黒い沈黙の行先   作:シロネム

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~突撃~ 捨てられた廃墟

 

翌日、ミレニアムサイエンススクールのゲーム開発部に向かった先生とローランは、……モモイとミドリに連れられ、ミレニアム郊外に存在する出入り禁止区域、

 

 

――廃墟へと訪れていた

 

 

「……」

 

「……ねぇ、お姉ちゃん。……一体いつまでこうしてればいいの?」

 

「静かに。あっ先生、もうちょっと頭下げて……!」

 

"わ、分かった"

 

「……何で出入り禁止区域に機械が居るんだ?」

 

 

水色のモノアイを光らせ、アサルトライフルで武装したロボット。……巡回でもして居るのか、定期的に立止まっては通信しているようだった。

 

 

「……これで十体目か」

 

 

同じ武装をした同系統のロボット。その集団は周囲を見回すと、何処かへと歩いて行った。

 

 

 

「……ひゅー、もう行ったかな? よし、じゃあ行こう!」

 

「……よし、じゃない! いったいここは何!? あんな謎のロボットが、数え切れないぐらい動き回ってるし!」

 

「何って……もう何回も言ってるじゃん。

 

……廃墟だよ」

 

"こんな場所があったなんて"

 

「出入り禁止の区域っていうからまぁ、ある程度の危険は覚悟してたけど。いやぁ、冷や冷やするね……」

 

「あのロボット、いったい何なんだろ……?」

 

「統率は取れているが、戦闘力自体は大したことなさそうだな。……熱源感知等も搭載されていないようだし」

 

「いや、あの……、た、戦うなんて無理ですよ?」

 

「やるなら代理人一人でやってね!」

 

"まだ何体いるか分からないし、今はやりすごそう?"

 

「まぁ、そうだな。……ていうか、今更聞くことじゃないかもしれないが、廃墟って一体何なんだ?」

 

「うーん、私もヴェリタスからちょっと聞いただけだから、分からないことだらけだけど……」

 

「ヴェリタス?」

 

「あ、えっと……、ヴェリタスというのは、ミレニアムに存在する部活の一つです」

 

「そうなのか」

 

「本来、ここの出入りは厳しく制限されてた、ってとこまでは二人にも言ったよね?」

 

「聞いたな」

 

"うん、そこまでは聞いたよ?"

 

「実際にここまで来たことだし、もう一回説明しよっか。ここの出入りを制限して、存在自体をできるだけ隠そうとしてたのは……

 

 

……連邦生徒会長だったの」

 

「連邦生徒会長が?」

 

 

ということは、エリュシオンの……、

 

 

――都市に関することなのか?

 

 

「連邦生徒会長って……あの、キヴォトスの頂点にいたのに、突然いなくなっちゃった人?」

 

「そう。あの人がいなくなってから連邦生徒会の兵力も撤収しちゃって、そのまま放置されてるみたい」

 

"……ねぇ、代理人"

 

「……あぁ、恐らく都市の方に兵力を廻したんだろうな」

 

「そのおかげでこうして入り込めたんだけど……とにかく! 警備がいなくなって、ヴェリタスの助力のおかげでここまで来れた訳だけど……」

 

「……だけど?」

 

「ヒマリ先輩によると、ここは、

 

『キヴォトスから消えて忘れ去られたものが集まる、時代の下水道みたいな場所なのかもしれない』……って」

 

「ヒマリ先輩って……ヴェリタスのあの、車椅子に乗った美人のヒマリ先輩?」

 

「……ちょっと待て。……今、ヒマリって言ったか?」

 

「え? うん、言ったけど?」

 

「……モモイ。お前の言うヒマリって、毎回変わる自己紹介が無駄に長い、明星ヒマリか?」

 

「あれ、代理人知り合いだったの? ……そう! あの、自己紹介が長い人!」

 

「RPGの賢者みたいに『私は何でも知ってますよ』って感じの人ですね」

 

「……ちょっと待ってろ」

 

"代理人?"

 

 

そう言うと、手袋から携帯電話を取り出したローランは、……スピーカー状態に変え、何処かへと電話しはじめた。

 

 

(TELLLL……TELLLL……)

 

 

「前も思ったけど、そのアイテムボックスみたいな手袋いいなぁー」

 

「色々な物が入ってるんですね」

 

"あ、私もそれ思ったんだよね。アイテムボックスみたいだなぁーって"

 

「というか、ここって電波飛んでないよね?」

 

「……代理人さん、多分通話繋がらないんじゃ……」

 

 

(ガチャッ!)

