黒い沈黙の行先   作:シロネム

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評価、感想ありがとうございます!


~原点~ ゲーム開発部の夢

 

「「「……」」」

 

「マジか……」

 

"えぇ……、いやまぁ、間違ってはないんだけど……"

 

「こ、こんなに落ち込んだのは……テイルズ・サガ・クロニクルのプロトタイプをアップロードした時以来……」

 

「あ、あの、モモイ……?」

 

「ふふっふへへへへ、全部終わったぁ! おしまいだぁ!!!」

 

「み、ミドリ? その、大丈夫ですか?」

 

「アリスちゃん、ごめん……今は何も話したくない気分なの……」

 

「えっと、ユズ――」

 

「怒り、破滅、腐食、絶望……$&8%$&8……」

 

「ユズ、しっかりしろ。……ショックだとは思うが、こんな事でねじれるな……」

 

「あ、あの! えっと、アリスはあまり理解できてないのですが……、

 

 

――もしかしてこの状況は、G.Bibleのせい、ですか?」

 

 

「……」

 

「……」

 

「あー、うん。……多分あってるぞ、アリス」

 

「えっと、G.Bibleは、嘘は言ってないと思いますが……」

 

 

 

「「そういう問題じゃないっ!!」」

 

 

 

「!?」

 

「いっそのこと嘘って言ってくれた方がまだマシ! うわあああん、終わった! 私たちはもう廃部なんだ! ふえぇぇぇぇぇん!」

 

「???」

 

「あーあ……」

 

 

これは、ダメそうだな……。

 

 

 

★★★★★

 

 

 

――2時間前

 

 

 

「そういえば、G.Bibleを開いてた時にこの、<Key>っていうフォルダを見つけたの」

 

「何これ……ケイ、って読むのかな?」

 

「……ケイ?」

 

「キーでしょ! お姉ちゃんは本当に高校受験合格したの!?」

 

「実は、こっちについては何一つ分からなくって。ファイルは壊れてなさそうだけど……私たちの知ってる機械語じゃ解読できない、信じられないような構成をしてるんだ」

 

「鏡を使ってもダメなのか?」

 

「……ダメだった。システムの解析は出来たけど、機械語を解読できないから詰んじゃったんだよね。……パッと見ただけじゃ何も分からなかったんだけど、この<Key>のこと、何か知ってたりする?」

 

「いや、私たちも全然……」

 

「……もしかして、<Key>って、……まさか、あの時の……」

 

「……ふぅん、何かあったの? ……ま、でもとりあえず今はG.Bibleの方でしょ」

 

「そうだな。また今度、何かわかったら教えてくれ」

 

「オッケー。それじゃ、間違いなく渡したからね! またね!」

 

「マキちゃん、ありがとね!」

 

「今度会う時は、秘書を通して連絡してね! なにせ私たちは、『TC2』で大ヒットする予定だから!」

 

「あははっ、楽しみにしてるよ!」

 

 

(ガチャッ)

 

 

随分と強気だが、……これで作れなかったらどうするつもりなんだ?

 

 

「それじゃ、あらためて……G.Bible、見よっか」

 

「うん……最高のゲームを作るために」

 

「そう。それが出来れば、これからもみんなでこの場所にいられる」

 

「……まぁ、ちゃんと完成したら、資金援助も考えてやる」

 

「ほんとに!? 今言ったからね!?」

 

「あぁ、ちゃんと作れたらの話だけどな」

 

 

……実際、ゲームという物に興味がない訳じゃないし、……娯楽として興味があるというのは本当だ。

 

 

「もし失敗したら……ユズは寮に戻って、会いたくもない奴らに会わなきゃいけなくなる。それに、アリスは……」

 

「……その時は、アリスの身柄はシャーレで預かってやる。……いいよな、先生」

 

"そうだね。流石にこのまま放りだす訳にも行かないし、アリスちゃんのことはシャーレで面倒を見るよ"

 

「シャーレ……? 先生や代理人と一緒なのは、とても嬉しいのですが……。

 

……アリスは、もうここに……

 

……みんなと一緒には、いられないのですか?」

 

「……っ! そんなことはない! 私たちは絶対に、最高のゲームを作るんだから!」

 

「お姉ちゃん……」

 

「大丈夫、TC2もアリスにとっての神ゲーになるよ!

