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今回で後日談は完結となります
その後、ビルの後始末を任せ、……エリュシオンの手配した車に乗り込む3人。
護衛と共に、子ウサギ公園へと帰還したシャオ。
情報の為、数日間ミレニアム内のホテルで宿泊することとなったホシノ。
二人を見送ったローランは、シャーレへと帰還した。
★★★★★
――イオリside
目を覚ましたイオリは、強烈な苦痛と違和感に襲われていた。
「……どこだ、ここ。……ッ…………は……?
……な、なんだ……これ……」
夥しいほどの血の香りに、入り混じった消毒液の香り。恐らく保健室であろうということは分かったものの、
――血塗れのベッドで寝ている理由までは、分からなかった。
「痛い痛い痛い! ……ちょっと待て! ……これ、私の血なのか!?」
体が引き裂かれるような激痛。……考えてみれば、どことなく貧血気味にも感じることだろう。
「い、イオリ? 昨日何が……あったんだ……?」
(……ん、あぁ。……おはよう、お嬢ちゃん)
「や、やけに疲れ切ってるな……。…………ッ」
(痛むかい? ……すまないねぇ。……昨日、少し無理をしすぎたみたいさ)
「いや、少しってレベルじゃないと思うんだが……。……な、何をやったんだ?」
その後、イオリは自分の身体がこんなことになってる理由を聞くこととなった。
ミレニアム地区に赴いたこと、Time Track社を潰したことなど……
聞けば聞くほど頭が痛くなるような内容の話を聞かされ続けた。
「ちょ、ちょっと待ってくれ……! み、みんなを呼ぶから……」
ゲヘナ風紀委員として、絶対にやってはいけない他校への侵略。ゲヘナでも名の知れた大企業の破壊。
……自分一人では手に負えないと考えたイオリは、風紀委員の面々を招集することにした……。
「……そう、そういうことだったのね」
「い、イオリ? 怪我は大丈夫ですか?」
「……取り合えず、治療してあげます」
保健室に集まったゲヘナ風紀委員。訪れた瞬間、夥しい程の血液の香りに顔を顰めつつ、……血塗れで赤く染まったベッドに倒れるイオリを発見し、驚愕した。
「い、いや、大丈夫……だ。……貧血気味で、全身が滅茶苦茶痛いけど……」
「……確かに、傷は塞がってるみたいね」
「……はぁ、あまり心配させないでください」
「……これ、造血薬」
「あ、ありがとう。……ッ! 痛い……」
チナツから手渡された造血薬を飲み、ベッドへと倒れる。……血塗れのベッドには抵抗があったものの、それ以上に動くのが苦痛だった。
「……イオリ、あなた撮影されてたわよ。……クロノスの報道部が、現場に居合わせたみたいね」
「……う、嘘だろ? ……嘘ですよね、委員長……」
「残念だけど、本当。……でも、イオリの仕業だとはバレてないみたい」
「……そ、そっか。……良かった」
クロノススクールの報道部によって撮影された映像。
――武装した二人の大人に、アビドス対策委員会の小鳥遊ホシノ、……ゲヘナ風紀委員の銀鏡イオリがTime Track社に侵入する映像。
暫くして悲鳴と衝撃音が鳴り響くT社の映像が撮影されていた。
「いやいやいや! 映ってる! 侵入する瞬間が映像に残されてるんですけど!?」
「落ち着いて、イオリ。……この映像は、公共に流布された訳じゃないわ」
「…………?」
「今朝、私のモモトークに連絡があったの。……お礼の言葉と、あなたの身体を心配した文言が添えられていたわ」
「…………は? い、一体誰が……」
「送り主は……『ミレニアムが誇る超天才清楚系病弱美少女』ってなっていたけれど、……イオリの知り合い?」
「ミレニアム? …………いや、そんな馬鹿みたいな名前の奴知らない……」
「…………そう。……取り合えず、無事で良かった」
幸いにも映像が公表されていないこと、襲撃者の中に連邦捜査部シャーレの代理人が混ざっていたことから、イオリが咎められることはなかった。
ゲヘナにも手を伸ばしていたT社。……紫の涙から聞かされたT社の裏側に、4人は顔を顰めた。
……唯一の救いは、『ゲヘナ自治区内でT社による死亡者が出た』という情報が上がっていないことだろう。
昨夜の顛末を書類に纏めて提出するよう伝え、保健室を後にした3人。……怪我の具合から、休息に努めるよう言い渡されたイオリは、
……痛みを堪えつつ、血濡れの服を着替え、自室へと戻るのであった。
(……そういえば、お嬢ちゃんにお土産があるさね)
「お土産……?」
(身体を酷使したお詫びと思って、受け取ってくれないかい?)
