誤字報告、及び評価・感想ありがとうございます。
T社のお話ですが、予想以上に長くなりそうなので数話に分けさせて頂きます。
――午後23時50分。
ミレニアムサイエンススクールの校門前に、赤い衣装に身を包んだ一人の女性が待機していた。
「……来たか」
「……早いな、もう来てたのか」
夜ということもあってか、生徒の気配がない校舎。……その静まり返った校門に、4人の人物が集まっていた。
「……とりあえず移動するぞ」
「……分かった。…………代理、その
「……そういえば初対面だったな。……この子は小鳥遊ホシノ。お前と同じ、E.G.O発現者だよ」
「うへぇ~、よろしくね~」
「あ、あぁ……。……シャオだ……よろしく頼む」
「……二人とも、急に呼び出して悪かったな」
「全然平気だよ~。そういう取引だしね~。……それに、ユメ先輩が関わってたかも知れないんでしょ?」
「確証はないがな。……俺の報酬に、その情報も含まれているんだ。……全部終わったら、一緒に聞きに行こう」
「…………待て。……二人?」
「……? ……電話で言った通り、お前を含めて3人だが……」
「……気づいてないのか?
…………代理、お前の後ろにいるのは誰だ」
「…………は?」
咄嗟にふり返るローラン。……そこには、
「翼を墜とすなんて面白そうなことに、私を呼ばないとはねぇ~。……腹黒小僧」
油断していた訳ではない。……訳ではないはずなのだが、空間跳躍の音も聞こえず、
――気が付けば背後にいたイオリに、言葉を失った。
「………………なんでお前がここにいるんだ。……というか、どこから聞きつけやがった」
「うへ? 代理人が呼んだんじゃないの~?」
「いや、呼んでないんだが……。……というか、ホシノは気づいてたのか」
「……代理。その子供もお前の知り合いか?」
「おや、私のことを忘れたのかい?
――悲しいねぇ、リウ1課のお姫様。……あの慎重派な旦那は、一緒じゃないのかい?」
「…………お前…………まさか……」
「……あー、……シャオ。……信じられないと思うが、コイツは紫の涙だ」
「……」
……まぁ、理解出来ないよな。
「……イオリ。……銀鏡は大丈夫なのか?」
「お嬢ちゃんかい? あの子からは、寝てる間は身体を好きにして良いと言われてるからねぇ。
……まぁ、お嬢ちゃんが起きたら、眩暈や吐き気、筋肉痛に襲われるかもしれないが、気にしなくて大丈夫さね」
「……いや、それは大丈夫じゃないだろ」
「……よく分からないが、お前は紫の涙で良いんだな?」
「それで構わないとも。……お嬢ちゃんも久しぶりだねぇ。……まさかE.G.Oを発現しているとは思わなかったよ」
「うへ? ……ひ、久しぶり~。……今回は味方なんだね~」
「……特色が2人に、E.G.O発現者が2人か……」
「イオリは頭数に入れてなかったがな……」
多少の誤差は生まれるが、作戦に変更は無い
★★★★★
ミレニアムサイエンススクールから、徒歩十分。
砂時計にローマ字のTが混ざったロゴのビルへと辿り着いた。
「……ついたか。…………今から作戦を伝える」
……と言っても、どうせ監視されてるだろうし、大した作戦がある訳じゃないんだが。
「事前の偵察の結果、T社の代表は最上階に居ることが判明した」
偵察してくれた陸八魔たちには礼を言っておかないとな……
「見た感じ、正面の警備は2人だけだ」
どうせ後から補充されるだろうが、
――それまでに特異点を奪い取り、代表を殺せば良い
「全員で正面から殴り込む。……それが1番早くて、1番確実だ」
「……まぁ、そうなるだろうな」
「下手に忍び込もうとした所で、色付きじゃどうしようもないからねぇ」
「うへ? 色付き……?」
「あー、……ホシノ。
信じられないかもしれないが、T社に居るやつは……、
……一定以上の地位が無い限り、色を奪われるんだ」
「……色を、奪われる?」
「……説明が難しいんだが」
「代理が言った通りの意味だ、ホシノ。
……あの翼では、地位の無い者は……白黒の世界に置き去りにされる」
――Time Track社
翼の1つにして、時間に関する特異点を所持する企業。
エネルギーを対価に、時間の遅延や加速などを行うことが可能な製品を生み出しているT社は、表向きは生活を向上させる様な製品を生み出す翼だが、
――その本質は人々から奪った時間を売買する企業なのだ……。
都市では真実は知られて居らず、また技術自体は広く普及しており、暗殺武器から生活雑貨まで、その用途は多岐にわたる。
例としてあげるのであれば、
『10秒煮込んだだけで、まるで3日間煮込んだかのような仕上がりになる鍋』
などがあり、飲食店等で利用されていた。
「ホシノ……。T社ってのは、こんな感じの企業だ。……色に関しては、身分階級を判別する為だろうな」
「……良くそこまで知っていたな。……我々でも、翼の真相など知り得なかったと言うのに……」
「…まぁ、図書館で少し……な」
「私も1度侵入した事があるけどねぇ……、あの連中を相手にするのは、中々どうして厳しいものがあったよ」
「……お前、そんな事してたのか」
「……うへぇ。……とりあえず、碌でもない企業だーって言うのは分かったよ~」
「技術自体は便利なんだけどな……」
「……どうせ手折れる翼だ。あまり深く考えるな」
「頼もしいねぇ。……お嬢ちゃんもそうだけど、お姫様までE.G.Oを発現させるとは……」
「……私をその名で呼ぶな」
「…………ねぇ。……さっきの話が本当ならさ、あそこの警備員って……」
「……それなりの地位がある奴ってことだろうな」
T社の正面玄関に立つ、二人の機械。
……いや、義体だろうか? 人の形をした機械の塊は、
「……代理、合図はお前がしろ」
「……そうさね。何か考えがあるんだろう? 腹黒小僧」
「……代理人?」
「……はぁ、……ちょっと下がってろ」
ローランはそう言うと、手袋から一冊の本を取り出した。
「代理人、それってあの時の……」
「……本?」
「……へぇ」
「……また借りるぞ、ティファレト」
そう呟くと、前と同じようにページを一枚破り取る。
光り輝く破られたページは、ローランの姿を包んでいった。
「……あれ? 前のとは違うんだ」
「……それは、E.G.O……なのか……?」
「……やはり、ここに来て正解だったねぇ」
黄金狂の時とは違い、服装自体に変化はない。
……ないのだが、その背中からは身の丈以上の翼が生えていた。
紫色と水色で彩られた、鳥類の様な翼
背中から翼を生やし、右手に紫色の杖を構えたローランは、
――呪文を唱えた
「"愛と憎悪の名の下に"」
周囲の闇を照らしながら収束する光。視界の端で起きている異常事態に、T社の警備員は気が付いたものの、
……全てが遅かった。
「"俺とお前の力をもって、 偉大な愛の力をみせしめん事を"」
杖の先端へと束ねられた光は
――光の奔流となって、正面玄関へと撃ち込まれた。
自然科学の階の魔法少女シリーズが万能すぎる……
評価・感想お待ちしております