黒い沈黙の行先   作:シロネム

62 / 181

誤字報告・及び評価、感想ありがとうございます。

今回の話では某鶏肉屋で得た情報を基にした、ねじれに関する独自解釈を含みます。





~覚醒~ 赤い霧と暁のホルス

 

――図書館

 

 

招待状を持つものしか訪れることのできない特別な場所。以前は謎の霧に包まれており、外部から招待状を持たないものが訪れようとすると、迷子になって目的地に辿り着けなかったが、

 

 

……外郭に放逐された今は、()()()()()で外部から訪れることのできない場所となっていた。

 

 

「こちら側に立つのは、久しぶりだな……」

 

「うへぇ~……ここが図書館なの?」

 

「あぁ……。もうすぐ案内人が……」

 

 

 

(パチンッ!)

 

 

 

図書館内に指を鳴らす音が鳴り響く。……聴き慣れたその音は、館長が現れることを意味していた。

 

 

 

 

「――歓迎いたします、ゲストの皆様。私はこの図書館の司書兼館長、アンジェラと申します」

 

 

 

 

 

「……そのセリフを、俺が聞かされることになるとは思わなかったよ」

 

「あなたに言った訳じゃないわよ。……お帰りなさい、ローラン」

 

「……あぁ。ただいま、アンジェラ」

 

「うへ? 館長って、じゃあこの人が……」

 

「あー、うん。俺の上司……みたいなものだ。……アンジェラ、ゲブラーはいるか?」

 

「いつもの場所に居ると思うわよ。……会いに行くなら、いい加減本の上でタバコを吸うのは辞めるよう伝えておいて頂戴」

 

「……あー、俺が言っても意味ないと思うぞ? ティファレト辺りに言わせたほうが聞くと思うが……」

 

「……そう」

 

 

(パチンッ!)

 

 

 

 

再び、図書館内に指を鳴らす音が鳴り響く。

 

 

 

 

「……は? …………いや、せめてゲストに挨拶ぐらいしていけよ」

 

「……うへぇ~。……なんか、色々と凄いところだねぇ」

 

「……悪いな、ホシノ」

 

「気にしなくていいよ~。……それにしても、図書館って言うだけあって本がいっぱいあるね~」

 

「読みたい本があったら、勝手に読んでいいぞ? ……今から会いに行く奴は例外だが、ほとんどの司書が案内してくれると思うからな」

 

「今から会いに行くやつ……? ……それって、さっき言ってたゲブラーって人~?」

 

「……あぁ、そうだ。…………案内するから、ついてきてくれ」

 

 

あのニコチン中毒者が相手してくれると良いんだが……

 

 

 

 

 

★★★★★

 

 

 

 

 

「……お、居た居た」

 

 

先ほどの入り口とは打って変わり、赤一色に染まった階層。……ガラス製の灰皿を満たす山のように積まれた吸い殻の前で、

 

 

――一人の女性がタバコを吸っていた。

 

 

「――戻ったのか、ローラン」

 

「……あぁ、今しがたな」

 

「……」

 

「――その子供は?」

 

「……あー、紹介するよ。……俺が送り込まれた先の世界で会った、小鳥遊ホシノだ」

 

「……えっと、よろしくね~」

 

「……。…………悪くないな」

 

「……流石でございます。……やっぱ赤い霧だと、ざっと見ただけで格付けが分かるのか?」

 

「……まぁ、大体は。……お前には前にも言ったが、目を付けとかないといけない奴かどうかは分かる」

 

「赤い霧……」

 

「……ローラン。私のことについて何か言ったのか?」

 

「いや? 特色の説明をしただけだが」

 

「……はぁ。……その様子だと、私に会いに来ることは伝えてなかったみたいだな」

 

「あー、うん。それは言ってなかったな」

 

「えっと……おじさんは何でここに連れて来られたかも、……実はよく分かってないんだよね~」

 

「訳も分からずコイツに着いてきたのか……?」

 

「まぁまぁ! 今からちゃんと話すから!」

 

「……そもそも、何故私に会いに来た?」

 

「……ゲブラー。……というか、カーリーに用があってな」

 

「……?」

 

「……ホシノが違う世界でE.G.Oを発現した。……まだ不安定だが、一度あの声も払い除けている」

 

