(バラララララッ)
回転する多砲身から放たれる、銃弾の雨。……轟音を掻き鳴らしながらばら撒かれる銃弾は、チンピラの意識を確実に奪っていった。
「……いいなこれ。一発の威力は
「えぇ……」
「代理人……」
「分かります! いいですよね、マシンガン☆」
「それに……」
「な、何だアイツ!? ヘイローも無いくせに……」
「お前ら! 距離を詰めろ!」
接近してくるチンピラに対し、ローランは自ら接近し、銃身で殴りつける。……そんな無茶な行動をすると予想していなかったチンピラは……
――驚きの表情を浮かべたまま体勢を崩し、地面へと叩き付けられてしまった。
「ゼロ距離で押し付ければ、火力不足も補えるしな」
銃身で殴り付け、地面へと叩きつけたチンピラの腹部に銃口を押し付け、……トリガーを引く。銃弾の発射に伴い赤熱した銃身は、辺りに肉の焼ける音を響かせた。
(バラララララッ)
「ガッ……や、やめ…………た、……助け……」
「……」
「だ、代理人! その辺で……」
「ん、もう気絶してる」
「代理人~。もう大丈夫だよ~」
「……っと悪い、やり過ぎた。……新しい武器を手にすると、止まらなくなるんだよな……」
前にアンジェリカが買った、ムク工房の最高級武器を触った時も、夢中になりすぎて壊しちまったしな……。
――俺の気持ちを伝えて帰宅した後に、顔面が潰れるまで殴り続けられた記憶しかないが……。
「……気に入った。あのキチガイ以外には通用しそうだな。……発砲し続ければ銃身が熱を持つし、近接戦にも有効活用できそうだ」
「いえ、マシンガンで殴るのは代理人ぐらいかと☆」
「ん、銃口を押し付ける発想はなかった」
「ていうかもう、チンピラが可哀想なんだけど……」
"やり過ぎだね、代理人……"
辺り一面に広がる地獄絵図。……気絶したチンピラ、撃ち込まれた銃痕、微かに香る肉の焼けた匂い。
――周囲に野次馬が湧くのも、時間の問題だろう
「……! マーケットガードがこちらに向かってきているようです! すぐにその場を離れてください!」
「ん、了解」
「急ぎましょう☆」
「りょうかい~。ほら行くよ、代理……人……」
「……この形状の銃は流行っているのか? ……重さも
「……も~! 速く行くよ、代理人」
「……あぁ、悪い。すぐに行く」
……これも頂いておくか。
★★★★★
「……ここまで来れば大丈夫でしょう」
「ん、……ここはかなり危険な場所だって認識してるんだね」
「えっ? と、当然です。連邦生徒会の手が及ばない場所の一つですから……」
「かなり詳しいみたいだな」
「そうですね……。ブラックマーケットだけでも、学園数個分の規模に匹敵しますし、様々な企業が利権争いをしているとか……」
「利権争いですか☆?」
「はい。……それに加えて、ここ専用の金融機関や治安組織もあるみたいでして……」
「銀行や警察があるってこと……!?」
「おいおい……」
もはや一つの街と言っても過言ではないな。ブラックマーケット。…………もし本当なら、ここの統治は誰が行っているんだか。
「ふーん、ヒフミちゃん、ここのことに意外と詳しいんだねぇ~」
「えっ? そうですか? 危険な場所なので、事前調査をしっかりしたせいでしょうか……」
「……よし、決めた~」
「……?」
「助けてあげたお礼に、私たちの探し物が手に入るまで一緒に行動してもらうね~」
「……え? ええっ?」
「わぁ☆ いいアイデアですね!」
「ん、誘拐するね」
「はいっ!?」
「まぁ、見返りって意味では良いんじゃないか?」
「誘拐じゃなくて、案内をお願いしたいだけでしょ? ……もちろん、ヒフミさんが良ければ、だけど」
"お願いできるかな……?"
