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T社製品を引き取り、無事にアリスの武器を調達したゲーム開発部一行。部室へと戻ってきた彼女たちは……
「さてっ、もう廃部の危機は免れたんだし、安心してゲーム三昧できるね!」
「……免れたか?」
「そうだよ! ちょっと、気を緩めるには早くない!?」
"ユウカちゃんには言ったの?"
「もちろん言ったよ! 今日の午後にアリスの資格審査に来るってさ」
「資格検査?」
「いやいやいや、初めて聞いたんだけど!? 資格検査って何!?」
「うーん、私もよく分かんないけど、大丈夫でしょ! アリスの準備についてはもう完璧なんだし」
「……」
なんか準備したか? モモイ曰く、ハッキングで生徒登録は済ませたみたいだが……。
「え、そうなの?」
「アリス、自己紹介を!」
「私の名前はアリス・ザ・ブルーアイ、ドワーフ族の槍騎士。使用武器はガンランス「火竜の牙」、出身地は……」
「いや、ゲーム内アバターのプロフィールじゃなくて、アリス自身の!」
「あ、理解しました。……私の名前はアリス、ミレニアムサイエンススクールの1年生。最近転校してきたばかりで受講申請のタイミングを逃してしまったため、まだ授業の登録ができていない状態なのですが、来月から正式に授業へ参加する予定です」
「あ、結構それっぽい」
「まぁ、違和感は拭えないが……」
「完璧じゃん! これならいけるって!」
「ううっ、本当に大丈夫かな……」
「…………噂をすれば、だな」
廊下から響き渡る足音。
……何故か壁が存在しないおかげで、一早くユウカの接近に気が付けたゲーム開発部。
「……あり得ないわ。ゲーム開発部に新入部員が入ったなんて、あり得ない……」
「ふっふっふ、残念だけど、事実だよ!」
「ユウカ……」
「……?」
「あなたが噂のアリスちゃんね。ゲーム開発部に入った、4人目のメンバー」
「……」
「……ふーん、ミレニアムの生徒ならほぼ全員把握してると思ってたけど……」
「いや、待て待て。……全員把握してるのか? 早瀬」
「えぇ、まぁ。生徒会として学生の把握は必要ですので……」
「……」
……だとしたら、誤魔化すのは無理じゃないか?
「……私がこんなに可愛い子のことを知らなかったなんて、ちょっと信じられないわね」
"ゆ、ユウカちゃん? なんか基準がおかしくない……?"
「……(ビクッ)」
「……??? ……よ、妖怪が出現しました……!」
「い、今この子、私のことを妖怪って言ったわよね!?」
「か、勘違いだよ! 妖精って言ったのを聞き間違えたんでしょ、もう、アリスは嘘がつけないんだからー」
「それはそれで嫌だろ」
「くっ……悪役には慣れてるとはいえ、まさか初対面の子に妖怪扱いされるだなんて。……良い度胸してるじゃない」
「お、落ち着いて! 生徒会が個人的な感情を挟んじゃダメでしょ!?」
「……」
「と、とにかく! 部の規定人数は満たしたよ! これでゲーム開発部は存続ってことでOKだよね?」
「存続……。確かにそうね……この子が本当に、自分の意志でここに来た部員だったら、……の話だけど」
「……(ドキッ)」
「本来は部員の加入を申告すれば、それだけでよかったのだけれど……」
「……その理屈なら、脅して無理やり加入させても良いってことになるしな」
「……代理人!?」
「……まぁ、シャーレのお二人が着いてるので、大丈夫だとは思いますが」
"あ、あはは……"
「とりあえず、アリスちゃんには簡単な取り調べ……あら、思ってもない言葉が……。
じゃあ、いくつか簡単な質問をするわね」
「思いっきり本音が出てた気がする……」
「そんなに時間はかからないわ」
「……(ゴクッ)。……せ、選択肢によっては、バッドエンドになることもありますか?」
「バッドエンド……まぁ、そういうこともあるかもね。それじゃあ……アリスちゃん……
――質問を、始めるわ」
「……」
「……アリスちゃん。もしゲーム開発部に脅されて仕方なくこの場にいるのなら、左目で瞬きして」
「……?」
「ちょっと、最初からなにその質問!? 小声で言っても聞こえてるから! っていうかそんなことしないって!!」
「まぁ、モモイが脅せるような材料なんて無いだろうしな」
「うぐっ……。……ほら見て、このまぶしい学生証! ミレニアムの生徒だっていうまごうことなき証明!」
「……」
いや、それを言ったら余計疑われるだろ……。
「ふーん……確かに、生徒名簿にアリスちゃんが登録されていることも確認したけれど……」
「用意周到だな」
「……私は、そんな簡単に騙される女じゃないわ」
「……(ビクッ)」
「(ば、バレた!?)」
「さて、それじゃあ取り調べを再開しましょうか」
「もう隠すつもりもないじゃん……」
「アリスちゃん、あなたがゲーム開発部に来たきっかけは何?」
「気が付けばすでにここに…………あっ」
「モモイ、何でそんなにアリスちゃんを睨んでるわけ? やめなさい」
「えっと、魔王城ドラキュラがやりたくって……それで、ゲーム開発部の存在を知って……」
……いい調子だな。
「ふーん……そうなの」
「(よし! アリスちゃん、その調子!)」
「でもここはレトロゲーム部じゃない、あくまでもゲーム開発部。……つまり、あなたもゲーム作りに参加するということよね? 何を担当するの?」
「タンク兼光属性アタッカー……」
「えっ?」
「じゃ、じゃなくて、えっと、ぷ、ぷ、ぷ……プログラマラスです!」
「……はい? プログラマーじゃなくて?」
「あ、はい。その通りです。間違いなく私は完璧で、幸福なプログラマーです」
「(まずい……っ!?)」
ボロが出始めたな……。……やっぱり無理じゃないか?
