黒い沈黙の行先   作:シロネム

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ユメ先輩の素性が明らかになったら泣きます。……でもキャラとして実装してほしい。ついでに過去おじも実装して!



~暗雲~ 十六夜の月

アビドス某区。その場所に事務所を構える便利屋68の社長は、今日起きた出来事を雇い主に報告していた。

 

 

「……なるほど。……今しがた、こちらでも遺体を確認した所だ」

 

「そう……。…………? ……随分と確認が早いわね」

 

「元より消耗品としか思っていなかったからな。……むしろ、君たちが生き残ったことに感動したよ」

 

「……」

 

 

……消耗品ですって? 私たち便利屋が、どういう思いで活動してるかも知らない癖に……。

 

 

「それよりもだ。……もう一度確認するが、赤の便利屋は相手のことを『黒い沈黙』と呼んだというのは本当か?」

 

「……? え、えぇ……。そう呼んでいたけれど……」

 

「そうか……。……よくやってくれた便利屋68。報酬は倍額振り込んでおく」

 

「……え? ……あ、ありがとう?」

 

「……ククッ。……また使わせて貰うよ、便利屋68」

 

 

(ガチャッ)

 

 

「はぁ……」

 

 

……もう二度と受けたくない雇い主ね。……ほ、報酬は美味しかったけれど。

 

 

「アルちゃん~、報告終わった~?」

 

「えぇ、終わったわ。報酬も……、何故か倍額支払ってくれるみたいよ」

 

「ほんとに!? やったじゃん!」

 

「……社長」

 

「さ、さすがアル様です!」

 

「そうね……」

 

 

どうして、黒い沈黙という言葉を気にしていたのかしら……。……確かに真のアウトローって感じの方だったけれど、そこまで固執する程の方なのかしら。

 

 

「社長? ……あまり嬉しそうじゃないね」

 

「そ、そんなことないわよ? ただ……」

 

「ただ? ……どうしたのアルちゃん?」

 

「『赤の便利屋が相手のことを黒い沈黙と呼んでいた』って伝えただけで倍額よ? 不思議に思うじゃない」

 

「……それだけ重要な人、だったのでしょうか?」

 

「あのお兄さんね~。めちゃくちゃ強かったね!」

 

「正直、殺されるかと思った」

 

「……」

 

 

 

★★★★★

 

 

 

カイザーコーポレーションが所有するビルの一角。夜が更け始めたこの場所に、3人の男が集まっていた。

 

 

 

「……だそうだ。赤の便利屋は、間違いなく『黒い沈黙』と呼んでいたみたいだぞ」

 

「そうですか……」

 

「…………ハハッ」

 

「……? どうかされましたか?」

 

「……ハハハッ。やはりこの世界に来ていたか、()()()()

 

「……知り合いか?」

 

「あぁ、知り合いだ。……長い長い付き合いだよ」

 

 

機械の顔を持つ存在はそう答えた。

 

 

 

――スーツに()()()()()()()()()()()()()()()を羽織った男は、心底愉快そうに声をあげた。

 

 

 

「……失礼でなければ、どういったご関係かお聞きしても?」

 

「……そう身構えるな、黒服。別に寝返るつもりもなければ、お前達と敵対するつもりもない」

 

「……」

 

 

 

 

 

()()()()()

 

 

 

 

 

「仇、ですか」

 

「あぁ。……ついでに言うなら、私は()()()()2()()()()()()からな。……本当に長い付き合いだよ」

 

「殺された? ……何を訳の分からないことを」

 

「理解できるとは思っていないさ。……あくまで私たちは、協力関係であるに過ぎないからな。……だから警戒を解きたまえ、理事殿

 

 

理事と呼ばれた男は、警戒を解く。自身の理解の外側にある発言に、薄っすらと寒気を感じたのか、機械の体が震えた。

 

 

「私はただ、不幸な事故で死んだ息子を生き返らせたかった。……ただそれだけを望み、あと1歩のところで蘇生できた息子を」

 

「……」

 

「……」

 

 

 

 

――アイツの八つ当たりで殺されたのさ

 

 

 

「私は全部説明した。私も私の息子も、お前の妻の死には関係ないと。……だがアイツは、説明したにも拘らず、作業室にいた俺の息子を殺したんだ」

 

 

