「……」
「……代理人」
「……」
「……はぁ。…………くそっ」
……やらかした。思わず殺しちまったけど、こいつ等の前でやるべきじゃなかった。
"代理人…………"
「……代理人~。相手も戦意喪失してるみたいだし、校舎に戻ろっか」
「あ、あぁ……」
……小鳥遊
「ほらほら~、戦闘も終わったことだし、みんなも帰るよ~。……帰って利息の準備をしないとね~」
「……ん、分かった」
「ホシノ先輩……。……あんた達! もう襲ってくるんじゃないわよ!」
「利息……。……って、明日支払日じゃないですか!」
「校舎に戻りましょうか。ね、先生☆」
"……うん。戻ろうか。便利屋の君たちも、もう襲ってこないでね"
「いや、お前ら……」
「ほらほら、帰るよ~代理人」
…………はぁ。
「……ありがとうな、小鳥遊」
「……これで、あの夜襲い掛かったことはチャラにしてね~」
「……はいはい。……そもそも何とも思ってないっての」
……次からは人目に気を付けないとな。こいつ等に何度も死体を見せる訳には…………。
…………次?
――なんで今、次があるって思ったんだ?
★★★★★
校舎に戻っていくアビドス一同を見送る便利者68。各々は飛び跳ねた血を拭い、装備の確認をしながら社長の撤退命令を待っていた。
「……っ、あ、アル様ぁ~」
「……いぃ」
「あ、アルちゃん……?」
「……はぁ。……嫌な予感が」
「あ、アル様……?」
「か、カッコいいわ! これこそまさに、真のアウトローって感じね!!!」
「……あちゃ~」
「社長……」
幼い子供のように目を輝かせる陸八魔アル。ハードボイルドなアウトローを目指す彼女にとって、因縁…………かどうかはよく分からないが、
――少なくとも、並々ならぬ感情を持つ者同士の、命を懸けた殺し合いというのは、とても心惹かれるモノであった。
「最高じゃないアビドス! あんなにハードボイルドでアウトローな人がいるなんて……」
「…………あーあ。アルちゃん、あのお兄さんに惚れちゃったなぁ~」
「あ、アル様を誑かすなんて……。……許せません! 今すぐ殺してきます!」
「待ってハルカ。……社長、とりあえず帰るよ。……赤の便利屋が殉職したことも、雇い主に伝えないと」
「……そうね。帰って報告を…………」
事務所に戻ろうと一歩踏み出した陸八魔アルだったが、目の前に落ちている
「このブレード……。んっ……、これ……、持ち手の部分で、腕と分離できるみたいね……。……折角だし貰っていきましょうか」
深紅色の刃を持つ短剣。赤の便利屋の右腕と一体化しているかのように思われたソレは、持ち手の部分から散弾銃と短剣に分離することができた。
「あ、アルちゃん~?」
「ショットガンは……。……駄目ね、切り飛ばされたときの衝撃で銃身が傷ついてるわ」
「……社長? 何やってるの……」
「……うん、このブレードだけ貰っておきましょう! グリップも握りやすいし刃こぼれもしていない! まだ使えそうだわ!」
「「「…………」」」
「早速帰って素振りしないとね! 完璧に使いこなせるようになって見せるわ!」
裏路地の工房で作られた赤の便利屋の装備。ローランの振るったデュランダルと鍔迫り合いをしておきながら、刃こぼれ一つ付いていな刀身は、相当な上物なのだろう。
「あはははは! なに言ってるのアルちゃん~!」
「社長、捨ててきなさい」
「短剣を構えるアル様も素敵です!」
死体漁りとは、感心しないな……。……だが、分かるよ。都市の武器はカッコいい物だ。
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