黒い沈黙の行先   作:シロネム

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~作戦~ 鏡奪還計画

 

――ヴェリタス

 

 

ホワイトハッカーを自称する変人達が集まる部活。エリュシオン所属のミレニアム地区担当、明星ヒマリが元々所属していた部活動であり、彼女が部長を務めていた経歴もある部活。

 

 

「依頼されたデータについて、結果が出たよ」

 

 

廃墟から帰還したゲーム開発部の一行は、G.Bibleのパスワードを解析する為、……ヴェリタス所属の小鈎ハレにゲームガールズアドバンスSPを渡していた。

 

 

 

――翌日、

 

 

 

「い、いよいよ……!」

 

「ドキドキ……」

 

「知っての通り私たちヴェリタスは、キヴォトス最高のハッカー集団だと自負している」

 

「いや、堂々と自負することか?」

 

「おっと、勘違いしないでほしい。私は心優しきホワイトハッカー。システムやデータの復旧を数えきれないほど行ってきた、善良なハッカーだよ」

 

「……まぁ、それならいいの……か?」

 

「その上で、単刀直入に言うね」

 

 

 

(ごくり……)

 

 

 

 

「モモイ、あなたのセーブデータを復活させるのは無理」

 

「……は?」

 

「うわあぁぁぁぁぁぁん! もうダメだーーーーーーー!」

 

「そっちじゃないでしょ! G.Bibleのパスワードの解除はどうしたのさ!?」

 

「それなら、マキが作業中ですよ」

 

「マキちゃんが?」

 

「あ、おはようミド! 来てくれたんだね」

 

「うぅ、私のセーブデータが、涙と汗の結晶が……!」

 

「モモはどうしてこんなに泣いてるの?」

 

「気にしないで大丈夫……それより、G.Bibleはどうだった?」

 

「うん、ちゃんと分析できたよ。あれはかの伝説のゲーム開発者が作った神ゲーマニュアル……G.Bibleで間違いないね」

 

「や、やっぱりそうなんだ!」

 

「ほんとに存在したんだな……」

 

 

……その割には、廃棄対象になってなかったか?

 

 

「ファイルの作成日や最後に転送された日時、ファイル形式から考えても確実だね」

 

「……っていうことは」

 

「うん、オリジナルのG.Bibleで間違いないだろうね」

 

「す、すごい!!」

 

「でも問題があって……ファイルのパスワードについてはまだ解析できてないの」

 

「えぇっ、じゃあ結局見られないってことじゃん!? ガッカリだよ!」

 

「うっ! だってあたしはあくまでクラッカーであって、ホワイトハッカーじゃないし……」

 

「さっき、小鈎がホワイトハッカーって自負していたが……」

 

「…………とにかく! ……絶対にできないって訳じゃない。方法だってあるにはある」

 

「そうなの?」

 

「あのファイルのパスワードを直接解析するのは、多分ほぼ不可能。……でも、セキュリティファイルを取り除いて丸ごとコピーするって手段なら、きっと出来るんじゃないかな……」

 

「……なるほど。必要な中身だけ複製すれば問題はないのか……」

 

「その通り。……ただ、その為にはOptimus Mirror System……

 

――通称、鏡って呼ばれるツールが必要なの」

 

「ぜ、全然話についていけない……」

 

「そのツールは持ってないのか?」

 

「いや、持ってはいたんだよ。……この間までは」

 

「何だ、それなら今すぐ……ん、待って? 過去形!?」

 

「……そう、今は持っていない。生徒会に押収されちゃったの、もうっ!」

 

「生徒会……ってことは、早瀬か?」

 

「そう! この間ユウカが急に押し入ってきて、『不法な用途の機器の所持は禁止』って」

 

「鏡もそうですし、色々と持っていかれてしまいましたね……私の盗聴器とかも」

 

「……いや、聞いてる感じ、悪用できる道具ばかりなんだが」

 

"その鏡って……そんなに危険なものなの?"