 

――早速、始めよう、アリス!」

 

「……はい! ……G.Bible、起動!」

 

 

 

【G.Bibleの世界へようこそ】

 

 

「は、始まった!」

 

 

【最高のゲームとは何か……この質問に対して、世界中で様々な答えが模索され続けてきました】

 

 

「そうなのか?」

 

 

【作品性、人気、売上、素晴らしいストーリーや爽快感、鳥肌の立つ演出など。そういったものが最高のゲームの条件として挙げられることは多いですが、それらは全て、あくまで心理の枝葉に過ぎません】

 

 

【最高のゲームを作る秘訣、それはたった一つです。そしてこのG.Bibleには、その真理が秘められています】

 

 

「い、いよいよ!」

 

「何だかすごそう……」

 

「……」

 

 

……もしそれが本当なら、なんで廃棄されそうになってたんだ。下手したら、ゲームという娯楽その物を支配できると言っても過言ではないシロモノだろ……。

 

 

【最高のゲームを作るたった一つの心理、秘密の方法……。それを今こそ教えしましょう】

 

 

「来ますっ!」

 

 

【……】

 

 

 

【…… ゲームを愛しなさい】

 

 

「おお……オープニング、みたいな感じかな。それっぽい!」

 

「そ、そう?」

 

「いや、これ……」

 

 

【ゲームを愛しなさい】

 

 

「……まさか、これで終わり……じゃ、ないよね?」

 

「な、何かバグってるんじゃない?」

 

「ちょっと待って! ……ええっと、設定変更はどこから……」

 

 

【あなたがこのボタンを押したということは、ファイルが壊れた、もしくは何か問題があったのでは、何らかのエラーが生じたのでは……と疑っている状況なのでしょう】

 

 

「あっ、やっぱり! このまま終わるはずないよね!」

 

「いや、この状況を想定されているってことは……」

 

 

【しかし、エラーではありません】

 

 

「嘘ぉ!?」

 

 

【残念ですが、これが結論です。

 

 

――ゲームを愛しなさい!】

 

 

「「「「…………」」」」

 

 

「そ、そんなはずはない! きっと何かエラーが……!」

 

「ファイルの損傷とか修正も見当たらない……。……最後の転送情報、ファイルサイズ、それにデータ構成も問題無し……」

 

「そ、それじゃ、本当に……」

 

「こ、これで終わり!? ……お」

 

「お姉ちゃん……私たち、何か悪い夢でも見て……」

 

 

「終わりだああぁぁぁああ!!!!」

 

 

 

★★★★★

 

 

 

――そして今……

 

 

 

「あの、モモイ……デイリークエストしないのですか? いつも、デイリークエストより大事なものなんてないと言っていたのに……」

 

「アリス……私のHPはもうゼロだよ……」

 

「えっと……。ミドリ……?」

 

「ごめんね、アリスちゃん……知ってたけど、現実って元々こういうものなの……。……そう、つまりこれがトゥルーエンド……ハッピーエンドとはまた別の到達点……」

 

「……」

 

「ゆ、ユズは……ユズはどこに?」

 

「ユズならロッカーに逃げ込んでたぞ。……震えてるし」

 

「今のみんなの姿は……、……まるで、正気がログアウトしたみたいです」

 

「うぅっ……。……仕方ないじゃん、最後の手段だったのに! それが、あんな誰でも知ってる文章が一つ入ってるだけだなんて! 釣りにもほどがある!」

 

「モモイ……」

 

