「来たぁ! いただきまーす!」
「ひ、一人につき1杯……こんなに贅沢してもいいんですか?」
「良いの良いの! 今日はお兄さんの奢りなんでしょ~?」
「……まぁ、お前らを呼んだのは俺だしな。……臨時収入もあったし、別にいいぞ」
「それって、銀行から盗んだお金ですよね……?」
「ん、代理人は私たちにも奢るべき」
「代理人~、炒飯追加ね~」
「はいはい。心配しなくても、全員奢るよ」
「それじゃあ、いただきますね☆」
"私も奢ってもらっていいの?"
「全員に奢るって言ってるのに、先生だけ省く訳ないだろ。……まぁ、アレだ。銀行強盗で得た金で食事したんだ。……これでお前らも共犯だな」
「「「「「「……!?!?」」」」」」
「えーー! それはないよお兄さん!?」
「……どうでもいいんだけど、……なんでまたここなのよ!! 敵だった奴らも居るじゃない!!」
「……あー、黒見。今は依頼主と便利屋の関係だから、気にしないでくれ」
「気にするわよ!!」
まぁ、依頼の関係上、アビドスと便利屋68で敵対されてると困るからな。……食事ぐらいで仲が深まるなら別に…………あ?
――砲撃音?
「……ッ! 全員伏せろ! ……先生!」
……クソっ! 油断した!
――ローランが声をあげた数秒後、衝撃が柴関ラーメンを襲った。
★★★★★
「着弾確認!」
「皆さん、包囲してください!」
「あの、アコ行政官……」
「何ですか、チナツ」
「イオリが……どこかに行っちゃいました」
「…………はぁ!? ……え、ちょっと、どういうことですか!?」
「……これで良いんだよね、イオリ」
(そうだねぇ……。お嬢ちゃん、君の獲物は狙撃銃だろう? ……囮と共に行動していたら、君の武器の長所を殺してしまうだろう?)
「でもこれ、後で怒られるんじゃ……」
(心配しなくても大丈夫さ。……お嬢ちゃんは死角から援護する為に、狙撃ポイントを探していた。……後は結果を残せば、怒られはしないとも)
「……そっか、そうだよな! ……そもそも、狙撃銃を持ってる私を前線に押し込む方が間違っているんだよな!」
(先ほどの砲撃で、一網打尽に出来ていれば楽なのだろうが…………おや?)
「……? どうした、イオリ?」
(……前言撤回さ。……お嬢ちゃん、私に身体を貸してくれたまえ)
「別に構わないが……、何かあったのか?」
(……そうだねぇ。……少々
――昔の知り合いを見つけてしまってねぇ
★★★★★
柴関ラーメン跡地。爆発の衝撃を抑えたローランは、辺りを見回しながら声を掛けた。
「お前ら、大丈夫か!」
「な、何とかね~。代理人のおかげで間に合ったよ~」
「こっちも大丈夫だよ~。お兄さん~!」
「ん、平気。先生は大丈夫?」
"何とか大丈夫。ありがとうね、代理人"
「やっば……。社長、風紀委員に囲まれたかも……」
「な、ななな、何ですってーー!?」
「風紀委員?」
「全員、その場を動かないでください」
……囲まれたか。しかし、何でこんな所にゲヘナ学園の生徒が居るんだ……?
「便利屋68、……速やかに投降してください」
「ちょっと待ってほしいかな~?」
「……あなたは、アビドスの……」
「君たちさ、うちの学区でこんなことして、許されると思ってるの? ……ここ、アビドスなんだけど~?」
「……邪魔をしないでください。私たちは、そちらの風紀違反者に用があるだけですので」
「……うへぇ~、うちの学区で好き放題して、謝罪もなしか~。…………みんな、潰すよ」
「ん、了解」
「よくも……、……よくも柴関ラーメンを吹き飛ばしてくれたわね! 絶対許さないんだから!」
「……あぁ、そうだな」
下手したら俺や先生も巻き込まれてたんだ。……多少の怪我は、覚悟してもらわないとな
「ムツキ、お前たちにも手を貸してもらうぞ」
「え……、お兄さんたち助けてくれるの?」
「今回非があるのは向こうだしな。……それに、取引相手が捕まるのは俺としても困るんだ」
「……やった~! お兄さんが味方にいるなら、風紀委員なんて怖くないね!」
「……油断するなよ。先生と奥空は、生徒の指揮を頼む」
「……了解しました!」
"分かった。……みんな気を付けてね"
★★★★★
「やはり、私の見間違いではないみたいだねぇ」
(……凄いな。ヘイローも無いのに、あんなに動けるなんて……)
「腹黒小僧は、アレでも特色だったからねぇ。……多少は鈍っているみたいだけど、完全に衰えてる訳じゃなくて安心したよ」
(……特色って、イオリと同じレベルだったってこと?)