 

「そんなことは無いよ。ただ暗号化されたシステムを開くのに最適化されたツールってだけ」

 

「……」

 

 

いや、十分危険だろ……。

 

 

「世界に一つしかない、私たちの部長が直々に制作したハッキングツール」

 

「部長っていうと……ヒマリ先輩?」

 

「ヒマリ……?」

 

「明星か……。……アイツならやりそうだな」

 

 

人の携帯電話を覗き見るような奴だしな……。

 

 

「うー、その先輩がせっかく作った装備を、どうして取られちゃったのさ」

 

「……私はただ、先生のスマホのメッセージを確認したかっただけです。そのために、鏡が必要で……」

 

"ちょっと待って? 今聞き捨てならないことが聞こえたんだけど!?"

 

「不純な意図は、全くなかったのですが」

 

"いやいやいや、不純な意図しか感じられないよ……?"

 

「うわぁぁぁぁん! 早く鏡を探さないと、部長に怒られちゃう!!」

 

「……」

 

 

……明星なら、それだけの価値があるものを手放したりしないと思うが……。

 

 

「とにかく……整理すると、私たちも鏡を取り戻したい」

 

「……」

 

「それに、G.Bibleのパスワードを解くためには、あなたたちにとっても鏡は必要……そうでしょ?」

 

「なるほどね……呼び出された時点で、何かあるのかなとは思ってたけど。大体わかったよ」

 

「え、も、もしかして……?」

 

「ふふ、さすがモモ。話が早いね」

 

「目的地が一緒なんだし、旅は道連れってね」

 

「共にレイドバトルを始めるのであれば、私たちはパーティーメンバーです」

 

「あの、お姉ちゃん、もしかしてだけど……、……ヴェリタスと組んで、生徒会を襲撃するつもりじゃないよね!?」

 

「……」

 

"……代理人、ちょっと話があるんだけど……"

 

「……あぁ。俺も丁度話したかったんだ」

 

 

 

……ここまでだな。

 

 

 

 

――俺がゲーム開発部に協力するのは、これで終わりだ。

 

 

 

 

★★★★★

 

 

 

 

「……そのまさかよ」

 

「なるほど、にわかには信じがたいお話ですね」

 

 

ミレニアムサイエンススクールの屋上。

 

普段は一般開放されていないその場所に、3人の人物が集まっていた。

 

 

「ゲーム開発部については、私も知らないわけではありません。……あんなに可愛らしいのに……ミレニアムの生徒会を襲撃しようだなんて、人は見かけによりませんね?」

 

「純粋な子たちよ。でもだからこそ、時にはとんでもない悪戯をしたりする」

 

「……」

 

「……まさか、先生までゲーム開発部に付くとは思いませんでしたが」

 

「……まぁ、見捨てられなかったんだろうな。……だからこうして、俺がこちら側に来たわけだし」

 

 

敵になってくれと頼まれるとは思わなかったが……。

 

 

「代理人……。……それと、今回はヴェリタスも絡んでるみたいなの」

 

「ヴェリタス……あのハッキングに特化した、クラッカー集団ですよね?」

 

「本人曰く、ホワイトハッカー集団らしいぞ」

 

「あら、そうなのですか?」

 

「……ヴェリタスとゲーム開発部って意外な共通点があるのよ。大事な物のために手段を選ばない所とか」

 

「そうでしたか。まぁ何であれ依頼である以上、私たちは受けるつもりでいますが……」

 

「早瀬。今回は俺もお前側に就く。……シャーレとしての代理権限も承認されているからな」

 

 

こんなことで使って欲しくはなかったけど……。

 

 

「一つだけ、ちょっとした問題があります」

 

「問題?」

 

 

 

★★★★★

 

 

 

「問題?」

 

「鏡は生徒会の差押品保管所に保管されてるんだけど。そこを守ってるのが実は……、

 

――メイド部、なんだよね」

 

「……え? メイド部って、もしかして……」

 

「ああ、C&Cのことだよね? ミレニアムの武力集団、メイド服で優雅に相手を清掃しちゃうことで有名なあの……」

 

「そうそう! まぁ些細な問題なんだけどさ~」

 

"ついでに言うと、今回は代理人も向こうに就くよ"

 

「そっか~! 代理人もか~! うーんなるほど~……」

 

 

……

 

 

…………

 

 

「諦めよう!!! ゲーム開発部、回れ右! 前進っ!!」

 

「待って待って待って! 諦めちゃダメだよモモ! G.Bibleが欲しいんでしょ!?」

 

「そりゃ欲しいよ! でもだからって、メイド部と戦うなんて冗談じゃない!」

 