「……まぁ、イオリから貰えるものであれば、貰っておくが………
――これ、懐中時計か?」
(使い方に関しては、完治してから教えてあげるとも)
★★★★★
――ローランside
深夜3時を過ぎた頃、シャーレへと帰還したローラン。……時間も時間ということもあってか、音を消しながら行動していたローランだったが……、
――執務室の灯りがついていることに気が付いた。
"おかえり、代理人"
「……ただいま、先生。こんな時間まで仕事か?」
"ゲーム開発部で遊びすぎちゃって、今日の分が終わってないんだ……"
「ゲーム開発部。…………そういえば、モモイは大丈夫だったか?」
"……モモイちゃん怒ってたよ? 代理人が逃げたーーーって"
「それは悪かった……って、壁に関してはモモイのせいだと思うが……」
"急用が入ったから、信頼できる場所に居てくれ。……なんて言い出すから、ビックリしたよ"
「……あー、それは悪かった」
"…………何があったの?"
「……先生には伝えておくか」
連邦生徒会長直下組織『エリュシオン』による依頼、
Time Track社という都市の翼がミレニアムに存在したこと、
シャオやホシノに声をかけ、T社を潰したこと等を伝えた
"……大変だったみたいだね。……シャオさんって、子ウサギ公園の姉御?"
「先生までその呼び方なのか……。…………アイツのE.G.Oが必要だったから声をかけたんだ」
"E.G.Oが必要って……ほ、ホントに大変だったみたいだね……"
「支社とはいえ、都市を支配する翼の一つだしな。
……それでなんだが……」
"うん? どうかしたの?"
「……報酬として、子ウサギ公園に物資を提供することになってだな……」
"物資……、……うん、私もあの子たちに会いに行きたいし、今度持って行ってあげようか"
「助かるよ、先生」
……そうこう話しているうちに終わったのか、書類を纏めた先生は寝室へと足を運んだ。
……ローランも疲労が溜まっていたのか、宛がわれた自室へと向かい、眠りに就くのであった。
★★★★★
――シャオside
子ウサギ公園の入口へと送迎されたシャオ。代理に売り付けたT社製品のおかげで、大金を得たシャオは……
――大量の食糧が入ったビニール袋を両手に下げていた。
「ここまでで大丈夫だ。送迎感謝する」
「……では。……今後の依頼に関してましては、明星から通達があると思いますので」
「……心得た」
途中スーパーマーケットに立ち寄ったこともあってか、想定よりも遅い時間に到着したシャオ。
「今日の夜警は……サキか」
敵意……
いや、警戒心だろうか……? 恐らく車両の走行音で気が付いたのだろう。
……軽機関銃を構えた少女が警告を発した。
「……そこを動くなッ! …………って、なんだ姉御か」
「あぁ、帰投した。……ただいま、サキ」
「……おかえり、姉御」
仕掛けられた地雷原を通り抜け、RABBIT小隊の生活するキャンプ地へと向かう二人。
「サキ、手土産だ。……想定外の報酬が支給されてな、後ほど追加の物資提供もあるそうだ」
「おー、流石だな姉御。……ちょっと待ってろ、すぐにみんなを叩き起こしてくるからな」
「いや、別に起こさなくて良いんだが……。
…………全く」
そう言うと、テントへと駆け出していくサキ。……普段は統率された軍人の様な所作のサキが、年相応の無邪気さを発揮する様子を見てか、
――思わず、頬が緩んだ
――懐中時計
T社の特異点を応用して作られた製品。
一般には販売されておらず、T社の特権階級のみ所持する貴重品。
使用者の行動を記録し、行動前の時間軸に上書きする時計
使用可能時間は10秒
対価として莫大な量の時間を補充する必要がある
結果として、イオリは疑似的な空間跳躍が可能となりました。
(図書館の幕終了時の光移動のようなもの)
対価に関しては、……どういう訳か、懐中時計に仕組まれた時間転送装置に
……勝手に溜まっていくんですよね
――どこかの列車で回収した端数だとか
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