評価、感想ありがとうございます!
(カタカタカタカタッ)
途切れる事無く、部室内に響くキーボードの打鍵音。6日間、休むことなくなり続ける音に、ゲーム開発部一行は壊れかけていた。
「……あー……、あぅ……あ……あぁ……うっぁ……」
「代理人さん、お姉ちゃんを!」
「……はぁ。……副作用とかあっても、本当に責任取らないからな?」
(パンッ)
――キーボードのタイピング音に混ざる銃声。
ローランの放った銃弾は、精神がおかしくなってしまったモモイの後頭部を……撃ち抜いた。
「……ッは! い、生き返った! ……疲労も消えたし、あとちょっと……!」
「あの……代理人、私にも……」
「代理人さん……私にも1発お願いします」
「……分かった」
(パンッ)(パンッ)
"……まさに、地獄絵図だね……"
「よく思いついたというか……、
モモイがシナリオを描き、ミドリがイラストを仕上げ、
――代理人が発砲する。
エンジニア部が作り上げた
……先日の戦闘で使われた拳銃。……記憶や意識を引き継いだまま、時間だけを巻き戻す力があることを思い出したモモイは、
……時間を1秒も無駄にしない為に、
『食欲や睡眠欲、疲労が溜まるたびに銃弾を撃ち込んで貰う』ことで、疲労感を感じる前の自分に巻き戻して貰おうと考えた……。
考えてしまった……。
――その結果、この数日の間に何十発もの弾丸を撃ち込むことになったローラン。
「思い付くお前らも狂ってるが……先生も良く許可をだしたな……」
"……あれだけ懇願されちゃったら、……断るなんて……出来ないよ……"
生徒の手前、安全確認をしない訳にも行かず、……結果として1発ずつ自分に撃ち込んだ先生とローラン。
「確かに、コレの効果は凄いと思うが……」
"な、なんか、……人としてやっちゃいけない事をしてる気がするよ………"
「……まぁ、道理には反してると思うよ」
消費される対価も、誰かの犠牲で補充されてる訳だしな。
「お姉ちゃん! まだ!?」
「ま、待って、急かさないで! あとこれだけ入力すれば終わりだから……!」
「あと2分だよ!? 急かさずにはいられないって!」
「正確には96秒です。……そう言ってる間に残り92秒」
「わ、分かった分かった! もうできたから!」
「こっちは簡単なテストだけやって……、……うん、エラーは出てない、モモイ!」
「オッケー! ファイルをアップロード、完了まで予想時間……15秒! アリス、あと何秒!?」
「残り19秒です……!」
「お、お願い……!」
【ミレニアムプライスへの参加受付が完了しました】
「間に合ったああぁぁあ!」
「ギリギリ……心臓止まるかと思った……」
「あとは……3日後の発表を待つだけ、だね」
「そうだね。……3日後には、このままこの部室にいられるのか、そうじゃないのかが決まる」
「そこから先も、シャーレが手を貸すかどうかは結果次第だからな」
"そうだね。……と言っても、ゲーム開発部の存続が決まったら、私たちの役目も終わりかな?"
「……まぁ、そうだな」
手紙に書いてあった、ゲーム開発部存続の危機は退けられた訳だしな。
「……でも、3日って結構長いじゃん? そこで提案なんだけどさ、先にweb版のテイルズ・サガ・クロニクル2をアップロードしてみるのはどう?」
「!?」
「ど、どうして?」
「3日間も待てないよ! それに、審査員の評価より先に、ユーザーの反応を見たくない!?」
「……それ、問題はないのか?」
先行公開ってことだよな……。正式な発表よりも先に、不特定多数に公開するのは大丈夫なのか?
「大丈夫! ミレニアムプライスの規定に書かれてないもん!」
「うーん、でもちょっと怖いかも……低評価コメントも心配だし」
「何言ってるのさ! ……自信をもって、見てもらおうよ! 私たちはベストを尽くしたんだから!」
「そ、それはそうだけど……」
「……うん、アップしよう」
「え?」
「私は……みんなに遊んでもらいたい。低評価コメントも……怖いけど、……みんなが一緒なら、大丈夫だから……」
「ユズちゃん……」
「それじゃあ今すぐアップロードー!」
「ああっ! ま、待って! 心の準備が……!」
「転送完了! プレイして感想が貰えるまで少なくとも2、3時間はかかるだろうし、後はしばしの休憩ってことで!」
「……そうは言うが、お前ら疲れてるか?」
「「「「…………」」」」
「……はぁ」
だよな……。……いや、記憶は引き継がれるわけだし……肉体的には疲れてなくても、精神的には疲れてるのか?
「…………」
「ん、アリス? なんでコンピューターの前に座ってるの?」
「待機します。……皆さんがダウンロードを始めたようです、気になります」
「これからゲームをプレイするのにまた時間がかかるだろうし、待っててもそんなにすぐは来ないと思うよ?」
「はい、それでも待ちます」
「わ、私も……。……どっちにしろ、緊張で眠れないし……、そもそも眠気が無いし……」
「……うん。……私もドキドキしてきたかも」
(ピコン)
「あっ、初コメ」
「何て!? 何て!?」
<hermet021:わお、これ前回クソゲーランキング1位を取った、あれの続編? もうゲーム作りはやめたと思ってたけど、懲りないねぇ>
「……」
「あ、アリス、こういうのはあんまり気にせず……」
「……。……マキに連絡。該当IPアドレスの方角に対して、最大出力のビーム砲を食らわせてきます」
「待て待て待て!」
「そ、それはダメ!」
「……大丈夫。ゲームをやってもいない人の発言だから……気にしないで、ね?」
(ピコン)
★★★★★
その後も続々と、テイルズ・サガ・クロニクル2への反応が寄せられてきていた。……クソゲーランキング1位と言うのは、良くも悪くもネームバリューには事欠かないのだろう。
「あ……、……有名なポータルサイトに、私たちのゲームが発表されたって記事が載ったみたい」
「うわあぁぁ……! 無関心じゃなければ良いな、くらいに思ってたのに! ここまで数が増えると急に怖くなってきた!」
「……。……ドキドキします」
「うぅっ! 期待と不安で、心臓が爆発しそう! ……代理人! もう1発撃ってくれない!?」
「いや、これ以上の乱用は…………
……待て」
この音は……
この独特な、重い風切り音は……、
……カリンの狙撃音か?