「あ、あうぅ……。私なんかでお役に立てるかわかりませんが……、アビドスの皆さんにはお世話になりましたし、喜んで引き受けます」
「よーし。それじゃあ、ちょっとだけ同行頼むね~」
★★★★★
チンピラを伸してから、歩くこと数時間。……ブラックマーケットを探索し続けたが、全域を周りきるにはまだまだ掛かりそうだ。
「はぁ……しんど」
「もう数時間は歩きましたよね……」
「これはさすがに、おじさんも参ったな~。腰も膝も悲鳴を上げてるよ~」
"……それ、私のセリフだよ、ホシノちゃん"
「えっ……、ホシノさんはおいくつなのですか……?」
「ほぼ同年代っ!」
「あら、あそこにたい焼き屋さんが☆」
「あれ、ホントだ~。こんなところに屋台があるなんてね」
「あそこでちょっと一休みしましょうか? たい焼き、私がご馳走します!」
「えっ!? ノノミ先輩、またカード使うの!?」
「先生の大人のカードと代理人のお財布もあるよ~」
「まぁ、奢るぐらい構わないが」
「ううん、私が食べたいからいいんですよ☆ みんなで食べましょう、ね?」
「まいどーー!」
(もぐもぐ)
「おいしい!」
「いやぁ、ちょうど甘いものが欲しかったところだったんだ~」
「あはは……いただきます」
(ぱくっ)
「ほら、先生も」
"いただきます"
「アヤネちゃんには、戻ったらちゃんとご馳走しますね☆ 私たちだけでごめんなさい……」
「あはは。大丈夫ですよ、ノノミ先輩。私はここでお菓子とかつまんでますし……」
「しばしブレイクタイムだね~」
「……」
美味い。……材料は良く分からないが、人工的な甘さも余り感じず、素材の味が感じられるな。……この世界で食事をする度に、都市の食事がどれだけ酷かったか思い知らされるよ……。
★★★★★
「……それにしても、ここまで情報がないなんて……妙ですね。お探しの戦車の情報、絶対どこかにあるはずなのに……」
「ん、そんなに異常なことなの?」
「異常……というよりは、普通ここまでやりますか? という感じですね……」
「そんなに変なことなのか?」
「……ここに集まっている企業は、ある意味開き直って悪さをしていますから、逆に変に隠したりしないんです」
「そういうものなんですね……☆」
「そうですね、えっと……。例えばあそこのビルですが、あれはブラックマーケットに名を馳せる闇銀行です」
「闇銀行?」
「ブラックマーケットで最も大きな銀行の一つです。聞いた話では、キヴォトスで行われる犯罪の15%の盗品があそこに流されているそうです……」
「へぇ……」
「様々な犯罪で得た財貨が、また別の犯罪に使われる……。そんな悪循環が続いているのです」
「……そんなの、銀行が犯罪を煽っているようなものじゃないですか」
「その通りで、まさに銀行も犯罪組織なのです……」
「……」
「……! お取込み中失礼します! そちらに武装した集団が接近中です!」
「!!」
「……気づかれた様子はありませんが、一先ず身を潜めた方が良いと思います」
「え? ……う、うわぁっ!? あ、あれはマーケットガードです!」
「マーケットガード?」
「先ほどお話しした、ここの治安機関でも最上位の組織です!」
「さっき追ってきた奴か……」
……捜索か? 護送しているみたいだが……。
(ブロロロ……)
「ん、トラックを護送してる。……現金輸送車だね」
「あれ……あっちは……」
(ブロロロ……)
「闇銀行に入りましたね?」
「今月の集金です」
「ご苦労様、早かったな。では、こちらの集金確認書類にサインを」
「はい」
「……いいでしょう」
「では、失礼します」
「……さぁ、開けてくれ。今月分の現金だ」
(ブロロロ……)
「見てください……あの人……」
「あれ……? な、何で!? あいつは毎月うちに来て、利息を受け取っている銀行員……?」
「あれ、ホントだ」
「……なるほどな」
資金流しか。どこかの区が似たようなことしてたな……。
「えっ!? ええっ……?」
「……ん、どういうこと?」
「ほ、本当ですね! 車もカイザーローンのものです!」
「か、カイザーローンですか!?」
"ヒフミちゃん、知ってるの?"
「カイザーローンといえば、悪質で有名な高利金融業者です……」
「有名……? ……マズイところなの?」
「あ、いえ……、カイザーグループ自体は犯罪を起こしてはいないのですが……」
「……まぁ、ほぼ黒だろうな」
「……どういうこと、代理人」
「……似たようなのを見たことがあるんだよ。……表向きは問題のない事務所が、裏路地の一角やフィクサーに資金を流して、違法薬物や人身売買、特異点の横流しを助長していてな」
「……」
「……結局、うちの事務所から俺が派遣されて、契約書の確認と容疑者の殺害を請け負ったんだが……。……似たような感じだろうな」
「……」
「……」
「……」
「……」
「えっ、ええ!? さ、殺害って、どういう……」
「あー……、気にしないでくれ。キヴォトスに来る前の話だ」
「は、はぁ……」
「……ま、まだそうハッキリとは。……証拠も足りませんし、あの輸送車の動線を把握するまでは」
「……あ! さっきサインしてた集金確認の書類……。……それを見れば証拠になりませんか?」
「ん、良いアイデア」
「おお、そりゃナイスアイデアだね~、ヒフミちゃん」
「あはは……でも考えてみたら、書類はもう銀行の中ですし……無理ですね」
「いや、一つだけ方法があるぞ」
「代理人……?」
「……はい?」
「……なぁ、シロコ」
「うん、他に方法はないかな」
「えっ?」
「ん、ホシノ先輩、ここは例の方法しかないと思う」
「なるほど、あれか~。あれなのか~」
「……ええっ?」
「もしやるなら、俺は別行動させてくれ。手分けしたほうが効率がいいだろ?」
「ん、分かった」
「……あ、そうですね! あの方法なら☆」
「何? どういうこと? ……まさか、あれ? まさか、私が思ってるあの方法じゃないよね?」
「……」
「う、嘘っ!? 本気で!?」
「……あ、あのう。全然話が見えないんですけど……『あの方法』って何ですか?」
「残された方法はたった一つ」
(スッ)
「銀行を襲うの」
「はいっ!?」
両手にミニガンを持ってばら撒くローラン君。……バトルページのダイスどうなってるんだろう……
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