黒い沈黙の行先   作:シロネム

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祝! Library Of Ruina 日本語フルボイス対応版発表!

Steam版で散々遊んでましたが、

……パッケージが最高すぎたので、Switch版も買います!


~探索~ アビドス砂漠

 

――朝

 

シャーレで調べ上げたアビドス自治区の土地台帳……、()()()を手にした先生とローランは、対策委員会の面々を教室へと集めた。

 

 

「……先生とアビドスについて調べてみたんだが、……この辺りの自治区は、アビドスが所有者という訳ではないみたいだ」

 

「……どういうこと? アビドス自治区がアビドスの所有じゃないって、そんなわけ……」

 

「……見て貰った方が早いか。……先生」

 

"……うん。……みんな、これを見てほしい"

 

 

そう言うと先生は、アビドスの地籍図を机上に広げた。

 

そこには、自治区の所有者がアビドスではないこと、数年前に土地が売却されていること、

 

……そして、現在の所有者が

 

「……現在の所有者は、カイザーコンストラクション……」

 

「……!!」

 

「そんな……!?」

 

「まぁ、名前の通りなら……カイザーコーポレーションの関係者だろうな」

 

「アビドスの自治区を、カイザーが所有している……?」

 

「……もしかして、紫関ラーメンも?」

 

"……大将にも確認したけど、随分前から退去命令が出ていたみたいだよ"

 

「……」

 

 

……それにしても……商業施設や都市部なら分かるが、

 

 

――なんで砂漠になった跡地まで購入しているんだか……

 

 

「小鳥遊。……この砂漠地帯には、何があったんだ?」

 

「……え? ……そこは、元々はアビドス高校の本館があったところだよ。……今は使われていない場所だけど」

 

「……そうか」

 

 

使われていない校舎を、何の為に……。……土地があったところで、砂漠化していたら使い物にもならない筈……。

 

 

「……土地の売却名義…………。これは……」

 

「……生徒会長だったって話だし、そう言うことだろうな」

 

「……どうして、ユメ先輩は土地を……」

 

「……ホシノ先輩は知ってたの?」

 

「…………私も知らなかったよ。……ユメ先輩」

 

「……」

 

「……ねぇ、気になったんだけど」

 

「どうしたんですか?」

 

「なんでカイザーは、そんなに土地を欲しがるのかな」

 

「というと?」

 

「だって……砂漠になった土地なんて、使い道がないじゃない。……それなのに、ユメ先輩に土地を売らせて……カイザーは何がしたいのかなって」

 

「黒見……。……俺もそれについては気になっていた。……順当に考えれば、それだけの価値がある何かがその土地にあるとしか思えないんだが」

 

「価値……。あの場所にそんな価値のある物なんて……」

 

 

"……砂漠といえば、ちょっと聞いて欲しいことがあるんだけど"

 

 

「先生?」

 

「何かあったか?」

 

"今朝、ゲヘナ学園の風紀委員長から連絡があったんだ。……カイザーが、アビドスの捨てられた砂漠で何かを企んでるって"

 

「アビドスの砂漠で……?」

 

「カイザーコーポレーションが……」

 

「何かを企んでる……?」

 

「……」

 

 

考えろ…………。何で砂漠を購入した? ……何の為に無駄な土地を購入した? ……小鳥遊の話では、価値のあるものは無いみたいだが……。

 

…………今は捨てられている……砂漠。

 

……人目の付かない、場所……。

 

 

…………もしかして、

 

 

「……実験場か?」

 

「実験場?」

 

「あー、いや……、……人目に付かなくて、使える土地自体は広大ってなると……用途がそれぐらいしか思いつかなくてな」

 

「用途……」

 

「建造物だって、砂だらけの地上に建てるのは困難かもしれないが、…………地下なら、何をしようが気づかれることはないだろ?」

 

「地下……」

 

「確かに……それなら気づかれないですけど……」

 

「……絶対と言う訳ではない。……ただ、都市の話にはなるが……秘匿された地下施設なんてものは有り触れていてな」

 

 

……L社だって、地下施設を秘匿していた訳だしな。……アンジェラに聞かされるまで知らなかったけど。

 

 

「……ん、……だとしたら、どうしてゲヘナの風紀委員長が知ってたの?」

 

「それに、わざわざ先生にそれを教えるなんて……」

 

"……確かに、なんでそんなこと知ってたんだろう?"

 

「……大方、イオリの仕業だろうな」

 

「イオリ? ……それって、昨日戦った特色の?」

 

「……あぁ。アイツは神出鬼没というか、……いつの間にか、誰も知らない筈の情報を把握してるんだよな」

 

 

……図書館の情報だって、誰も存在すら知らなかった筈なのに……一体どうやって所在を把握したんだか……。

 

 

 

 

"……行ってみようか。アビドス砂漠"

 

「先生……」

 

「……そうね! 実際にこの目で確かめたほうが早いわよね!」

 

「……ん、そうだね」

 

「おじさんも賛成~。ここからそう遠くもないしね~」

 

「そうですね☆ みんなで行ってみましょう~!」

 

「……」

 

 

銃弾の数が心許ないが、……まぁ、何とかなるだろ

 

 

 

★★★★★

 

 

 

――アビドス砂漠

 

 