「うん?」
「……お前ら、すぐにここを離れるぞ」
「「「「えっ?」」」」
"だ、代理人?"
(ドカアァァァン!!)
「!?」
「ほ、本当に心臓、爆発しちゃったんですか?」
「ち、違う! 私の心臓じゃない!」
「……カリンの狙撃音だ。……一旦部室から退避するぞ」
そう言うと、先生を捕まえ、一足先に廊下へと非難するローラン。
「待って待って! 狙撃!? ちょ、私たちも逃げないと!」
「遠距離攻撃を確認、反撃を開始します!」
「ううん、アリス! 一旦廊下に出よう! このままだと、部室が壊れちゃう!」
――ミレニアム廊下
一足先に廊下へと避難していたローランと先生は、その先で待ち構えていたC&Cのメンバーと鉢合わせていた。
「お前ら、これは何の真似だ……?」
「いやぁ、ごめんね! 代理人! うちのリーダーがさぁ~」
「リーダー?」
「本当は、このようなことをしたくは無かったのですが……」
(ザッ)
「あたしの指示だ」
アスナとアカネの背後から現れた、一人の少女。メイド服の上から龍柄のスカジャンを羽織り、両手にサブマシンガンを構えた少女は、堂々とした佇まいで一歩前に出た。
「……」
そう言えば……、C&Cにはもう一人、リーダーと呼ばれる人物がいるって言ってたな。……個人的な用事から戻って来てたのか。
「……なるほど、あんたが代理人か。うちの奴らから話は聞いてる」
「……確か、美甘ネル……だったか?」
「あぁ、よく知ってるな」
「何の用だ? 生徒会からの依頼はキャンセルされてるはずだが」
「……なに、用があるのはあんたじゃない。……そっちのバカみたいにデケェ武器持ってる奴だ」
(キョロキョロ)
「いや、アリス。多分、お前のことだと思うぞ」
「アリスのことですか?」
「そうだ、てめぇには用がある。……C&Cに、一発食らわせてくれたらしいじゃねぇか……?
――ちっと面貸せや」
「あ、アリス、このパターンは知ってます! これは俗に言う告白イベントですね。チビメイド様はアリスに惚れていると……。スチル獲得です」
「……は?」
「ちょっとアリス! 何言ってんの!?」
「ふ、ふっざけんなこの野郎っ! ってか、誰がチビメイド様だ!? ぶっ殺されてぇのか!?」
「ひっ……」
「こ、怖っ!!」
いや、……うん。……今のはアリスが悪いだろ。
★★★★★
「はぁ……。……誤解してるかもしれねぇから一応言っとくが、別にC&Cに一発食らわせた分の復讐ってわけじゃねぇ」
「違うのか?」
てっきり復讐に来たのかと思ったが……。
「いやまぁ、何も思わなかった訳じゃないが……、怪我はあんたが治してくれたみたいだし、あくまで正当な依頼の中での出来事だからな。
別にそこに恨みはねぇが……俄然、興味が湧いてきてな」
「……あー」
この感じは……。
「興味……?」
「確認、って言った方が良いかもしれねぇが……、
――ちょっくら相手してもらおうか」
「……」
戦闘行為に快楽を見出すタイプだったか……。
「あたしと戦って勝てたら、このまま大人しく引き下がってやる。……お互いを理解するには、これが一番手っ取り早いからな。……どうだ、難しい話じゃねえだろ」
「……分かりました」
「アリス……」
「お、やる気満々と来たか」
「一騎打ちのイベント戦闘……みたいなものですね、理解しました」
「イベ……なんつった?」
「あの時は狭かったですし、鏡を持って帰るという使命がありましたが……、
今なら……、
――代理人! アリスにバフをかけてください!」
スーパーノヴァを肩から外し、銃身をローランへと向けたアリス。
「……いや、一騎打ちじゃなかったのか?」
「だからバフだけです! 勇者だって、一人旅の時には豊富なアイテムを使うもの! つまり、今だけ代理人はアリスのアイテムってことです!」
……アイテム?
「……なんか釈然としないが、……まぁいいか。
――あの時と同じ状態に戻してやる」
それに対しローランは、
――手袋から取り出した黄金銃で、スーパーノヴァを撃ち抜いた。
「は? 何をやってやが……る……」
撃ち抜かれたスーパーノヴァに、電流が奔る。
ローランによって、
――満充電を示す、水色の輝きを放っていた。
「感謝します! 魔力充電100%……!」
「ちっ、これは……!」
「光よ!!」
ドカアアァァァン!!
皆様、アンケートの回答ありがとうございます。
大差が付いた! って訳でもなさそうなので、
会話文をメインに、地の文も多めで執筆していこうと思います。
ご協力、ありがとうございました。
評価、感想お待ちしております。