黒い沈黙の行先   作:シロネム

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誤字報告、及び評価・感想ありがとうございます。

T社への反応が多くて嬉しくなっちゃいました!



……はよ、都市に帰ってくれ






~入場~ ゲーム開発部

 

「あらためて……ゲーム開発部へようこそ、先生!」

 

「先生に来ていただけて、嬉しいです。……もちろん、代理人さんも」

 

「私はゲーム開発部、シナリオライターのモモイ!」

 

「私はミドリ。イラストレーターで、ゲームのビジュアル全般を担当してます」

 

「シナリオライターとイラストレーター?」

 

"役職みたいなものだね"

 

「そうなのか」

 

「あ、あと今はここにはいないけど、企画周りを担当してる私たちの部長、ユズを含めて……」

 

 

 

「「私たちが、ミレニアムサイエンススクールのゲーム開発部だよ!」」

 

 

 

「ゲーム開発部……ねぇ……」

 

"どうかしたの? 代理人"

 

「あー、いや。都市にはゲームなんて物は無かったから、なんか新鮮でな」

 

「都市……? というか、ゲームが無かったの!? ……え、どんな田舎!?」

 

「別に田舎と言う訳ではなかったが、

 

――娯楽を楽しむ機会がなかったってだけだよ。……もしかしたら、巣によってはゲームもあったのかもしれないが……」

 

 

"代理人……"

 

 

……そうだよね。聞いてる感じ凄い物騒なところみたいだし、遊ぶ余裕なんて無かったのかな……。

 

 

…………。

 

 

"代理人。キヴォトスにいる間ぐらいは、気を抜いていいからさ。……ゲームとかもやってみよ?"

 

 

「……まぁ、そうだな。後で借りてみるか」

 

「……代理人さん。……ゲーム、楽しいですよ」

 

「……そうか」

 

「ん~~~。ゲームをやったことないって言うなら、私の推しをやらせてあげたいけど~~~」

 

「いや、別に無理にって訳じゃないが……」

 

 

「とりあえずゲームは後! 今は先生と代理人が来てくれたことだし、廃墟に行くとしよっか!」

 

 

「…………は?」

 

"……廃墟?"

 

「お姉ちゃん、説明しないと……」

 

「あ、そっか! えっとね、まず私たちゲーム開発部は今までずっと、平和に16ビットのゲームとかを作ってたんだけど」

 

"レトロだね~。先生はそういうゲーム好きだなぁ~"

 

「お、先生分かってるね! ……それでね、ゲームを作ってたら突然、生徒会に襲撃されたの!」

 

「……襲撃?」

 

「そう! 一昨日には、生徒会四天王の一人であるユウカから最後通牒を突き付けられて」

 

"ユウカ……? それってもしかして……"

 

 

多分、あの時の子じゃないかな……。

 

 

先生がそう考えていると、……背後から聞き覚えのある声がした。

 

 

 

 

「それに関しては、私から直接ご説明しましょうか?」

 

 

 

 

残骸と化した壁を踏み越え、一人の少女が姿を現す。

 

 

 

「「こ、この声は!?」」

 

 

 

"あ、やっぱりユウカちゃんだ"

 

 

「知り合いか? 先生」

 

"うん。代理人がキヴォトスに来る前に、色々あって助けてもらったんだ"

 

「……初めまして。連邦捜査部シャーレの代理人ですよね? 私はセミナーの早瀬ユウカです」

 

「あ、あぁ。……よろしくな、早瀬」

 

「出たな、生徒会四天王の一人! 冷酷な算術使いの異名を持つ生徒会の会計、ユウカ!」

 

「勝手に変な異名をつけて、人をモンスターか何かみたいに呼ばないでくれる?」

 

「……」

 

 

「それよりも、……先生」

 

"久しぶり、ユウカちゃん"

 

「……はぁ、こんな形で会うなんて」

 

"私もビックリだよ~"

 

「先生とはいろいろと話したいこともありますが、それはまた後にするとして…………モモイ」

 

「な、なに……?」

 

「本当に諦めが悪いわね。廃部を食い止めるために、わざわざシャーレまで巻き込むだなんて」

 

「だ、だって!」

 

「無駄よ。部活の運営については、各学校の生徒会に委ねられてるんだから。

……ゲーム開発部の廃部はもう決まったことなの。これはもう誰にも覆せないわ」

 

「そ、そんなことはない! 部員が規定人数に達するか、ミレニアムの部活として見合う成果を出せれば……」

 

「……それができれば良し。もしできなかったら廃部。部費はもちろん部室も没収する。……私、そこまでちゃんと言ったわよね」

 

「……なるほどな」

 

「あなたたちは部員数も足りない上に、部活としての成果を証明できるようなものも無いまま、もう何か月も経っているんだから……」

 

「……むしろ、よくそんな組織に金を出してたな……」

 

"……うん。ちょっとこれに関しては、何も言えないかなぁ"

 

「お二人の言う通り、廃部になっても異議はないはずだけど?」

 

 

可哀想だけど……この問題はシャーレじゃどうにも出来ないかなぁ……。

 

 

「意義あり!! すごくあり! 私たちだって全力で部活動をしてる!」

 

「お姉ちゃん……」

 

「だからあの、何だっけ……上場閣僚? とかいうのがあっても良いはず!」

 

「それを言うなら情状酌量でしょう。それよりも、今なんて言ったのかしら? 全力で活動してる?」

 

「……」

 

「笑わせないで! 許可もなく変な建物を校内に建てたと思ったら、カジノみたいに装飾してギャンブル大会を始めるし、レトロゲームを探すとか言いながら古代史研究会を襲撃するし……」

 

「……マジか」

 

"も、モモイちゃん?"