男は声を荒げる。その形相はまるで、積年の恨みを吐き出すかのように荒ぶっていた。

 

 

「だから私は、アイツに同じだけの苦痛を味わわせてやると決意したのさ! ……そのチャンスに! もう一度巡り合えたんだ。……嬉しくないはずがないだろう?」

 

「……()()()。……あなたの作り出したコレも、復讐の為の道具の一つと言うわけですか?」

 

 

 

黒服は、地面に倒れ伏す()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を指さしながら、そう言った。

 

 

 

「……いいや。コレは違う。コレはあくまで私の実験体さ」

 

「……実験体?」

 

「あぁ。……神秘といったか? 魔法のようで特異点ではない、この世界特有のモノに興味があってな」

 

「ですがこれは……」

 

 

所々穴の開いたアビドス高等学校の制服。見覚えのある制服に身を包んだ彼女は……、

 

 

――どういう訳か、肉体に傷が一つもついていなかった

 

 

 

「……コイツには見覚えがある」

 

「……ほぅ?」

 

「確か……」

 

 

――数年前まで、アビドスに所属していた女だ

 

 

「えぇ、私の所にも契約しに来たのを覚えてますよ。……そういえば、小鳥遊ホシノが執着していましたね」

 

「なんだ、お前達の知り合いだったのか。……砂漠の奥深くに落ちていたから、野垂れ死んだのかと思っていたが」

 

「……私の認識では、確かに死んでいた筈なのですが。…………何故動いているんですか?」

 

 

 

「……ア……ゥ…ッ……アゥ……ッ」

 

 

 

「? 先ほど、神秘の実験体にしたと言った筈だが」

 

「……それはつまり、死者を蘇生したというのですか?」

 

「そう言っている。欠損した部位や傷口に関しては、……他の子供達から移植したから、綺麗な身体だろう?」

 

「……ありえない! そんなこと、出来るはず……」

 

「落ち着き給え、理事殿。……蘇生といってもこの通り、自我を持って行動することができない人形だがな。……私の工房であれば、完全な蘇生が出来ただろうに」

 

「完全な蘇生……」

 

「あぁ。……だが、いい実験結果を得ることができたよ。……先程自我を持って行動することができないと言ったが……」

 

 

 

――どうやら、生前の記憶はあるみたいだ

 

 

 

 

「……ア……ゥ…ッ……ホ、…………ホ、シッ……ノ…………チ……ャ……」

 

 

 

 

「これは……!?」

 

「……黒服。どうやらお前の言った、小鳥遊ホシノという言葉に反応しているみたいだぞ」

 

「……なんなんだ……、コレは……」

 

「なんだとは失礼な。……私の作品だよ。 ……神秘というものは、意識を保存できるのか、魂が宿っているのかは不明だが……。……。つまり、肉体となる入れ物を用意すれば、自意識が復元されるみたいだな」

 

「……」

 

「……」

 

「再現性があるかはどうかは、試行回数を増やさなければ分からないが、……人工的に神秘を再現できれば、死者の自意識を復元できるかもしれない。…………この実験は、とても有意義なモノになったよ」

 

 

 

「……ア……ゥ…ッ…………ア………ッ……」

 

 

 

「それで、コレはどうするつもりで?」

 

「このまま実験を続けようと思っていたが、……気が変わった。ローランがこの世界に居るのなら、……アイツに苦痛を味わわせてやろうじゃないか」

 

「……」

 

「コレはその為に利用する。多少なりとも生前の意識があるのなら、戦闘だって行えるだろう」

 

「…………イカれてる」

 

「……何とでも言いたまえ。あなたが提供してくれた場所のおかげで、私は実験を続けることができたのだからな。……感謝するよ、理事殿」

 

「……」

 

「……そういえば、お前たちはコイツを知っているみたいだが、名は何と言う? ……いい加減、識別名がないのには困っていたんだ」

 

「……」

 

「……はぁ」

 

 

――ユメ先輩と。……小鳥遊ホシノは、彼女のことをそう呼んでいましたよ

 

 

 

 

「ユメ……か。……いい名前だ。是非とも、私の夢の為に役立ってもらおうじゃないか」

 

 

 

 

 




残響楽団のゼホン君は、どうしてキヴォトスにいるのでしょうか……?
その理由は、また後程……。

やったねホシノちゃん! ユメ先輩が生き返ったよ!

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