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……数話前にも思いましたが、改めて戦闘描写って難しいですね。
一陣の風が吹く。……両者にとって、ソレが合図となったのか、
――戦闘が始まった。
(ダンッ!、ダンッ!)
2丁拳銃を取り出したローランは、イオリに向かって発砲。……発砲された弾丸は、寸分違わずイオリの額へと向かっていった。
「……相変らず、容赦がないねぇ」
(キキンッ!)
着弾すると思われた弾丸は、刀を一振りしたイオリによって斬り払われた。
「……」
構わず銃弾を撃ち続けるローランに対し、……恐るべき速度で接近するイオリ。
……ヘイローという神秘に包まれた身体能力をこれでもかと活かした踏み込みは、……目で追うのが不可能な程の初速を叩き出していた。
――彼女の通った道に風が吹く。
「……さっき見たよ、その動き」
即座に手袋から
……イオリの姿を目で追えていないにも拘わらず、完璧なタイミングで行われた発砲は、彼女を後手に回すには十分だった。
(ダンッ!)
「……驚いた。……認識できない対象に対し、ここまで反応できるとはねぇ」
距離を取ったイオリに対し、散弾銃を手袋へ仕舞ったローランは、……無手を下段に構えた。
「イオリこそ……何だあの速度は。……それもヘイローって奴の恩恵か?」
「おや? もう師匠とは呼んでくれないのかい?」
「一度も呼んだことないだろ……」
「そうだったかい? ……腹黒小僧の想像通り、さっきの動きはお嬢ちゃんの身体だから出来たことさね。…………もっとも、中のお嬢ちゃんにはキツそうだけどねぇ」
(い、いや……大丈夫だ。……そのうち慣れるから、気にしないでくれ)
「そうかい? ……それじゃあ、もう少し無理をしようかねぇ!」
構えていた刀を腰に納め、細剣を抜剣。……抜き身の細剣を上段に構え、先ほどよりも
――蛇の標的
余りの速さに紫の残像が残る刺突。音を超えた一撃は……
「……!」
ローランが取り出した
★★★★★
紫の涙と黒い沈黙による戦闘が始まってから1時間が経過。
……踏込みによって陥没した地面、相殺しきれなかった衝撃によって砕け散った硝子、頭を揺さぶられるような衝突音。
周囲に居る者たちは、両者によって引き起こされる戦闘の余波に苦しめられていた。
「私の気のせいかねぇ……?」
(……どうかしたの? イオリ……)
「……いや……どうにも、腹黒小僧の動きが」
――戦闘時間に比例して、向上し続けている
「……みたいでねぇ」
(……気のせいじゃないか? 幾ら何でも、疲労を感じないなんてことは……)
「……だと良いんだがねぇ。……仕方ない。…………お嬢ちゃん、獲物を借りるよ」
――イオリがそう呟いた、次の瞬間。……拮抗状態にあった戦場に転機が訪れた。
(バンッ!)
「……えっ」
「嘘……」
「……代理人!」
刀を納めたイオリが、肩に担いでいた狙撃銃を発砲。
……図書館で戦った時には一度も取らなかった遠距離攻撃に、ローランは反応が出来なかった。
「……ぐっ、……くそッ」
「……おっと、狙いがズレてしまったねぇ」
ローランの右肩を貫いた銃弾。
……襲ってくる痛みと衝撃に、握っていた
「……っ、だったら……!」
瞬時に距離を取ったローランは、軽機関銃を取り出し左腕で構えた。
(バラララララッ!)
恐るべき速度で連続して撃ち出される銃弾。……即座にステップを踏み、銃弾を避けるイオリだったが、
――連続して避け続けるには無理があったのか、徐々に傷が増えていく。
「……ッ」
だが……、……ヘイローの恩恵もあってか、銃弾が直撃したにも関わらず致命傷には成り得なかった。
――しかし、痛みは蓄積する。
(痛い痛い痛い! ……おい! 銃弾詰めすぎだろ! 何発装填してるんだよ!?)
彼女が驚くのも無理はない。……ローランは
――銃弾を吐き出し続ける軽機関銃。……本来であれば撃ち切るごとに必要となるリロードを、手袋を応用することで省略していたのだ。
「……そういうことかい。……考えたねぇ、腹黒小僧」
本来あるべきマガジンを取り外し、手袋の拡張空間から直接給弾することによって、間髪なく銃弾を撃ち出し続ける軽機関銃。
数十、数百発の銃弾に晒された身体は、彼女本来のポテンシャルを奪っていった。
「やはりおかしい……。弾丸を弾く度に重さが増している……?」
(い、イオリ……! 流石にこれ以上は……ッ!)
