クックック、積もる話はまた後程。私たちが優勝した後にでもお話ししましょう」

 

「私たちの良き理解者よ、どうか失望させないでくれたまえ」

 

「話には聞いていましたが、先生。楽しみにしていますよ」

 

「そういうこった!」

 

 

 

★★★★★

 

 

 

先に4勝した方の優勝となる決勝戦。チームゲマトリアからは、試合に参加できる黒服、マエストロ、デカルコマニーの三人が2キャラずつ操作する形での参戦となっている。

 

 

先鋒:×SAIBA PINK VS 〇Black Suit

 

次鋒:×SAIBA GREEN VS 〇Maestro

 

 

 

「おおっと! チームゲマトリア! 早くも、チームUZQueenの先鋒と次鋒を撃破! 優勝へと一歩近づきました!」

 

 

「גימטריה(ゲマトリア)!」「גימטריה(ゲマトリア)!」「גימטריה(ゲマトリア)!」

 

 

 

「ここで15分間のインターバルとなります! それではリプレイの方を確認していきましょう!」

 

 

 

モモイとミドリに勝利を収めたチームゲマトリア。初参加とは思えない、ど(・)こ(・)か(・)で(・)見(・)た(・)覚(・)え(・)の(・)あ(・)る(・)動(・)き(・)によって、才羽姉妹に勝利を収めていた。

 

 

 

「こ、この人たち強すぎない!?」

 

「この動き、まるでユズちゃんの……」

 

「そのままというか、これはアリスの時と同じ……」

 

 

 

「おや、お気づきになられましたか」

 

 

 

(ガチャ)

 

 

 

チームUZQueenの待機室。15分間の休憩ということもあってか、一度待機室に戻ったチームUZQueen。

 

――その待機室に、3人の大人たちが訪れていた。

 

 

「「うわぁ! でたぁ!?」

 

 

"黒服? ……一体何をしたの"

 

「クックック、そんな目で見ないで頂きたい。……私たちは別に、不正をした訳ではないのですから。

 

えぇ、ルールに則った上で戦っておりますよ?」

 

「……再現。………いや、模倣したのか……?」

 

「おや、解釈としては黒い沈黙様の方が詳しいみたいですね」

 

「……その呼び方はやめてくれ」

 

「クックック。……先生、あなたに理解できるかは分かりませんが、……今回私たちは、ゴルコンダが解釈したテクストを付与しています」

 

"テクストを……付与?"

 

「この大会に限り、前大会優勝者と同程度の腕前になる。……方法については教えられませんが」

 

「私の提供したテクストが役に立ったみたいで何よりです」

 

「そういうこった!」

 

「ゴルコンダの解釈したテクストを複製(ミメシス)し、私たちに付与したまで」

 

 

テクスト……複製……。……図書館でアンジェラがやっていた、ページの抽出みたいなものか?

 

……ページ化したユズを装着したと考えれば、意味合いは理解できるが……

 

 

……一体どうやったんだ……。

 

 

「……なぁ、疑問なんだが、何でお前たちはこの大会に出たんだ? 聞いてる感じ、ゲームが好きって訳でもなさそうだが……」

 

「クックック、代理人。あなたの仰る通り、私たちはゲームになど興味ありません。……必要なのは優勝賞品です」

 

「……金欠なのか?」

 

「いえ、そちらではなく。……青輝石

 

ご存知無いと思いますが、アレは一種のオーパーツ。……アーティファクトと言ってもいいでしょうか。

 

――とても価値のあるものなのです」

 

「……あの青い石がか?」

 

「あなたに分かるように言うのであれば、あれは固形化した小規模な特異点のようなものなのです。……こう言えば、その価値が分かるかと」

 

「……それは、まぁ。……というか、なんでそんなものを主催者は用意できたんだ……」

 

 

ブラックマーケットで偶に売られていたが、そんなに価値のあるものだったのか。……シ(・)ッ(・)テ(・)ム(・)の(・)箱(・)の(・)燃(・)料(・)に(・)必(・)要(・)だ(・)か(・)ら(・)、(・)見(・)つ(・)け(・)た(・)ら(・)回(・)収(・)し(・)て(・)欲(・)し(・)い(・)とアロナは言っていたが……。

 

 

 

「うぅ……、わ、私たちだって、お金が必要なんだから!」

 

「青輝石は良く分かんないけど……」

 

「……っ、ゲームに、興味がない……なんて……」

 

「アリスは負けませんからね! 魔王軍をやっつけるのは、勇者の役目です!」

 

 

 

「魔王軍……ですか……。クックック、物語の最後に立ちふさがる魔王という解釈……これを付与できれば色彩に……」

 

「そこまでだ黒服。今つぶやいた内容については、改めて協議するとしよう」

 

「そうですね。その解釈をテクスト出来るかどうかは、真剣に吟味するとしましょう」

 

「そういうこった!」

 

「クックック、……アリス。……いえ、その名前は相応しくありませんでしたね。

 

 

 

 

――研究者アインの残した模造品、AL-1S

 

 

 

クックック……この後の試合、楽しみにしておりますよ」

 

 

 

(ガチャ)

 

 

 

そう告げると、扉を開け待機室を後にする三人。

 

――試合再開まで、残り5分。

 

 

 

"黒服。なんでアリスちゃんの名前を……"

 

「む、難しすぎて何言ってるのか全然わかんなかった」

 

「優勝賞品が目当てってことは分かったけど……」

 

「絶対……負けない……」

 

「やっぱり、敵は魔王軍でした!」

 

「……いや、というか……」

 

 

――何をしに来たんだ、あいつら?

 

 





先生大好きクラブめ……
格ゲーの大会に参加してくるとは……




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