「…………なるほどな。……それで、赤い霧にE.G.Oの使い方でも学びに来たのか?」

 

「……察しの通りだよ。ホシノがE.G.Oに喰われないようにして貰いたい」

 

「……やけに肩入れするな。……そんなに大事なのか?」

 

「……ねじれになったら困るってだけだよ。…………残響楽団が別の世界で生き返ってたんだ。……正直、俺一人だと相手にするのもな」

 

「……なるほどな。…………分かった、面倒を見てやる。……丁度本の整理にも飽きてた所だ」

 

「……助かるよ。……あと、アンジェラが禁煙しろだとさ」

 

「それは無理だな。ネツァクに禁酒させてから言えと、伝えといてくれ」

 

「はいはい。……ホシノ、俺は少し図書館をまわってくるから、……カーリーにE.G.Oの使い方を教えてもらってくれ」

 

「うへ? ……わ、分かった」

 

「……流石にそこまでやらないとは思うが、

 

 

――死ぬなよ、ホシノ」

 

 

 

「…………うへ?」

 

 

 

司書補達にも挨拶してこないとな。

 

 

 

 

★★★★★

 

 

 

 

な、何か凄い物騒なこと言われたんだけど……。

 

 

「……アイツは私のことを何だと思ってるんだ」

 

「……」

 

 

……え? これから何が起きるの……?

 

 

「……まぁいいか。……ホシノと言ったか」

 

「う、うん……」

 

「……生憎、私は頭が良く無くてな」

 

「そ、そうなの?」

 

「人に教えるのも得意じゃない。……だから、

 

 

――E.G.Oの使い方は、体で覚えろ」

 

 

 

「…………」

 

 

 

……ユメ先輩。……おじさんも、そっちに行くことになるかも……。

 

 

 

 

――接待――

 

 

 

 

ホシノをゲブラーに預けてから五日後。ローランはアンジェラと共に、言語の階を訪れていた。

 

 

「……おっと、接待中だったか」

 

 

 

 

 

「ホシノ……。喋る暇があったら足を動かせ。感情を昂らせろ」

 

「……ッ!」

 

「動きが直線的過ぎる。フェイントを覚えろ。……生み出したソイツと、連携が取れないでどうする」

 

「ユメせんぱ……」

 

「殺されても動揺するな。……クソ、またねじれかけてるな」

 

「……#8*()@%&!)$&8%&*%#%#!」

 

「……落ち着け。……あー、ホシノチャン、ワタシハブジダヨ!」

 

「…………」

 

「……お前らも、声を掛け続けろ」

 

「ホシノチャン!」

 

「ホシノチャン! ホシノチャン!」

 

「…………」

 

「……クソッ。……なんで私がこんな事を」

 

「…………」

 

「ゲブラーさん! 対象に変化が……」

 

「……よし。…………とりあえず、ローランは後で殺す」

 

 

 

 

 

「……見なかったことにしよう」

 

「……そう言う訳にもいかないでしょ」

 

「……というか、なんでゲブラーはあんな事してるんだ?」

 

「……あなたが向こうに言ってる間に、色々分かった事があるのよ。……ねじれの戻し方とか」

 

「……は? ……ねじれの、戻し方?」

 

「……詳しいことは、後で説明するわ。……とりあえず、あの二人を止めてきなさい」

 

「……はいはい」

 

 

 

★★★★★

 

 

 

「はぁ……っはぁ……」

 

「……無事か? ホシノ」

 

「……これが……っ、……無事に……見えるの……?」

 

「…………」

 

「……もう十分だろ。……少なくとも、都市でも生きていけるぐらいの戦闘力は身に着けさせたぞ」

 

「……あぁ、ありがとうな」

 

「完全なねじれになる前なら、対象に根源となる声を掛け続けることで正気に戻せるというのは、…………本当だったみたいね」

 

「……知らずに私に教えたのか?」

 

「丁度試せる相手がいて良かったわ」

 

「…………おい、ローラン」

 

「……な、何でしょうか」

 

 

 

 

「――消化不良だ。お前も付き合え」

 

「…………はい」

 

 

 

 

……赤い霧との接待か……。……ホシノには悪いことをしたかもな……。

 

 

 

 





赤い霧に5日間付きっ切りで接待されるホシノ……。


……E.G.Oも使いこなせるようになったのかな?



評価・感想お待ちしております。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。