「……分かっているとも。……
(うっ……、分かった……)
(――ヒュンッ)
銃弾の雨に晒されていたイオリは、一瞬、紫の光を放出した後に、姿を搔き消した。……ローランは発砲を中止し、辺りを警戒するも……
――姿を消したイオリを捉えることが出来なかった。
(――ヒュンッ)
イオリが発する、独特な空間跳躍の音が耳に鳴る。……咄嗟に距離を取ろうとしたローランだったが、一足遅れてしまった。
(――ザンッ)
姿を現したと同時に、背負っていた大刀を振り抜く。斬撃はローランには躱されてしまうものの……、
――持っていた軽機関銃を真っ二つに切断していた。
「……腹黒小僧。……まさか、工房以外の武器を使うとは……ねぇ……」
「はぁ……はぁ……。……お前こそ、銃を使うとは……」
「……はぁっ、……ふふふ。……面白くなってきたじゃないか、……腹黒小僧」
ローランが吐き出し続けた銃弾。……流れ弾となって飛んで行った数百発の銃弾は、背後に控えていたゲヘナ風紀委員の面々を吹き飛ばしていった。
――もはや廃墟と言ってもいいほどに傷つけられた街並み。
……戦闘の長期化に連れ、崩壊していく街並みに……アビドスの面々は頭を抱えていた。
「私たちの街が……」
「これが……代理人の本気ですか……」
「……ん、凄まじい戦闘」
「うへぇ~。……あの日、もしかしたらおじさんもこうなってたって事~?」
「代理人……」
"……街の修理費は、シャーレが負担するよ……"
★★★★★
「傷口が塞がっている……? ……まさか、図書館の……」
「……気づかれたか」
「……なるほど。……負傷はヘイローの恩恵で軽減されるとはいえ、些か此方が不利のようだねぇ……。…………お嬢ちゃん、まだやれそうかい?」
(……ごめん、イオリ。……正直、もうキツイ……。物凄く痛いし、速すぎて吐きそう……)
「そうかい……。……はぁ、私の負けさね腹黒小僧。……ゲヘナ風紀委員は撤退させるよ」
(イオリ……)
「そう気に病むんじゃないよ、お嬢ちゃん。……この身体は、そもそもお嬢ちゃんのものだしねぇ」
「……まぁ、正直俺も……これ以上お前と戦うのは遠慮したいな」
「おや? てっきり殺されると思っていたんだがねぇ」
「……別にお前を殺すつもりは……」
「…………変わったねぇ、腹黒小僧」
「そうね、これ以上ウチの部隊に被害を出されても困るわ」
「……おや、ヒナ委員長かい?」
「……その話し方、本当に中身は別人みたいね」
「知っていたのかい? ……耳が早いねぇ」
「……さっきアコに聞いたのよ。……正直、アコの頭がおかしくなったのかと思ったわ」
(……~ッ! ……ほら! やっぱり頭おかしいって思われるじゃないか!)
「どうどう、そう怒らないでくれたまえよ、お嬢ちゃん。…………腹黒小僧」
「……なんだ?」
「……楽しかったよ。……続きは、元の身体に戻ってからやろうか」
「……いや、……もうやりたくないんだが」
銀鏡イオリの身体が一度震える。……恐らく、意識が入れ替わったのだろう。
「はぁ……はぁぁ……。い、委員長……」
「……お帰り、イオリ」
「……あー、その……怪我はないか?」
「あ、あぁ……。私は大丈夫…………じゃない! ……おい、あの銃は卑怯だろ! あんなに連射出来るなんて聞いてないぞ!」
(あの様子だと、恐らく図書館の加護も受け取っているだろうねぇ……。……全く、蒼白の司書も人が悪い)
「いや、待て待て待て……! ……それを言うなら、お前らのヘイローも十分卑怯だろ!」
「……二人とも、意外と気が合いそうね?」
……取り合えず、小鳥遊達を呼ぶか。
★★★★★★
その後、勝手に部隊を動かしたこと、アビドス学区での非礼を詫び、
――便利屋68をその場に残して
"代理人、お疲れ様"
「……あぁ。……お前らすまん。……周りを気にする余裕がなかった」
「まぁ、アレだけやればねぇ~」
「ん、大丈夫。……代理人が居なかったら、私たちもセリカみたいになってたかもしれない」
「……そういえば、黒見は無事か?」
「へ、平気よ……。……っ、ま、まだ痛むけどね……」
「セリカちゃん……。帰ったらお薬塗ってあげますからね☆」
「ノノミ先輩……」
むしろその程度で済んで本当に良かった。…………これも、ヘイローの恩恵なのか?
「……便利屋も悪かったな」
「い、いえ……だ、大丈夫です……」
「……気にしないで」
「そうそう~! お兄さんが居なかったら、風紀委員に捕まってただろうしね~」
「……」
「……? ……大丈夫か、陸八魔?」
「え、えぇ! ……平気よ!」
……取り合えず、全員無事で良かった。……まさか、紫の涙がこの世界の生徒と一体化しているとは、思っても居なかったな。
…………。
――もしかして、他にも似たような事になってる奴が、居るかもしれないのか……?
↓ローランのコアページ↓
???
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孤独なフィクサー:(幕の終了時、他の味方がいなければパワー+3)
体力回収 :(攻撃的中時、体力2回復)
何時間(何幕)も戦闘してたら、こうなるよね……。
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