「知ってた! 世界にはそんな、それ一つで全部が変わって上手く行くような、便利な方法なんか無いって! でも期待ぐらいしたっていいじゃん! うわあぁぁぁんっ!」

 

「いや結構あるぞ? ……って、おい、泣くなよ……」

 

「はぁ……。ごめんね、アリスちゃん……私たちは……G.Bible無しじゃ、良いゲームは作れない……」

 

「……」

 

「……どうする? ……なんか諦めてるみたいだし、……帰るか? 先生?」

 

"いや……。……そう……だね……"

 

「いいえ」

 

「……アリス?」

 

 

「まだ終わってません。……アリスは、テイルズ・サガ・クロニクルをプレイするたびに思います。

 

 

――あのゲームは、面白いです」

 

 

「……え?」

 

 

「感じられるのです。モモイが、ミドリが、ユズが……。このゲームを、どれだけ愛しているのかを。そんな、沢山の思いが込められたあの世界で旅をすると……、

 

 

……胸が、高鳴ります」

 

"……アリスちゃん"

 

「仲間と一緒に新しい世界を旅する、あの感覚は……。()()()()というのが、どういうことなのか……その感覚を、アリスに教えてくれました」

 

「……」

 

「だから、待望のエンディングに近づくほどに、あんなに苦しんだのに、思ってしまうのです……。

 

――この夢が、覚めなければいいのに……と。

 

アリスは、そう思うのです」

 

「アリス……」

 

「……」

 

「……ってうわっ、ユズちゃん!? いつからそこに!?」

 

「テイルズ・サガ・クロニクルの話が始まった時から……」

 

「最初からいたの!?」

 

「いや、気づいてやれよ……」

 

 

ロッカーから出てきてただろ……。

 

 

「……作ろう」

 

「え?」

 

「私の夢は……私が作ったゲームを、みんなに面白いって言ってもらうこと。……でも、私が初めて作ったテイルズ・サガ・クロニクルのプロトタイプは……4桁以上の低評価コメントと、冷やかしだけで終わっちゃって……」

 

「それは……酷いな……」

 

 

低評価が4桁? ……どれだけ酷評され続けたんだ……。

 

 

……でも、

 

 

……4桁もの人が、遊んではいるのか

 

 

「それが辛くて、ゲーム開発部に引きこもってた時……、

 

――二人が、訪ねてきてくれた」

 

「そうだったのか?」

 

「そういえば、そうだね! プロトタイプが面白すぎて、徹夜で遊び通してからここに来たの!」

 

「お姉ちゃん、あの時は開発者に会いに行くって聞かなかったから……」

 

「……あの時は、ビックリした。……結局、一緒に完成させたテイルズ・サガ・クロニクルは……今年のクソゲーランキング1位になっちゃったけど……」

 

「うっ……」

 

「……」

 

「その後、アリスちゃんが訪ねてきてくれて……、

 

 

――面白いって、言ってくれた。それで、私の夢は叶ったの」

 

「ユズ……」

 

「心の通じ合う大事な仲間たちと、一緒にゲームを作って、それを面白いって言ってもらう……ずっと一人で思い描いてるだけだった、その夢が」

 

「……」

 

「これ以上は、欲張りかもだけど。叶うなら、私はこの夢が……この先も終わらないでほしい」

 

「ユズちゃん……」

 

 

「……うん、よし! ねぇ、今からミレニアムプライスまで、時間どれぐらい残ってる?」

 

「お姉ちゃん……!」

 

「6日ぐらいじゃないか?」

 

「正確には6日と4時間38分です」

 

「……それだけあれば十分。

 

 

――さぁ、ゲーム開発部一同! ……テイルズ・サガ・クロニクル2の開発を始めよう!!」

 

「「「うん!」」」

 

 

 

「……やれやれ」

 

"もう少し付き合うことになりそうだね、代理人"

 

「あと1週間、手伝ってやるか……」

 

 

 






舞台裏については、本編の合間を見て更新いたします。



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