黒い沈黙の行先   作:シロネム

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~代金~ 情報提供代

 

覆面水着団が居なくなったのを確認すると、さっきまで相手をしていた銀行員が声を荒げた。

 

 

「や、奴らを捕まえろ!! 道路を封鎖! マーケットガードに通報だ!」

 

「一人も逃がすなよ! ……おい、お前! ボーっとしてないで、さっさと通……報……」

 

 

(ザシュッ)

 

 

言い切る間もなく、こちらへと近づいてくる銀行員の姿をしたローランによって、……首を刎ねられた。

 

 

「悪いな、それをされると困るんだ」

 

 

一人、また一人と……、手に持った真っ黒なナイフ(狼牙工房)で首を刎ねていく。

 

 

――その様子を見ていた他の銀行員たちは、()()()()()()()()()()()()に困惑していた……。

 

 

「お、お前! 何やっ……て……」

 

 

(ザシュッ)

 

 

「……生憎、人を殺すなとは言われたが、機械を破壊するなとは言われていないんでな。……都市と違って復元も出来るみたいだし、あとで直して貰ってくれ」

 

 

 

★★★★★

 

 

 

「……何あれ。同士討ち?」

 

「……ん~? ……やっば、こっち向かってきてるよ!」

 

「ど、どうしますか! 撃ちますか!?」

 

 

一連の様子を見ていた便利屋68は、近づいてくる銀行員の正体に気づいていなかった。

 

 

「……まだ居たのか。……いや、丁度いいな」

 

 

「ひっ……」

 

「……」

 

「……わ、私たちに何か用~?」

 

「……」

 

 

便利屋68の面々に近づいたローランは、手袋から金塊を取り出すと、ムツキへと手渡した。

 

 

「……?」

 

「ムツキ、この間の情報料だ。これで足りるか分からないが、ある程度の価値にはなるだろ?」

 

「……へ? …………その手袋、もしかしてお兄さん?」

 

「……えっ!?」

 

「……あぁ、俺だ」

 

 

ローランはそういうと、仮面を外し、服の上から着ていた銀行員の制服を脱ぎ捨てた。

 

 

「……」

 

(や、ヤバいわ! あの時の真のアウトローな方だったなんて!)

 

「……やるね~、お兄さん! まさか、ブラックマーケットの銀行を襲っちゃうなんて」

 

「まぁ、こっちにも事情があってな。監視カメラ越しにお前らの姿を見たときは驚いたぞ」

 

「それがさ~、アルちゃんがこの間の報酬全部使っちゃってさ~。融資を受けようとしてたんだよね」

 

「ちょ、ちょっとムツキ……!」

 

「だったらこんな銀行じゃなくて、ちゃんとした銀行のほうが良いと思うが……」

 

「いや~、アルちゃん口座止められちゃってて、普通の銀行じゃ相手してくれないんだよね」

 

「そうなのか? ……まぁ、深くは聞かないでおくが」

 

 

都市にも現物でしか報酬を受け取らないフィクサーは居たことだし、別におかしくはないのか?

 

 

「そうだ! これも何かの縁だし、お兄さん連絡先交換しようよ~」

 

「別にいいぞ。……そうだな、俺からも依頼を出すか」

 

 

黒い沈黙の情報を集めてる依頼主……。……間違いなく、都市の連中だろうからな。

 

 

「ほんとに!? お兄さん依頼してくれるの~?」

 

「あぁ。……えっと、確か社長は君だったかな?」

 

「……えっ!?  え、えぇ……! わ、私が便利屋68の社長よ!」

 

(なになになに!? え、依頼!? 真のアウトローな方から、便利屋68への依頼!?)

 

「そうか。……そういえば自己紹介をしていなかったな。連邦生徒会長から招待を受けてきた、シャーレ所属の代理人だ」

 

「え、えっと……陸八魔アルよ。こっちが課長のカヨコと、平社員のハルカね」

 

「……はぁ。……よろしく」

 

「えっと、よろしくお願いします……」

 

「……あー、うん、よろしく」

 

 

別に役職名は良かったんだが……。

 

 

「……陸八魔、依頼内容は単純だ。……今後もし、『黒い沈黙』について探ってる奴が居たら教えてくれ」

 

「……あっ、えっと……、あの……」

 

「? ……あー、君が前の依頼主に俺のことを伝えたって言うのは、ムツキから聞いてるから気にしなくていいぞ」

 

「そ、そう……」

 

(な、何言ってるのムツキー! ……え、て、ていうか、いつ知り合ったの!?)

 

「依頼内容はそれだけだ。……ただ、深入りしてまで調べなくていい。……黒い沈黙について探ってる奴なんて、ロクでもない奴しかいないからな。……貴重な情報源に死なれると困る」

 

 

……ないとは思うが、あのキチガイ集団がキヴォトスに来ているかもしれないしな……。

 

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

(し、死なれると困るって……、えっ? ……あの依頼主、そんなに危険な相手だったの!?)

 

「……陸八魔?」

 

「……んんっ! ……分かったわ、便利屋68はその依頼を受けましょう」

 

「……助かるよ。報酬は成功報酬で構わないか?」

 

「えぇ、それで構わないわ」

 

「わかった。……これが俺の連絡先だ。情報が手に入ったら、そのモモトークに連絡してくれ」

 

 

……今打てるだけの手は打った。……ここでムツキたちと連絡が取れたのは大きいな。

 

 

「それじゃあな。……あー、一応ここの奴らは全員黙らせたけど、あまり長居はしない方が良いと思うぞ」

 

 

金目のモノも一通り回収できたし、撤収するか。

 

 

――ブラックマーケットの銀行に、アビドスの借金を全額払ってもお釣りが出るほど金が預けられているとは思わなかったな。

 

 

 

★★★★★

 

 

 

「行ったね」

 

「行っちゃったね~」

 

「行っちゃいましたね」

 

「……」

 

「ていうかムツキ、いつの間に知り合ってたの?」

 

「ん~? 今朝、ちょっとね~」

 

「も、もっと早く教えなさいよ! それに、私が黒い沈黙について報告しちゃったことも言ってたみたいだし!」

 

「あははは、ごめんね~アルちゃん~」

 

「全く……。……それで社長、どうするの?」

 

「……? どうするって?」

 

「さっきの代理人からの依頼。……軽く言われたけど、連邦生徒会長が招待したって、相当重要な人物だと思うけど……」

 

「シャーレ所属とも、言ってましたね……」

 

「死ぬかもしれないって言われちゃったね~」

 

 

 

 

「…………勿論やるわよ。……一度受けた依頼は、絶対に断らないわ」

 

 

 

 




感がいいねぇ、ローラン君。

……君の危惧する者が、すぐ傍にいるみたいだよ



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