「だ、代理人さんも敵にいるなんて……」

 

「そんなの、走ってる列車に乗り込めとか、燃え盛る火山に飛び込めって言われた方がまだマシ!」

 

「で、でもこのままじゃあたし部長に怒られ……じゃなくて! ゲーム開発部も終わりだよ! このままじゃ廃部になっちゃうんでしょ!?」

 

「廃部は嫌だけど……でもこれは、話の次元が違うじゃん!」

 

「そ、それにほら! さっきの代理人? がメイド部側に就くなら、捕虜にして脅したりも……」

 

「絶対ダメ! あんな人力TAS*1みたいなのに勝てるわけないじゃん!」

 

「下手したら、め、メイド部よりも強敵かも……」

 

「……」

 

「代理人は裏ボスですね! アリス、燃えてきました!」

 

「……えっ、待って待って。代理人って一般人だよね? ヘイローもなかったし……、戦えるようには思えないんだけど……」

 

"……代理人がT社のビルを真っ二つにした映像貰ったんだけど……、…………見る?"

 

 

「「「……」」」

 

 

 

~少女映像視聴中~

 

 

 

「なにこれ……」

 

「……」

 

「C&Cのご奉仕によって壊滅させられた過激団体や武装サークルは数えきれないのに……」

 

「……最後には痕跡すら残さず、綺麗に掃除される。……有名な話だね」

 

「……代理人さんまで向こうにつくなんて……」

 

「そりゃ部活は守りたいけど、ミドリにアリス、ユズの方が圧倒的に大事! 命には代えられないよ!」

 

「待って待って! 危険なのはわかってるけど、私たちだって、何も真正面から喧嘩しようってわけじゃないよ!」

 

「……そうなの?」

 

「あたしたちの目標はメイド部を倒すことじゃなくて、差押品保管所から鏡を取ってくることなんだから~……」

 

「そんなに変わらないじゃん!」

 

「……でも、可能性の無い話じゃない」

 

「私たちの盗ちょ……情報によると、現在のメイド部は完全な状態ではありません」

 

「えっ?」

 

"……今、盗聴って言いかけた……よね?"

 

「気のせいです」

 

 

 

★★★★★

 

 

 

「ね、ネル先輩がいない!?」

 

「はい、ミレニアムの外郭に個人的な用事があるそうでして」

 

「……ですが、ご心配なく。厳密に言うと、私たちのリーダーは、守ることより壊すことに特化した人ですから」

 

「いや、大丈夫なのかそれ?」

 

「もちろん、リーダーがいる時のC&Cが一番強い……というのは紛れもない事実です」

 

「……」

 

「ただ、守ることに関しては……もしかしたら、私たちだけの方が良いかもしれません」

 

「……まぁ、聞いた感じだとそうなるのか?」

 

「約束の時間まで、ゲーム開発部を生徒会の差押品保管所に近づけないこと……お約束いたしましょう」

 

「…………そうね、お願いするわ。……代理人の実力に関しても……、

 

 

――ノアから聞いてるし、問題はなさそうね……」

 

「……ノア?」

 

 

……誰だ?

 

 

「あ、すみません。……生塩ノア、ミレニアムの生徒会に所属する書記です。……諸事情により顔は出せないのですが、その代わりに代理人への伝言を預かってます」

 

「伝言? 俺にか?」

 

「はい。……私も、()()()()()()()()()()()()()()()は分からないのですが、次に会ったら伝えて欲しいと言われまして……」

 

「……」

 

「……正直、伝言の意味も分からなかったのですが、お伝えしますね。

 

 

 

 

――携帯電話の使い心地はどうですか?

 

 

とのことですが……」

 

 

「……なるほどな」

 

 

 

……明星が言ってた、ミレニアム地区担当。

 

 

 

「早瀬。……使い心地には満足していると伝えてくれ」

 

 

 

完全記憶能力を持つもう一人か……

 

 

 

 

 

――生塩ノア

 

 

 

 

*1
ツールアシストスーパープレイ……。キヴォトスの生徒からしたら、そう見えても仕方ないよね……






次回、Nerd VS Maid VS Silence

いや、VSではないか?



……先に言っておきますね?


……


……



代理人は、メイド服を着ません!!!



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