 

「それでよく部費の請求なんてできるわね! あなたたちの苦情がどれだけ生徒会に届いてるか分かってるのかしら!」

 

「うぐっ……」

 

「……どうみても早瀬の方が正しいな。……帰るか、先生」

 

"えっ……。いや、えっと、確かにユウカちゃんの方が正しいけど……"

 

「待って待って! ……み、見捨てるの? 先生? 代理人?」

 

「いや、どう考えてもお前が悪いだろ。……一応、俺らも仕事で来てるんだが」

 

"……うん。……モモイちゃん、このままだとシャーレは動けないかなぁ"

 

 

見捨てるのは可哀想だけど、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()んだよね……。

 

 

「分かったかしら? ミレニアムでは結果が全てなのよ」

 

「け、結果だってあるもん! 私たちも、ゲームを開発してるんだから!」

 

「そ、そうですよ! テイルズ・サガ・クロニクルはちゃんと、コンテストで受賞も……」

 

"テイルズ・サガ・クロニクル?"

 

「なんだ、一応結果は残してたのか?」

 

「……そうね。確かに受賞してたわ。……その反応を見るに、先生と代理人はご存じないようですね」

 

「……早瀬の言い方的に、碌なものじゃなさそうなんだが」

 

「……お察しの通りです。テイルズ・サガ・クロニクルはゲーム開発部における唯一の成果なのですが」

 

"ちゃんと成果を出せてたんだ"

 

「ゲームそのものもさることながら、レビューが大変印象的でした」

 

「……なぁ、それって」

 

"……"

 

 

い、嫌な予感がするなぁ。

 

 

 

 

「私がやってきたゲーム史上、ダントツで絶望的なRPG。……いや、シナリオの内容がとかじゃなくて、ゲームの完成度が」

 

「このゲームに足りてないものは正気だろうね」

 

「このゲームをプレイした後だと、デッドクリームゾーンが名作の部類に思えてしまった

 

「夜道に気をつけろよ?」

 

「開発者はお口ぎゅ~っち閉じとけよ~?」

 

「頭の中に変な声が聞こえてきた」

 

「……#6*()@%&!)$&%#%#!」

 

 

 

 

 

 

「これがレビューの大まかな内容です」

 

「……酷いな。……というか、なんかヤバい意見もあるんだが」

 

「わ、私たちのゲームは、インターネットの悪意なんかには屈しな……」

 

「……これだけ書かれても、まだ認められないのかしら? 今年のクソゲーランキング1位の製作者さん?」

 

「そ、それは……!」

 

 

 

 

「……ミドリ。これ、マジでお前らが作ったゲームなのか?」

 

「……お恥ずかしながら、マジです……」

 

 

 

 

 

"1位!? すごいじゃん! そのゲーム気になるんだけど!"

 

 

「……とどめを刺したな、先生」

 

 

 

「……」

 

「……」

 

 

 

「……とにかく! あなたたちのような部活がこのまま活動していても、かえって学校の名誉を傷つけるだけなのよ」

 

「まぁ、そうだろうな……」

 

「あなたたちの分の部費を他に回せば、きちんと意義のある活動をしてる生徒たちの為にもなる……」

 

"……そうだね。頑張ってる子たちは応援したいかな"

 

「だから、……もし自分たちの活動にも意義があるのだと主張したいのなら、……証明して見せなさい」

 

「……証明って?」

 

「なるほどな。……何かしらの成果をあげろってことか」

 

「その通りです。きちんとした功績や成果を証明すれば、廃部は撤回します」

 

「……例えば、何かの大会で受賞するとか?」

 

「そうね……。ゲーム開発部なら、そういうコンテストも色々あると思うけど……」

 

「いや、大丈夫なのか? クソゲーランキング1位って、相当酷いんじゃないのか……?」

 

「代理人さん……言わないで……」

 

 

「代理人の仰る通り、あなたたちの能力はあのクソゲーランキングが証明済みです」

 

「ぐっ……」

 

「どうせなら、お互い楽な形で済ませましょう? 今すぐ部室を空けて、この辺のガラクタも捨てて」

 

「……ないで」

 

「……?」

 

 

 

「ガラクタとか言わないで……!」

 

 

 

「……じゃあ何なの? こんな()()()()()で……。……あと、ずっと言わないでいたけど、

 

――何で壁がこんな事になってるわけ?