 

 

「はい。こちら、ミレニアムの清楚な高嶺の花であり、皆さんの憧れであるRPGの賢者みたいな、明星ヒマリです」

 

「……繋がった!?」

 

「……あれ? ……RPGの賢者みたいって」

 

「……聞いてたのか。相変わらず耳が早いな」

 

「もちろん、天才美少女ですので。……良いですか、2人とも? 自己紹介の長さは、その人の戦闘力に直結するのですよ?」

 

「「そうなの!?」」

 

「ラスボスだって、肩書きは長いものじゃないですか」

 

「「確かに!!」」

 

「待て待て、嘘を教えるな嘘を」

 

「ふふっ……。……それで、ご用件は廃墟についてでしょうか?」

 

「……あぁ。……一つだけ聞かせてくれ。

 

……この場所は翼に関係があるか?」

 

「「……翼?」」

 

「いえ、翼とは一切関係のない場所ですよ。……先生は、初めましてですね」

 

"うん、初めまして。大体の事情は代理人から聞いてるよ"

 

「あら、そうですか。……代理人、昨夜の報酬に関しては先生も交えましょうか」

 

「そうしてくれ。……あー、用件はそれだけだ。翼と関係がないなら良いんだ」

 

「ふふっ、代理人。……支社とはいえ、ミレニアムには企業が存在していたのですよ?」

 

「……そうだったな」

 

 

(ピッ!)

 

 

通話を切り一息つくローラン。……廃墟とはいえ、T社の存在した自治区に手を出そうとする翼は存在しないことに気が付き、

 

……一先ず警戒を緩めた。

 

 

「……待たせたな」

 

「な、なんか色々と聞きたいことがあるんだけど……。なんで電話が繋がったの!? ここ電波飛んでないよね!?」

 

「……さぁ、なんでだろうな。俺もよく分かって無いんだが、……この携帯を作ったのが、明星だからじゃないか?」

 

「……それ、ヒマリ先輩が作ったんですか?」

 

「らしいぞ。……この世界に来た時に、招待状と一緒に同封されていたんだ」

 

「……あ、そう言えば。……代理人さんと先生は、外の世界から来たんでしたっけ」

 

"そうだよ~。……まぁ、二人とも違う外の世界からだけどね"

 

 

先生が居た世界ってのも気になるな。都市ではないことは分かってたけど……、

 

 

――一体どんな世界から来たんだ?

 

 

 

「それにしても、なんでこんなところにG.Bibleが……あれ、ちょっと待って!?」

 

「どうした? ミドリ?」

 

「まさかとは思うけど……お姉ちゃんが『ここにG.Bibleがある』って言ってたのは、キヴォトスから消えて忘れ去られたものが集まるって聞いたから!?

 

……そ、それだけの理由でこんなところに!?」

 

「それだけじゃないよ。ヴェリタスにG.Bibleの捜索を依頼したら、座標を教えてくれたの。……最後にG.Bibleの稼働が確認された座標をね」

 

「最後に稼働? ……ってことは、誰かが使ったってことか」

 

「そう! そして、その座標が指してたのが……、地図には存在しない場所だったの!」

 

「っていうことは……!?」

 

「つまり! この二つを合わせて考えると……

 

 

――G.Bibleは廃墟に存在する!」

 

"そもそも、G.Bible? ……って何だっけ?"

 

「そういえば、それも説明の途中だったね」

 

 

 

――G.Bible

 

 

かつて、ミレニアムに……、キヴォトスに存在した伝説的なゲームクリエイター。

 

その人物がミレニアム在学中に作った作品が『G.Bible』

 

曰く、G.Bibleには……

 

最高のゲームを作れる秘密の方法が入っているのだとか。

 

 

「……それ、どこかのゲームクリエイター学校の広告じゃなくて?」

 

「違うよ!? G.Bibleはあるって! 読めば最高のゲームを作れるようになる、()()()()()()は絶対にある!」

 

「……まぁ、可能性は0じゃないかもな」

 

「代理人さん!?」

 

「お、いいねぇ代理人。……G.Bible。それさえ読めば、最高のゲーム……

 

――テイルズ・サガ・クロニクル2が作れるはず!」

 

「ほんとかなぁ……」

 

「ヴェリタスから貰ったこの座標に向かって行けば、きっとG.Bibleが……」

 

 

(ガシャン!)

 

 

「「…………えっ?」」

 

 

機械の駆動音が鳴り渡る。

 

話し声が大きすぎたのか、武装したロボットが一向へと向かって来ていることに気が付いた。

 

 

「あ、あれって!」

 

「ロボット!?」

 

「……まぁ、これだけ騒いでたら気づくよな」

 

「な、何だかすごい狙われていない!? こっちの方に集まってきてるし!?」

 

 

 

総勢5体

 

 

 

アサルトライフルを装備したロボット達は、隊列を組みながら直進してきていた。

 

 

「うわわわ、ど、どうしよう!?」

 

"……あっち! 工場みたいなのが見える!"

 

「え? こ、工場!?」

 

「お、先生ナイス! 急いで! ロボットたちを突破して、あの工場に逃げ込もう!」

 

「先生、戦闘の指揮をお願いします!」

 

「……まぁ、ヤバそうだったら援護ぐらいはしてやる」

 

 

ローランは手袋から2丁拳銃(ロジックアトリエ)を取り出し、

 

 

 

――ロボット達へと、構えた

 

 

 

 

 






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