「幸福? ……ふーん、プログラマーねぇ……。すごく難しい役割だと聞くけれど」
「はい、そ、そうです。プログラマーは大変です。過労で意識を失ったりもします」
「な、なんですって!?」
「それでも大丈夫です!」
「いや、大丈夫じゃないでしょ……ちゃんと休みなさいよ」
「宿屋で寝るか、聖堂にお金を払えば、仲間と一緒に復活できます!」
「そ、そんなわけないでしょ!?」
「……あー」
「そんなわけないのですか? 常識のはずですが……もしかして、『英雄神話』や『聖槍伝説』をご存じないのですか? 神ゲーですよ?」
「…………(終わった、全てが……)」
★★★★★
その後、1時間程だろうか? 英雄神話や聖槍伝説などのゲームについて語りつくしたアリス。……聞かされる方もそうだが、それだけの知識を持ちながら1時間も語り続けるのも、相当な熱量だろう。
「あー、アリス。その辺で良いんじゃないか?」
「ダメです! まだ、ファイナル・ファンタジアについて語っていません! あの名作を語るには、もっと時間が必要なのです!」
「……いえ、もういいわ」
「そうですか……?」
「アリスちゃん、あなたのことについては概ね理解できたわ……」
「(もうダメだぁっ!?)」
「(どうしよう……!?)」
「ちょっと怪しいところはあるけれど、
……ゲームが好きだってことは十分伝わったわ」
「まぁ、あれだけ喋り続けたらな……」
「……そうね、認めましょう。ゲーム開発部の4人目のメンバー……」
「え……?」
「っていうことは……!」
「規定人数を満たしているので、ゲーム開発部を正式な部活として認定するわ……」
「やったぁ!」
「良かったぁっ!」
「そ、そしたら部費も貰えるし、このまま部室を使ってもいいんだよね!?」
「……そうね、今学期まではね」
「……え?」
「な、な、なんで!?」
「それと、部費なんて出る訳ないじゃない。モモイ、この壁の修理費を忘れたわけ?」
「……あっ」
「どうして! 規定人数も満たしたのに!? ……あと、壁は代理人のせいだから!」
「代理人の……?」
「……いや、俺は関係ないぞ、早瀬。……モモイが殴って壊したんじゃないか?」
「はぁ!? ちょっと、何言ってんの!?」
「モモイ。……常識的に考えて、シャーレの代理人が部室の壁を壊す訳ないじゃない」
「……代理人さぁん」
"代理人……"
「……知らん、モモイが悪い」
「……っっっ!」
「……あの、今学期までって言うのはどういう」
「あら、知らなかったの? 部活の存続は規定人数だけじゃなく、同時に部としての成果を証明しないといけないのよ」
「……」
「その期間は今月末まで! 結果を出せない部活は、たとえ4人いても400人いても、廃部になるのよ」
「嘘だ、あり得ない!」
「あり得るの! この間、全体の部長会議で説明した内容なんだから!」
「ってことは、ユズが聞いてるんじゃないのか?」
「……いいえ、ゲーム開発部部長のユズは参加してなかったわ」
「!?」
「つまり、あなたたちの責任よ」
「くっ……卑怯者め!」
「鬼とかならまだわかるけど、規則通りに事を運ぶことの何が卑怯なのよ……」
「……諦めろ、モモイ。……どう見ても早瀬の方が正しいだろ」
「ちょっと! 代理人はどっちの味方なの!?」
「……正直なところ、アリスちゃんの正体も怪しいし、本当ならすぐに退去を要請しようかとも思っていたのだけれど」
「!?」
「……正体はさておき、ゲームが好きだっていうのは分かったわ。猶予を与えたのは、その気持ちが本物だと思ったからよ」
「……まぁ、間違いなく好きだろうな」
「……モモイ、あなた言ったわよね? ミレニアムプライスで、びっくりするぐらいの結果を出して見せるって」
「そ、それはそうだけど……」
「新しいメンバーも増えたことだし、前よりもちゃんと面白いゲームが作れるんでしょうね?」
「……(ギクッ)」
「それじゃあ、楽しみにしてるわよ。じゃあね~」
「ちょっ待って! 詐欺師っ! 杓子定規っ! もおおぉぉぉぉぉぉっ!」
「行っちゃった……」
……この流れはまずいな。……表情的に、先生も気づいてるみたいだが、
――シャーレが、ゲーム開発部を手助けする理由が見つからない
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