 

……また物に当たったの? 設備だってタダじゃないんだけど」

 

「……あー、いや」

 

「そ、それは……」

 

「……とりあえず、修理費は部費から引いておくから」

 

"だ、代理人……"

 

 

…………

 

 

「……知らん。……元はと言えば、モモイが悪いしな」

 

「……っ!」

 

「お姉ちゃん……」

 

「……分かった。全部、結果で示す」

 

「へぇ……?」

 

「そのための準備だって、もう出来てるんだから!」

 

「え?」

 

「そうなの!?」

 

「何でミドリが驚くのさ!? ……とにかく、私たちには切り札がある!」

 

「切り札ねぇ」

 

「その切り札を使って、今回のミレニアムプライスに私たちのゲーム……

 

 

――TSC2 ……テイルズ・サガ・クロニクル2を出すんだから!」

 

「!?!?」

 

"あの……、ミレニアムプライスって……何?"

 

「ミレニアム中の部活が各々の成果物を競い合う、ミレニアムでも最大級のコンテスト! ……ここで受賞さえすれば、いくら何でも文句は言えないでしょ!」

 

「…………あー、早瀬? ……そのコンテストって、そんな簡単に受賞できるのか?」

 

「そんな訳ないじゃないですか!?」

 

「だよな……」

 

 

各部活って事は分野も違うってことだよね、……その中で受賞って……難しいと思うなぁ。

 

 

「……でも、そうね。受賞できたならの話だけど」

 

"む、難しいんじゃないかなぁ?"

 

「先生と代理人の言う通り、簡単なことじゃありません。……モモイ、今あなたが言ったのは、高校野球児がいきなりメジャーリーグに出るみたいな、雲を掴むような話なのよ」

 

「高校野球児?」

 

"んー、代理人に分かるように言うと……私が特色フィクサー?になるって言ってるようなもの……かな……?"

 

 

……この例えであってるのかな?

 

 

「……いや、無理だろ」

 

「せ、先生の例えはよく分かりませんが……。……でも、そうね。……私もちょっと楽しみになってきたわ」

 

「嘘だろ? 早瀬……」

 

「いいえ、本当です。……そうですね、そこまでは待ちましょうか」

 

"ユウカちゃん?"

 

「今日からミレニアムプライスまで二週間……この短い時間でどんな結果が出せるのか、楽しみにしてるわ」

 

「二週間か……」

 

"猶予はあんまりなさそうだね……"

 

「……ふう。まさか先生の前でこんな、可愛くないところを見せてしまうことになるなんて……」

 

「いや、早瀬。お前は立派に仕事をしただけだと思うが」

 

"うん。カッコよかったよ? ユウカちゃん"

 

「そ、そうですか? ……次はもっと違った、落ち着いた状況でお会いしましょうね、先生。代理人も」

 

「あぁ、そうだな」

 

"またね、ユウカちゃん"

 

「はい、それでは…………っと言い忘れてたわ」

 

「まだ何かある訳!?」

 

「あと一つだけよ。……モモイ」

 

「……なにさ」

 

「あなたは知らないかもしれないけれど、……壁って結構高いのよ?」

 

「……え、いや。……それは私悪くな」

 

「存続出来たとしても、暫く部費は出ないと思いなさい」

 

「……」

 

「……」

 

「それじゃあね」

 

 

そう告げると、残骸を乗り越え去って行くユウカ。置き土産として言われた一言は、モモイとミドリの心をバキバキに粉砕していた。

 

 

「……違うじゃん! 壁は代理人のせいじゃん!!」

 

「代理人さん…………あれ? 先生、代理人さんは?」

 

"……さっき、ユウカちゃんと一緒に出て行っちゃったよ?"

 

 

……行動が早いなぁ、代理人。

 

 

 

「はあああああああ!?」

 

 

 

 

★★★★★

 

 

 

 

ゲーム開発部を後にした代理人は、

 

……離れすぎる訳にもいかない為、近くの曲がり角で待機していた。

 

 

「落ち着いたら戻るか……」

 

 

(TELLLL……TELLLL……)

 

 

 

「……知らない番号だな」

 

 

電話を見た代理人は、連絡先を交換していない相手からのコールに驚いていた。

 

 

「……まぁ、出てみるか。……はい、もしもし?」

 

 

 

「突然のお電話失礼致します。この度はご依頼の為、お電話させて頂きました」

 

 

 

「依頼……?」

 

 

 

「はい。……こちらは、連邦捜査部シャーレの代理人様……

 

 

 

 

――黒い沈黙様のお電話でお間違いないでしょうか?」

 

 

 

「……誰だ」

 

 

 

「……申し遅れました。私……

 

 

 

 

 

 

 

 

――天才清楚系病弱美少女ハッカーの、明星ヒマリと申します

 

 

 

 

 

 





ミレニアムの部室の壁って幾らぐらいなんですかね?

モモイ……可哀想に……

文句なら、ホイールズ・インダストリーで壁を叩き割ったローランに言ってくれ



……いや、プライステーションを投げつけた君が悪いんだけどね?



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