「そうさね。……育て上げたとまでは言わないが、一時期面倒を見てやったんだ。……まさか、この世界に来ているとは思わなかったけど」
(……あ、みんなが……)
「……どうやら、全員やられちまったみたいだねぇ。……腹黒小僧もそうだけど、何よりあの司令塔が厄介かな」
(イオリ……)
「心配しなくても大丈夫だよお嬢ちゃん。……さて、少々ズレるから、耐えるんだよお嬢ちゃん」
(うっ……。あの感覚は、何時まで経っても慣れないんだよな……)
(ヒュンッ)
★★★★★
「何とかなったか……」
風紀委員とはいえ、戦闘力自体は大したことないみたいだな。
「そんな……。完全に包囲していたはずなのに……」
「いえーい! 私たちの勝ち~」
「ん、楽勝だった」
「口ほどにもない奴らだったわね!」
「……まぁ、うちの風紀委員が恐れられてるのって、委員長が居るからだしね……」
「ふふふ……。……ヒナの居ない風紀委員なんてこんなモノよ!」
"みんなのおかげだね"
……小鳥遊と陸八魔の戦闘技術が突出している。……他の生徒たちに関しても、先生の指揮のおかげでかなり動けていたが、この二人は別格みたいだな。
「……おやおや、もう少し消耗させられると思ったんだけどねぇ」
……?! …………あの生徒、……今どこから現れた?
「イオリ! あなたはこんな時に、どこに行ってたんですか!」
「……すまないねぇ、アコちゃん。……まぁ、後は私がどうにかするから……それで許してくれたまえよ」
「……は、はい? どうにかするって、何を言って……。……というか、何ですその喋り方?」
「銀鏡イオリ……」
「ん、まだ残ってたんだ」
「……えっ、何あの武器達」
「あんなにいっぱい持って、重くないのでしょうか☆?」
「……ねぇ、代理人。あの子の気配……」
「……いや、アイツは」
あの刀は……。いやでも、そんな筈……。
「……っ! 今更、一人増えたところで何が変わるって言うのよ!」
「……待て、黒見! 一人で動いたら……」
「可愛いお嬢ちゃん。……無策に動くのは頂けないなぁ」
(ザンッ)
腰の刀に手を添え、高速で接近し切り払う。
……単純で軌道も読みやすい攻撃だったが、ヘイローを持つ体による強引な踏み込みと、特色としての速度を乗せた斬撃は
――目で追うことができなかった
「……ッセリカちゃん!」
尋常じゃない速度を乗せた一撃は、切り飛ばすことこそ無かったが、……その衝撃はセリカの体を乱立するビルへと吹き飛ばした。
「……まずは一人」
★★★★★
……あの刀に、あの動き……、…………まさか
「イ、イオリ? ……あなた、その刀」
「……アコちゃん。サポートをお願い」
「え、……わ、分かりました」
アイツは…………
「……ッイオリ! お前、まさか……」
「代理人……!?」
「……やっと気づいたのかい? ……腹黒小僧」
ローランの取り出したデュランダルが、紫の刀と切結ぶ。……お互いの威力を相殺した一撃は、二人が距離を取るには十分な威力だった。
「お前も、この世界に来ていたのか……!」
「だ、代理人? 何を言って……」
「あの子はゲヘナ学園の……」
「その通りだとも……。……まぁ、腹黒小僧とは違って、私はこの子の身体を借りているだけだけどねぇ」
「い、イオリ先輩? 身体を借りているってどういう……」
「……君たち、危ないから下がって治療に専念したまえ。……ゲヘナ風紀委員の仇は、私が取ろうじゃないか」
「……小鳥遊、お前もみんなを連れて下がってくれ」
「だ、代理人?」
「……アイツは、キヴォトスの生徒じゃない。…………特色の
「特色……! それって、代理人の話にあった」
"…………代理人、ここはお願い"
「……あぁ。生徒たちを頼む、先生。……小鳥遊、先生を任せたぞ」
「なになになに? どういうこと~?」
「いいから、下がりますよ☆」
「……アレは相手にしちゃダメだ。……社長、ここはアビドスと一緒に後退するよ」
「……」
「……社長?」
「あ、アル様?」
「……もう! アルちゃん! ……見惚れてないで、離れるよー!」
ローランとイオリを前線に残し、他の生徒たちは彼らから距離をとる。
……ゲヘナ風紀委員の面々は治療に専念し、アビドスと便利屋の面々は、遠巻きから二人の様子を伺っていた。
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