元々は居住区画であった場所。……砂に埋もれた電車や、倒壊した建物、砂塵によって倒された電柱など、……今では、人が生活できるような場所ではなくなっていた。

 

「……ここまでは列車で来ることが出来ましたが、ここからの移動手段は徒歩しかありません」

 

「大丈夫か? 先生」

 

"……うん。大丈夫かな"

 

「……無理はするなよ」

 

「先生、もうちょっとだから頑張ってね~」

 

 

 

 

 

「ここから先が、捨てられた砂漠……」

 

「砂だらけの市街地に行ったことはありましたが、ここから先は私も初めてです……☆」

 

「いや~、久しぶりだねぇこの景色も」

 

「小鳥遊は来たことがあるのか?」

 

「うん、前に生徒会の仕事で何度かね~」

 

「へぇ……」

 

"アヤネちゃん……。ま、まだ掛かりそう?"

 

「えっと……、……ゲヘナの風紀委員長が言っていたセクターまでは、もう少し時間がかかりそうです」

 

「……一休みするか? 先生」

 

"だ、大丈夫……。……だけど、ちょっとペースは落としてほしいかも……"

 

「……まぁ、急ぎって訳でもないしな」

 

「そうだね~。のんびり行こっか」

 

「それにしても……、この辺りには何も無さそうですね~☆」

 

「ほんと砂しかないわね……」

 

 

まぁ、砂漠だしな……。…………いや、砂だけしかないって訳でもなさそうだが。

 

 

「……ん、アレって」

 

「……ドローンか。……お前ら、ちょっと下がってろ」

 

「……どうするつもり?」

 

「こんな所で弾丸を消耗するだけ無駄だからな。……ちょっと壊してくる」

 

「あっ、ちょっと!」

 

 

そう言うとローランは、手袋からデュランダルを取り出し、目にもとまらぬ速さで走り出した。

 

 

"行っちゃった……"

 

「はっや! ……昨日の時も思ったけど、都市の人たちって何でみんな……異常に足が速いわけ?」

 

「全員がそうという訳じゃないと思いますが……☆」

 

「……ん、私の自転車より速い」

 

「さ、流石にそこまでではない……とは言い切れませんね……」

 

「速いね~。……おじさんたちも追いかけよっか」

 

"み、みんな待って……"

 

「……ん、先生。私が背負ってあげる」

 

"あ、ありがとう……シロコちゃん……"

 

 

 

★★★★★

 

 

 

行く先々で徘徊しているドローンを潰しながら歩いていると、

 

 

「……っ!? 皆さん。前方に何かあります!」

 

 

アヤネの声に足を止められた。

 

 

「……えっと、どこにも見えないんだけど」

 

「なになに~? 砂埃で何にも見えないんだけど~?」

 

「ん、何も見えない」

 

「……奥空、この先には何がある?」

 

「……巨大な街……いえ工場、あるいは駐屯地……? と、とにかく、物凄い大きな施設のようなものが……」

 

「……」

 

 

巨大な街……。……地下どころか、地上に建設していたのか。

 

 

「おそらく見間違いではないと思うのですが……とりあえず、肉眼で確認できるところまで進んでみてください!」

 

「……分かった」

 

 

 

 

アビドス一行は、あたりを警戒しながら足を進める。……見渡しの良い砂漠ということもあってか、アヤネの言う巨大な街はすぐに見つかった。

 

 

 

 

「……」

 

「何これ……」

 

「この張り巡らされてる有刺鉄線、優に数キロメートル先までありそう……」

 

「工場……? 石油ボーリング施設、ではなさそうな……一体何なのでしょう、この建物は……?」

 

「……こんなの、昔は無かった……」

 

 

(ダダダダダッ)

 

 

「うわっ!? なになに!?」

 

 

 

「侵入者だ!」

 

「捕まえろ、逃がすな!」

 

 

 

「前方から、正体不明の兵力が攻撃を仕掛けてきています!」

 

「よく分からないけど、歓迎のあいさつなら返してあげたほうが良さそうだね?」

 

"……よし、みんなやろうか"

 

「……あぁ」

 

「……代理人? ……顔色が悪いけど、大丈夫?」

 

「代理人さん……☆?」

 

「だ、大丈夫ですか……?」

 

「……ちょっと、真っ青じゃない!」

 

「……ん、平気?」

 

"代理人……? 体調が悪いなら、休んでて大丈夫だよ?"

 

 

 

「……問題ない。……さっさと片付けよう」

 

 

 

手袋から2丁拳銃(ロジックアトリエ)を取り出し構える。

 

……それは、何の変哲もない動作。……今まで散々行ってきた先制射撃。

 

 

 

 

……それなのに、

 

 

 

 

……落ち着かない。

 

 

 

 

……何か特別なことがあるという訳ではない。

 

……装備の不調や体調に問題がある訳でもない。

 

 

 

 

 

……だというのに…………こんなにも胸騒ぎがするのは、何故だろうか……?

 

 

 

 

 

…………この感じは、あの日と同じ…………、

 

 

 

 

 

――ピアニストが発生した日と同じ、掻き毟りたくなるような嫌な胸騒ぎだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「久し振りだな。…………ローラン(息子の仇)

 

 

 

 

 

 

 

 




次回……アビドスの夢



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